天野議員は直ちに辞職によ

日本共産党の勧告決議を否決

    与党が自浄能力なく弁護

                         (しんぶん赤旗 2000年9月28日)

 大阪市議会本会議が27日始まりました。競売入札妨害の容疑で逮捕、送検された自民党の天野一議員の議員辞職勧告決議案を日本共産党市議会議員団が提案しましたが、自民、公明など与党は多数でこれを否決。天野議員を養護し、自浄能力発揮にはほど遠い姿勢を示しました。
 日本共産党の決議案は、議員という半ば特権的な立場を悪用して、市営住宅建設に伴う電気設備工事の当局予定価格をひそかに入手し、特定業者に漏らすことで不当利得を得ようとしたもので政治家として恥ずべき犯罪行為であると指摘。市民と市議会の信頼関係を損ね、議会の権威を失墜させた責任は重大で、直ちに議員を辞職するのが至当で、自ら辞職する意志を示していない今、手をこまねいているのではなく、自浄作用を発揮して、市民の信頼を回復する決意を示すことが求められると主張しています。
 賛成討論に立った日本共産党のせきね信次議員は、現職議長が逮捕され、議長室はじめ市議会が強制捜査を受けるのは市政はじまって以来の不祥事と指摘。なぜ起こったのかの中心の問題は議会・議員と行政と業界の癒着にあると主張。天野議員の辞職勧告決議をすることは大阪市議会が不正事件にたいして自浄能力をもっていることを示す最低限のあかしと主張しました。
 そして「天野氏の議員辞職申し出を待って、議会が追認するというのでは、市民が絶対に理解しないこと、司直の判断にゆだねるのも議会の責任を放棄するもの」と批判しました。
 一方、与党側は、日本共産党の決議案に対抗し「市政の信頼回復に関する決議」案を提案しました。「政治的・道義的責任については起訴にいたれば当然議員を辞職すべきだ」とするなど、辞職を先のばしにするもので、波風たてず、議員自らの辞職を待つ姿勢を示したものです。
 与党を代表して自民党の田中義一議員が与党案の説明をおこないました。しかし、「天野議員は被疑者で無罪の場合、名誉回復できない。(辞職は)本人の良識にまかせる」などと、天野議員を弁護する発言をおこないました。

辞職勧告決議案の賛成討論

 ただ今上程されました議員提出議案第二十号日本共産党大阪市会議員団提案の「天野一議員の議員辞職勧告決議案」について賛成討論をおこないます。
 決議案にありますように、天野議員は9月22日に刑法96条の3第1項「競売等妨害」いわゆる「競売入札妨害」の容疑で逮捕・送検されました。このような事件の容疑で現職議長が逮捕されるという市政始まって以来の不祥事に加え、議長室をはじめ市会が強制捜査を受けるという事態となったことは議員各位も由々しい問題として受け止められておられることだと思います。
 今回の事件の容疑は天野氏が議員の立場を悪用して、市営住宅建設に伴う電気設備工事の大阪市当局予定価額を密かに入手し、これを自分の後援会幹部である特定業者に漏らすことで不当な利得を得ようとしたものです。政治家としては恥じて余りある犯罪行為を行ったと言わなければなりません。

中心問題は議会・議員と行政と業界、この3者の癒着に

 何故、このような問題がおきるのか。その中心の問題は議会・議員と行政と業界、この3者の癒着にあることは明らかです。かつて大阪市会は、これとよく似た事件、さらにこれと同じ性質の事件を起こしました。与党議員と理事者との馴れ合い・癒着はあの忌まわしい「公金詐取事件」でありました。この時の市民の驚きと憤り、そして大阪市会にたいする厳しい声はは忘れられませんし、我々は忘れてはならないのであります。今回と同様の事件としては昨年、中村好男元議員の事件がありました。
 わたしくが力を込めて申し上げたいことは、この時本市会は市民の信頼回復のために、更に問題の究明のためにどんな努力をしたかということであります。
「公金詐取事件」の際に我が党は徹底解明とそのための百条委員会の設置を提案しました。しかし与党各派は多数でこれを否決してしまったではありませんか。このためにどんな努力をしたかということであります。
 「公金詐取事件」の際に我が党は徹底解明とそのための百条委員会の設置を提案しました。しかし与党各派は多数でこれを否決してしまったではありませんか。この重大な誤りが、今回の事件の根源の一つを残してしまったと言っても過言ではありません。

議員の不正行為に厳しい姿勢を

 昨年の中村元議員の事件で与党の対応はどうであったか。我が党は議会閉会中であったため、当時の議長と与党各派にたいして直ちに議会を開き、「中村氏の議員辞職勧告決議」と真相解明の委員会開催を求めました。しかし与党はこれを拒否し続けたことは記憶に新しいことではありませんか。
 今回、「天野議員の辞職勧告決議」を行うことは、本大阪市会が不正事件にたいして自浄能力をもっていることを市民に示す最低限の証しだと考えるべきであります。
 ここに至って天野氏の議員辞職申し出を待って、これを議会が追認するというやり方で議会の自浄能力を発揮できたなどと言っても、市民は絶対に理解しないでありましょう。さらに司直の判断に全てをゆだねるというやり方も議会の責任を放棄するものであります。今回の事件にたいする市民の怒りの大きさを真正面から見るならば、市民の付託を受けている本議会が、議員の不正行為に厳しい姿勢があること内外に示すためには、辞職勧告を全会一致で決議する以外にないのであります。
 耐え難い不況と改悪される社会保障・福祉で苦しむ市民から見て今回の事件に大きな怒りが寄せられています。辞職勧告決議もできなければ、大阪市会もまた厳しい世論の的になることでしょう。
 議員諸氏が勇気を奮って決議案に賛同されることを期待いたしまして賛成討論と致します。

(一時不再議となった日本共産党案)

天野一議員の議員辞職勧告決議(案)

 天野一議員は9月22日、刑法第96条の3第1項「競売等妨害」いわゆる「競売入札妨害」の容疑で逮捕、送検された。同時に議長室をはじめ大阪市会が強制捜査を受けるという由々しい事態となった。
 彼は、議員という半ば特権的な立場を悪用して、市営住宅建設に伴う電気設備工事の当局予定価格を密かに入手し、これを特定業者に漏らすことで不当利得を得ようとしたもので、政治家として恥じて余りある犯罪行為を犯したものである。
 昨年の中村事件に引き続いて、長年つちかってきた市民と大阪市会との信頼関係を大きく損ね、大阪市会の権威を失墜せしめた責任は、真に重大である。直ちに議員を辞職することが至当である。ところが、当議員は、大筋で容疑を認めているとされているものの、現在に至るまで自ら議員を辞職する意思を示していない。
 このような状況の中で、本市会がいつまでも手を拱いていることは許されるものではない。本市会が、自浄作用を発揮して、市民の信頼を回復するとの堅い決意を示すことが強く求められている。     

よって大阪市会は、天野一議員にたいし議員を辞職するよう勧告する。

以上、決議する。

        (採択された自民・公明・民主民友案)           

市政の信頼回復に関する決議(案)

 去る9月21日、天野市会議長、市職員及び落札業者が本市発注工事の競売入札妨害容疑で逮捕、翌日送検された。
 昨年の中村元議員に続いて今回の現職議長の逮捕は、誠に遺憾であり、市会議員及び入札契約制度、ひいては市政全体に対する市民の信頼が大きく揺らぐ極めて深刻な事態゛ある。
 現在、事件の真相究明は司直の手にゆだねられており、天野議員の議員としての政治的・道義的責任については、起訴に至れば当然議員を辞職すべきであり、今は本人の良識ある判断を強く期待するものであるが、市会においては、二度とこのようなことのないよう再発防止の措置を講じ、市民の市政に対する信頼回復を図らなければならない。
 よって本市会は、市政に対する信頼を回復するため、市民の負託を受けた市会議員として、自ら政治倫理を遵守することはもちろんのこと、信頼される議会改革に努めるとともに、本市入札契約制度の公正性・透明性を高めるためのより抜本的な改革に理事者と一体となって取り組む決意を内外に表明するものである。
 以上、決議する。