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江川繁市会議員が「三位一体改革」と

地方分権改革推進委員会の第三次勧告

(保育所の設置基準緩和など)に対し質疑

江川繁市会議員

2009年11月4日

 11月4日開催の大都市・税財政制度特別委員会で日本共産党の江川繁市会議員は、今回、指定都市市長会が国に提言した「財源の確保についての要望書」の総論的事項の地方財源総額の確保の項目に三位一体改革に対して一定の評価ができるとあるが、平成16年から18年度末の三位一体改革では、税源移譲が3兆円に対し国庫補助負担金は4.7兆円の減額。地方交付税も5.1兆円削減され、差し引きではマイナス6.8兆円とされた。この事について全国の自治体から、三位一体改革とは国による地方自治体への財源大幅削減が狙いでありだまされたと。国のワナだという強い批判の声が上がっている。市長はどのような評価・認識と引き出しているのかと質問。

 市長は、指定都市市長会として二度とワナにはまらんようにという共通見解は持っている。三位一体改革では公営住宅家賃対策等の補助金を税源移譲の対象としたこと、この事で地方の裁量権が拡大したなど、一定の意義はあったと考えている。一方で、児童扶養手当て給付費負担金など国庫補助負担率の引き下げや地方交付税が大幅削減され、地方財源の総額が大幅に縮減し、地方の実情に即した行財政運営を行う事が困難となった。今後、地方公共団体への税源移譲や地方財源拡充を強く求めて行きたいと答弁。

 江川議員は、市長の答弁は不十分で抽象的だと批判。政権交代が行われたのを転機とも捕らえ、再びワナにはまらないよう市民理解を得て取り組みを強化するよう強く求めました。次に、地方分権改革推進委員会の第3次勧告について質問。3次勧告において892項目の義務付け、ワク付けの見直しを国に提言した。この中で保育所、学校、医療、介護、障害者、住宅など、国民、住民の暮らしにとり必要なものも数多くあげられている。わが党は、国民に必要不可欠な福祉、教育、暮らしに関わるナショナルミニマム(最低基準)は取り払うべきではないと考える。それは憲法第25条等にある生存権、社会権の保障という観点からも重要だ。例えば、児童福祉法、第45条、児童福祉施設、保育所の設備、運営基準(面積や職員配置の数など)を廃止、または条例委任にすると勧告にあるが、設置基準などを廃止し、または地方まかせにすれば、サービス基準も不明確となり最悪なケースでは事故につながる。多くの市民や保育団体も承服出来ないという声を上げている。市は国民の命と安全を守る責任を果たせと国に働きかけよ。また、教育問題でも教育委員会の必置規制を見直し、その存置は地方で決めるとある。そもそも教育委員会制度とは、アジア太平洋戦争で国内外で多大の犠牲を与えた事実に照らし、その深刻な反省の中で教育の国家統制、国家の介入があったことを反省するとして1948年に教育委員会法が設置され、そして住民の意向を十分に反映させる目的で教育委員は直接公選制で行うことにされた。しかし国家権力は再び教育の国家統制、中央集権を進めるために1956年に地教行法に改定し、公選制を廃止、任命制に切り替えた。いま、公正、公平で住民のための教育委員会制度を強調するなら法改定をして、直接公選制を復活させることだ。また今の制度でも準公選制を行う事はできる。勧告でいう形骸化しているから存置を地方に任せるという、あってもなくてもどうでもよいものへの後退は大きな問題であると質しました。

 市長は、保育所最低基準に関しては、一定の保育の質の確保を踏まえながら、地域の実情に応じた行政を進めるという地域主権の考え方を積極的に推し進めたい。また、教育委員会制度は中立性、継続性に配慮しながら、地方自治体が地域の実情に応じて、判断、決定できるように構築されるべきで、国は第三次勧告の速やかな実施を行うべきと考えるとの答弁にとどまりました。

 江川議員は極めて不十分だと批判。子どもは社会の宝であって最重要課題である。教育委員会の公選制が必要だが現行でも準公選制の導入など、市民の意見を十分反映する場の充実を強く求めると主張しました。