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時代錯誤の「大阪都」構想

くらし向上に転換を

大都市・税財政制度特別委員会の山中智子市議質疑全文(要旨)

山中智子市会議員

2018年1月23日

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質問する山中市議=23日、大阪市議会

 大阪市議会大都市・税財政制度特別委員会で日本共産党の山中智子市議は23日、維新府・市政が「大阪都」構想のための2度目の住民投票を狙う「特別区」素案について質疑しました。

山中市議 住民投票を批判

 府と市が持つ広域機能を一元化して都市機能の強化を図るとする同案を、山中氏は「何か大阪市が基礎自治体としての分を超えて、広域行政を行ったから府との間で無駄な二重行政が生じ、大阪の成長・発展を阻害している」という間違った前提に立っていると批判。「政令市の大阪市は基礎自治体として施策を講じてきてその中には、産業振興、観光集客、防災等、素案で広域と分類される事案・事務も当然含まれ、分を超えて広域行政を行ってきたということではない」とのべ、「無理やり、広域機能を持っている、広域行政を行ってきたなどの偽りのレッテルを張って、大阪市を廃止し、財源、権限を府に取り上げることに狙いがある」と指摘しました。

 「都」構想で、府と大阪市以外の市町村との関係は変わらないのに、大阪市内はさまさまな財源・権限が府に持っていかれ、半人前の自治体・特別区になる一方、広域行政に一部基礎自治体の役割を合わせ持つ「大大阪府」が出現することになる。「地方分権の流れに逆行する、時代遅れ、時代錯誤の産物だ」と批判しました。

 山中氏が「特別区設置はコストがかかり過ぎ、市民にとっては無駄な支出。大型開発などをしなければ、大阪市の収支は黒字になり、大阪市存続の方が市民のための施策の充実が図られ得る」と指摘。「『広域機能』を一元化しても都市機能が強化されるものでも、大阪が成長するものでもない」とのべ、本当の成長は「市長がめざすインバウンド(訪日外国人)など外需頼みではなく、中小企業や働くみなさんのふところをあたためて、家計消費など内需を拡大する政策こそ必要だ」と強調。「再度の『住民投票』はやめて、ニアイズベター(住民から近い行政)のために270万市民の声が届く住民自治をめざし、大阪の力を市民のくらし向上のために使うよう政策の中身を切り替えるべきだ」と主張しました。

(2018年1月26日付しんぶん赤旗)


(山中智子議員の特別委員会での質疑を紹介します。見出しは議員団でつけたものです。なお録音テープ起こしをしたもので公式の議事録ではありません。)

 

産業振興・観光集客・防災は基礎自治体として当然の仕事‐広域などではない 

●山中智子議員

 日本共産党からも、特別区の素案について質疑をさせていただきます。

まず、素案でもうたわれています、そして都構想の言わば最大の眼目とされている、府と市の双方が持つ広域機能を一元化して、大阪の都市機能の強化を図ると、この問題について伺いたいと思います。

広域機能の一元化、今日もずいぶん議論がありました。もっともらしく聞こえるんですけれども、ちょっと考えたらね、これ前提がおかしいと、私は思います。何か大阪市が基礎自治体として分を超えて、広域行政なるものを行うものだから、あるいは行ってきたものだから、それで大阪府との間でムダな二重行政が生じて、それがひいては大阪の成長・発展を阻害することになっているという、これね、間違った前提に立ってのことだということを、私は申し上げたいと思います。

つまり、なまじ府を凌駕するような大阪市という政令市があることが間違いのもとだと。この際、大阪市を廃止して、大阪市の持つ財源・権限を府に取り上げてしまおうという目論見に他ならないと思うんですね。

具体的にお聞きをいたしますが、素案の総論の中で、成長戦略・産業振興・観光集客等々、これずらっと、広域と分類された事案あるいは事務、こういうものが並べられていますね。どうして成長戦略・産業振興・観光集客ってこれ広域なんでしょうか。そもそも広域行政とは、そもそも何なんでしょうか。

 

◆小林副首都推進局制度企画担当課長

 特別区(素案)でお示ししております広域機能とは、副首都・大阪にふさわしい大都市制度の実現に向け、大阪全体の発展を支える経済成長にかかる取り組み、広域交通網の整備、都市拠点の形成、防災・危機管理としております。

具体的には、ソフト面では、産業振興の政策、雇用の創出・人材育成の促進、観光集客の促進等でございまして、ハード面では、鉄道・高速道路網などの広域交通ネットワークの整備、ベイエリア、うめきたなどの大阪全体の発展を支える都市拠点の形成等としております。

 

●山中議員

 いろいろおっしゃって明瞭なお答えないんですが、私は広域行政って何ですかってお伺いをしました。広域機能は何ですかじゃなくて、広域行政って何ですか。

辞書引いてもね、広域とか広域行政っていうのは、エリアのことしか出てこないわけですよ。広域行政とは文字通り広域、基礎自治体、市町村の枠を超えて行われるものと、そういうことなんです。エリアの問題なんです。ですから、ご答弁にあったような事業っていうのは、あなたたちが勝手にね、これは広域と定義づけているだけのことだというふうに私は思います。

よく、これまでの大阪は、大阪市は市域内、大阪府は市域外という役割分担が固定化したと、まあ素案にも書かれているし、よくおっしゃるし、今日も市長おっしゃっていましたけども、このね、市は市域内、府は市域外、役割分担、私はこれは当然のことだと思いますね、エリアですから。そりゃ一部ね、地下鉄が市域外に延伸しているといったことはありますけれども、しかし政令市といえども基礎自治体ですから、やっぱりこの市域の中で、市域内で、市民やあるいは市内で働く人たち、そして中小企業の皆さんを対象として、各種の施策を講じてきたわけです。そしてこの中にはね、成長戦略、産業振興、観光集客あるいは防災等も当然ながら含まれるというわけですよ。なので大阪市がね、何か分を超えて広域行政を行ってきたことは、もうさらさらないということを申し上げたいわけです。

ただ、関西新空港ができたり、あるいは高速道路ができたりした時には、出資金等々の応分の負担を求められて、それに応えてきたと、こういうことはありますよ。でもそれは、それだけのことですよね。無理やりそういうことを、何か広域機能を持っているとか、広域行政を行ってきた、こういう偽りのレッテルを貼って、で、大阪市を廃止しようとする。結局、大阪市の権限・財源を取り上げることに狙いがあると言われても仕方がないと申し上げておきます。

それで、こういう、いわゆる広域だ何だって言われる中で、例えば大学とか高校を運営していない市町村っていうのはあるでしょうけれども、あなたたちが広域っだっていうレッテルを貼っている、私は“カッコつきの広域”って言わせていただきますね、“カッコつきの広域”、こういうレッテルを貼っているもの、例えば産業振興だとか、観光集客だとか、防災インフラ、こういうものを基礎自治体としてね、取り組んでないっていう、そんなところはあるんですか。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。当局におきまして確認いたしましたところ、産業振興、観光施策、防災インフラに関する事務を行っていない府内の中核市につきましては見当りませんでした。

なお、特別区素案での役割分担では、産業振興につきましては、成長分野の企業支援に関する事務は大阪府の事務とし、地域の企業支援や地域産業の振興などに関する事務については特別区の事務としております。また、観光施策につきましては、大阪全体の成長・集客に資する事務は大阪府の事務とし、地域に関係する観光振興事務は特別区の事務としております。

 

●山中議員

 最初のご答弁、中核市をお調べになった。中核市だけではないですよね。どんな小さな市町村だって、まあもちろん規模によって程度とか規模の差はあったとしても、産業振興、観光集客、防災インフラ、やってない自治体なんてないですよ。

私、出身、長野県ですけれども、まだ村いっぱいあります、ちっちゃい町もあります。それぞれみんな住民の皆さんと力を合わせて、成長のために、産業振興のために、観光集客のために、防災のためにって、みんなどの市町村だって、基礎自治体がこれやっているわけですよ。だってなにせ、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持する」こと、これが基礎自治体の仕事なわけですからね、やっていますよ。

ですから、産業振興も、観光集客も、広域行政でも何でもないのであって、基礎自治体として、当然ながら取り組むべき仕事だということを申し上げたいと思います。しかも何ですか、今ご答弁では、成長分野の企業支援は府、地域の企業支援、地域産業の振興は地域とか、そんなね、産業とか観光をね、こっちが府で、こっちが地域なんて、分けられるはずがないですよ。どうやって分けるんです。だからね、そういうね、なんか恣意的な、独断的なね、変な分け方、本当にやめていただきたいと申し上げたいと思います。

 

二重行政の解消と言いながら、大阪市の立派な施設を府に持っていきたいだけ 

●山中議員

 そうして、広域機能が一元化されていない、で、やれ二重行政だ、ムダな二重行政があると、こういうことをずうっとおっしゃって、で、これを解消すれば最大4,000億円もの効果が生まれるなんていう、こういう偽りのアナウンスが繰り広げられたというわけです。

あらためてお聞きをしますが、大阪府と大阪市の間で、どのような二重行政の弊害が生じているのか、具体的にお答えください。

 

◆橋本副首都推進局事業再編担当課長

 お答えします。二重行政につきましては、これまで、広域機能を有する大阪府と大阪市が、狭い府域の中で、大阪トータルの視点が十分でないまま、役割分担を明確にすることなく、府市それぞれが、それぞれの考え方に基づくサービス提供が行われ、大阪都市圏全体として最適になっていない状態と認識しております。

二重行政の解消により、行政の効率化だけではなく、都市機能の強化、住民サービスの向上に資すると考えており、現在、例えば、従来の公立大学の枠を超えたスケールで大阪の発展を牽引する新大学の実現をめざす市立大学・府立大学の統合や、持続可能な大阪府域全体の水道事業のあり方、産業支援機能・体制の強化に向けた産業支援団体のあり方など、引き続き、都市圏全体として最適化に向けて検討を進めているところでございます。

 

●山中議員

 「サービスが最適になっていない」「最適化に向けて」っていうご答弁ですけど、例えば、水道なんてね、これ二重行政ではないですよね。浄水施設が過剰なのは水需要予測を過大に見積もって、しかも70年代をピークにずうっと水需要が減っているにも関わらず、ダウンサイジングをしてこなかったことによるものです。仕事の中身は、府は府内の市町村への卸売りですし、市の水道は市域内で取水から製造から蛇口までお届けするっていうトータル給水。全然仕事の中身が違いますから、二重行政でも何でもないわけです。

だから、何が、どう最適じゃないっておっしゃるんですかって。大学なんですか、病院なんですか。どう最適じゃないんですか。具体的に答えていただきたいと申し上げているんです。もういっぺんご答弁ください。

 

◆橋本副首都推進局事業再編担当課長

 お答えします。繰り返しになりますが、二重行政につきましては、府と市がそれぞれ役割分担を明確にすることなく、それぞれが、それぞれの考え方に基づくサービス提供が行われ、都市圏全体として最適となっていない状態であったと認識しております。

 

●山中議員

 そうやってね、要するにあなた方は、経費を減らしたいだけじゃないですか。大学交付金もそうです。信用保証協会の銀行預託金もそうです。病院なんて一体どんな状態になってしまっているのか、住吉市民病院。本当に単なるリストラだけって、私は申し上げたいと思います。

その上、二重でも何でもない、だって府立動物園なんてないのに、二重でも何でもない動物園とか、大阪城天守閣、東洋陶磁美術館、自然史博物館、それに鶴見緑地、長居陸上競技場、もう言い出したらきりがありませんけど、この鶴見緑地とか長居陸上競技場なんかも、まあ類似の施設はありますけれども、これやっぱりね本当に色んな大阪市の英知が詰め込まれた唯一無二と言っても良いほど、特徴のある施設ですよ。

これらをね、府に移管してどうするんですか、何がしたいんですかって、申し上げたいわけです。もちろん大阪市民だけのものだとは申し上げませんけども、相当、市費も投入しているわけです。これらを府に移管したからといって、何か良いことがあるんですか。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。動物園や博物館・美術館につきましては、大阪全体の成長や都市魅力の創造に資する事務であることから、大阪府の事務としております。

また、鶴見緑地公園や長居公園などの大規模公園につきましては、都市魅力の一端を担うとともに、災害時における後方支援活動拠点としての機能を有しますことから、大阪全体の安全・安心、都市づくりの一体性を確保する観点から大阪府の事務としているところでございます。

 

●山中議員

 「動物園や博物館を府に移管したら、大阪全体の成長や都市魅力の創造に資する」って、具体的にどういうことなんですか。ガラッとリニューアルでもするっていうことなんでしょうかね。さっぱり分かりません。

あるいは、「鶴見緑地や長居公園を府に移管して、大阪全体の安全・安心の一体性を確保する」と、これも意味が分かりませんね。だって今だって鶴見緑地は、守口市の広域避難場所になっていますしね。そういうことはちゃんとやっているわけですよ。長居公園をじゃあどうこうしたいって言ったって、場所を移転させるわけにはいきませんのでね。

何が変わるのかということで、これももういっぺん、どういうことなんですか、お答えください。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。大阪全体の統一的な戦略のもと、都市魅力の向上をさせることにより、内外から人を呼び込む効果があるということ、また、新たな大都市制度のもとで、大阪全体の成長・集客がはかれるような施策を構築することができるということで、大阪府に移管ということで、お示しをしているところでございます。

 

●山中議員

 まあ本当に理由になりませんよね。つまり特別区に分割はできないし、まあ一部事務組合ということもあるでしょうけど、ただでさえ今の素案でも一部事務組合145もありますのでね、それもなかなかしんどいと。それと、それぞれ立派な施設ですから、府に持っていこうということでしかないんじゃないかというふうに言わざるを得ないと思います。

 

消防や下水道が府に移管されても都市機能は強化されない 

●山中議員

 それで、消防も府に移管することになっていますが、消防は周知のとおり、市町村の責務とされていますよね。消防組織法はその第6条で「市町村は、当該市町村における消防を十分に果たすべき責任を有する」とうたっています。戦後この消防組織法が制定される議論の中で、当時は警察権の範囲に属していたようですけども、この議論の中で、「住民の日常生活に関係の深い事務はできるだけ市町村が処理するという地方自治の原則に則り、市町村がその区域内の消防を十分に果たす責任を有し、市町村長が市町村の消防を管理し、市町村がその消防の費用を負担することとなった」、これ消防組織法です。また「市町村の消防の自主性を保障するため、市町村の消防は、消防庁長官又は都道府県知事の運営管理又は行政管理に服することはないこととされている」と。消防ってここまでやっぱり大事な、住民にとって身近な市町村事務ですよね。ですから当然ながら府内の市町村はそれぞれ消防組織を持って、広域的に連携はしているところはあるでしょうけど、それぞれがそれぞれの区域で、住民の安全・安心のために自主性を発揮して、大阪市だってその自主性を発揮してハイパーレスキューとかすごい高度なことをやっているわけです。

ですからこれが府に移ったところで、他の市町村はそれぞれやっているわけですから、これまで通り今の市域、いわゆる旧市域内のエリアの消防にあたるというだけですよね。これも何の意味もないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。消防に関する事務につきましては、副首都にふさわしい都市基盤を形成する中で、高度な消防機能を担いつつ、大規模災害に対応できる消防力を確保するという観点から、大阪府の事務としております。

 

●山中議員

 「大規模災害に対応できるように」って、でも別に消防力強化するとかいうわけじゃない、今のままただ府に移管されるということですよね。今でも近隣の消防との協力等はちゃんとやっているわけで、全く意味がありません。おっしゃるみたいに、これが府に移管されたからといって、都市機能が強化されるというものではないと思います。下水も全く同じことだと思います。

つまり、このようにね、かたや広域でも何でもないものを広域的とかいうレッテルを貼って、府に移管する。一方で、バリバリの市町村事務ですよね、この下水だって消防だって、市町村事務とされているものまで移して、とにかく目ぼしいものは何でも府に持っていくということで、まったく道理も何も無いと思います。もうただただ、大阪市を廃止する、ぶっつぶすということだと思います。

 

特別区は時代遅れの半人前の自治体に 

●山中議員

 それで、特別区は消防や下水など市町村事務さえ担えない半人前の自治体にされてしまうわけですが、一方で、府は今まで通り、まさに広域行政ですよね、市町村またいだ、そういう広域行政を行うと同時に、旧大阪市域内に関しては市町村事務まで行う、基礎自治体でもあるということになりますね。こんな自治体、いったい何て呼べばいいんでしょうか。

“カッコつき広域”と、基礎の役割分担、これを明確にすると、今日も何度も聞きました。「役割分担の明確化、役割分担の明確化」って聞きましたが、一方で、広域自治体なのに基礎自治の仕事もするって、こんなのね、役割分担の明確化どころか、逆に訳分からなくなると思うんですけども、この広域か基礎か分からない自治体、これ何て呼ぶんでしょうか。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 委員ご指摘の、自治体をどのように呼ぶかということは、お答え申しかねますが、特別区素案では、住民に身近な事務につきましては、基礎自治体優先の原則により、特別区が実施することを基本としながらも、大阪全体の成長、都市の発展、安全・安心に関わる事務につきましては、大阪府が実施するこという考え方により、役割分担の徹底を図っているところでございます。

消防や下水道に関する事務につきましては、大阪の安全・安心に関わる危機管理機能を強化する観点や、大都市圏の一体性を確保する観点から、大阪府の事務としております。

 

●山中議員

 詭弁だと思いますね。だって市町村事務なのに、何が大都市圏の一体性。結局、分けられないだけなんでしょって申し上げたいし、そんな役割分担論で片付けられるような問題ではないというふうに思いますね。

だってしつこいですけど、大阪府と他の市町村との関係は、何も変わらないわけです。今までと一緒。ところが、旧市域内は様々な権限とか財源を府に持っていかれて、他の市町村にも及ばないような半人前の自治体となる、そういう特別区ができる、そしてその特別区に対して大大阪府が君臨すると、そういう関係に変わるわけじゃないですか。他の市町村は自分たちで決められる下水や消防のことさえ、この旧市域内の住民は、自分たちの議会で相談してもらえないわけですよね。府議会っていうところで、この旧市域内の消防力とか消防のあり方が決められるという、こういうことになってしまう。

片や自治権が大きく侵害されると同時に、一方はね、広域行政に一部基礎自治体たる市の役割を併せ持つという、まさにこれはね、昭和18年、1943年ですけど、戦時下で東条内閣によってつくられた強力な権限・財源を持つ大東京が、この21世紀の大阪に出現にすると、そういうことでしかないと思います。地方分権の流れに逆行する、もう時代遅れ、時代錯誤の産物と言わざるを得ないと思います。

この点で、鈴木俊一元東京都知事は、早くからこの都区制度の改革の必要性を指摘しておられたようですけれど、その鈴木都知事が副知事でいらっしゃった1965年に、東京の抱える問題を困難にしている原因は「都の二重性格」だと、市の性格も併せ持つことが、これが東京の大きな問題だと、これを何とかしないといけないということを書いておられるそうです。まさにそういうものを、あなたたちは目指そうとしているわけですよ。その中で、この鈴木、当時の副知事は、「大阪の府と市の関係が望ましい」と、こういうふうにも書かれておられるようですけども、それもご紹介しときます。

またもう一つご紹介するのは、特別区設置法が成立しました時に、品川区長さんはこういうふうにおっしゃっているんですね、都政新報を見せていただくと。「東京都制は戦時中、本土決戦を想定して作られたから、普通の時代にフィットするかは疑問」と、こういうことも言われている、もう時代遅れだよっていう声がいっぱい上がっているってことを申し上げておきたいと思います。

 

今までの市民サービスは府議会や特別区の判断次第 

●山中議員

 ところで、話、元に戻りますが、府に文化的な施設や動物園等が移管されるわけですが、これらについては、市内在住の65歳以上の高齢の方は入園料や入館料が無料と、こういうふうになっています。これらがいったいどうなるのかっていうのは、これは私は決して小さな問題ではないと思うんです。移管された府の判断に任すしかないということになろうかと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

 

◆齊藤・副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。特別区素案では、事務の承継については、大阪市及び大阪府が蓄積してきた行政のノウハウ、高度できめ細かな住民サービスを低下させないよう、特別区及び大阪府は適正に事務を引き継ぐこととしており、大阪市が実施してきた特色ある住民サービスにつきましては、地域の状況や住民のニーズも踏まえながら、内容や水準を維持するよう努めることを方針としております。

なお、市民利用施設の利用料金などに係る事務をはじめ、大阪府へ移管する事務につきましては、特別区素案における事務の承継に係る方針、施設の状況、利用者のニーズなどを勘案しながら、大阪府知事及び府議会において判断されることになると考えております。

 

●山中議員

 あくまで結局、知事や府議会の権限ということで、府内の他の方たちとの整合性もあるので、どうなるか分からないということだと思います。さきほどからも議論がありました、敬老パスや幼児教育無償化などが、これが継続されるかどうかが、特別区の判断次第ということと同じですよね。今までの市民サービスは、府議会が決めるとか、特別区次第だとかって、そういうことだということです。

 

広域インフラの整備と広域機能の一元化は関係ない  

●山中議員

 それで、前回も府の事務ということに入っていたんでしょうが、今回の素案で特記した形になっているのが、うめきた2期事業です。あなた方の言う広域インフラの整備という範疇になるということなんでしょうが、うめきた2期事業の中の東海道線支線の地下化や地下駅の建設などは、もうすでに進められていますよね。粛々と進められています。さらにスピードアップしようというものでもないですよね。ただ単に、そのまんま府に引き継ぐだけ。進められている事業を、何にも変わらないまんまに引き継ぐだけです。

つまり、“カッコつきの広域機能”を一元化することによって、広域インフラの整備が促進されるということは、何度も何度もおっしゃっているけども、結局それは、まやかしにすぎないということの、これは証ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。うめきた2期工事は、大阪・関西の発展を牽引し、国際競争力強化に資するリーディングプロジェクトとして、現在、知事・市長、各部局間の連携が進み、広域機能を担っている大阪府と大阪市が協議しながら進めてきている事業でございます。

知事と市長がかわっても、経済成長やインフラ整備など都市機能の充実に向けた取組みを迅速・強力かつ効果的に展開し、大阪の成長を将来にわたって確固たるものとするためには、広域機能の一元化を制度的に担保する必要があるということを、特別区素案でお示ししているところでございます。

 

●山中議員

 府と協議することは一向に構わないと思いますよ。ただ、元々メイン事業であるJR東海道線支線の地下化などは、事業費540億円の内、JRが63億円、国の補助金が238億5千万円、これを得て、残り国と同額の238億5千万円を大阪市が負担して、大阪市の事業として、粛々と進めているわけです。それから、うめきた新駅の設置事業も、事業費150億円の内、JRが52億円、国が49億円、残り49億円が地方負担で、これは府と市で折半する方向で進められると、順調に推移しているわけですよね。なにも、一本化して今のものを制度化しなければ、どうかなってしまうっていう、そんな必然性ってさらさらない、その証拠だと思うんですよ。

皆さんがおっしゃる「広域機能を一元化しなければ広域インフラがすすまない」。私たち、こういう広域インフラ、全部全部やるべきものだと言っているんではありません。それは置いといて、「広域機能を一元化しなければ広域インフラがすすまない」っていうのはね、単なる本当にまやかしだっていうことの、うめきたなんかは、もういい例だということを申し上げたいと思います。

この問題については、今日もずいぶん議論ありましたし、私自身は第5回の法定協議会でも議論したので、多く申し上げるつもりはありませんと言いながら、多く申し上げましたけども。

ただね、看過できないのは、今度の素案の総論の中で、広域機能の一元化による効果として、なにわ筋線とか、リニア新幹線の前倒し、淀川左岸線延伸部、北陸新幹線の敦賀以西、こういうものが例示されていることです。まあよう東京オリンピックって書かなかったこっちゃなあと思うぐらい、何でこんなものが例示されるのか、なぜこんなことが言えるのか。我田引水と言いますか、もう言うに事欠いてといった、そういった類のものじゃないかと言いたいわけです。

申し上げるまでもなく、この種の広域インフラの整備には、多額の国費が投入されるわけで、常にネックとなるのは、膨大な借金を抱える国家財政にあって、果たしてこれを出せるのか。あるいは国民的な立場で、国民的な視野で、出すに足る事業の必要性・公共性・公益性があるのかと、こういうことであって、地方の府と市の機能を一元化したからといって出来るものではないと、これはね、はっきりしているんじゃありませんか。いかがですか。

 

◆齊藤副首都推進局事務事業担当課長

 お答えいたします。広域交通ネットワークの整備につきましては、現在、知事・市長、各部局間の連携が進み、広域機能を担っている大阪府と大阪市が協議をしながら、国と連携して事業推進に関与しているところでございます。

副首都・大阪として持続的な発展を実現するためには、広域交通ネットワークの整備を広域に一元化することで、圏域全体を見据えた計画・調整・整備の権限が一元化され、広域的な視点から強力な整備推進が可能になると考えております。

 

●山中議員

 まったく答弁になっていないと思いますね。だって例示されている事業っていうのは、すべからく国直轄事業であったり、国の補助採択により第三セクターを主体とする事業であったりということで、事業の枠組み、あり方、スキーム、財源のスキーム、こういうものは国が決定して、地方は負担を求められるということですよね。もちろん同時に、地方負担を求められるのは、鉄道であれ、高速道路であれ、その地域を通るからであって、何らかの便益を受けるからですよね。

で、言われているような広域インフラの整備と、“カッコつき広域機能”の一元化とは、関係ありませんね。第一、府県内に政令市があるところは、どこもスムーズにいかないということになってしまって、これまた変な話です。

それに本当に府民、市民が望むことであれば、府と市が、まあ知事と市長が分かれていようが、これは協力、連携して、国等への要望活動をしていくことになると。これも当然そういうことだと思います。

しかし例えばここでね、カジノの誘致ということになると、府民の間では、現実にいま反対が多数です。今は知事・市長はカジノ推進派ではありますけども、将来、この府民の声に即して、2人の内、どちらか1人が反対に回るという場合だって、ないとは限りませんし、それは1人の指揮官になった場合でも、その指揮官が反対に回る場合だってあり得るわけです。

同時に、議会の意思というのも当然ながら関わってくることですよね。たとえ1人の指揮官であっても、議会の多数が異を唱える場合は、その実行は困難にならざるを得ないわけで、結局はこれは、統治機構うんぬん、こういう問題ではなくて、政策の中身、政策選択の問題だということになるんじゃあないでしょうか。いかがですか。

 

◆小林副首都推進局制度企画担当課長

 現在は、知事と市長の方針が一致することで連携を強化し、都市機能の充実に向けた取り組みが推進されておりますが、都市インフラの整備など持続的な発展を実現するためには、中長期にわたる継続的な連携が必要でありまして、その間、必ずしも知事と市長の方針が常に一致するものではありません。

このため、知事と市長がかわっても、強力に都市機能の強化に取り組め、二重行政が制度的に解消され、広域機能の強化が担保できる仕組みを整える必要があると考えております。

 

●山中議員

 あのね、申し上げているのは、統治機構を変えても、出来ることと出来ないこともあるでしょっていうことなんですよね。まあ独裁者になるっていうんだったら別ですけれども、民主主義ですから、結局は、住民多数の賛同を得られないことは出来ないし、やっちゃいけないということだと思います。まあ気に食わなければ次の選挙で落とせばいいという人もいるかもしれませんけど、それは暴論というものだと思います。

ともかく、広域インフラ等で言えば、90年代、どれだけムダな大型開発が全国津々浦々で繰り返されたかを思い起こす必要がありますし、同時に、仮に必要な事業であっても、限られた財源の中で、優先順位をつけるということは当然のことだと申し上げておきたいと思います。

で、この問題では、先ほどからも議論あります、経済効果算出の業務委託ですね、こんなものに市民の税金を使うなどということは、もってのほかだということも、私もこの際、申し上げておきたいと思います。

 

特別区は赤字続きで市民サービスに大ナタを振るわざるを得なくなる 

●山中議員

 それで、今回の事務分担で、万博やIRの誘致が府の所管ということにされていますね。その上、今後、なにわ筋線の地方負担も出てくるのではないかと思いますが、これらは、2017年2月版の粗い収支概算には、これは不確定要素ということで、織り込まれていないということでよろしいでしょうか。

 

◆楠見副首都推進局財政調整担当課長

 お答えいたします。市の「粗い試算」では、策定時点で見込むことができる条件を前提として試算しているところでございます。

ご指摘の、万博、IR、なにわ筋線の地元負担などにつきましては、策定時点で具体的な数値が把握できていなかったため、粗い試算上は数値として織り込んでいないと認識しております。

 

●山中議員

 そういうことですが、素案によれば、府と特別区の財政調整は、2013年度から2015年度の3年間の支出の平均により、財政調整財源の79.2%が特別区、20.8%が府に、それぞれ配分されることになっているわけですが、これ実際に万博費用等が発生することになれば、たちまち、この配分割合を府の方に手厚く、見直すことになるのではないかと思いますけども、その点はいかがでしょうか。

 

◆楠見副首都推進局財政調整担当課長

 お答えいたします。特別区素案では、広域と基礎の役割分担を徹底することとし、広域機能を大阪府へ一元化することをお示ししているところでございます。広域を担う大阪府と基礎を担う特別区においては、財政調整により配分される財源を活用して、それぞれのマネジメントのもとに役割を果たしていくことが基本となります。

なお、特別区素案でお示ししております財政調整制度の設計においては、財政調整財源の配分割合について、特別区設置の日までの地方財政制度の動向などを踏まえて、必要に応じて知事と市長で調整すること、特別区設置後においては、大阪府・特別区協議会で配分割合を毎年度検証し、必要に応じて協議することとしております。

今後、事業が新たに具体化することなどによりまして必要が生じた場合は、こうした枠組みの中で調整・協議されるものと考えております。

 

●山中議員

 おっしゃったように、毎年検証するということですから、やっぱり立場の強い府に有利に変えられるのではないかということを懸念いたします。

そうなれば、やっぱり特別区はね、もう即アウトということになると言ってもよいのではないかと思いますね。なんせ、職員増や、システム、庁舎などの設置コスト、運営コストが、重くのしかかってくるわけですからね。

特に6区案では、財政シミュレーションを見せていただいても、ずっと赤字続きで、2027年度、平成39年度で、財政調整基金はすべて使い切るということになっているわけです。あとは、未利用地の処分に頼らざるを得なくなるわけですけども、まあそれとて、何百億ありますって出ているけど、だんだんもう売りにくい土地が残っているということは、もう周知の通りだと思いますし、そうじゃない土地にしたって、例えば保育所建設など、行政需要が出てくれば、これやっぱり行政需要が優先ですからね、たちまち売却リストから外さなければならなくなるということで、もう特別区はね、市民サービスに大なたを振るわざるを得なくなるのではないかと思いますが、どうお考えですか。

 

◆楠見副首都推進局財政調整担当課長

 お答えいたします。現在の大阪市においても、大規模事業の実施により、多額の財源を必要とする場合につきましては、新たな歳入の確保や経費の削減、施策の選択と集中などといった取り組みを行いまして、市民サービスを低下させないよう工夫しながら実施しているところでございます。

特別区設置後につきましても同様に、広域を担う大阪府と基礎を担う特別区において、財政調整により配分される財源を活用して、それぞれのマネジメントのもとに役割を果たしていくことが基本と考えております。

なお、先ほども申し上げましたとおり、今後、想定を超える事業費の大幅な増や事業が新たに具体化することなどによりまして必要が生じた場合は、財政調整制度の枠組みの中で、大阪府・特別区協議会において、調整・協議されるものと考えております。

 

●山中議員

 そういうご答弁ですけども、シミュレーションでもはっきりね、特別区はただでさえ赤字続きで、5〜6年で基金もなくなってしまうわけですよね。その上、財政調整の配分割合まで変えられたら、どうしようもないではないかということを申し上げているわけです。「区長マネジメントで」とか言われましたが、無い袖は振れないということです。まあとにかく、特別区の設置はコストがかかりすぎる、市民にとっては全くムダな支出だということを申し上げときたいと思います。

 

大阪市存続の方が市民施策の拡充ができる 

●山中議員

 いま市長お越しいただきましたけれども、大阪市の財政はね、これ市長は違うっておっしゃったりするんだけど、どう考えても、公債費などの支出が徐々に低減していって、少し明るさがね、すごい楽観できるなんて言ってませんよ、明るい兆しが見え始めていると言っても良いというふうに思います。

2017年2月版の粗い収支概算に盛り込まれていない、しかし今回の素案なんかで出てきている地下鉄民営化などのプラス要因を加味して、同じく織り込まれていない大型開発、いわゆるビックプロジェクト、これをしないものとすれば、2021年度から2030年度までの10年間でみても、これ大阪市の収支不足額累計額が598億円というそういう計算から、こういうふうに見方を変えたら、逆に586億円の黒字ということになるわけで、大阪市存続の方が、よっぽど市民のための施策の拡充がはかられうるというふうに思うんです。私はその道を選ぶべきだと思うんですが、市長いかがでしょうか。

 

◆吉村市長

 大阪市の財政につきましては、まだまだ厳しい状況にはあると思いますが、ただこれまでの改革の効果等々もあってですね、それから大阪の経済の成長も徐々に良くなっていっているということもありまして、少し明るい兆しが見えているというのは、そうなんじゃないかなあというふうに思っています。ただ、財政については常に厳しい規律を持っていかなきゃいかんというのが、税を預かる市長の立場であります。そういったこともあってですね、今回も、まあ今後ですけれども、職員の給与カットをずっと続けてきたことも若手についてはどうするかということも考えてですね、この組織についてしっかりと住民サービスが充実するような形ですすめていきたい、これは市長としてしっかりやっていきたいと思います。

その中で今回の、まあ委員とここは考え方が違うと思うんですが、IRや万博、あるいはなにわ筋線という、これは大型のムダな投資というふうにおっしゃいますけれども、大阪の成長なくして税収は増えることもない、税収が増えることもなければですね、住民サービスが増えることもないわけです。やはり税収増を目指す、大阪の成長を目指すというのは、やっていかなきゃいけない。で、これは大阪、いま知事とともにですね、大阪が一体となって成長を目指していこうということで様々な施策や投資をしているところであります。それを受けてですね、民間も、そういったことがあれば、その先を見越して投資するというのも増えてきているところでありまして、そういった施策、広域についての施策というのは常にしていかなきゃいけないし、なにわ筋線、IR、万博については、すすめていかなきゃいけない。それによって、むしろそちらの方が、市民サービスの拡充につながってくるというふうに思っています。

 

都構想は2年前の住民投票で否決され決着済み 

●山中議員

 私はね、今の質疑ではね、万博、IRがムダな出資だとか、そんなことを言っているんじゃないんです。私が一貫して今回申し上げているのは、その是非は、その政策選択はどれがいいのかっていうのは置いておいて、“カッコつきの広域機能”を一元化してもね、カッコつきって市長は分かりませんね、広域機能の一元化と、万博だとかIRだとかいうものとの因果関係はないでしょって、大阪の都市機能が広域機能を一元化しても強化されるものではないでしょっていうことを、これまでも申し上げてきたし、今日も申し上げました。

同時に、統治機構を変えたからと言って大阪が成長するものではないということも、また明瞭だと思います。

中身の点で言いますとね、私は、市長などが目指していらっしゃる、そういうインバウンド頼みの、あるいは外需頼みでは、本当の成長は図られないと考えています。中小企業や、働く皆さんの懐をあたためて、家計消費など、内需を拡大するような政策こそ必要だと申し上げておきたいと思います。

でも市長は、広域機能を一元化してという、ずっとそういう一点張りではあるんですけれども、しかし市民の皆さんどうかと言えば、やっぱり最近の世論調査でも、もう大阪市廃止反対が、いわゆる都構想反対が、賛成を10ポイントも上回っているという状況です。一昨々年の5月17日の住民投票でもう終わったと、市民の皆さんの間ではね、もうこれは決着済みということではないかと思いますけれども、どうお考えでしょうか。

 

◆吉村市長

 さっきの、昨年の11月の読売新聞の世論調査において、委員の指摘のような調査になっています。これは、マスコミの世論調査自体は、一つの参考としては有効な指標だと思いますが、これはもちろん調査の主体であったり、調査方法、サンプル数、様々な、結果が変わる要素がありますので、あくまで参考にはなると思いますが、政策の意思決定を結論付けるものではないと思っています。まあこの反対のほうがポイントが上回っているということですから、これは都構想の理解について活動するという努力が僕も不足しているのかなあというふうに思いますので、この10%を盛り返すように、政治家として活動を強めていきたいと思います。

 

市民の暮らし向上のために政策の中身を切り替えていくべき 

●山中議員

 結局ね、そうおっしゃるけど、市民はもう終わったと思っているんですよ。

この間のずうっと議論を聞いてても、前回おっしゃったことと、結局、同じことしか、知事・市長、あるいはこの素案なんかでも、何て言うのかな、結局、今回の素案なんていうのも、前回のパッケージ案とほとんど一緒。しかも、結局、前の5区よりも財政が厳しくなる6区か、あるいは前回より1区当たりの人口が多い4区かと、こういうことで、もうどうなにもならない、もういっぺん市民の皆さんに住民投票をお願いするなんて、そういう代物ではないということも、議論の中でだいぶ、はっきりしてきたと思います。

先ほど職員がね、副首都推進局の職員の皆さんが、年末ぐらいからほとんど休んでいないとか、この週に1回の大都市・税財政、法定協、このパターンの中で、本当に質問に追われて大変だって、そんな質疑もありましたけど、職員の皆さんだけじゃないですよね。市民の皆さんだってね、いま毎日大変ですよ。「景気良くなった、良くなった」って、おっしゃるけれども、実際、生活は本当に大変。暮らしの心配をしながら、子育て、介護、看護、ご商売。もうね、もういっぺんこの難しい制度いじり、総合区です、特別区ですっていうのを、こういうのを理解して、どっちがいいのか突き詰めて考えていくなんていうことをね、もういっぺん市民の皆さんに強いるなんていうことは、それは無責任だと、やっちゃいけないことだというふうに思います。

実際、多くの皆さんが、やっぱりね、「え、またやるの!」って、「あれ何だったの!」って、「冗談じゃない!」って、いっぱい言っておられますよ。

やっぱりこんな不毛なこと、再度の住民投票への目論見、こういうものは捨てて、とにかくニアイズベターのために270万人の声が届く日本一の住民自治を目指しながら、これから明るい兆しが見えている大阪の力を市民の暮らし向上のために政策の中身を切り替えていくという、それがやっぱり大阪市の取るべき道だということを申し上げて、質疑終わらせていただきます。