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第9回法定協

“都構想 絵に描いた餅”

共産・山中市議が見解表明

山中智子市会議員

2013年11月15日

 第9回大阪府・大阪市特別区設置協議会(法定協)が15日開かれ、橋下・維新の会が狙う「大阪都」構想に向け大阪市を廃止・分割して特別区を設置する制度設計案について、各党がこれまでの審議を踏まえて見解と態度を表明しました(山中議員提出資料)

維新の会の偽り鋭く突く

生まれる財源わずか9億円

 日本共産党の山中智子大阪市議は、橋下徹大阪市長らが「大阪都」構想で「二重行政」をなくし4千億円の財源を生み出すとしていたが、実際には府と大阪市の事業の再編・統合で生まれるのは9億4千万円に過ぎず、「看板に偽りあり」と批判しました。

 特別区に分割すれば、区の間で普通財産の格差や市営住宅の偏在が生まれることを示し、「大阪市として一つの自治体でやってきたものを、5から7に分割するのは無理」と強調。国民健康保険や介護保険を一部事務組合が担うことになれば、「何のために特別区をつくるのかということになる」と矛盾を指摘しました。

特別区庁舎に2千億円必要

 橋下市長らが言う「中核市並みの特別区」にするには自前の庁舎建設が不可欠で、特別区設置の初期コストは2千億円にも膨れ上がるとし、「『都』構想さえなければ必要のないお金。こんな無駄遣いは市民の理解を得られない」としました。

府民の懐直接温める政治を

 山中議員は、「これまでも『都市間競争で世界に打ち勝つ成長戦略』と言ってきたが、それが『都』構想でうまくいく根拠も説得力もない。府民の懐を直接温める内需拡大こそ必要であり、統治機構ではなく政治の中身が問題。『都』構想は市民にとってデメリットだらけ、ほとんど実現不可能な、絵に描いた餅だ」と力説しました。

相次ぐ批判に反論できず 維新

法定協会長 たまらずすり替えも

 自民党府議は「知事・市長が公言していた4千億円の効果はない」「法定協で4つの区割り案を比較議論する前に、市長が『5区案がいい』と発言するのは法定協を軽視した発言」などと反発しました。

 民主系市議も「都」構想反対の立場から、「財政調整に頼る不完全な基礎自治体(特別区)をつくることになる。厳しい財政状態の中で、サービスの低下に歯止めがかからないのではないか」と指摘しました。

 3会派から制度設計案への批判が続出したのに対し、法定協会長の浅田均府議会議長(維新の会)は、「(法定協は)特別区設置のために協定書をまとめる場。『特別区不要』とかの議論はもう終わっている」と話をすり替えました。

財界との一致言う維新議員

 維新の会府議は、制度設計案の問題点について具体的な反論はなし。逆に関西財界のシンクタンク「関西社会経済研究所(現アジア太平洋研究所)」が調査報告書(2002年)で府市の「ニ重行政解消」を求めたことを持ち出し、「わが会派の問題意識と深く一致している」と主張しました。

 公明党府議は「都」構想の是非には触れず、特別区設置後の財政シミュレーションなどを出すようあらためて要求しました。

(2013年11月24日付大阪民主新報)