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「ワースト1」の汚名返上

市の姿勢を変えた

待機児問題 議員リポート

山中智子市会議員

2011年1月19日

 「人を蹴落としてでも自分の子を入れてほしいと言っているようで辛い」

 城東保育運動連絡会(以下、城保連)の入所交渉である母親は声を震わせました。市内でも有数の待機児を抱える城東区。城保連のビラを見た100人程の保護者全員が、慣れないマイクを握って切実な事情を訴える区役所交渉を毎年続けてきました。

 年々、入所もれの通知を受け取る人が増え、街には「1分10円」などという看板のベビーホテルが続々と出現。入所できずにそうした施設を利用した保護者から「子どもを預けに行っても、受付から中に入れてくれない。設備や保育の様子を垣間見ることさえできない」という声が寄せられるなか、城保連は保育所づくりに取り組もうと、土地さがしを開始。他の区でも同様の運動が起き、市議会にも、保育所増設を求める陳情が多数寄せられました。

 日本共産党議員団は陳情の採択を求めるとともに、代表質問などでも必ず「認可保育所建設による待機児解消」を前面に押し出してきました。他党は物も言わずに継続審査=ほったらかしにする態度をとり続けましたが、高まる運動に、市は未利用の市有地を活用した民間保育所の新設という方針を発表。しかし、具体的な話になると、難癖をつけ拒むばかりで、突き詰めると「土地を売ればお金が入る。保育所にしたら、お金にならないだけでなく、今後、運営の補助金を出し続けなければならない」という信じられない発言まで飛び出す有り様でした。

07年冬に「待機児完全解消」を公約の柱にした平松市長が誕生し、未利用地の活用が進みはじめました。城東区では、待機児が多い地域にある市の紙パック回収センターについて、私が「週1度だけの利用で必要性は低い。手放して保育所に」と委員会で取り上げるとともに、地元選出議員に働きかけ全員連名の要望書を提出し実現するなど、市有地3園をふくむ4園が新設。市全体では33の本園建設などで、08、09年度に3493人分の枠を増やし、ワースト1の汚名を返上しました。

とはいえ、今年度も205人が待機児となっています。平松市長は「待機児ゼロは無理」と居直り、就任後設置した待機児担当課を廃止し、待機児対策に終止符を打とうとしています。また、保護者の不安を無視し、市立保育所を次々民間に委託するなど、課題は山積しています。より良い保育を願う保護者や、大阪の粘り強い保育運動としっかり手を結び、安心できる保育へひきつづきがんばります。