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大気汚染や公害ぜんそくの問題について質疑

環境対策特別委員会で尾上議員

尾上やすお市会議員

2009年6月23日

 日本共産党の尾上やすお大阪市会議員は、6月23日に開かれた環境対策特別委員会で大気汚染や公害ぜんそくの問題について質疑しました。

  大阪の大気汚染については、日経新聞6月6日付け夕刊の一面トップで「大気環境基準、大阪府全域でクリア」と大阪府が環境基準を達成したと報道。また、今回大阪市がまとめた「現況と対策」でも2008年度は、光化学オキシダント(Ox)以外ではすべて環境基準を達成したと報告されています。

 尾上議員に現在の認識を問われた環境局は、工場等や自動車環境の対策に積極的に取組み、2008年度、市内の全測定局で二酸化窒素(NO2)、浮遊粒子状物質(SPM)が環境基準に適合した。平均濃度も減少傾向にあり「大阪市域の大気は改善してきていると考えている」と答えました。

 尾上議員は、大気環境が改善してきていることは「一歩前進」と述べたうえで、二酸化窒素(NO2)の環境基準を1978年、「大型開発をすすめる財界や政府が公害患者の反対を押し切り上限値を0.02ppmから0.06ppmの3倍に緩和したもののなかなか環境基準を達成できず、2000年、「自動車NOx・PM法」の施行でようやく低下傾向になったものだ」と大気汚染の改善に環境基準の大幅な緩和があったと指摘しました。

 さらに、尾上議員は、「西成区では国道43号線から新なにわ筋、堺へ向かう沿道など現在も大気環境は大変悪い」と環境基準をクリアしても問題の解決ではないと厳しく指摘しました。

  次に、尾上議員は、浮遊粒子状物質(SPM)について「1973年に設定された環境基準のままで評価されていることが問われている」と指摘。微小粒子状物質PM2.5(直径が2.5μm以下の超微粒子)はぜんそくや気管支炎を引き起こし人体への影響が大きいなど危険性があきらかで「早急に環境基準を設定する必要がある」と強調しました。

 また、尾上議員は、観測以来ずっと不適合の光化学オキシダント(Ox)について「達成できないとはじめからあきらめているのか」と質しました。

 環境局は、光化学オキシダント(Ox)は1年の内1時間でも0.06ppmを超えれば不適合になり、平成19年度に環境基準を達成したのは、全国1173局中北海道と岩手県の2局だけであったと答弁。国に対して対策を要望していきたいと答えるに止めました。

  尾上議員は、「あきらめず関心をもち対策を」と要望。「大気汚染は公害の問題であり社会問題。24時間体制で観測し、早期発見で未然に防ぐ対策が一番の対策」と指摘しました。

 続いて、尾上議員は公害ぜんそくについて当局に質しました。

 「公害健康被害者補償法」について問われた環境局は、大気汚染などの影響による健康被害の補償等を行い被害者の公平な保護を行う等の目的で1973年制定された法律と説明。しかし、1988年に改正されて以降は新規の患者認定は行われず現在大阪市の被認定者数は7,820人であると答えました。

  尾上議員は、「大阪市は大気汚染とぜんそくの因果関係が不明として、国が公害認定を打ち切ると同時に打ち切った」と冷たい施策を批判するとともに、公害認定が行われなくなってからも公害患者は増え続け、多くの自治体が独自に施策をすすめてきたと紹介。一昨年には川崎市、昨年には東京都で未認定のぜんそく患者に対して全年齢を対象に新たに医療費助成を行い、大阪府下でも吹田市が全年齢を対象にしていると指摘しました。

 尾上議員は、大阪市は医療費助成の対象は15才未満。学校保健統計によると大阪市のぜんそく被患率は1988年との比較で幼稚園(5才)はほぼ横ばい、小学生は1.83倍、中学生は2.47倍、高校生は3.83倍にも増えており、吹田市の医療費助成数や年齢構成などから推測し、大阪市では約1万5千人が未救済の可能性にあると指摘しました。 尾上議員は、「財政が厳しい中でも優先して予算をつけ、本市独自の全年齢を対象にしたぜんそく患者への医療費助成実施を」と強く要望しました。