サミット諸国の国旗・国歌について(「しんぶん赤旗」の各国特派員の調査による)
  法的根拠 教育現場での扱い
国旗 国歌
米国
1942年、国旗にかんする規則が下院で採択され合衆国法典第4編第1章「旗」第1条「星条旗」 1931年、下院で法制化。合衆国法典第36編第10章「愛国的慣習」第170条「国歌」 「連邦政府として公立学校での国旗掲揚、国歌斉唱などについていっさい関与していない」(連邦教育省)

合衆国法典第36編第10章第174条「掲示の時と機会」の中に「授業の期間、学校に掲揚すべし」とあるが、罰則などの強制力はない。

ウェストバージニア州教育委員会が罰則をもって児童、生徒に国旗への敬礼を強制したことにたいし、連邦最高裁で違憲判決(1943年バーネット事件判決)。(注)

イギリス
国旗、国歌にかんする成文法はない 「国旗、国歌にかんする法律がないから、政府には学校行事で国歌斉唱、国旗掲揚を指導する権限はない。一般に入学式や卒業式で国旗掲揚、国歌斉唱をおこなわないのではないか。国旗、国歌の由来を多くの学校で教えているが、教員には教える義務はない」(教育.雇用省)
カナダ
1964年国会で議決し、翌年に布告 1980年国会で議決し、布告 「教育についての権限が州にあるため、連邦政府には学校での国旗、国歌の扱いを指導する権限がない」(駐日カナダ大使館)
ドイツ
1949年制定の基本法(憲法)第22条 西独として1952年、統一ドイツとして91年、大統領・首相交換書簡で歌詞・曲を規定 「学校行事で国旗掲揚、国歌斉唱の義務はない。拒否して罰せられることはない」(連邦内務省)
フランス
国旗、国歌とも憲法第2条 「国旗は学校を含むあらゆる公的施設で通常1本だけ掲げるのが慣例。祝日には内務省がそのつど知事を通じて三本掲げるよう指導する」(内務省)

「学校行事でも音楽の授業でも国歌を歌うことを強制することはない。音楽教師の自由意思に任されている。通達もないし義務、罰則もない」(教育省)

イタリア
1947年制定の憲法第12条 1946年内閣通達で定め、翌年、制憲議会で申し合わせ 1986年の首相令で学年の初日と最終日に学校の外に掲げることが定められた。罰則規定はない。入学式、卒業式そのものがないので、式での扱いは問題になりようがない。
(注)バーネット事件
 1942年、米国ウェストバージニア州の教育委員会が、公立学校で生徒に国旗敬礼行事への参加を義務づける実施規則を決めた。違反者には退学処分を含む罰が加えられるというものであった。
 これにたいしバーネット家の子どもたちが宗教上の理由から敬礼行事に参加せず、罰を受けた。同家は個人の自由を侵すものとして提訴。連邦最高裁は43年、言論の自由を保障した合衆国憲法に、教育委員会の規則が違反していると判決を下した。
 判決は、結論部分で次のようにのべている。
 「もし憲法の星座に恒星があるとすれば、地位の高低を問わずいかなる公務員も政治、民族主義、宗教その他の意見においてなにが正統であるかを規定したり、市民にみずからの信条を言葉や行動で告白するよう強制することはできないということである。
 星条旗に敬礼や忠誠を強制するという地方当局の行為は、憲法で定められた地方当局の権限の限度を超えており、あらゆる公的な統制から留保されるべき合衆国憲法修正第一条の目的である知性と精神の領域を侵している」

 

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