意見書の経過

5月31日の本会議関係の意見書

 31日の閉会本会議では、「介護保険制度に関するする意見書」「最低賃金制に関す意見書」が全会一致で採択されました。いずれも日本共産党議員団が提案し、与党がそれに対する対案を出しました。党議員団は採択に向けて与党案に軸修正などを加え、共同提案で全会一致の採択されました。

 
(日本共産党原案)

         介護保険制度の改善を求める意見書(案)

 介護保険制度発足から一年が経過し、その問題点もますます明瞭になってきている。
 それはまず第1に、特別養護老人ホームの入所希望者に比し、施設建設が余りにも立ち遅れていることである。本市特養待機者は、極少なく見積もっても、1300人にも及んでおり、いったいいつ入所できるのか、皆目見当がつかない程である。施設の大幅な増設が求められている。
 又、第2には、保険料の負担にたえられない高齢者が続出していることである。昨年10月から始まった1号被保険者からの保険料徴収に「これでは生活できない」などの悲痛な高齢者の声が、本市窓口に寄せられたところであるが、その上、本年10月から10割の保険料が徴収されるようになれば、それでなくとも苦しい高齢者の生活を直撃することは明らかである。
 こうした中で、本市においても、第1、第2段階の低所得者に対して、「生活困窮」を理由とした保険料減額を実施したところであるが、減額対象者が極めて限定されているために、多くの高齢者は全く救済されないままなのである。
 問題点の第3は、利用料が高いために、必要な介護サービスを受けられない高齢者が増大していることである。本市の行った調査でも、利用者の中の最も多いのは、制度発足前と比べ、負担が大きくなったということであり、多くの高齢者が自分の財布と相談の上、介護サービスの量を決めざるをえないのである。 そのためにサービス利用量は当初の大阪市の見込みから比べても72.8%の水準にとどまっている。利用料を引き下げて、高齢者が安心して、必要な介護サービスを受けられるようにすることが、強く求められているのである。
 よって、国におかれては、以下の3点について、緊急に措置されるよう強く要望する。
 1、 待機者にみあう特別養護老人ホームの増設をはかること。
 2、 保険料は、住民税非課税世帯まで無料にすることをめざしつつ、当面、生活保護基準の1.3倍までの所得者に対して、減額を実施すること。
 3、 利用料は、当面、すべての居宅サービスを、新規も含めて3%に軽減すること。 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   
(共同提案で採択)

介護保険制度に関する意見書

   我が国の人口の高齢化は急速に進行しており、介護や介助を必要とする高齢者が増え続け、高齢者の介護や介助問題に対する国民の関心も非常に高まっている。
 このような中、国民生活や地方行財政に極めて重大な影響を及ぼす介護保険制度が、平成12年4月から実施され、介護サービスの質・量等にかかわって様々な意見も出されてきており、特に本年10月からは65歳以上の高齢者からの保険料が本来の額で徴収されることとなるため、改めてよりきめ細やかな対応が求められているところである。
 よって国におかれては、介護保険制度について、より一層広く国民の理解と協力が得られるよう広報活動にも努められるとともに、地方自治体や要介護者及び家族に過重な負担を生じさせることなく、国の責任において、将来にわたって長期的に安定した運営となるよう努められたい。特に、施設整備や人材確保などサービス基盤の早急な整備を図るための国庫補助制度の拡充と、低所得者等の保険料や利用者負担の減免については、高齢者の所得状況等の実態を踏まえ、介護サービスの利用が制限されることのないよう特段の措置を講じられるとともに、事務システムの構築や事務に要する人員の確保に必要な財政措置を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   

(日本共産党原案)   

大阪府最低賃金の改善を求める意見書(案)

 今、深刻な消費不況が長期に継続するもとで、国民の生活不安と雇用不安、将来への不安が広がっている。
 とりわけ、労働者の賃金の切り下げ、不安定雇用の増加など、労働環境、労働条件の悪化は見過ごすことのできないものである。
 しかるに、これら、パート・アルバイトや派遣労働者など低賃金労働者の大多数は労働組合に組織されていないのである。こういう中で、企業規模別・男女別などの賃金格差を是正し、全体として低賃金を改善するためには、法定最低賃金の引き上げが是非とも必要である。同時に、イギリス、フランスなどで確立され、国民生活の最低保障の土台になっている全国一律最低賃金制度の確立も求められている。
 よって、国におかれては、全国一律最低賃金制度の確立をはかりつつ、大阪府最低賃金を大幅に引き上げられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

   
(共同提案で採択)

最低賃金制に関する意見書 


 我が国の経済、雇用情勢は、失業率が高水準で推移し、個人消費がおおむね横ばいの状態が続くなど、依然として厳しい状況にあり、勤労者の生活不安が増大している。                 
 このような状況を改善するためには、景気回復のための諸施策はもとより、生活の安定、労働力の質的向上等を目的とした最低賃金制の趣旨を踏まえ、個人消費購買力をも見据えた賃金水準の底上げを図っていくことが必要となっている。
 しかしながら、最低賃金額の改定は、一般労働者の賃金改定に比べ遅れるのが常態となっており、また適用される最低賃金額すら知らない事業主が少なからず存在する現状にある。
 よって国におかれては、早期に最低賃金審議会の改定答申を受け最低賃金額を引き上げられるとともに、最低賃金制の趣旨及び内容の周知徹底並びに監督体制の拡充など、制度の一層の充実を図られるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。