汚染された正連寺川(下)  PCB・ダイオキシン 

(しんぶん赤旗 2001年2月16日)

重い国、自治体の責任

コストは産業界の負担で

 豊能郡美化センタ‐の汚染施設の解体では、労働省、厚生省の担当者も参加した大阪府の専門委員会で、「大丈夫」の太鼓判を押して、日立造船が工事を請け負いました。工事に従事した労働者35人の血液脂肪中のダイオキシン濃度が、最高、通常の200倍を超える5380.6ピコグラム、平均でも通常の30倍の680.5ピコグラムと発表されました。しかし、法的基準がありませんから、汚染された労働者に対する法的責任はだれも間われない無責任さです。国や府、学者など専門家が「これでいける」とした方法が、目の前で「まずい結果」を生んだ豊能郡美化センターの教訓か学ぶべきでしょう。
 PCBやダイオキシンは油類であり、常温でも蒸発・気化する揮発性有機化学物質(VOC)です。しょうのうが昇華したり、液体が気化して減ることを想定すればわかります。

事前に環境アセス実施を

 第3に、環境に影響を与える可能性がある事業であり、事前に環境アセスメン
トをおこなうべきです。
 その場合、情報公開、住民参加、さまざまな立場の専門家の意見が反映されるようにすべきです。府知事も大阪市長も、それぞれの環境アセスメント条例で首長の権限でアセスメント対象事業を決めることができます。府知事、市長の決断をもとめます。
 第4に、PCB汚染物、ダイオキシン汚染物について取り扱い、処理のあり方の法的枠組みと安全基準を国が法令で決めるべきです。

PCB業者 犯罪は明白

 廃棄物清掃法や、ダイオキシン類対策法、労働安全衛生法など法令による対策
の保障をおこなうべきです。法治国家として当然のことです。
 第5に、コスト負担の問題です。
 30年近く前の不法投棄と推定され、汚染原因者がわからないと府は説明していますが、一住民が大量のPCBをもっているはずはありません。PCBの製造、使用、販売、保管にかかわる業者による犯罪であることは明白です。ただちに汚染原因者がわからなくても、処理費用の負担は何でも税金ということでなく、アメリカのスーパーファンド法のように、産業界がコスト負担をすることを考えるべきです。
 最後に、この問題を正しい解決の軌道に乗せるには、草の根からの住民の世論と運動が決定的であることを力説したいと思います。
  (いのちと環境ネットワーク・代表世話人 長野 晃)     (おわり)