意見書の経過

3月28日の本会議関係の意見書

 日本共産党が提案をした「男女共同参画社会の促進を求める意見書案」は与党対案を共同提案とし日本共産党案は一時不再議となり、「森内閣の即時退陣を求める決議案」は民主・民友の対案とともに自民党、公明党が反対をして否決されました。また「30人学級の実現を求める意見書案」「同和行政の終結を求める決議」は合意に至らず取り下げました。なお、自民党が提案した「2008年第29回オリンピック・パラリンピック競技大会の大阪招致・開催に関する決議案」には日本共産党は反対しましたが、与党の賛成で採択されました。 

 

(採択された与党案)

2008年第29回オリンピック・パラリンピック競技大会の大阪招致・開催に関する決議

 2 0 0 8年第29回オリンピック・パラリンピック競技大会の大阪招致については、去る1月16日にIOCへ提出した立候補ファイルをもとに、2月から3月にかけてI OC評価委員会の視察を受けたところであるが、開催都市が決定される7月13日を目前に控えた今、大阪市会は、この大阪の開催計画をもって市民の招致気運を盛り上げ、決意を新たにして開催都市決定を目指す。
 また、開催都市の栄に浴することとなれば、大会の成功に向け全力を挙げて取り組む。
 以上、決議する。

 

   
(合意に至らなかった日本共産党原案)

30人学級の実現を求める意見書(案)

 今日の学校教育、とりわけ児童生徒の学力の危機と呼ばれる事態はわが国の将来にとって憂慮すべきものである。今求められているのは「基礎的なことについてはすべての子どもが分かるまで教える教育」であり、そのためにも先進国から見て異常に過大な40人という学級規模は早期に縮小されなければならない。
 
こうした中で、国においても少人数教育の必要性が認められ、第7次の教職員定数改善計画では主要三教科において小人数授業が行われるよう教員確保の方向が打ち出されているところである。ところが、香川県など少なくない都県は、都道府県等の判断で標準法を下回る学級編成ができるという弾力的運用を活用して、学級規模そのものを縮小する方向に足を踏み出している。
 
一部の特定教科のみ小人数授業を行うことに比べ、学級規模そのものを縮小して児童生徒の受ける全授業を小人数で行うことの方が一人一人の児童生徒の学習や生活に目が行き届くことは明白だからである。
 
よって、国におかれては学級編制の基準を30人に引き下げると共に、そのための教員を確保されるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。  

 

 

(合意に至らなかった与党案)

学級編制基準の弾力化に関する意見書(案)

 現在、学校教育には、子どもたちを取り巻く急激な社会変化の中、いじめ、不登校、学級崩壊等深刻な問題が山積しており、また、これからの時代に求められる一人一人の個性を大切にした教育指導を実現するためにも、人的面での条件整備を進めることが急務となっている。
 これらの状況を踏まえ、今第151回国会において、教育の地方分権を推進し、児童生徒の実態に応じた学校教育の充実を図るため、都道府県教育委員会の判断により、学級編制の基準の弾力的な設定等を特例的に可能とするとともに、教職員定数の改善として、少人数指導のための教員加配措置の新たな設置等を主な内容とする「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律案」が提出され審議されているところである。
 しかしながら、学級編制基準の弾力化は、財政措置等が伴わなければ多大な財政負担を自治体に課すことにもなりかねないものである。
 よって国におかれては、かかる現状を十分認識され、必要な財政措置はもちろんのこと、所要の施策を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 

(一時不再議となった日本共産党案)

男女共同参画社会の促進を求める意見書(案)

  女性の地位向上と社会参加の拡大は、社会進歩の指標であり、国においても男女共同参画社会基本法が制定され、男女が互いに権利を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野で対等に参画できる男女共同参画社会の形成が21世紀の最重要課題と位置づけられているところである。
 しかしながら、性別による役割分担やそれに基づく社会慣行は依然として根強い上に、少子高齢化や家族、地域社会の変化など、社会経済状態の急激な変化への対応も求められている。
 また、女性の時間外・休日・深夜労働の法的な上限が撤廃され、母性や健康破壊が深刻になり、一層仕事と家庭の両立が困難になるなどの後退も起きており、早急な改善が必要となっている。
 よって国におかれては、男女共同参画社会づくりに向け、緊急かつ重要な以下の課題の実現に全力をあげられるよう強く要望する。

1.労働基準法を改正し、時間外・休日・深夜労働の男女共通規制を設けること。
2.育児・介護休業法を改正し、短期の家族介護等の休暇を新設すること。

3.保育や高齢者介護を公的責任で拡充すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 


(採択された与党案)

男女共同参画社会の実現に関する意見書(案)

 男性と女性が、互いの人権を尊重しつつ、喜びも責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、豊かで活力ある社会を築く上で不可欠であり、21世紀の我が国社会にとって最重要課題の一つとなっている。
 国においては、男女共同参画社会基本法の制定や、それに基づく男女共同参画基本計画を策定、さらに本年1月には、内閣府に、男女共同参画会議を設置するなど、男女共同参画社会の実現に向け、一層の取り組み強化を図られたところである。
 しかしながら、現実の社会制度や慣行の中には、男女共同参画という視点から見た場合男女の置かれている状況の違いなどを反映して、結果的に男女に中立に機能しない場合があり、特に子育てや高齢者介護の問題において顕著になっている。
 よって国におかれては、少子高齢化、核家族化等が進展する中で、男女ともに仕事と育児・介護を両立させ、生涯を通じ充実した生活を送ることができるよう意識啓発の推進や環境整備をはじめ、各種法改正も含めて所要の施策を講じられるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 

(否決になった日本共産党原案)

森内閣の即時退陣を求める決議(案)

 今、国民の圧倒的多数は、森内閣が直ちに総辞職することを求めている。
 かえりみるに、森首相は昨年4月の就任以来、みずからの「神の国」発言や中川官房長官と右翼暴力団との交友疑惑への無責任な対応、KSDや機密費問題、原潜事故への対応など、一国の総理としての資格を問われ続けてきた。現在の前代未聞ともいえる低支持率は、このような森内閣に対する国民の怒りの集大成に他ならない。
 今や、森内閣は、国民の利益と全く相いれない存在であることが、誰の目にも明らかになった。元々、政権担当能力を有しない森政権が一日でも延命すれば、それだけ政治の混迷が広がり、わが国の経済・外交にも大きな損害を与えることになるのである。しかるに森総理は、国民に対しては「続投」ポーズをとりながら、与党向けには「退陣」をにおわす二枚舌を使っている。全く党利党略としか言いようがなく、これ程国民をあざむくものはない。もはや総理に残されているのは、一刻も早い退陣という選択肢のみである。
 よって森内閣は、直ちに総辞職すべきである。 

 以上、決議する。

 

 

(否決になった与党案)

森内閣の総辞職を求め、国民の政治不信を払拭する決議(案)

 森内閣は昨年4月の政権発足以来一貫して低い支持率にあり、とりわけ、宇和島水産高校実習船「えひめ丸」と米国原子力潜水艦の衝突事故における緊張を欠いた対応後は急速 に下がり、ついに一桁台にまで落ち込んでいる。また、KSD汚職や機密費流用事件などについての疑惑解明への消極姿勢は、政治倫理と行政倫理に対する感覚の乏しさを露呈している。さらに、深刻化する経済問題にあっては「森内閣の存在そのものが株価下落を招いており、最も有効な経済対策は政権交代である」とまで言われており、金融機関の抜本的な不良債権処理の先送りもあって、国際市場の日本経済に対する信用失墜を招くなど、政治的・経済的混迷は一段と深まっている。
 さきの衆議院における内閣不信任決議案と参議院の問責決議案は与党によって否決されたが、圧倒的多数の国民が森内閣の退陣を望んでいることは、誰の目にも明らかであり、政権内部においでさえ自民党総裁選の前倒し実施など事実上の退陣へ向けて政局が動いている。しかし、いまだに函らの政治責任と進退を明らかにせずわかりにくい態度をとり続ける森首相の政治姿勢は、国民の政治不信を増大させいたずらに政治空白を重ねるばかりであり、抜本的な経済対策や財政構造改革などの重要課題に対しては一刻の猶予も許されない。
 よって本市会は、国民の支持と信頼を失い政権末期の様相を呈している森内閣の速やか な総辞職と、政治倫理の確立や山積する内外の重要課題に対する政府の真摯で全力を挙げ た取り組みによって、国民の政治不信の払拭を図られるよう決議する。

 

 (合意に至らなかった日本共産党案)

同和行政の終結を求める決議(案)

 今日、同和対策特別措置法制定以来32年におよぶ同和対策事業によって、部落の生活環境や生活実態に見られた一般地域との格差は、基本的に解消すると共に、部落への誤った認識や偏見も大きく薄らいでいる。
 これまでの根拠法であった地対財特法も1997年3月末をもってすでに失効しており、本市同和行政は、すみやかに終結せられるべきものである。
 ところが、大阪市は、差別がある限り同和行政を推進するとして、来年度以降も、なお不公正乱脈な同和事業を継続し、逆に、部落問題解決を遅らせるばかりか、新たな差別をつくりだしている。到底、容認することのできないものである。
 
そもそも、同和行政の目的は、一般地域との格差是正など、部落問題解決のための条件整備を行うことであって、その全てに責任を負うことでもなく、ましてや、差別がなくなるまで続けるなどというものでもない。その本来の目的が達成されれば、即、終結されるべきものである。なぜなら、特定地域に、長期にわたって、特別対策を実施することが、「同和地区」を一般地域から分離、固定化することにつながり、ひいては、自由な社会的交流を阻害することになるからであって、同時に、このことは、本年1月、総務省地域改善対策室が、改めて、「特別対策は本来時限的なもの」「特別対策をなお続けていくことは、差別解消に必ずしも有効ではない」等とする見解を発表したことからも明らかである。 
 よって本市会は、ただちに、同和行政を終結させ、部落内外を分け隔てている「同和」という垣根をとりはらい、自由な社会的交流をはかるべく、以下の諸点をただちに断行されるよう強く求めるものである。

1、「同和地区」指定は廃止する。
2、教職員ならびに保母の同和加配をとりやめる。
3、個人給付事業を廃止する。
4、地区内空き住宅は、広く一般から公募し、管理は行政の責任で厳正・公正に行う。
5、運動団体に対する補助金は、廃止をする。
6、人権文化センターを専有使用している運動団体の退去を求める。
7、「市同促方式」は廃止する。

 以上、決議する。

 

 

(合意に至らなかった与党案)

本市同和行政の今後の進め方に関する決議(案) 

 本市においては、同和問題の早期解決を目指し積極的に施策を推進してきたところであり、その結果、なお、啓発などの主としてソフト面での課題は残されているが、地区の実態は著しく改善され、同和対策事業はその目的をほぼ達成できる状況になった。
 平成8年の国の地対協意見具申は、同和問題にっいては、解決に向けて進んでいるものの、今日なお重要な課題であるとし、残された課題の解決にあたっては、一般施策に工夫を加え、真摯に施策を実施していくべきであるとしている。
 一方、本市の同和行政については、様々な観点から、これまで市会で論議されてきたところである。
 よって本市会は、本市同和行政の今後の進め方に関して、次のとおり強く望むものである。
 従来の個人給付的事業をはじめとする特別措置は、現行「地対財特法」が平成13年度末に法期限を迎えることを十分踏まえ、廃止あるいは一般施策に移行するなど収束を図り、残された物的事業についても、現行法期限内に完了させ、今後は同和問題を人権問題という本質から捉えな,おし、社大阪市同和事業促進協議会のあり方を被本的に見直すとともに、人権行政を総合的に推進する中で、すべての市民を対象とした一般施策により、課題の解決を図るべきである。
 以上、決議する。