予算審議の特徴は

党市議団 関根幹事長に聞く(下)

 また、WTCの空きフロアをうずめるため、建設局など市の3局と2つの外郭団体が移転しましたが、これがどんなにとんでもない支援であったかも明らかになりました。民間団体よりも高い賃料のおかげで、2001年末にはWTCの経営は減価償却前黒字になるのに、今後も毎年40億円もの貸付を続けるというのです。ATCには、年間33億円の貸付以外に、経済局などが床を借り上げ、年間28億円もの賃料を払っているということも明らかになりました。
 こうした巨大開発とその失敗の穴埋めによって、市債残高は、一般会計で2兆5354億円、全会計で5兆2715億円(市民一人あたりの借金は202万円)にもなり、市の財政危機はいっそう深刻です。まさに、磯村市長がことあるごとに宣伝している「国際集客都市」構想が完全に失敗していることがうきぼりになりました。
 3月31日開業のUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)事業が、大きなリスクを負っていることもはっきりしました。
 USJの筆頭株主は大阪市です。今回の予算でも、30億円の貸付をおこない、出資100億円、貸付100億円となります。年間800万人以上と見込んでいるリピーターを確保するためには、2年ごとに100億円をかけて施設を更新しなければなりません。映像産業の集積をはかるといいますが、アトラクションはアメリカのUSIの輸入です。地方自治体が人も金もつぎ込んで推進する事業ではありません。

−市民要求の実現という点ではどうでしょうか。

関根  市民のみなさんの運動と議員団の奮闘で前進したものもあります。
 乳幼児医療費助成は、通院で4歳児までだったのが5歳児までに拡充され、所得要件も緩和されました。小学校の米飯給食も週2回になります。
 国民健康保険の短期保険証赤枠問題(保険証の有効期限を赤枠で囲み、保険料滞納者であることが一目でわかる)については、このような人権侵害をただちにやめるよう強く求めたのに対し、理事者は「検討したい」と、従来より前向きの答弁をしました。
 また、市の公文書公開条例が改正されて、情報公開条例となりましたが、市民の「知る権利」が明記されたことは重要な前進面として評価できますし、政務調査費条例を、事前の折衝で改善させたことも前進面だったと思います。

−最後に、日本共産党市会議員団の果たした役割についてお話ください。

関根  私たち15名の議員団は、今回の市議会にのぞむにあたって、多くの市民、団体のみなさんと懇談し、現場にも出かけて実地に調査、研究し、市民の目線から問題の提起や建設的な提案をおこない、市民要求の実現に全力をあげてがんばりました。
 一方、与党からは、「御堂筋パレードを大阪ドームでやってはどうか」(自民)、「(オリンピック招致のため)5月の東アジア大会にはサマランチIOC会長に、ひれ伏してでも来てもらうべきだ」(公明)など、およそ市民の生活実感とかけはなれた議論がされました。
 オリンピックやUSJにうかれた「国際集客都市」構想の後押しでは、市民生活は守れません。わが党議員団は、市民が主人公の市政への転換へ、引き続き奮闘するものです。