(資料)

          大阪市国民健康保険運営協議会答申

 1 はじめに

 国民健康保険は、国民皆保険の基盤をなす制度として被用者保険等の加入者を除く全ての国民を対象として、多くの地域住民の健康保持に重要な役割を果たしており、大阪市においては市民の約4割の方々が加入されている。

 国民健康保険には高齢者や低所得の方が数多く加入されており、財政基盤は脆弱で、その事業運営は非常に厳しい状況となっている。

 一方、被用者保険においても近年、厳しい事業運営を強いられており、今後ますますの高齢化、医療の高度化が進むなかで、国においては、医療保険制度や老人保健制度の抜本的な改善について引き続き審議・検討が進められている。

 また、平成l2年度より、介護保険制度の実施に伴い、国民健康保険被保険者のうち40歳以上65歳未満の被保険者について、介護納付金分保険料が国民健康保険料として一体的に賦課徴収されることとなっている。

 このような状況の中で、大阪市の国民健康保険においては、毎年一般会計から多額の繰り入れを行い保険料負担の軽減を図っており、また、保険料収納率の向上を目指して徴収対策に取り組むとともに、厚生大臣の指定に基づき「安定化計画」を策定し、事業運営の安定化に努めている。

 しかしながら、会社の倒産等により他の医療保険から国民健康保険に加入される被保険者が増加するなど、厳しい社会経済情勢の影響等により、保険料収納率も低下し保険料収入が伸び悩むなど、平成11年度決算において234億円もの多額の累積赤ヂを抱え、このまま推移すればさらに財政が逼迫することが予想される極めて厳しいものとなっており、財政の健全化が喫緊の課題となっている。

 一方で、長引く景気の低迷等、現在の社会経済情勢に鑑みると、被保険者の保険料負担についても配慮が必要であると考える。

 当運営協議会としては、以上のような大阪市国民健康保険事業の現状を踏まえ、平成l3年2月l5日付大民第3144号をもって大阪市長から諮問のあった事項について、次のとおり意見を付して答申する。

 

2 意  見

 @現在、国においては、医療保険制度の改革について検討されているところであるが、引き続き国民健康保険制度が長期的に安定して運営できるよう、制度の抜本的改善を国に要望すること。

 A現下の国民健康保険を取り巻く厳しい状況を踏まえ、被保険者の保険料負担の緩和を図るため、一般会計への影響にも配慮しつつ、繰入金の一層の確保に努めること。

 B今回の賦課割合の改定及び保険料段階別限度額の設定の見直しにあたっては、被保険者の理解が得られるようきめ細かく広報活動を実施し、周知徹底を図ること。

 C大阪市国民健康保険の現状について、広く市民の理解と協力を得られるよう、きめ細かなPR活動により一層努めること。

 D検診事業のより一層の充実など、被保険者の健康の保持増進に努めること。

 E安定化計画の策定にあたっては、従来と同様、受診の抑制とならないよう十分な配慮をすること。

 F短期被保険者証の交付等により、保険料収入の一層の確保を図ることは重要であるが、その取り扱いについては、被保険者の受診抑制とならないよう十分配慮をすること。

 G今年度2月に設置された、保険料業務センターについては、今後、効率的な運営が図られているか、十分検証を行うこと。

        

3 答  申

 市長から諮問があった2点、

 @保険料の基礎賦課額の賦課割合を、現行の所得割47%、被保険者均等割37%、世帯別平等割16%を、所得割465%、被保険者均等割375%、世帯別平等割16%とする。併せて、介護納付金賦課額の賦課割合についても、同様の割合で設定する。

 A被保険者国民健康保険料のうち、国民健康保険の被保険者について算定した国民健康保険事業に要する費用(介護納付金の納付に要する費用を除く)に充てるための賦課額(以下「基礎賦課額」という)の世帯当たり賦課限度額を、現行の48万円、50万円、52万円の3段階限度額設定を行っているものを、50万円、52万円の2段階別限度額設定に改める。

  については、答申に当たって当協議会として8点の意見を付したうえで、大阪市国民健康保険が置かれている厳しい財政状況等を勘案し、止むを得ない措置であると考え、了承する。