改正された「大阪市情報公開条例」とは

江川大阪市議に聞く

 評価できる「説明責任」の明記

「知る権利」保障へさらに運動

 2日の大阪市議会本会議で、「大阪市公文書公開条例」を改正した「大阪市情報公開条例」が、全会一致で採択されました。この条例について日本共産党の江川繁議員(財政総務委員会所属)に聞きました。

−今回成立した条例をどのように評価していますか。

江川  新しい条例は、これまでの「公文書公開条例」から「情報公開条例」へ名称変更したことや「市民に説明する責任」が明記されたことなど、かねてからの市民団体の運動や、日本共産党議員団の数度にわたる改正提案などが反映されており、積極面については評価できます。
 しかしながら、いくつかの大きな問題点も指摘せざるをえません。そのために、わが党議員団は、より市民の期待に応えた条例として前進させるために、修正案を提案することにし、2日の本会議では、私が提案説明をおこないました。
 残念ながら、この修正案は与党によって否決をされました。わが党議員団は、原案については、本会議に上程されたばかりであり、市民参加の市政を推進するカギとなる「情報公開条例」の趣旨からいっても、わが党の修正案も含め、広く市民の声を集約して、制定をはかるべきことを指摘したうえで、原案に賛成しました。

日本共産党議員団の修正案について説明してください。

江川 修正案は、憲法に保障された国民の知る権利をさらに具体的に保障し、地方分権、地方自治の時代にふさわしい市民の積極的な市民参加の道を確立し、民主的な市政の発展の実現をめざすものです。
 まず第1に、「知る権利」の積極的な位置付けをさらにすすめることです。
「知る権利」の文言は、原案の前文には挿入されましたが、修正案では、「知る権利」の重要性を、日本国憲法の保障する基本的人権の1つとして明確に位置付ける文言を入れています。また、第1条(目的)の中で、「市民の知る権利を具体化するため」との文言を挿入し、明確で積極的な位置付けを行っています。
 他都市の例を参考にあげますと、札幌市では、第1条(目的)で、日本国憲法が保障する住民自治の理念にのっとり、市民の知る権利を具体化するため公文書の公開を請求する権利を明らかにすると、明快に書かれております。
 第2に、「知る権利」を保障する点で、原案第七条では、第(1)号〜第(7)号まで、非公開規定が広い範囲にわたっており、運用によってはまるで逆さまの「非公開条例」におちいるとの懸念を、市民の多くの方々から聞いております。
 制約は最小限の事項にすべきであり、また、条文は厳密に限定的に運用すべきです。9カ所にわたる「個人の利益を害するおそれ」などの、「おそれ」という文言は、「認められる」等の、限定させる表現に改めるべきです。
 第3に、市民から大きな不満が出ていました「出資等法人」の情報公開についてです。
 第34条の「出資等法人」については、今までも、ATCやWTC、土地開発公社などに関する情報公開請求で、非開示のものが多々ありました。土地開発公社に関しては、他都市では公開されており、大阪市は大きく遅れています。非公開とされてきた土地の取得価格や面積などが、これを機会に公開されるよう、指導を強めるべきです。
 第4に、公開原則、「知る権利」の保障と矛盾する第九条の(公文書の存否に関する情報)の条項は削除すべきです。

今後の取り組みについてお話ください。

江川 今回の条例は、本会議に上程された日に即採決されました。運用する市民に対し、十分周知し、意見を聞いたうえで制定するのが、市民に開かれた市政のあり方です。
今後の運用と市民の運動によってこの条例を検証し、21世紀の大阪市を切り開き、時代の大きな流れでもある「知る権利」を最大限に保障する、よりよい情報公開条例となるよう、市民のみなさんの運動としっかりむすび、改善のために全力をあげたいと思います。