より市民の期待に応えた条例に

江川繁議員が大阪市情報公開条例への修正案を提案

     日本共産党の江川繁議員が「大阪市公文書公開条例を改正する条例案」に対する修正案を提案しました。提案文は以下のとおりです。

市民の積極的な市政参加への道の確立と民主的な市政の実現へ

2001年3月2日 江川繁議員が市情報公開条例修正案を提案

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、「大阪市公文書公開条例を改正する条例案」に対する修正案についての説明と提案理由を申し上げます。
 この修正案は、憲法に保障された国民の知る権利をさらに具体的に保障し、地方分権、地方自治の時代にふさわしい市民の積極的な市政への参加の道を確立し、民主的な市政の発展の実現をめざすものです。

「市民に説明する責任」など積極面については評価

 ただ今市長より上程されました条例案については、これまでの「公文書公開条例」から「情報公開条例」へ名称変更したことや「市民に説明する責任」など、かねてからの市民団体の運動や、わが党議員団の数度にわたる改正提案などが反映されており、わが党は積極面については、評価をしているところであります。
 しかしながら、いくつかの大きな問題点も指摘せざるをえません。そのために、わが党議員団は、より市民の期待に応えた条例として前進させるために、修正案を提案するものです。以下、修正案の主な内容を申し上げます。

「知る権利」の積極的な位置付けをさらにすすめる

 まず第1に、「知る権利」の積極的な位置付けをさらにすすめる点です。
 「知る権利」の文言は、原案の前文には挿入されましたが、修正案では、「知る権利」の重要性を、日本国憲法の保障する基本的人権の1つとして明確に位置付ける文言を入れております。また、第1条(目的)の中で、「市民の知る権利を具体化するため」との文言を挿入し、明確で積極的な位置付けを行っています。
 他都市の例を参考にあげますと、札幌市では、第1条(目的)で、日本国憲法が保障する住民自治の理念にのっとり、市民の知る権利を具体化するため公文書の公開を請求する権利を明らかにすると、明快に書かれております。

非公開情報など制約は最小限の事項にすべき

 第2に、「知る権利」を保障する点で、原案第7条では、非公開情報が7号にわたって書かれており、多いことです。
 いうまでもなく、条例は、「知る権利」を最大限に保障するためにつくるものです。ところが、この第(1)号から第(7)号まで、非公開条項の規定が広い範囲にわたっており、運用によってはまるで逆さまの「非公開条例」におちいるとの懸念を、市民の多くの方々から聞いております。
 制約は最小限の事項にすべきであり、また、条文は厳密に限定的に運用すべきだと考えます。その点で、原案の第(5)号の(オ)、第(6)号については削除すべきです。
 また、第(1)号から第(5)号の9カ所にわたる「個人の利益を害するおそれ」などの、「おそれ」という文言は、「認められる」等の、限定させる表現に改めるべきです。

「出資等法人」などの情報公開へ指導の強化を

 第3に、今までも制約が多くて、市民から大きな不満が出ていました「議会」と「出資等法人」の情報公開についてであります。
 まず、「議会」については、以前から、わが党議員団は、公文書公開条例改正の提案等でも述べてきましたように、公開をすすめるうえで、議会と行政を区別することなく一括して成立させ、運用するのが望ましいと考えてきたところであります。この件については、すでに別途、「大阪市会情報公開条例」が提案され、論議が行われております。「知る権利」が最大限保障され、透明性の高い市会条例となることを強く期待します。
 さて、第34条の「出資等法人」については、今までも、ATCやWTC、土地開発公社などに関する情報公開請求で、非開示のものが多々ありました。土地開発公社に関しては、他都市では公開されており、大阪市は大きく遅れています。
 非公開とされてきた土地の取得価格や面積などが、これを機会に公開されるよう、指導を強めるべきです。今後の検討課題となっておりますが、市民の方々に目に見える改善がなされるよう強く求めておきます。

市民にとってわかりやすく、公開請求をしやすく簡潔に

 第4に、条文の表現を市民にとってわかりやすくし、公開請求をしやすくする点であります。
 第6条第(1)号は、「個人は氏名と住所を、団体法人は名称と代表者及び所在地」とする方が簡潔となります。

「知る権利」の精神から逸脱する事項は削除を

 第5に、第9条の(公文書の在否に関する情報)の条項は、公開原則、「知る権利」の保障と矛盾するものであり、削除すべきです。
 また、第12条の(公開決定等の期限の特例)については、必要な場合は第11条第(2)号で30日の延期も認められ、これ以上の延長は、「知る権利」の精神から逸脱するものであり、削除するべきです。

 以上が修正案の主な提案理由であります。
 最後に、この案件についての審議の取り扱いについて、一言申し上げます。
 原案は、本日、本会議に上程されたばかりであります。市民参加の市政を推進するカギとなる「情報公開条例」の趣旨からいっても、修正案も含め、広く周知の機会をもうけ、市民の声を幅広く集約して、よりよいものにし、制定をはかるべきものです。
 21世紀の大阪市を切り開き、時代の大きな流れでもある「知る権利」を最大限に保障する、よりよい情報公開条例の制定が実現するよう、議員各位に重ねて強くお願いし、修正案の説明と提案にさせていただきます。