大阪市議会委       オリンピック招致問題 

日本共産党議員がただす

(しんぶん赤旗 2001年2月1日)

 

大阪市議会オリンピック招致特別委員会が1月31日、開かれました。大阪市がこのほどIOCに提出した2008年オリンピック「立候補ファイル」について、磯村市長と理事者から報告があり、各党の議員が質疑。日本共産党からは、渡司考一姫野浄瀬戸一正の各議員が質問に立ちました。 

財政破たんにつながる 夢洲開発やめ招致断念を     渡司考一議員

 渡司議員は、「立候補ファイル」で「安定した日本経済と健全な大阪市の財政」と、大阪オリンピックの成功を保証するかのように述べているが、今、市民が抱いている日本経済についての認識や市財政の実態と大きくかけ離れているのではないかと指摘。IOCに対して失礼であり、フェアであるべき原則をふみはずすものだとのべました。
 山田オリンピック招致局長は「いろんな市民感情がある」としか答えませんでした。
 また渡司議員は、オリンピック関連費用の中に夢洲開発の費用、数千億円あまりがまったく計上されていないのはなぜか、費用を小さく見せかけようとしたものではないかとただしました。選手村整備880億円については、市の負担割合や、民間や公団が建ててくれる保障があるのかなどについて質問。この中で、市の負担が過大なものになりかねないことが浮きぼりになりました。
 最後に渡司議員は、「市財政悪化の中でオリンピックのために1兆円近いお金をつぎこむ事は、将来、市民のくらし関連の予算を削る道へつながりかねず、夢洲開発は中止し、オリンピック招致は断念するべきだ」と強調しました。

児童・生徒に強制するな 東アジア競技大会への動員    姫野議員

 姫野議員は、野球やバスケット、体操会場に予定されている大阪ドームについて、30日の新聞報道によると、1999年度末、累積赤字が117億円、20億円の債務超過におちいり、大阪市は来年度から193億円、税金で補助するとのことだが、本当かとただしました。また、立候補ファイルで新設が予定されている各競技施設はいずれも巨大で豪華なもの(オリンピックスタジアム・580億円、収容人員80,000人。プール・200億円、15,700人。総合武道館・200億円、10,000人。東成区総合文化センター・224億円、8,000人)であり、大阪市は、WTC、ATC、OCATなどの巨大ビルや今回の大阪ドームなど、巨大施設をつくって失敗してきており、この二の舞になりかねないと指摘。さらに、市長が「スポーツパラダイス」というからには、巨大で利用料が高すぎて市民が利用できないスポーツ施設にしてはならないと強調しました。
 また姫野議員は、5月に大阪市で開かれる東アジア競技大会について、意義あるものであり、賛成し協力するが、2008年オリンピックの招致という特定の目的のために動員することは間違いであり、オリンピックとはきりはなして成功させるべきだとのべました。
 姫野議員が、「東アジア競技大会に、学校の児童・生徒を、見学目標を割り当てて上から動員するようなことはしてはならない。学校の自主性にゆだねるのが基本だ」と教育委員会をただしたのに対し、小松原国際競技課長は、「競技の観戦は、学校の希望を聞いている」と姫野議員の指摘を肯定する答弁をおこないました。

大阪湾のダイオキシン IOCに正確に伝えよ    瀬戸議員

 瀬戸議員は環境問題について質疑。「立候補ファイル」では、オリンピックスタジアムは、「舞洲・夢洲の浚渫土砂等を埋め立てた区域(2、3工区)に建設する計画」と書いてあるが、焼却灰が埋まっている第一工区からやむをえず変更されたものだと指摘。また、「周辺海域において継続的な環境監視を行っており、これまで環境面で全く問題がありませんでした」と書かれているが、大阪湾のダイオキシン濃度は全国でもっとも高くなっており、大阪府民が摂取しているダイオキシンについて、食品からの摂取のうち76%は魚介類からであり、大阪湾の汚染が原因の一つになっている。こうした事実をきちんと書くべきだとのべました。舞洲、夢洲は、大阪市内のすべてのゴミ焼却工場の焼却灰が大量に埋め立てられ、いわばダイオキシンの巣ともいえるものであり、IOCには正確な事実を伝え、IOCの判断をあおぐべきだと強調しました。
 自民、民主・民友、公明など各党の議員は、「オリンピック招致を盛り上げるためにどんなイベントが計画されているのか」「5月の東アジア競技大会はオリンピック招致のチャンスだ。小中学生を全員参加させるべきだ」「オリンピック招致の勝算ありとの決意を示せ」「民主党府連はナンバでアピール行動をすることを決めた」「オリンピック招致のバッジを学校の先生はなぜつけていないのか」などの質疑に終始しました。