「公正な入札・契約の確保にむけての提言」

平成12年12月

市政運営刷新委員会

平成12年12月18日

 阪 市 長        磯村 隆文殿
大阪市会議長       玉木 信夫殿

                                                              市政運営刷新委員会
                                                              委員長 土 ア 敏 夫

                  「公正な入札・契約の確保にむけての提言」について

 本委員会は、平成12年10月18日以降、公正・公平な入札契約制度の実現にむけて、検討を重ねてきたところであるが、この度、その具体的方策を別添のとおりとりまとめたので、提言いたします。

1.提言にあたって
 本市においては、これまで、公募型指名競争入札の導入や一部本市発注工事について予定価格の事前公表を行うなど入札契約制度の透明性の確保に努めてきたところであるが、昨年度に引き続き今年度においても、本市発注公共工事の入札に関わって、現職市会議員及び本市入札参加有資格業者、並びに入札契約事務担当職員が予定価格の漏洩による競売入札妨害、あるいは贈収賄、談合容疑で逮捕・送検・起訴されるという事態が発生することとなった。
 これを契機として、市民の市政に対する信頼を回復するため議会と理事者が一体となって本市政運営刷新委員会において平成12年10月18日以降、入札契約制度のあり方について検討を重ねてきたところである。
 今般、その検討結果をとりまとめ次のとおり提言するものである。

2.入札契約制度の改善のための具体的方策について

 (1)入札・契約事務の透明性、公正性の確保にむけて
     @入札・契約事務の統一性、公正性を確保するとともに、制度改善を強力に推し進めるため、財政局・港湾局・交通局・水道局などに分散している契約事務の一元化を図る。
      ・(仮称)契約センターを平成13年春に設置あわせて大阪府警察本部の協力を得て、警備・保安体制を強化

     A入札・契約に関する情報公開を推進する。
       ・予定価格事前公表対象工事の範囲の拡大
       ・最低制限価格の事前公表の試行
           ・公募型指名競争入札対象工事の範囲の拡大

        Bペーパーカンパニーをはじめとする不良不適格業者を排除するとともに、適性な施工の確保を徹底する。
      ・入札参加資格審査業務の厳格化
     ・技術者の配置等の確認など現場施工体制の点検を充実・強化
     ・不正行為の建設業許可官庁への通報・連絡体制の強化

  (2)談合の防止にむけて
       @談合情報に基づき公正入札調査委員会において入札執行の事前及び事後に審議を行い、談合の可能性が認められる場合には再入札など適切な措置を取る。

        A損害賠償の予約あるいは違約金に関する契約条項を導入するとともに、指名停止期間の延長を行う。なお、指名停止にあたっては、府市連携のうえ取り組む。

      B公正取引委員会への通報・連絡体制を強化する。

 (3)不当な圧力・不正行為の排除にむけて
        @第三者機関を設置し、入札・契約の過程及び内容のチェックと勧告を行う。
      A不法要求等を排除する組織的対応について検討するとともに、関係業者等対応マニュアルの内容を充実するほか、契約事務職員への服務規律の徹底、関係法令に対する研修を強化する。
     B入札・契約事務のIT化を推進する。

 (4)外郭団体の入札・契約事務についても、この提言の趣旨をふまえ、入札・契約の適正化に取り組むとともに、一元化について検討を進める。なお、本市からの多額の補助金等を得て社会福祉法人などにより整備される社会福祉施設等の契約のあり方についても、今後検討する。

 3.結びにかえて
  入札契約事務の透明性の確保や談合の防止、不当な圧力・不正行為の排除など、公正な入札契約制度の実現に向けて様々な方策を提言してきたところであるが、その方策を真に実効あるものとするため、理事者側においては、違法行為の要求等に対する職員及びその管理監督者の責務について、また、職員保護の観点からも違法行為の要求等を行った第三者に対する組織的対応について明確にするなど、これまで以上に公正な職務執行に取り組むとともに、議会側においても今後、倫理のあり方について検討するなど自浄能力を一層発揮するほか各議員においては市民代表としての立場を自覚しモラルの向上に努めることを委員会として強く求めるものである。
  なお、理事者側・議会側双方において、本提言並びに平成元年の緊急提言の趣旨について周知徹底を図り、市政運営に取り組まれるよう重ねて要請するものである。                                                            

 提言にあたっての付帯意見 

1.入札契約事務の一元化について
  (仮称)契約センターの設置にあたっては、大阪府警の協力を得て巡回・連絡事務所を設けるなど警備・保安体制に万全を期すこと。

2.予定価格の事前公表対象工事の範囲の拡大について
  予定価格の事前公表対象工事の範囲の拡大については、「高値安定」の助長あるいは競争の制限の有無について、実施後、十分な検証に努めること。

3.不良不適格業者の排除と適正な施工の確保について
  (1)発注者支援データベースシステムを早期に導入すること。
  (2)健康保険証などにより、現場代理人、技術者の雇用関係の確認に努めること。
  (3)不良不適格業者の排除と適正な施工の確保の実効性を確保するうえで適切な体制整備を図ること。

4.指名停止期間の延長について
  独占禁止法違反に係る指名停止期間については、談合に係る指名停止期間や他都市状況も勘案し、十分検討すること。

5.入札・契約事務のIT化の推進について
  IT化の推進にあたっては、中小・零細事業者に十分配慮すること。

6.第三者機関の設置について
  第三者機関の設置にあたっては、真に実効性のあるものとするため、委員の人選や点検手法などについて十分検討すること。

7.JV制度のあり方について
  建設業を取り巻く厳しい経営環境に鑑み、JV制度のあり 方について検討すること。