意見書・決議の経過

9月27日の本会議関係の意見書・決議

  9月27日の本会議には、日本共産党市会議員団は「義務教育国庫負担堅持、教職員定数抜本改善を求める意見書(案)」「介護保険制度の改善を求める意見書(案)」「消費税の大増税に反対する意見書(案)」「医療制度の改悪に反対する意見書(案)」「長居公園野宿生活者一時避難所問題に関する意見書(案)」を提案しました。各派折衝の結果、「教育予算の拡充と教職員の定数改善、義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書」「介護保険制度に関する意見書」「『地震防災対策特別措置法』の改正に関する意見書」「骨髄移植に関する医療保険の適用拡大を求める意見書」が全会一致で採択されました。なお、東住吉区の長居公園内の野宿生活者の仮設一時避難所を建設するという大阪市の計画に、自民党が提出した「長居公園の適正化対策に関する決議案」が与党によって採択され、日本共産党の「長居公園野宿生活者一時避難所問題に関する決議案」は一時不再議となりました。
 また、日本共産党は公共事業入札にともなう贈収賄で逮捕された天野元議長への「辞職勧告決議案」を提出しましたが、自民、公明、民主・民友など与党によって否決され、自民党など与党が提出した「市政の信頼回復に関する決議」が採択されました。
 10月18日の本会議では、「育児・介護休業法の拡充を求める意見書」が共同提案で採択されました。


(一時不再議となった日本共産党案)

天野一議員の議員辞職勧告決議(案)

 天野一議員は9月22日、刑法第96条の3第1項「競売等妨害」いわゆる「競売入札妨害」の容疑で逮捕、送検された。同時に議長室をはじめ大阪市会が強制捜査を受けるという由々しい事態となった。
 彼は、議員という半ば特権的な立場を悪用して、市営住宅建設に伴う電気設備工事の当局予定価格を密かに入手し、これを特定業者に漏らすことで不当利得を得ようとしたもので、政治家として恥じて余りある犯罪行為を犯したものである。
 昨年の中村事件に引き続いて、長年つちかってきた市民と大阪市会との信頼関係を大きく損ね、大阪市会の権威を失墜せしめた責任は、真に重大である。直ちに議員を辞職することが至当である。ところが、当議員は、大筋で容疑を認めているとされているものの、現在に至るまで自ら議員を辞職する意思を示していない。
 このような状況の中で、本市会がいつまでも手を拱いていることは許されるものではない。本市会が、自浄作用を発揮して、市民の信頼を回復するとの堅い決意を示すことが強く求められている。 
よって大阪市会は、天野一議員にたいし議員を辞職するよう勧告する。
以上、決議する。

 


(採択された4派案)

市政の信頼回復に関する決議

 去る9月21日、天野市会議長、市職員及び落札業者が本市発注工事の競売入札妨害容疑で逮捕、翌日送検された。
 昨年の中村元議員に続いて今回の現職議長の逮捕は、誠に遺憾であり、市会議員及び入札契約制度、ひいては市政全体に対する市民の信頼が大きく揺らぐ極めて深刻な事態゛ある。
 現在、事件の真相究明は司直の手にゆだねられており、天野議員の議員としての政治的・道義的責任については、起訴に至れば当然議員を辞職すべきであり、今は本人の良識ある判断を強く期待するものであるが、市会においては、二度とこのようなことのないよう再発防止の措置を講じ、市民の市政に対する信頼回復を図らなければならない。
 よって本市会は、市政に対する信頼を回復するため、市民の負託を受けた市会議員として、自ら政治倫理を遵守することはもちろんのこと、信頼される議会改革に努めるとともに、本市入札契約制度の公正性・透明性を高めるためのより抜本的な改革に理事者と一体となって取り組む決意を内外に表明するものである。
 以上、決議する。

 


(共同提案で採択)

「地震防災対策特別措置法」の改正に関する意見書

 地震大国と言われている我が国においては、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、国が平成7年6月に「地震防災対策特別措置法」を制定し、これに基づいて地方公共団体が地震防災緊急事業5箇年計画を定め、この計画を中心に各般にわたる地震対策を鋭意講じてきたところである。
 しかしながら、平成11年に発生したトルコ・台湾における地震災害の重要性が再認識されたにもかかわらず、財政上の制約等により、現行計画の進捗率が低い状況にある。このような状況等にかんがみて、時期の地震防災緊急事業5箇年計画においても、地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備を協力に推進することにより、地域住民の生命と財産の安全確保になお一層努めていく必要がある。
 よって国におかれては、「地震防災対策特別措置法」に基づく国の負担又は補助の特例措置を時期の地震防災緊急事業計画5箇年計画においても継続されるとともに、地震防災緊急事業を拡充・強化されるよう特段の配慮を要望する
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。  

 


(採択された与党案)

長居公園の適正化対策に関する決議

 本市では、道路、公園、河川敷等において、テント・小屋掛けをして野宿生活を送る者が近年雇用情勢の悪化などを背景にして増加し、平成10年の調査では8,660人を数え、現在では1万人を超えていると推定されている。また、その地域も拡散化してきており、公共施設の正常な運営が阻害されるなど、様々な形で市民生活に大きな影響を与え、深刻な社会問題となっている。
 とりわけ住宅地域に隣接する長居公園における大規模かつ集団的なテント・小屋掛けは、公園管理や公園利用に著しく支障を及ぼすのみならず、地域住民の間にも日常生活のうえでの不安感が広がっている。
 今般、この対応策として、長居公園に仮設一時避難所を整備し、同公園内に拡散しているホームレスを一時的に入居させ、自立支援センター等へ段階的に導入し、漸次縮小し3年間で廃止するという計画案がとりまとめられたところである。
 テント・小屋掛けの一斉撤去による公園の適正化は望むところであるが、本市会は、長居公園の適正化対策を円滑かつ着実に実施する観点から、この仮設一時避難所の整備を早期に着手するとともに、その運営にあたっては関係機関及び地元関係団体との連携を密にし、地域住民等の不安を払拭するため、仮設一時避難所の責任ある運営体制の確立、テント・小屋掛けの実効の伴う一斉撤去、撤去後の管理対策の強化、継続的な巡回監視の徹底、またホームレスが再び野宿生活に戻ることのない就労支援策の確立など細かい施策の実施に努めるとともに、当該施設は漸次縮小し必ず3年で廃止すること、さらに、抜本的なホームレス対策を確立するため、就労自立のための全国規模での実効性のある特別就労事業の実施、ホームレス対策に関する特別立地法の制定など国への働きかけを強化することを強く要望する。
 以上、決議する。

 


                       (一時不再議となった日本共産党案)

    長居公園野宿生活者一時避難所問題に関する決議(案)

 今、1万人を超えると言われる本市野宿生活者問題の抜本的な解決をはかることは、緊急の課題となっている。
 こういう中で、大阪市において、長居公園内のテント・小屋掛けを撤去するために、同公園内に、仮設一時避難所を整備し、ホームレスを一時的に入所させ、自立支援センター等へ段階的に誘導し、漸次縮小、3年間で撤収するとの計画案がとりまとめられた。
 ところが、この計画案に対して、周辺住民の間から「オリンピック招致やサッカー・ワールドカップ開催のための一時的な目隠しではないか」「なぜ長居公園だけを対象にしているのか、これで本当の解決ができるのか」「場当たり的に10億円もの市民の税金を使うのは納得できない」「避難所をつくった後にまた路上生活者が生まれるのではないか」など様々な疑問や意見が出されている。
 これら多くの市民の声は、このホームレス問題が深刻化して3年余も経過している今日、なお抜本的、総合的な対策が示されていない中で、至極当然と言わなければならない。
 よって、本市会は、長居公園内における仮設一時避難所の整備については、周辺住民の合意なしに強行することのないようにすると共に、就労対策の強化をはじめ、簡易宿泊所の活用や生保適用など、抜本的なホームレス対策を確立されるよう強く要望する。
 以上、決議する。

 


(共産党も賛成し採択)

骨髄移植に関する医療保険の適用拡大を求める意見書

 日本の公的骨髄バンクは、1991年12月に骨髄移植推進財団が設立されて本格的な事業が階市され、1993年1月に始まった非血縁者間移植は既に2,000例を超えている。
 しかしながら、患者とその家族にとっては、「血液難病」と診断され、根本的な治療法である骨髄移植を指示されながらも血縁者の中に骨髄液の提供者(ドナー)を見出せず、また、骨髄バンクによって善意のドナーが現れても、なお、50万円以上の患者負担金が必要とされるなどの精神的にも経済的にも過重な負担を強いられている。
 一方、骨髄推進財団は公的骨髄バンク事業の主体を担うべき重要な組織でありながら、非常に困難な財政状況に直面している。収入の大半を厚生省からの補助金、患者負担金、善意の寄付金に頼らざるを得ないからであるが、このままでは事業の縮小を余儀なくされ、移植を希望する患者にとって不可欠なドナー募集活動にも支障を来たしかねないのが現状である。
 よって国におかれては、海外の骨髄バンクから提供される骨髄液を含め、骨髄移植に使用する骨髄液に医療保険点数をつけることにより、現在骨髄バンクを介した骨髄提供に派生している患者負担金を解消するとともに、骨髄バンクの運営経費についても、補助金による国庫補助ではなく、医療保険会計によるものとされるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。  

 


(日本共産党の原案)

義務教育国庫負担堅持、教職員定数抜本改善を求める意見書(案)

 義務教育費の国庫負担は、「国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上を図ること」(義務教育費国庫負担法第一条)を目的とされているように、教育施策の重要な柱となっている。
 ところが政府は、すでに適用除外にされ一般財源化された教材費・旅費に続いて、教職員給与費の半額国庫負担制度や教科書無償制度の見直し、削減を行おうとしている。もし、その財源が地方自治体に転嫁されれば、地方財政を著しく圧迫すると共に、ひいては、一層の父母負担増につながるなど、義務教育制度そのものを大きくゆるがすことになるのは必至である。
 また、少年による凶悪な事件、不登校・登校拒否の増加、校内暴力や学級崩壊など、今日ほど教育のあり方が大きく問われている時はない。
 受験競争の緩和や30人学級の実現、世界一ともいわれる教育費の父母負担軽減など、日本の遅れた教育条件の抜本的改善が強く求められているのである。
 よって国におかれては、かかる教育の現状に鑑み、以下の施策を取られるよう強く要望する。

1、義務教育国庫負担制度を堅持するとともに、すでに除外された教材費、旅費 などを復元すること。
2、一人一人の子どもたちの教育保障を充実させるために、30人学級早期実現、 教職員定数の抜本的改善をおこなうこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(共同提案で採択)

教育予算の拡充と教職員の定数改善、義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書

 昨今、青少年にかかわる事件が多発している社会情勢にあって、学校教育をとりまく状況も多様化・複雑化しており、学校現場では、いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊など深刻な問題に直面している。これらの課題を解決し、一人ひとりの子どもを大切にしながら個に応じた教育をこれまで以上に進めるためには、多様な学習が可能となる学級編制や教職員配置など教育環境の整備が必要であり、本年5月の文部省の「教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議」報告においても、教員1人当たりの児童生徒数の欧米並みの水準への改善や学級編制基準と教職員配置の弾力化などが指摘されているところである。
 一方で、義務教育費国庫負担制度は教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、義務教育の根幹をなす制度として機能してきたが、政府はこれまでに、旅費、教材費、恩給費、共済費追加費用を一般財源化し、地方自治体に大きな負担をもたらしてきた。子どもたちへのきめ細かな学習指導と行き届いた教育を保障するための学級規模と教職員定数の改善、教育の機会均等と教育水準の確保は国の責務であり、国民や地方自治体に転嫁してはならない。
 よって国におかれては、将来展望にたった教育予算の拡充と少人数学習が可能となる教職員定数の改善を引き続き図るとともに、義務教育費国庫負担制度、義務教育教科書無償制度を堅持することを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(日本共産党の原案)

介護保険制度の改善を求める意見書(案)

 1号被保険者からの介護保険料徴収が、いよいよ10月から始まろうとしている。この通知に対する高齢者からの苦情・相談が、「2週間で来所が600件、電話が530件」(住之江区)など、各区の区役所窓口に殺到している。
 保険料は、介護保険制度の根幹にかかわる問題であり、実際に払えない低所得者への減免措置をどうするかが大きな議論になってきた。ところが政府はこれを見送り、徴収開始の半年延期、その後1年間は半額などの一時しのぎの対策しかおこなわなかった。この先送りの矛盾が一気に噴出したものである。
 同時に、介護保険のさまざまな矛盾の中で、とりわけ深刻な問題は、利用料が高いために必要なサービスが受けられないお年寄りが続出していることである。保険料の徴収が始まれば、必要なサービスをさらに縮小せざるをえなくなることは、火を見るよりもあきらかである。大阪市の実態調査中間報告でも、サービス利用者の66.4%が、「利用料金が増えた」と回答しており、利用料の減免は切実な課題である。
 よって、国におかれては、最小限、以下の事項について緊急に措置されるよう強く要望する。

1、保険料は、住民税非課税の高齢者・低所得者から徴収しない措置を緊急にとること。
2、利用料は、住民税非課税まで在宅介護の利用料を無料にすること。当面の最小限の 措置として、政府の「特別対策」である、訪問介護利用料の3%への軽減措置を、新 規のサービス利用者も含めて、訪問看護、通所介護(デイケア)、訪問入浴などすべて の在宅サービスに拡大すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(共同提案で採択)

介護保険制度に関する意見書

 我が国の人口の高齢化は急速に進行しており、介護や介助を必要とする高齢者が増え続け、高齢者の介護や介助問題に対する国民の関心も非常に高まっている。
 このような中、国民生活や地方行政財政に極めて重大な影響を及ぼす介護保険制度が、本年4月から実施され、約6か月が経過した現在、介護サービスの質・量等にかかわって様々な意見も出されており、特に、10月からは、65歳以上の高齢者からの保険料徴収が開始されることもあり、よりきめ細やかな対応が求められているところである。
 よって国におかれては、介護保険制度について、より一層広く国民の理解と協力が得られるよう広告活動にも努められるとともに、地方自治体や要介護者及び家族に過重な負担を生じさせることなく、国の責任において、将来にわたって長期的に安定した運営となるよう努められたい。特に、施設整備や人材確保などサービス基盤の早急な整備を図るための国庫補助制度の拡充と、事務システムの構築や事務に要する人員の確保に必要な財政措置を講じられるとともに、低所得者等の保険料や利用者負担の減免については、高齢者の所得状況等の実態を踏まえ、介護サービスの利用が制限されることのないよう特段の措置を講じられるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(合意に至らなかった日本共産党原案)

消費税の大増税に反対する意見書(案)

今日本経済は、依然として深刻な状況にある。7月の政府統計でも、4.7%と高止まりしている完全失業率、前年を下回る実収入、3ヶ月連続マイナスの勤労者世帯の消費支出など、消費、雇用をめぐるきびしい実態が鮮明になっている。
 堺屋経済企画庁長官も、今年度後半の景気は楽観できないとし、警戒すべき点として個人消費と雇用をあげている。景気回復への道筋をつけるためにも、消費と雇用に本格的なテコ入れをすることが、今強く求められているのである。
 ところが政府税制調査会は、7月の「中期答申」で、消費税大増税の方向を強く打ち出した。税率の水準についても、「将来の消費税率としては、最低20%程度を覚悟しなければならない」(『経団連くりっぷ』8月10日号)など、具体的な数字が打ち出されている。仮に、税率が10%になれば、4人家族で新たに年間40万円も負担が増えることになる。
 これでは、ただでさえ落ちこんでいる国民の可処分所得を一層低下させ、消費不況を一段と激化させることにならざるをえない。景気の回復どころか、ますます経済状況を悪化させることは明らかである。
 よって、国におかれては、消費税の大増税計画をやめるとともに、当面、多くの国民が切実に求めている食料品非課税を断行されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(合意に至らなかった与党案)

今後の税制改革に関する意見書(案)

 9月の月例経済報告によると、景気は、厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善がつづいているとされ、政府は、引き続き、景気回復に軸足を置いた経済・財政運営をおこないつつ、景気を自律的回復を軌道に乗せていくよう全力を挙げ、我が国経済の動向等を注意深く見ながら適切に対応することとしている。
 このような中で、9月14日、政府税制調査会は、少子高齢化の進展や財政再建などに伴う国民の負担増への対応を大きなテーマとして新たに税制改革論議を開始した。
 その中で宮澤大蔵大臣は、財政構造改革は必ず実現しなければならない課題であり、景気回復を一層確かなものにした上で、21世紀の経済社会のあるべき姿を展望する幅広い観点から組みたいとして、今年度に議論を展開することはないとの見方を明らかにしたものの、今後、消費税率の引上げや所得税の課税最低限の引き下げなど、税制の根幹にかかわる見直しの必要性を示唆されたところである。
 言うまでもなく、税制の国民生活与える影響には大なるものがあり、税制いかんによっては、回復基調にある景気に水を差すとの議論もあるところである。
 よって国におかれては、今後の税制の検討に当たっては、我が国経済の状況にかんがみ、国民の理解と支持が得られる真に21世紀を展望した税制となるよう検討されることを強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(日本共産党の原案)

医療制度の改悪に反対する意見書(案)

 ここ数年、健保本人2割負担はじめ、高齢者の一部負担の増大など、医療制度が次々と改悪されてきた。こういう中で、医者にかかりたくてもかかれない等の深刻な事態も生まれている。そして、このことは、厚生省の国民生活意識調査でも明らかになっている。
 ところが政府は、その上70歳以上の高齢者の医療費負担に原則1割の定率性を導入するなど、患者負担をさらに引き上げる医療制度の改悪を、2001年1月から実施する方針を固めたと伝えられている。
 もし、これが強行されるなら、介護保険料の徴収とも相まって、高齢者にとっては耐えがたい負担となり、一層受診抑制が進むことは明らかである。
 よって、国におかれては、定率負担導入など、高齢者への新たな負担となる計画は中止されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(合意に至らなかった与党案)

医療保険制度の抜本的改革に関する意見書(案)

 9月24日に召集された臨時国会に、70才以上の高齢者に定率1割の負担を求めることなどを柱とした医療保険制度改革法案が提出されたが、今回の法案は、定率負担の導入という抜本的改革につながる項目はあるものの、高齢者に負担増を求める内容であることなどから慎重な審議を求める声も聞かれるところである。
 このような中で、関係者間における意見の対立が解消されず、医療保険制度の抜本的な改革内容のとりまとめと、その実現が遅れるようでは、国民の医療保険制度に対する不信感を増大させるのみならず、医療保険制度が破綻し、国民生活にも重大な影響を及ぼす事態を招かないとも限らない。
 よって国におかれては、医療保険制度が国民生活の中で極めて重要な役割を果たしていることにかんがみ、法案の審議に当たっては、国民の理解と支持が得られるよう十分な議論をつくすとともに、引き続き診療報酬体系の改革、薬価制度の改革など、医療保険制度全般にわたる抜本的な改革を進められるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

10月18日の本会議関係の意見書・決議

  

(共同提案で採択)

育児・介護休業法の拡充を求める意見書

 近年、我が国では少子化が急速に進行しており、合計特殊出生率は1999年には過去最低の1.34人となり、将来の我が国の経済・社会に深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。労働者が安心して育児や家族介護を行うためには、出産・子育て対策などともに仕事と家庭の両立支援や経済的負担の軽減などが図られなければならない。
 このような中、1995年にそれまでの育児休業法が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児・介護休業法)へと法改正され、1999年4月から介護休業制度が発足した。
 しかしながら、その制度内容と運用状況は、労働者が仕事と家庭を両立させるためには多くの課題を残しており、国においても労働省の女性少年問題審議会において法改正へ向けての審議が始まっている。
 よって国におかれては、労働者が仕事と家庭を両立させ、子育てや介護を社会全体で支えるため、短時間勤務制度の拡充、子ども・家族介護休暇制度の新設、男性の育児休業取得促進策、時間外労働等の免除措置、所得保障の拡充などを盛り込み、育児・介護休業法を「仕事と家庭の両立支援法(仮定)」へと法改正するとともに、社会環境の整備を行うよう強く要望する。
  以上、地方自治法体第99条の規定により意見書を提出する。

 

 

 

(合意にいたらなかった日本共産党の原案)

参議院選挙制度の改悪に反対する意見書(案)

 今国会に、参議院比例区に非拘束名簿式を導入する等の「公職選挙法の一部を改正する法律案」が提案されている。
 ところが、本年2月25日、参議院選挙制度改革に関する協議会において、2001年7月に行われる参議院選挙制度について、「抜本的な改革は、時間的に困難であり、現行の拘束式比例代表制を維持することを前提として議論を進めることになった」とする座長の報告書がまとめられ、議長ならびに全会派がこれを了承していたのである。
 つまり、参議院選挙制度協議会という正規の機関における全会派の一致の「合意」というものを一方的にくつがえし、突如として10月3日、国会に提出されたのである。
 国会内外において、議会制民主主義を踏みにじる暴挙であるとの強い非難の声があがっているのは当然である。
 そもそも、選挙制度は、主権者国民がその主権を行使する方法、手段の問題であり、言わば、民主主義の基本的なルールである。したがって、この基本的なルールを改変するに際しては、何回もの国会にわたって慎重にも慎重を期して、審議を重ねることが肝要であり、又、通例なのである。
 しかるに、今回のように、会期72日間の臨時国会で一気に強行してしまおうなどということは、論外の極みと言わなければならない。
 しかも、今回提案されている「非拘束名簿式」は、候補者個人の得票が政党の得票として合計されるという“票の横流し”に等しいものであって、有権者の意思に反して当選者が出るなど、有権者の意思が正確に反映されないという選挙制度にとって致命的ともいえる重大な欠陥があるのである。
 よって、国におかれては、今回の提案がその出し方や内容において、一片の道理もないことから、今臨時国会で強行成立されることのないよう強く要望するものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(合意に至らなかった与党案)

参議院選挙制度に関する意見書(案)

 今臨時国会においては、参議院比例代表選出議員選挙への非拘束名簿式の導入などを柱とする公職選挙法の改正案が提案されているが、その取り扱いをめぐる与野党対立を起立として、同法案をはじめ少年法改正案、あっせん利得処罰法案、医療保険制度改革法案など、いずれも国民生活に直結した重要案件の実質的審議が進まず、国民の政治に対する信頼をも失墜しかねない極めて憂慮すべき事態となっている。
 言うまでもなく、選挙制度は議会政治の根幹にかかわる制度であり、国民にとって望ましい制度を目指すことが、本来肝要である。
 よって国会におかれては、国民の政治への信頼を確保するため早急に現状を打開するとともに、国民の理解と支持が得られる分かりやすい選挙制度を目指して議論されるよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。