市民の願いにこたえる施策 予算の流れ変えれば可能

大阪市会3月議会を終えて

      大阪市議団が談話            

                          
   日本共産党大阪市会議員団
                             
幹事長・関根信次

  2000年度の大阪市予算案を審議する市議会が、3月30日に閉会した。
 今回の市議会では、昨年秋の大阪市長選挙で大きな争点になった、市の財政破綻と市民生活へのしわ寄せをもたらす巨大開発を推進するのか、それとも、くらし・福祉優先に転換するのかがいっそうするどく問われた。
 不況と大企業減税の影響で、市税収入が7千億円を大きく割り込むもとで、市債残高は、全会計で5兆597億円(2000年度末見込み)にまでふくらみ、市民1人当たりの借金は実に194万円にもなるなど、財政危機はいっそう深刻になっている。こういうもとで、巨大開発や不公正・乱脈な同和予算を根本から見直し、公共事業は福祉・生活密着型に切り替え、高齢者や子ども、中小企業への支援を拡充することが、市民のくらしをあたたかく、明るくする道である。
 ところが、市の予算案は、夢洲の土地造成などに194億円、夢洲大水深コンテナ埠頭整備に57億円、北港テクノポート線着工33億円など、夢洲開発の推進をはじめ、USJへの出資・貸付55億円、関空二期事業への出資・貸付63億円など、巨大開発に大盤ぶるまいの予算や、WTC、ATC、OCAT、いわゆる3Kの経営破綻への穴埋め97億円を計上した。
 私たち15名の議員団は、市民の切実な要求運動としっかりむすんで、市民本位の予算になるよう、代表質問、委員会質疑にとりくむとともに、直前に迫った介護保険制度で市独自の保険料・利用料の減免・減額や、大阪市が4月から改悪を予定している老人医療費助成制度の継続など、市民のための施策が前進するよう奮闘し、閉会本会議では、介護保険条例修正案と予算の組み替え動議を提案した。
 そのなかでの大きな特徴は、以下の4点である。
@ 大阪市が「市政の最重要課題」としている夢洲など大阪湾開発が、まったく成算のない無謀な計画であることが浮き彫りになった。夢洲に1万5千戸、4万5千人の街をつくる計画に、基盤整備だけで5、6千億円が必要とされているが、開発の中心を 担う埋め立て事業会計は底をついてることが明らかになった。夢洲への地下鉄・北港 テクノポート線は、南港のニュートラムの経営状況からいっても、とても採算のとれる見通しはない。
A 高齢者対策、子育て支援など、市民の願いにこたえる対策は、予算の流れを変えれば可能であることが明白になった。委員会でのわが党委員の質疑の中で、介護保険料を老齢福祉年金受給者・生活保護世帯は無料とし、他の階層を4分の1づつ減額した 場合の予算は48億円であること、老人医療費助成と高齢者医療費一部負担金制度は、60億円、46億円で市独自に継続できること、中学校給食を実施するための施設は毎年25億円の5カ年計画で全中学校に整備できることなどが明らかになった。
B 磯村市長の答弁は、まったく市民に背を向けたものであった。関空二期事業については「拠点空港は後背地の力が必要で、ユニバーサルスタジオジャパンの完成などで利用者はふえる。滑走路は二本必要」とのべた。大正区で区内小売店舗面積の3分の1にも相当する大型店が出店しようとしており、これに区内全商店街があげて出店反対の声をあげている問題では、「最初から大型店舗が出てくることにただひたすら反対」するのでなく「共存共栄という方式を選びたい」「成り行きをじっと見守っていきたい」などと事実上商店街を見殺しにする答弁をした。新ガイドラインについては、「日本は法治国家であり、外交・防衛上の問題として、国会が慎重に決めたものであ り、無視できない」と答弁。「日の丸・君が代」については、「国旗・国歌に、市民一人一人が誇りをもってのぞむことがのぞましい」などとのべた。
C 自民党、公明党、民主党・市民連合(旧社会党系)、民友クラブ(旧民社党系)などのオール与党は、当局提案の予算案を容認し、可決した。また、この一年間に出さ れた多くの請願・陳情の内、44本を否決した。「新ガイドライン反対」「国保料の引き下げ」「在宅介護手当の創設」「老人医療費の助成」「保育関係予算の拡充」  「学童保育補助金増額」「教育費の父母負担の軽減」「三十人学級の実現」「ダイオキシン対策」「分譲マンションへの公的支援」「ニュートラム添乗員の乗務」などいずれも切実なものばかりで、オール与党の反市民的役割がはっきりした。
 また、今回の市議会では、「大阪市人権尊重の社会づくり条例案」(通称、人権条例)が突然提出されたこともあり、同和行政が大問題になった。
 大阪市では、30年におよぶ同和対策事業で1兆1千億円をこえる膨大な予算が投入され、「同和と一般」の格差は基本的に解消し、誤った認識や偏見も大きく薄らいでいる一方、いわゆる「逆差別」がひどくなっており、一日も早い同和行政の終結が求められる。ところが今回も、実質3百億円を超える同和関係予算が計上され、解同の利権の温床になっている市同促・地区協方式も継続することを明らかにした。
 問題の人権条例は、去年7月、「解同」大阪府連が、磯村市長、三助役、各局長を一堂にそろえた交渉の場で要求し、市長が「年度内に提案する」と約束していたもので、「解同」の要求によるものであることは明白である。しかもこの条例案には、「市の責務」と「市民の責務」が盛り込まれているように、同和行政の永続化の根拠とされ、市民の内心の自由を侵す大きな危険があり、わが党議員団はこの条例の撤回を主張して奮闘した。
 多くの民主団体からも条例案撤回を求める陳情が出され、わが党の論戦とあいまって、当局・与党の矛盾が深まり、「何人も同条(市民の責務)に規定する施策を市民に強制してはならない」などとする附則を加える修正案が出され、わが党は反対、民主党・市民連合は保留し、多数で採択された。
 わが党議員団は、市政の転換と当面する総選挙の勝利へ、引き続き全力をあげて奮闘するものである。