意見書・決議の経過

 12月15日の開会本会議で、与党側が提案した「ホームレス対策に関する意見書案」について一部字句修正を、「結核対策の積極的な推進に関する決議案」についても賛成し、共同提案で採択。
 日本共産党は、「横山大阪府知事の辞職を求める決議案」と「年金法案の撤回を求める意見書案」を提出しましたが、折衝の結果取り下げました。
 1月26日の閉会本会議では、与党側が提案していた「臍帯血利用料の保険適応等を求める意見書案」「インターネットの有効活用に資するための法整備に関する意見書案」については、日本共産党も賛成し共同提案で採択。
 日本共産党が提出していた「ワールドトレードセンタービルへの建設局などの移転計画の撤回を求める決議案」「ニュートラム添乗員の存続を求める決議案」に対し、与党側から対案として「庁舎の移転、集約化に関する決議案」「ニュートラム添乗員の廃止に際して万全の対策を求める決議案」が出され、採決で与党案が採択され、日本共産党案は一事不再議となりました。
 また「年金法案の撤回を求める意見書案」に対しても、与党側から対案が出され、折衝の結果両案とも取下げ。

 
                     (共同提案で採択)

 ホームレス対策に関する意見書  

 本市では、道路、公園、河川敷等において、テント等で小屋掛けして野宿生活を送る者が近年の雇用情勢の悪化等を背景にして増加し、昨年8月の調査では8,660人を数え、現在では1万人を超えていると推定されている。また、その地域も拡散化してきており、公共施設の正常な運営が阻害されるなど、様々な形で市民生活に人きな影響を与え、深刻な社会問題となっている。  
 このような公共施設の不法占拠状態に対して総合的な対応策を講じ、一刻も早く正常な状態に復元するなど地域環境の整備が求められているが、一地方公共団体で対処・解決することが困難な事態に立ち至っていることから、本年2月に、国の関係省庁及び本市を含む大都市で構成する「ホームレス問題連絡会議」が設置され、5月には「ホームレス問題に対する当面の対応策について」が取りまとめられている。
 さらに国は、緊急雇用対策として「緊急地域雇用特別交付金制度」の創設などに取り組まれたが、今なお厳しい雇用情勢が続いていることから、「当面の対応策」に基づき、特定の都市・地域にホームレスが集中することのないように全国一斉に実効性のある施策の展開、ホームレス対策を総合的に推進する観点からの対策が一層求められているところである。  
 よって政府におかれては、ホームレス対策に関する特別立法の制定、全国のホームレスの実態調査の実施、就労自立のための全国規模での実効性のある特別就労事業の実施、全国主要都市における自立支援事業の一斉実施に向けての支援、結核等の感染症の予防や緊急時の医療確保等の保健医療対策の充実、地方公共団体が実施する緊急援護事業への財政支援策を積極的に講じられ、不法占拠状態にある道路、公園、河川敷等の機能回復のための実効性のある施策を策定されるよう強く要望する。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。


(共同提案で採択)

  結核対策の積極的な推進に関する決議  

 我が国の結核事情は、国民の生活水準の向上や医学・医療の進歩などにより格段に改善されてきたが、いまだに平成10年で約4万4千人の新規結核患者が発生し、約2千8百人が死亡する我が国最大の感染症である。さらに平成9年にはこれまで順調に減少してきた新規結核患者数が38年ぶりに増加し、今後も増加していく危険性があるところから、厚生省においては、本年7月26日に「結核緊急事態宣言」を発表したところである。  
 特に、人阪市の罹患率は全国平均の約3倍という高い状況にあり、こうした状況を改善していくためには、現在実施している様々な結核対策をより一層積極的に推進していくことが急務であると考える。  
 よって本市会は、大阪市が国・大阪府など関係機関とも連携し、学識経験者の意見も踏まえて調査・検討を行い、体系的な指針と目標に基づいて、多様な媒体を活用した継続的な普及啓発活動の実施、市民検診の未受診層への幅広い勧奨と受診機会の拡大、接触者集団検診の徹底やDOTSの継続実施など、大阪市の地域特性に応じた結核に対する効果的な対策を本市地域保健体制のもとで、より充実強化していくことを強く要望するものである。  
 以上、決議する。    

 

 
                            (共同提案で採択) 
      臍帯血利用料の保険適用等を求める意見書  

  安全な白血病治療として注目されている臍帯血(へその緒と胎盤に含まれる血液)移植について、提供者の負担が軽く、しかも迅速・公平・安全に移植を受けることができるという有効的な移植法であることから公的臍帯血バンクが設立され、平成10年4月より臍帯血移植治療技術に対し、医療保険の適用がなされたところである。  
 しかし、臍帯血移植治療を受ける際に、臍帯血利用料に保険が適用されないことから、臍帯血の保存・管理等に要する費用が移植治療を受ける患者に転嫁されることや公的臍搦血バンクが負担する場合があるなど、患者及び公的臍帯血バンクに大きな負担となっている。これでは、せっかくの白血病治療法に有効である移植治療が利用されなくなるだけてなく、公的臍帯血バンクの運営にも支障をきたすおそれがある。  
 よって政府におかれては、早急に臍帯血利用料に対する保険適用を図られるとともに、公的臍帯血バンクの安定的運営のための助成強化を行い、さらに厚生省が進めている2万個の臍帯血収集についても、その目標期間を5年から3年に短縮するよう強く求めるもである。  
 以上、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。  

   

                
                                                     (共同提案で採択)
                           
インターネットの有効活用に資するための法整備に関する意見書 

 インターネットの急速な普及とともに、その効用性、利便性の飛躍的な向上の一方で、個人への中傷・誹膀やプライバシーの侵害、名誉棄損、詐欺行為、その他多くのネット犯罪が急増し、大きな社会問題となっている。  
 最近では、学校のいじめ問題を実名入りでホームページに掲載され、その関係者が退職に追い込まれたという事例が起きており、こうしたインターネットの利用については、人権侵害など多くの問題点が指摘されている。  
 だれもがいとも簡単にホームページの開設ができるインターネットの利用においては、その情報発信者に対し、あくまで正確な情報であること、かつ人権への十分な配慮がなされることが求められるところである。  
 今後、インターネットは家庭を含めたあらゆる分野に、大きく普及していくことは間違いなく、それを前提としたとき、人権及び個人情報の保護をはじめとして、ネット上に起こってくるあらゆる犯罪に厳しく対処していくことが強く求められている。  
 よって政府におかれては、インターネット社会における個人のプライバシー保護法の制定並びにインターネット接続業者及び利用者の責務の明確化など、早急に健全な高度情報通信社会構築のための法整備を図られるよう強く要望する。  
 以上、地方自治注第99条第2項の規定により意見書を提出する。
  

 


                                                (採択された4会派案)
                 庁舎の移転、集約化に関する決議  
 長引く景気低迷のもと、本市財政はもとより、本市外郭団体の経営も非常に厳しい状況にある。今回、建設局、下水道局、水道局の移転が計画されている大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)への庁舎移転・集約化は、先の本市の第3セクターに対する異例の財政支援に続く、実質的には追加支援である。  
 このことは、いかに厳しい経営状況下にあるとはいえ、WTC本来の事業目的にかなうものでもなく、当初の事業計画はもとより、財政支援にあたって示された経営改善計画についても見通しが甘かったものと指摘せざるを得ない。  
 しかしながら、21世紀の本市の発展を目指すうえで、ベイエリア地区の活性化は市政の最重要課題の一つであり、2008年オリンピックの開催を視野に人れた新しいまちづくりを積極的に進めていかなければならないところである。  
 よって本市会は、WTCに対して、中長期的な収支見通しと展望を明確にし、総力を挙げた経営改善に努力されるよう強く求めるとともに、理事者におかれては、共同責任をもつ株主や金融機関等にも応分の支援・協力を要請するなどあらゆる観点から不退転で経営改善に取り組まれるよう要望する。また今回の庁舎の移転・集約化については、くれぐれも市民の負担増や市民サービスの低下を招くことのないよう、十分に精査・検討し、市民の理解が得られるよう努め、さらに、庁舎の跡利用についても、地域の特性を踏まえ、資産の有効活用の観点から最大限の効果を発揮できるよう議論を尽くして、慎重に検討されることを強く要望する。  
 以上、決議する。  

 

 
                           (一事不再議となった日本共産党案)

 
ワールドトレードセンタービルへの建設局などの移転計画の撤回を求める決議(案)
 

 今回のワールドトレードセンタービル(WTC)への建設局・下水道局、水道局などの移転計画は、その異常さゆえに、多くの市民に衝撃を与えている。  
 元々、このWTCは、「国際交易情報、国際交易業務サービスの拠点」にするなどとして、建設されたものである。  
 ところが、バブルの発想に基づいて、余りにも巨大なビルにした為に、オープン当初から、コンセプトとはかかわりなくテナントを入れざるをえなかった。いわゆる単なる雑居ビルに等しいものとなったのである。しかも、銀行などからの借入金が977億円と大きくふくらんだことによる莫大な利子負担や巨大ビルゆえの膨大な維持管理費などで容易に採算のとれないものとなったのである。  
 果たせるかな、たちまち経営危機に陥ることとなった。大阪市は、多くの市民の反対を押し切ってなりふりかまわぬ支援策をとった。みずからの大失敗のツケを市民に押しつけたのである。  
 駐車場等の買い取り(51億円)やフェスパ・ライトアップ負担金(29億円)の支出などに続いて、98年度からは空きフロアーを埋めるために、港湾局や関係団体を入居させると共に、枯渇した資金の手当として、年40億円、8年間にわたる合計321億円もの公的資金投入に踏みきった。20年据え置いた後、30年間で償還させるという破格の条件であるが、元より返ってくる保障は全くない。  
 98年度当初にたてた長期収支計画では、2010年度で償却前黒字にするとのものだが、その前提として、99年度オフィス入居率を100%にすることだった。ところが、実際は75%にとどまっている上に、三井物産やUSJなどの大口テナントの退去も近々予定される羽目となった。  
 つまり、このWTCの事業は、公共性、公益性が極めて希薄である上に、経営的にも既に破綻しているのであって、これ以上市民の税金などで穴埋めすることは、とうてい許されるものではない。  
 ましてや、永年市民から親しまれて、市自らの所有建物に入っていた水道、建設、下水道の各局を無理矢理移転させて、WTCを第二庁舎の如くにするなどということは、もっての他と言わなければならない。
 よって、本市会は、このような計画をただちに撤回し、株式会社の自主努力に委ねるよう強く求めるものである。  
 以上、決議する。  

                       


                          (採択された4会派案)
二ュートラム添乗員の廃止に際して万全の対策を求める決議

  二ュートラムは、無人運転を前提としたコンピュータ制御による自動運転システムを採用しており、平成3年10月より無人運転を行ってきたものであるが、去る平成5年10月に多くの負傷者を出す事故が発生したことは誠に遺憾である。
 その後、交通局ではこの事故の教訓に鑑み、更なるシステム改善、自動運転システムの安定化などあらゆる観点から安全対策の向上に努められ、国における安全確認を得るなど、今日においては、その安全性については揺るぎないものとなっているとして、先頃、二ュ一トラム添乗員の廃止等が市会に報告されたところである。  
 しかしながら、添乗員の廃止に際しては、現在の安全性やシステムの信頼性の説明、混雑緩和や利便性向上の努力等も必要であることはもちろんのこと、とりわけ市民・利用者の不安感に配慮して、職員による巡回等トラブル時への対応ができるようにするなど、きめの細かい施策の実施が不可欠である。  
 よって理事者におかれては、かかる状況を十分認識され、二ュートラム添乗員の廃止に際しては、市民・利用者の理解が得られるよう十分な周知を図るとともに、防犯対策の観点からも、特に早朝・深夜を中心とした重点的な巡回を実施し、さらに異常時の的確な対応の確立にも努められるなど、万全の対策を講じられるよう強く要望する。  
 以上、決議する

 

 

 
                   (一事不再議となった日本共産党案)
     ニュートラム添乗員の存続を求める決議(案)

  市交通局は、平成5年のニュートラムの暴走事故以来続けてきた添乗員の配置を取りやめて、この2月20日より再び無人化を強行するとしている。  
 当局は、「ニュートラムは無人運転を前提としたコンピュータ制御による自動運転システムを採用」しており、「平成5年の事故後、車両・地上側での十分な安全対策を施した」としているが、だからといって「絶対」だといえるものではない。あの事故について、最新の科学と技術を駆使したにもかかわらず、結局、その原因を究明できなかったのであり、そうして同時に、機械やシステムには、故障やトラブルというものがありうるからである。 最近でも、痛ましい死亡事故まで引き起こした茨城県・東海村核燃料工場での臨界事故にみられるように、経済効率優先と「安全神話」が、国民の生命、安全にとっていかに重大な危機をもたらすかをまざまざと示した。  
 まさに、このニュートラムの事故やトラブルから引き出すべき最大の教訓は、経済効率優先、安全第二の姿勢を根本から改めることにあったのであり、人命を預かる交通事業にとって、二重三重のチェックシステムにしたので「絶対安全」であるとの「神話」に固執することは許されるものではない。  
 また何よりも、あの事故によって損ねられた市民の信頼が回復していないことである。当局にしても、市民・利用者の合意と理解を無人運転再開の条件とせざるをえなかったのであり、今回、「市民・利用者への周知」でことたれりとするのは、論外と言わなければならない。  
 よって、本市会は、引き続き添乗員の存続を強く求めるものである。
 以上、決議する。