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わからないから反対は「無責任」?


 「都構想に反対している人たちが『わからない人は反対してほしい』というのは政治家ならば無責任すぎる」。大阪維新の会の松井一郎幹事長(大阪府知事)が27日、大阪市難波の街頭で発言しました。大阪市を廃止し五つの特別区に分割することの是非を問う住民投票の告示日の第一声です。

 橋下市長がメーンに話した「特別区設置協定書の住民説明会」は26日まで39回開催。橋下氏の熱烈な支持者もいましたが、「わからんことだらけ」と感想をもらす市民が後を絶ちません。4月初旬の世論調査では7割が「説明不足」と答えました。

 だいたい住民への説明期間が短いのです。特別区設置協定書が公表されたのは今年3月19日。冊子になった協定書は約700ページ。市が作成した説明パンフレットが市民に配布されたのは、2週間前の4月13日からです。

 「よくわからない人は住民投票で反対に投票しよう」と呼びかけることは「無責任」なことなのでしょうか。

 大都市法は、「有効投票の総数の過半数の賛成があったときは…特別区の設置を申請することができる」と定めています。どんなに投票率が低くても1票でも賛成が上回れば「大阪市廃止」が決定します。決まれば元に戻す法律はありません。事は、市民の暮らしや街づくりに直結する政令指定都市・大阪市の廃止という大問題。「よくわからへん」「うさんくさいな」と疑問を持つ人が棄権することなく反対に投じることは当然です。その当然のことを「無責任」となじることこそ「白紙委任」を強いる無責任な態度です。

(星)

(2015年4月29日付しんぶん赤旗)