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大阪市の水道民営化許さぬ

大阪市の水道民営化について岩崎賢太市議の報告


 大阪市で橋下徹市長が進めている水道事業の民営化はとんでもないと、「大阪から公害をなくす会」が呼びかけた緊急学習会が24日、同市内で開かれ、民営化を許さない運動を本格的に広げていくことを確認しました。

 緊急学習会「本格的に運動を」

 橋下氏は、大阪広域水道企業団との水道統合の議案が昨年5月、市議会で否決されたことを受け、市単独での民営化に方針転換。大阪市水道局は2015年度中の実現を目指す水道事業民営化の基本方針案を今月、発表しています。市が施設を保有したまま、100%出資する新会社が運営する「上下分離方式」の民営化で、基本方針案では市と運営会社の契約期間を30年と設定しています。水道法では「水道事業は、原則として市町村が経営する」と明記されており、市町村単位での民営化事例は国内には存在しません。

 学習会では日本共産党の岩崎賢太市議が報告。民営化の問題点として▽管路の耐震他が進む保証がない▽料金改定が議会のチェックなしになる▽非正規雇用やアウトソーシング(委託化・請負化)推進でいいのか▽法人税などの負担が足かせになるーなどの点を指摘し、「公営でこそ安全・安心の水供給ができる」と強調しました。

 元大阪市水道局職員の中村寿子さんが、市水道局の役割を詳しく説明。「公でないとできないところがある」と強調しました。

 市側は民営化関連議案の来年3月可決を想定。出席議員の3分の2以上の賛成が必要だった水道統合議案と違い、過半数で可決となるため、情勢は予断を許しません。議会の動向を左右する世論がカギを握っています。

 「大阪から公害をなくす会」の中村毅事務局長が、5月議会に向けた署名集めや、開会日(5月2日)の会派要請、市役所前宣伝など民営化を許さないための当面の取り組みを提起しました。

(2014年4月26日付しんぶん赤旗)


 公営でこそ安心・安全

 大阪市の水道民営化について 岩崎賢太市議の報告

 大阪市で橋下徹市長が進めている水道事業の民営化の問題点について24日、市内での緊急学習会で、日本共産党の岩崎賢太市議が行った報告の要旨を紹介します。

 

 大阪市は今月、水道事業民営化の基本方針案を決定しました。

 今回言われているのは、民営化する水道局の浄水場などの施設については大阪市が持ち、運営は市が100%出資する新会社にやらせるという形での民営化です。新聞で「2300億円で運営権売却」と報道されて市がずいふんもうかるのかなと思われた方もいるかもしれませんが、実際には30年間の話で年間では76億円程度です。しかも、その額は水道局の企業債の残債約2000億円とその利息約300億円を市が抱え、それを返すためのお金を新会社からとるということにすぎません。

 保証はない

 民営化すれば管路の耐震化が進むと宣伝していますが、施設を持つ市と運営会社のどちらが主体になって進めるのか今の段階ではまったくわかりません。何の保証もないのです。むしろ議会や市民の声が届かなくなり、運営会社が耐震化を放置することもありえます。

 料金はどうか。方針案では公営でも基本料金の950円から850円への値下げと、1001立方メートル以上使っている者、つまり事業者などにl立方があたり10円値引きできると言っています。この部分が民営化すれば、15円値下げできると言うのです。いまは逓増(ていぞう)制といってたくさん水を使うところにたくさん負担してもらっていますが、これが緩和されることになります。

 そもそも議会の権限が及ぶのは上限設定のみになり、料金改定が議会のチェックなしになります。値上げするときに議会の議決をとらなくてもできてしまうのは大変問題です。

 また方針案では、民営他によって効率化が進むといっていますが、これも非常に問題があります。水道局の職員はいま1641人いますが、600人以上減らし、1000人以下にするとしています。アウトソーシング(委託化・請負化)のいっそうの推進や非正規雇用の活用を掲げていますが果たじて大丈夫なのか。大阪市がブラック企業みたいなことをしてどうするんだということも言わざるをえません。

 また、民営化によって法人税などの負担が事業の足かせになりかねません。方針案は公営のままだと二十数年後に赤字になり、民営化ならずっと黒字という試算を出していますが、非常に疑わしい。議会で追及したいと思います。

 事業の意義

 だいたい、公営の水道事業の意義については市も認めているわけです。方針案には「水道は、市民生活、都市活動に1日たりとも欠かすことのできない最も重要なライフラインであり、かつ、代替のきかない事業である」「こうした水道事業の特性を踏まえ、水道水の安定給水を図る観点から、水道法では、水道事業は原則として市町村が経営するものとされている」と明記されています。

 また、「市町村単位での民営化事例は、国内にはこれまで存在しない」としています。水道事業体1429のうち、民営は9にとどまっており、そのほとんどがリゾート開発に伴い限定した地域で当初から民営で事業が展開されたと書いてあります。一般家庭向けにやられているものは、公営でやるのが当たり前で、民営化するのは異常なことだというのは市側の資料でも認めているわけです。

 公営でこそ安全・安心の水供給ができます。民営化に何の道理もないのは明らかであり、今度もみなさんと一緒に運動を広げて議会でも否決に追い込むために頑張りたいと思います。

(2014年4月27日付しんぶん赤旗)