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破綻した都構想 撤回を

大阪市議会本会議 井上市議が要求


 5日開かれた大阪市議会本会議で日本共産党の井上浩議員が質問に立ちました。橋下徹市長が固執する「大阪都」構想は住民サービスを良くする制度ではないことが明らかになり、構想そのものが破綻しているとして、撤回を要求しました。

橋下氏「収支不足解消する」と強弁

住民サービス維持できない

 井上議員は「大阪都」構想の制度設計案について、特別区の財源の乏しさ、様々なコストが生じることで、現在の住民サービスの水準さえ維持できなくなるのは明白だとし、「結局、財源・権限を『都』に吸い上げ、広域インフラに投資するのが最大の狙いだ」と迫りました。

 橋下市長は「特別区を住民サービスに特化すれば、5区案では数年で収支不足が解消する」とし、明日(6日)の特別区設置法定協議会に資料を出すなどと答弁しました。

 井上議員は、橋下氏が2年前のダブル選で二重行政を抜本的に解消・財源を捻出」(選挙公報)と公約していたことを示し、「今ごろ何を言っているのか」と批判しました。

 水道事業について橋下市長は、施設や土地などを保有したまま、運営権を市100%出資の新会社に譲渡する「上下分離方式」の民営化案を打ち出しています。

水道は公営で 供給に努めよ

 井上議員は、府内42市町村でつくる府広域水道企業団からも批判や疑問が出ていることを紹介し、「水道は公共性の高いライフラインであり、民営化ではなく、ダウンサイジングや管路の耐震化を進めるなど、安全・安心で安定した水供給に努めるべき」と主張しました。

 また南海トラフ地震などの災害対策こそ、府市一体で取り組むべき最重要課題だと力説。『大阪都』構想や施策切り捨ての「市政改革プラン」は、日常の地域の防災力を弱めるもので、災害対策に逆行していると主張しました。

医療への公的責任投げ捨て

 井上議員は、住吉市民病院(住之江区)の廃止後に誘致する小児・周産期の民間病院は、現行の医療機能を維持するには最低でも65床、もともとの現地建て替え案に照らせば84床が必要だと指摘。応募した医療法人(現在産婦人科10床)は69床を確保するというが、「本当に医師は確保できるのか、継続運営の保障はあるのか」と迫り、非公開の選定委員会を公開するよう求めました。

 井上議員は「小児・周産明医療だけでなく、災害・救急など公的医療を存続させるためにも、住吉市民病院は廃止すべきではない」と力説。

 橋下市長は「民間業者が一生懸命やっているので邪魔しないで」と述べ、公的責任を投げ捨てる姿勢をあらわにしました。

泉北高速売却で橋下氏「錬金術」発言 行政に「錬金術」いらぬ

井上市議が厳しく追及

 泉北高速鉄道を運営する第三セクター「大阪府都市開発(OTK)」の株式売却をめぐり、府が米投資ファンド・ローンスターに優先交渉権を与えると決めたことについて、橋下市長が記者会見(11月28日)で「大阪市交通局も同じようなことをやるべき」「いわゆる僕が言うところの錬金術」などと発言。5日の大阪市議会本会議で日本共産党の井上浩議員は、その真意をただしました。

 橋下市長は「都市構造の転換に相当なお金が必要。市民の税を投入してきたトンネルやレールが株式資産に変わり、必要なハードの整備を目指す」と答弁しました。

 井上議員は、ローンスター社は不良債権投資をてこに高収益を狙う「ハゲタカファンド」の一つだと指摘しました。

 さらに、橋下市長が2008年の知事就任直後に府庁敷地の土地鑑定を依頼し、その調査報告書では「大□投資家や外資、ファンド、ゼネコンなどの需要が見込める」となっていることを示し、「結局、市長がやろうとしていることは、市民の財産も公営企業も売り飛ばし、その原資を錬金術につき込むこと。市政のカジノ化だ。本来あるべき公共の福祉の機関の長の姿と相容れない」と厳しく批判しました。

(2013年12月15日付大阪民主新報)