title


大阪市公募区長の実態
「神話学習」「つらいお願い」「カジノ誘致」
橋下イズム賛同者ズラリ


 政令市として24行政区をもつ大阪市で1日、22人の公募区長が就任(他の2人は9月就任)し「改革に意欲」(「読売」2日付)などと報じられています。橋下徹市長が「面接を重ねた結果、自分の価値観と合うと思って選んだ」という「分身」にすぎません。 (藤原直)


 「公募区長は僕の身代わり。24人もいて、局長から見ると『かなわんなあ』と思うかもしれないが、民主的プ口セスを経て決めたことですんで行政マンとして全力でサポートしていただきたい」。橋下市長は1日、市幹部を集めた会合でこんな指示を出しました。

 一般職最高ランク

 「民主的プロセス」といっても、橋下氏が昨年11月の市長選で訴えていたのは区長の「公選」。「区長公募」は当選後にいい出したもので「大阪都構想」で大阪市を解体し、区議会と公選区長を有する8〜9の特別区にするまでの過渡的措置との位置づけです。

 ところがすでに区長の権限だけは大幅に「強化」されています。新区長は市長、副市長に次ぐ一般職最高ランクに格上げされ、“局長の上司”に。

 橋下氏は市民生活施策予算をばっさり削る「市政改革プラン」で、あらかじめ減らした予算枠のもとでコミュニティバス事業や地域福祉事業の再構築を行う責任などを各区長に負わせました。ここには、住民の批判の強い「市政改革プラン」については「実行するのはみなさん」と区長に丸投げする橋下氏の姿勢が透けて見えます。

 父母の中で疑問が広がる小中学校の学校選択制の導入の採否や内容についても、市長としては導入を前提としながら「区ごとに新区長が判断し、市教育委員会が決定する」(市教委)としています。
 橋下氏は1日の会合で、新区長の仕事として区民ニーズをくむことなどを強調。その一方で「反対する人の声は大きい。しかし、声をあげないけれど賛成だという人が多いんです」と新区長に、彼一流め民意のくみ方を伝授しました。

 民意反映保証なし

 「住民の身近なところで物事を決める」(橋下氏)といいながら、暮らしを守る予算は保障しない、区長が区民の民意を反映する保鉦もない――橋下氏の狙う「大阪都」の未来が透けて見えます。

 実際に就任した新区長たちはどんな人物なのでしょうか。

 公募論文などで[学校選択制の導入」(北区など)を当然視しているだけではありません。

 「神話の学習を通じて、子供達に我が国…の素晴らしい歴史、伝統・文化を伝えます」(統一協会との関係が問題になった吉田康人住吉区長)

 「住民が権利を主張するばかりでは無責任になります。…『自立』と『自律』が大切」「つらいお願いをする場面もあるかもしれませんが、ご甘受ください」(会社社長出身の細井敦子城東区長)

 「西成にこそカジノを誘致』(町長経験者の臣永正廣西成区長)―といった具合です。

 ほとんど「橋下市長イズムに全面的に賛同」(細井氏)などという人物ばかりを集めたのですから無理もありません。今後、橋下市長だけでなく公募区長にも、独断は許さない、暮らしと地域を守れと求めていく運動が大事になります。

(2012年8月8日付しんぶん赤旗)