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訪問介護の生活援助
4政令市 一律短縮は指導

 

 4月の介護報酬改定で、訪問介護での生活援助時間短縮に抗議する声が広がっています。そうした声におされ、4月26日の名古屋市や、川崎、大阪、広島の4政令市が事業者に、一律の時間短縮や不当な時間制限は「指導」「監査」の対象になると、通知を出していることが分かりました。

 新潟市も「注意」を促す通知を出しています。

 介護報酬改定では生活援助の「30分以上60分未満」「60分以上」の時間区分を、「20分以上45分未満」「45分以上」に短縮し報酬をカット、60分の援助が一律45分に短縮されるなどの被害が広がっています。

 川崎市は、一律60分を超える場合の自費徴収扱いは「指導・監査の対象」になると事業者に通知(3月12日)。4月4日には「一律的な利用時間の制限」をしないよう「再周知」しました。

 広島市は、60分程度を一律45分未満に変更して「苦情」を受けているとし、「利用者等の意向を踏まえない対応」は「指導の対象」と通知(3月22日)しています。

 大阪市では、介護保険料に怒る一揆の会などが3月、他市の通知を示し市と交渉。「介護保険は45分であとは15分500円の自費(保険外)サービスにさせられた」などの実例を紹介し是正通知を出すよう求めました。

 大阪市は「検討」を約束。4月11日、「不当にサービス提供時間の制限を設け契約することは、指導・監査の対象となりかねない」「利用者に不正な自己負担を求めることは、基準省令違反が強く疑われる」との通知を出しました。

 名古屋市の通知は、報酬改定は「60分や90分の生活援助中心型のサービスが提供できなくなるものではな」いと言明。60分を一律45分に制限するのは「介護保険制度の基本理念である利用者の自立支援を損なうものとして不適切」で「指導対象」になるとしています。


 解説

 抗議の世論が動かした 撤回へ運動広げるとき

 訪問介護の現場を無視した生活援助の時間短縮には、厚労省も「国民の苦情、声がたくさん届いている」(2月15日)と認めています。「見直し以前に提供されていた60分程度のサービスや90分程度のサービスを45分以上の生活援助として位置付け、見直し後も継続して提供することは可能」(3月16日、平成24年度介護報酬改定に関するQ&A)と言わざるを得なくなりました。

 自治体の指導通知はこうした流れの中で出されたもので、時間短縮に抗議する国民世論が国や自治体を動かした成果です。

 しかし政府・厚労省は生活援助の介護報酬の上限を「60分以上」2910円から、「45分以上」2350円へ引き下げたままです。これでは「90分程度のサービス」提供は、事業者の持ち出しになります。

 国に時間短縮・介護報酬切り下げの撤回を求め、利用者と事業者が手を携え世論と運動を広げるときです。(内藤真己子)

(2012年5月1日付しんぶん赤旗)