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阿倍野再開発

超高層マンション計画を白紙撤回せよ

突如として倍の27階に 大阪市阿倍野再開発・十分な説明なく

 大阪市は、阿倍野地区で進めている再開発事業で、地元住民の合意なしに十四階建ての住宅棟が立ち並ぶ「住宅ゾーン」に二十七階建ての超高層マンションの建設を強行しようとしています。地元住民らは、日照や風害、環境への悪化を心配し、計画の白紙撤回を求めています。

 阿倍野再開発はJR天王寺駅から南西側、面積二十八fという日本最大の市街地再開発で、一九七六年に着手され、大阪市が地域全部を買い取り、再開発ビル等を建てて分譲することで開発費用を賄うという事業です。

地元住民が陳情

 バブル期に始まった計画で、地価が上昇することを当て込んで売却をする予定でしたが、バブルの崩壊で計画は事実上破たんし、二千百二十億円もの赤字を抱えています。

 この超高層マンションは、開発当初では十四階建ての計画で日照など周辺の住環境にも配慮されたものでしたが、大阪市は採算性などを最優先させ、突如として二十七階建ての超高層マンションへと変更。その結果、北側九十bに位置する分譲住宅あべのセントレーベのベランダなど周辺は当初計画より日照被害がひどくなります。

 地元住民は、計画の白紙撤回と当初計画にそった十四階建て以下の建物建設を求め、大阪市議会に陳情を行いました。

 日本共産党の稲森豊、瀬戸一正両市議は、この間、市議会計画消防委員会でのべ四時間にわたって質疑を行ってきました。

 六月二十四日の委員会で瀬戸議員は、すぐ南側で大阪市が販売したマンションの説明パンフレットに「周辺の道路や建物との間隔を可能な限り大きくとることで、ターミナルエリアとしては数少ない開放感あふれた住環境、住空間を実現しています」と記され、北側マンションの高さや距離まで図で明示していたことを紹介し、「信義則違反・契約違反」と指摘。「事業計画変更に固執せず、もう一度立ち止まって見直すべきだ」とただしました。

 平松邦夫市長は、「私としてはこの案で行かせていただきたいとの思いですが、同時に住民の皆さんときちっとお話しながら合意の上で建てさせていただきたい」と答弁しました。

声を直に聞いて

 すぐ南側の分譲住宅あべのシャルムの山口明さん(五六)は、「私たちのマンションの敷地境界線から超高層マンションの壁面までわずか八b、高さも倍の建物が、十分な説明もなく建てられるのは許せない。市長には、住民の声を直に聞いてほしい」と憤っています。

 稲森議員は「『快適な住空間が広がる市街地住宅ゾーン』などをコンセプトに進められてきた事業が、住宅では最後の一棟となった土壇場で、大阪市の失敗を住民に転嫁し、住環境の悪化を住民に押し付けることは許されません。市長の約束通り地元住民と納得・合意ができるよう協議がなされるべきです」と語っています。

(大阪・生島貞治)

(しんぶん赤旗:2008年8月21日付)