title


 

市議団の実績

2006年3月1日 開会本会議での意見書採択

 1日にひらかれた予算市会の開会本会議では、以下の意見書が採択されました。「パートタイム労働者等の待遇改善に関する意見書」「最低賃金制度に関する意見書」「総合的な防災対策の推進を求める意見書」は、日本共産党議員団が、「パート労働者の均等待遇実現を求める意見書」「最低賃金の引き上げを求める意見書」「国民の生命と財産を守る防災・生活関連予算の充実を求める意見書」を提案したのに対する与党側の対案ですが、日本共産党も与党の案に賛同し、全会一致で採択されたものです。

 また、「官公需の契約における適正な賃金・労働条件の確保に関する意見書」「高校及び大学教育に係わる教育費に関する意見書」は、日本共産党議員団が「公契約における公正な賃金・労働条件の確保を求める意見書」「高校・大学の学費無償化に向けた国際人権規約A規約第13条2項(b)(c)の「留保」撤回を求める意見書」への与党側の対案ですが、与党案も不十分ではあるが採択する意義はあると判断し、日本共産党も上程。与党案が採択され、日本共産党案は一事不再議の扱いになったものです。 

パートタイム労働者等の待遇改善に関する意見書(全会一致採択)

 我が国のパートタイム労働者は、総務省の労働力調査における週間就業時間35時間未満の短時間雇用者(非農林業)で見ると、平成16年には1237万人に上り、雇用者総数の2割を超え、今や労働の場において重要な位置を占めている。

 1994年6月、国際労働機関ILO)では、パートタイム労働者に関する条約(第175号)」とその勧告が採択され、その中で、パートタイム労働者の権利や社会保障、労働条件等のフルタイム労働者との「均等待遇」を保障する措置を講ずることが求められている。

 我が国においては、平成5年、パートタイム労働法の施行により、就業実態やフルタイム労働者との均衡等に考慮して必要な措置を講ずることが事業主の努力義務とされ、さらに、平成15年、同法に基づく指針の改正により、パートタイム労働者の処遇に関する考え方や事業主の講ずべき措置が改めて具体的に示されたところであるが、今なおその処遇に大きな格差が存在している。

 今後、パートタイム労働者をはじめ、有期契約労働者や派遣労働者などの専門的・技術的業務への進出、勤続年数の長期化など、多様な働き方が一層広がっていくことが予想されており、パートタイム労働等が良好な就労形態として選択できるよう労働条件の整備や処遇改善が求められでいるところである。

 よって国におかれては、パートタイム労働者等の待遇改善を図るための実効ある施策を講じられるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

最低賃金制度に関する意見書(全会一致採択)

 最低賃金制度は、労働者の賃金・労働条件の改善に重要な役割を果たし、労働者の生活の安定や労働力の質的向上、事業の公正な競争の確保に貢献してきたところである。

 本年2月の月例経済報告では、「景気は、回復している」、また、「雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる」と報告されており、昨年10月には、地域別最低賃金額が大阪地方最低賃金審議会の答申を受けて4円引き上げられ、時間額708円に改正されている。

 しかしながら、最低賃金制度の趣旨及び金額が事業主や労働者に十分に周知されていない状況があり、また一方で、就労形態の多様化が進行しており、最低賃金制度の重要性がますます高まっているところである。

 よって国におかれては、本制度の意義・目的を踏まえ、最低賃金制度の趣旨及び内容の周知徹底並びに監督体制の拡充など制度の充実を図るとともに、適正な地域別最低賃金の金額水準を確保されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

総合的な防災対策の推進を求める意見書(全会一致採択)

 犠牲者6,433人にも上る甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災以降も、新潟県中越地震や福岡県西方神地震、宮城県沖地震など全国各地で大地震が発生している。また近年、台風や集中豪雨などによる被害も多発しており、今後も大規模な災害の発生が危惧されている。

 大規模地震は、想定される被害が甚大かつ深刻であるため、国、地方自治体、関係機関住民等がさまざまな対策を講じることによって被害軽減を図ることが肝要であり、特に切迫度が高いといわれている東海地震、東南海・南海地震については、迅速に効果的かつ効率的な被害軽減策を講じることが必要である。

 このため、中央防災会議においては、昨年3月、「東海地震、東南海・南海地震の地震防災戦略」を策定し、それぞれの地震について減災目標として「今後10年間で、想定される人的被害と経済被害を半減させる」ことを決定し、そのための具体目標として、ハード対策とソフト対策それぞれについて数値目標を設定したところである。

 また、台風や集中豪雨による河川の氾濫などへの対策として、昨年7月に改正水防法が施行され、河川管理者が指定した主要な河川については防災マップの作成が市町村に義務付けられるなど、減災のためのソフト対策の充実が図られているところである。

 国民の生命と財産を守ることは国家の最も重要な使命であり、防災対策は最優先に取り組むべき課題である。

 よって国におかれては、防災拠点となる公共施設やライフライン・土木施設・民間住宅の耐震化、密集市街地の整備、自主防災組織の育成・充実、情報通信システムの整備等の「地震防災戦略」に基づく施策並びに河川堤防の整備等の治水対策など、総合的な防災対策を推進されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 官公需の契約における適正な賃金・労働条件の確保に関する意見書

(採択された与党案) 

 国や地方自治体などが発注する官公需の減少や受注競争の激化のため、労働者の仕事量が減少し、単価や労務費が引き下げられ、労働者の生活に大きな影響を及ぼしている。

 多くの欧米諸国においては、公契約における賃金を確保する法律、いわゆる公契約法を制定しており、また、我が国においては法体系、労働条件の決定の仕組みが異なることなどから批准されていないが、国際労働機関(ILO)においては、1949年に「公契約における労働条項に関する条約(第94号)」が採択されているところである。

 このような状況のもと、国会においては、平成12年11月、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の成立時に附帯決議を付し、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化や建設労働者の賃金・労働条件の確保などを強く求めているところである。

 よって国におかれては、官公需の契約における適正な賃金・労働条件を確保するため、関連業界を厳しく指導するなど実効性のある対策を講じられるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

公契約における公正な賃金・労働条件の確保を求める意見書

             (一事不再議の扱いとなった日本共産党案)

 いま、国や地方自治体の公共・委託事業など官公需関連事業では、ダンピング受注やピンハネが横行し、下請け企業や労働者に深刻なしわよせが押しつけられるなどの事態が起こっている。

 その結果、廃業・倒産に追い込まれる中小零細企業があとをたたず、公共工事関連の建設労働者の年収もきわめて低い水準となっている。

 一方、ILOでは、「公契約における労働条項に関する条約」が1949年に採択され、公的な機関が発注する事業に従事する労働者に、適正な水準の賃金・労働条件を確保するよう契約に明記することを義務づけている。ところが、この条約は、すでに59カ国で批准されているものの、日本ではいまだに批准されていない。

 本来、国民の生活を保障し、地域経済の振興をはかるべき国や地方自治体は、自ら発注する公共関連事業に従事する労働者に、適切な賃金・労働条件が確保されるよう責任を果たすのは当然である。

 よって、国におかれては、ILO「公契約における労働条項に関する条約」を批准するとともに、公共関連事業や官公需に従事する労働者の賃金・労働条件を適正に確保する「公契約法」を制定されるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

「高校及び大学教育に係わる教育費に関する意見書」

(採択された与党案)

我が国は、国際人権規約「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(A規約社会権規約ともいう)を1979年に批准したが、そのうち中等教育及び高等教育(高校及び大学教育)の無償教育の漸進的導入を定めた第13条2(b)及び(c)については、留保している。政府はその理由を、私立学校の占める割合の大きい我が国においては、負担公平の観点から公立学校進学者についても相当程度の負担を求めることとしており、私学を含めた無償教育の導入は、私学制度の根本原則にもかかわる問題であると主張している。他方、政府は、教育を受ける機会の確保を図るため、経済的な理由により修学困難な者に対しては、地方公共団体及び各奨学団体等を通じて奨学金制度や授業料減免措置等を講じることにより高校及び大学教育に係る経費の負担軽減を図っているところである。

 我が国においては、少子化が進行し家庭における子供の数は減少傾向にあるものの、高校・大学への進学率が高く、家計に占める教育費の割合が非常に大きくなっており、昨今の厳しい経済情勢のもと、リストラや失業等の影響などにより家計が逼迫し、やむを得ず進学を断念したり、授業料等が払えず途中退学を余儀なくされる生徒・学生が増加している。

 よって国におかれては、教育を受ける機会の確保を図るため、私学助成の充実及び奨学金制度や授業料減免措置等の拡充など、高校及び大学教育に係る教育費が過重にならないよう対策を講じられることを強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高校・大学の学費無償化に向けた国際人権規約A規約

第13条2項(b)(c)の「留保」撤回を求める意見書

            (一事不再議の扱いとなった日本共産党案)

 1966年12月の国連総会において採択された国際人権規約のうち、A規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」)第13条2項(b)(c)に規定されている中等教育及び高等教育への「無償教育の漸進的導入」を留保しているのは、今や規約を批准した151の国の中で、日本を含め3ケ国のみとなっている。

こういう中で、2001年8月、国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会」は、日本政府に対し、留保の撤回を検討するよう強く求める勧告をおこなったのである。 

 周知のように、日本の高等教育に対する国・地方の財政支出はGNP比でわずか0.5%ときわめて低く、OECD加盟国平均の2分の1にすぎないものである。また、家計における高校・大学の学費負担の増大によって、教育の機会均等がそこなわれる事態となっている。

 よって、国におかれては、上記の条項の留保を撤回するとともに、すべての教育段階において、無償教育の漸進的導入の措置をとられるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。