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市議団の実績

2004年3月26日の大阪市議会本会議での

意見書のてんまつ

4意見書、1決議を可決

 

大阪市議会最終日の26日、日本共産党市会議員団が原案を提出した意見書は、各会派の調整の結果、「犯罪被害者の権利と被害回復に関する」「パートタイム労働者等の待遇改善に関する」「緊急地域雇用創出特別交付金制度に関する」「官公需の契約における適正な賃金・労働条件の確保に関する」意見書などを可決いたしました。また、「子どもを虐待から守る」決議も採択しました。

なお、日本共産党が他に提出した「消費税率引き上げに反対する」「国民が安心できる年金制度の確立を求める」「最低賃金制度の改善を求める」「国立病院大阪医療センターの独立行政法人への移行にあたり、地域医療の一層の充実にむけて医療・看護の充実を求める」意見書案は各会派との調整がつかず、今回は取り下げました。

 犯罪被害者の権利と被害回復に関する意見書(共同提案で採択

我が国においては、近年、犯罪件数が急増しており、その内容も重要凶悪事件の多発や少年非行の深刻化など極めて憂慮すべき状況にある。このような現状の中、犯罪被害者とその家族は、法制度による保護もなく、精神的・経済的苦痛を強いられてきた。

「犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって、犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではなく」という平成2年の最高裁判決が示すとおり、犯罪被害者の権利は軽視されている一方、加害者の権利だけが保護される極めて不公正な扱いがなされている。

国においては、「犯罪被害者保護関連法」が制定され、「犯罪被害者等給付金支給法」が改正されるなど、被害者の権利に関わり一定の前進は図られたところであるが、被害者とその家族に対する権利擁護と救済措置は、いまだ不十分なまま現在に至っている。犯罪被害者の権利を認め、医療と生活の補償や精神的支援など、被害回復のための支援制度を確立することは、国の責務である。

よって国におかれては、犯罪被害者の権利と被害回復に向け、速やかに法整備並びに制度の確立を図られるよう要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

 犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立を求める意見(日本共産党原案

 わが国では、年々犯罪件数が増加し、その内容も凶悪化、低年齢化するなど、治安は急速に悪化の方向をたどり、国民の生命・財産が脅かされている。

 わが国の刑事司法は、刑事裁判は社会の秩序維持を護るもので、被害者の利益擁護や損害回復のためにあるわけではない、という1990年の最高裁判所判決が示すとおり、犯罪被害者とその家族の権利は大きく制約されており、加害者の人権保護が際立つものになっている。

 2000年に「犯罪被害者保護関連二法」が制定され、被害者の権利行使について一定の成果がみられるものの、被害者とその家族等に対する人権擁護や救済措置はいまだにきわめて不十分である。

 現状においては、国民の誰もが犯罪被害者になる可能性を有する以上、犯罪被害者の権利を認め、医療と生活の補償や精神的支援などの救済措置を講ずることが必要である。

 よって、国におかれては、犯罪被害者のための刑事司法の実現、犯罪被害者が刑事手続きに参加できる制度(訴訟参加)の創設、民事上の損害回復ができる制度(附帯私訴)確立など、早急に対応されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法99条の規定により、意見書を提出する。

 

 

緊急地域雇用創出特別交付金制度に関する意見書(共同提案で採択)

緊急地域雇用創出特別交付金制度は、即効性のある雇用対策として、国において、平成14年1月から17年3月までの事業として創設されたものであり、本市においては、約41億円の配分を受けて事業を実施し、障害者・中高年齢者等の就職困難者の雇用創出を中心に一定の効果を上げており、雇用対策として重要な役割を果たしてきたところである。

しかしながら、近畿の完全失業率が平成15年平均で6.6%と命国平均を大きく上回り、依然として厳しい雇用情勢が続いている中で、本制度が平成16年度をもって終了することは雇用情勢をさらに悪化させることにもなりかねない。

よって国におかれては、本制度の重要性にかんがみ、平成17年度以降も制度を継続するとともに、大都市の厳しい雇用情勢の実情に即した交付金の配分や地方自治体が運用しやすい制度への改善・拡充を図られるよう強く要望する。

以上、'地方自治法嬉99条の規定により意見書を提出する。

 

緊急地域雇用創出特別交付金の継続・改善を求める意見書(日本共産党原案)

 長引く不況のもとで、雇用・失業問題がいっそう深刻になっている。

 こうしたもとで、失業者の就労対策として、1999年度から2001年度まで緊急地域雇用特別基金事業が実施され、2002年度からは緊急地域雇用創出特別基金事業が実施されている。この事業は、雇用期間が6ヶ月で、予算が少額などの不十分さをもちながら、失業者のつなぎ就労として積極的な役割をはたしている。

 ところが、この特別基金事業は期限が2005年3月までとされており、その後の対応策について、明確な方向が示されていない。

 よって、国におかれては、緊急地域雇用創出特別基金事業を2005年4月以降も継続して実施するとともに、実施主体である地方自治体が運用しやすいよう改善されるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

パートタイム労働者等の待遇改善に関する意見書(共同提案で採択)

我が国のパートタイム労働者は、2002年には1,200万人を超え、雇用者総数の2割以上を占めており、今や労働の場において重要な位置を占めている。

1994年6月、国際労働機関(ILO)では、「パートタイム労働者に関する条約(第175号)」とその勧告が採択され、その中で、パートタイム労働者の権利や社会保障、労働条件等のフルタイム労働者との「均等待遇」を保障する措置を講ずることが求められている。

我が国においては、平成5年に施行されたパートタイム労働法により、就業実態やフルタイム労働者との均衡等に考慮して必要な措置を講ずることが事業主の努力義務とされているが、今なおその処遇に大きな格差が存在している。

今後、パートタイム労働者をはじめ、有期契約労働者や派遣労働者などの専門的・技術的業務への進出、勤続年数の長期化など、多様な働き方が一層広がっていくことが予想されており、パートタイム労働等が良好な就労形態として選択できるよう労働条件の整備や処遇改善が求められているところである。

よって国におかれては、パートタイム労働者等の待遇改善を図るための実効ある施策を講じられるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

非正規労働者の待遇改善を求める意見書(日本共産党原案)

わが国のパート、アルバイト、派遣などの非正規労働者は1600万人を超え、増加の一途をたどっている。とりわけ、女性労働者の半数以上を占めるにいたり、青年労働者の4人に1人はフリーターとなっている。

 こうしたもとで、賃金や労働条件、社会保障など、非正規労働者の待遇改善は大きな社会問題となっており、フルタイム労働者との均等待遇を求める声が高まっている。

 ILO総会(1994年6月)では、「パートタイム労働に関する条約」が採択され、パート労働者はフルタイム労働者より労働時間が短いだけであり、その権利や労働条件などを均等待遇とするよう求めており、わが国においてもパートタイム労働法が1993年に施行されている。

 ところがこの間、パート労働者とフルタイム労働者の賃金格差はむしろ拡大し、多くは100万円台の年収にとどまっており、労働条件の改善も遅れている。

 よって、国におかれては、ILO「パートタイム労働に関する条約」の批准、パートタイム労働法に均等待遇を明記することをはじめ、パート労働者の実効ある待遇改善をはかられるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

官公需の契約における適正な賃金・労働条件の確保に関する意見書(共産党も賛成採択)

長期に及ぶ景気の低迷が依然として続いている中、国や地方自治体などが発注する官公需の減少や受注競争の激化のため、労働者の仕事量が減少し、単価や労務費が引き下げられ、労働者の生活に大きな影響を及ぼしている。

多くの欧米諸国においでは、公契約における賃金を確保する法律、いわゆる公契約法を制定しており、また、我が国においては法体系、労働条件の決定の仕組みが異なることなどから批准されていないが、国際労働機関(ILO)においては、1949年に「公契約における労働条項に関する条約(第94号)」が採択されているところである。

このような状況のもと、国会においては、平成12年11月に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の成立時に附帯決議を付し、元請企業等と下請企業の契約関係の適正化・透明化や建設労働者の賃金・労働条件の確保などを強く求めているところである。

よって国におかれては、官公需の契約における適正な賃金・労働条件を確保するため、関連業界を厳しく指導するなど実効性のある対策を講じられるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

公契約における公正な賃金・労働条件の確保を求める意見書(日本共産党原案)

 いま、国や地方自治体の公共・委託事業など官公需関連事業では、民間需要が低迷するなか、人件費を無視したダンピング受注やピンハネが横行している。 

 その結果、赤字経営におちいり、廃業・倒産に追い込まれる中小企業があとをたたない。労働者にもしわよせが押しつけられ、公共工事関連の建設労働者の賃金は、発注時の2、3割がピンハネされ、1日の平均賃金は1万5000円前後となっている。

 ところが、ILOでは、「公契約における労働条項に関する条約」が1949年に採択され、公的な機関が発注する事業に従事する労働者に、適正な水準の賃金・労働条件を確保するよう契約に明記することを義務づけている。この条約は、すでに59カ国で批准されているが、日本ではいまだに批准されていない。

 よって、国におかれては、ILO「公契約における労働条項に関する条約」を批准するとともに、公共関連事業や官公需に従事する労働者の賃金・労働条件を適正に確保する「公契約法」を制定されるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

消費税率引き上げに反対する意見書(調整がつかなかった共産党案)

長引く深刻な不況のもと、とりわけ中小企業の集中する大阪市の景気と市民生活は全国のなかでも際だって深刻である。

 こうしたなかで、政府税制調査会は昨年、大企業の税負担を軽くしながら、庶民には消費税を二桁に引き上げるという大増税計画を示した。

 もし、この大増税計画が実施されるなら、本市中小企業の経営と市民生活に極めて深刻な影響を与えることは必至である。

もとより、消費税は金持ちには負担が軽く、低所得者ほど負担が重い逆進性の強い最悪の税制である。消費税は多くの国民が廃止をこそ望んでいるところであり、税率の引き上げなどは断じて容認できない。

よって、国におかれては、消費税率の引き上げを行わないよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

国民が安心できる年金制度の確立を求める意見書(調整がつかなかった案

年金制度は、言うまでもなく憲法で保障された国民の生存権を保障し、老後の安心と暮らしを支える不可欠の制度である。ところが、厚生年金保険料は本年10月から、国民年金保険料は来年4月からそれぞれ値上げされるとともに、今国会では平成17年度からの年金課税の強化も審議されている。

 それにくわえ、今国会に提出されている年金改定法案は、厚生年金保険料を現行の13.58%から18.30%に、国民年金保険料は月額現行13300円を16900円に引き上げるとともに、給付水準は厚生労働省の試算でも、15%も削減されるものになっている。しかも、保険料の引き上げや給付水準の引き下げを、国会の審議なしに経済や少子化の動向に応じて自動的におこなえるものになっているのである。

 マスメディアの世論調査でも、今回の見直しで、「国の年金制度に対する不満や不安」が「解消される」という人は9%、圧倒的多数が「解消されない」(88%)と答えている。

 よって、国におかれては、年金改定法案は撤回し、基礎年金の国庫負担割合を現行の3分の1から2分の1に直ちに引き上げるとともに、積立金を計画的に取り崩して活用するなど、安心できる年金制度の確立をはかられるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 

 

最低賃金制度の改善を求める意見書(調整がつかなかった案)

 長引く不況とリストラの進行で、国民の生活と雇用への不安が高まっている。とりわけ大阪では、完全失業率が7%を上回り、完全失業者は32万人を超えている。パート労働者が激増し、その平均月収は10万4000円と劣悪な状況におかれている。

景気の落ち込みが長期におよんでいる今こそ、パートやアルバイト、派遣労働者、請負労働者など、低賃金労働者の賃金引き上げは、労働者全体の生活向上につながる重要な課題となっている。

 そうしたもとで、最低賃金制度は、労働者とその家族の生活の安定をはかる上で重要な役割を担っているが、その改定は、一般労働者の賃金改定に比べ遅れることが常態化し、大阪においては、2年連続引き上げが見送られ、703円で凍結されたままとなっている。

 よって、国におかれては、早期に時間額を1000円以上に引き上げるとともに、欧米諸国で制度化されている全国一律最低賃金制度の確立を早期にはかられるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

国立病院大阪医療センターの独立行政法人への移行にあたり、地域医療の

一層の充実にむけて医療・看護の充実を求める意見書(調整がつかなかった案)

 国立病院大阪医療センターは、2004年4月1日より現在の国立病院から独立行政法人に移行します。国立病院大阪医療センターは、癌、循環器、エイズ、広域災害医療の基幹医療施設と位置づけられ、高度な総合医療施設として大きな役割を果たしています。

 しかし、現在の国立病院は、他の公的医療施設と比較して看護師等の配置人数が少なく、安全・安心の医療や職員の働く環境にとって不十分なものとなっています。

 さらに独立行政法人への移行に伴い「合理化」や人員削減による「安全コストの削減」、長期入院患者の追い出しや保険外の負担が増えることなど患者へのしわ寄せも心配されます。

 大阪市民にとって国立病院が「国立」としての役割を果たし、民間医療施設で困難な医療提供の一層の充実のため、今まで以上の積極的な医療展開と運営の改善をと充実が求められています。

 よって、国におかれては、国立病院大阪医療センターの独立行政法人への移行にあたり、以下の措置を講じられるよう強く要望する。

1.      医師・看護師等の医療従事者の増員や医療機器の充実など、安全・安心の医療内容・看護体制等の充実を行う。

2.      長期入院患者の追い出しや保険外負担の増加など、患者へのしわ寄せを行わない。

3.      他の医療施設との連携を強め、政策医療・地域医療に、積極的役割を発揮する。

4.      地域経済に果たす役割を重視し、地元産業との連携、雇用の安定に努める。

 以上、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。

 

 子どもを虐待から守る決議(共同提案で採択)

 平成14年8月13日、本市立小学校に在籍する小学6年生男児が、衰弱により死亡し、本年1月、母親とその知人が虐待の疑いで逮捕されるという、非常に痛ましい事件が発生した。

また、本年1月には大阪府岸和田市で、中学生が父親らによる虐待の末、意識不明に陥るという事件が起きるなど、平成12年に「児童虐待の防止等に関する法律」が施行された以後も、虐待が原因で子どもの生命がおひやかされるという事件が後を絶たない。

このような事件を再び繰り返さないためには、早期発見が最も重要であることは言うまでもない。そのためには、学校関係者や児童福祉に携わるものなどが、常に重大な関心をもって、子どもの状況把握に努める必要がある。

よって本市会は、「児童虐待の防止等に関する法律」の趣旨を十分に理解し、学校、警察、行政、地域、家庭などあらゆる関係者が一体となって、児童虐待の早期発見・早期通告の徹底、および相談機能の充実を図るとともに、子どもを虐待から守り、子どもが安心して暮らすことができる社会をつくることを強く望むものである。

 以上、決議する。

 平成16年3月26日

                             大 阪 市 会