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市議団の実績

5・6月市会を前に瀬戸一正日本共産党大阪市会議員団政調会長に聞く

 2006521日付「大阪民主新報」に掲載 

 

<こんどの市議会はどんな議会になりますか>

大阪市では、5月24日開会、6月6日閉会で「5・6月市会」が予定されています。年度の最初に開かれるこの時期の定例会は、市議会議長などの役員を選出することが主な議題となる、いわゆる「役員市会」なのですが、ことしはまったく様相がちがいます。

大問題がいくつもあります。部落解放同盟(「解同」)幹部が業務上横領容疑で逮捕され、大阪市の同和行政がいかに乱脈・不正なものであったか市民を驚かせ、芦原病院への乱脈な補助金・貸付金とあわせて今、市民の怒りが沸騰しています。こんな時こそ、市民の代表である市議会がその役割を発揮しなければなりません。大阪ドームの破綻処理問題でも、大阪市は貸付金等を放棄するばかりか今後とも公金を投入し続けるというとんでもない案件を議会に提案しようとしています。そうした一方で、3月予算市会で異例の継続審議になった児童館・トモノス廃止条例を、大阪市は5月議会に再び上程させて廃止をあくまで強行しようとしています。国保会計にかかわる補正予算も提出され、高すぎる国保料の負担をどう軽減するかも5月議会の大きな課題です。同和行政と巨大開発での税金無駄づかいをやめさせる議会にするために、日本共産党市会議員団は、市民の皆さんの声や要求と結んで力一杯がんばる決意です。

<飛鳥会理事長の小西邦彦逮捕の舞台となった西中島駐車場については、日本共産党議員団が一貫して追求してきましたね>

 大阪市が事実上の同和事業として西中島駐車場を整備し、「解同」幹部・小西の飛鳥会に業務委託したのは1974年ですから、30年以上にわたって駐車場料金が「横領」されてきたことになります。わが党議員団は、早くから、不公正乱脈な同和行政の典型としてこの問題を重視し、1975年に姫野浄さんが「小西に儲けさせるもの」ときびしく追及し、それ以後も繰り返し是正を求めてきました。30年以上もこうした関係を続けてきた大阪市の責任はきわめて重大です。逮捕後には、大阪市が最初から駐車場の売上げが小西に入る仕組みをつくり、飛鳥会の事業報告など書類の作成まで大阪市の職員がおこなってきたことなども明らかになりました。大阪市が公金を横領されたなどという性格の問題ではなく、最初から小西側の要求にそって金儲けの場を提供してきたわけで、まさに、大阪市の背任行為といって過言ではありません。

<なぜ30年以上もこんなことが続いて来たのでしょうか>

これは単に「暴力団と関係があった小西容疑者が怖かった」という問題ではありません。1969年の矢田事件を契機にして、大阪市全体が、「解同」の暴力と糾弾に屈服し、同和行政と言えばすべて「解同」の言いなりになるという恐ろしい体質に陥っていたことが真の原因です。毎年の「解同」との交渉には、市長と助役、局長がそろってのぞみ、その要求を全面的に受け入れるという異常な慣行が続けられてきました。自民党・公明党・民主党にも責任があります。「解同」の無謀な要求に屈しなかったわが党議員にたいし、大阪市議会からの除名を求める「解同」の恫喝に屈した当時の自社公民は「共産党に反省を求める決議」まであげました。乱脈な同和行政を改めようとしない歴代市長を部落解放同盟と一緒になって支えて来た自民党・公明党・民主党が、議会の多数の力で「解同」の無法を放置して来たとも言え、その責任は重大です。

<「飛鳥会事件」は乱脈同和の典型ですが、芦原病院の補助金不正流用も大問題ですね。議会は役割を果たしているでしょうか>

 大阪市が委託した外部調査委員は先月、調査報告書をまとめ、我が党の北山議員が指摘したとおり3年間の補助金4億9000万円のほとんどが申請どおりの目的に使用されなかったばかりか、補助金手続きのほとんどを市の担当者がおこない、しかも不正に流用されることまで知ってやっていたという、我々も驚く内容を明らかにしました。姫野浄さんと藤永延代さんが刑事告発した大阪市の背任行為が、市の調査によっても裏付けられたのです。

6月12日には芦原病院の債権者会議が開かれ、その場で大阪市は130億円の貸付金を放棄する予定で、5月議会にその同意を求める議案が提出されます。こんなでたらめな借金返済の義務を免除することに議会が同意できるでしょうか。今必要なのは、芦原病院問題の責任の所在を明らかにし、補助金や貸付金返還の道を開き、同和行政のゆがみをただすことではないでしょうか。

 私たちは3月議会で、原因と責任を徹底追及するために、調査権限をもった特別調査委員会・100条委員会を設置することを提案しましたが、自民党・公明党・民主党がこれを否決しました。これほど行政が腐敗しているのに、特別調査委員会も設置しない、これで市会議員は市民の代表と言えるでしょうか。同和行政をめぐる不正融資事件が起きた高知では県議会が100条委員会を設置して、副知事をはじめ26名の県幹部職員を告発しました。今こそ歪んだ同和行政をただすために、大阪市議会にも100条委員会を設置して真相を糾明せよとの市民の声と運動を市議会に集中してください。 

<大阪ドーム問題も山場をむかえていますね>

 5月1日、「オリックスが90億円以上でドームを買収し、5年後以降に大阪市にドーム施設を寄附する」などの基本確認書がかわされました。ドーム更正管財人は、5月24日に「更正計画」を裁判所に提出する予定です。基本確認書は、「大阪市は出資金・貸付金等109億円を放棄し、固定資産税免除や補助金など年5億円の支援は継続する。寄附された場合は長期修繕費140億円の一部を負担する道をつくり」、「ドーム売却代金の90〜100億円で金融機関には貸付金413億円の一部を回収させる(残りは債権放棄)」ためのものであり、結局、市民の負担で銀行借金を解決し、大企業にもうけの機会を与えるものです。どんな名目でもドームへのこれ以上の公金投入は許されません。

<児童館・トモノス廃止条例が再び提出されるようですが>

 大阪市は、市政改革基本方針(マニフェスト)の具体化の一つとして、この1月に、児童館と勤労青少年ホーム(トモノス)の廃止を打ち出し、3月市会に廃止条例を提出しました。これにたいし、市民の批判と存続運動が一気に広がり、40年ぶりに、市長提案条例が不採決となりました。利用者の4万ちかくの署名の力とわが党の論戦の成果です。京都市や神戸市には100館も設置されているのに我が大阪市には10館しかない児童館や、年間62万人もの市民が利用しているトモノスを廃止する一方で、年間130億円もかけて不公正な同和行政を続けるなんてまったく道理がありません。「大阪市をよくする会」などでつくる「存続を求める会」が60万枚の署名はがき付ビラを作成し、利用者のみなさんも頑張っておられます。ぜひ署名をたくさん広げてください。

敬老パス取り上げをやめさせた運動を思い起こして、大阪市と議会への働きかけを強めましょう。

<国保料の値上げも市民のくらしを直撃しますね>

 国保会計の赤字を翌年の保険料収入で穴埋めする補正予算が提出されます。大阪市の国保会計の困難は、国の責任もありますが、年々国保料を値上げし、市民が払いたくても払えない状況に追い込み、保険料滞納者が激増してきたことにあります。この悪循環をたち切るには、国に補助金増額を求めるとともに、一般会計からの繰り入れを増やし、保険料の減免措置を拡充することが必要です。ところが大阪市は繰り入れを増やさずに、保険料の計算方法を変えて、これまで所得割保険料がかかっていなかった住民税非課税世帯にも幅広く保険料負担を負わせる条例(中間所得層の保険料負担は少し軽くなる)を3月市会に提出。オール与党はこれに賛成しました。6月には、新しい算定方式にもとづく保険料が通知されますが、これまでの4倍にもなる人が生じるなど、低所得者、高齢者等の保険料が大幅に引き上げられます。わが党議員団は、「国保をよくする会」のみなさんの運動ともむすび、市民負担の軽減へ全力をあげます。