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市議団の実績

日本共産党山中智子市会議員に聞く

3年間の次期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」素案について

     大阪市は、10月に、来年度から3年間の次期「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」素案を発表しました。これについて日本共産党の山中智子市会議員に聞きました。

     まず、市民の最大の関心事である保険料について、来年度から14%の大幅な値上げをする計画になっていますが、これはどうしてですか?

     この保険料は、高齢者人口のもとにして、3年間の要介護認定者数を推計し、いままでの介護保険給付実績をもとにして施設サービス(特養ホームへの入所など)と居宅サービス(ヘルパー派遣など)の給付見込みと費用を計算し、それを被保険者の負担割合(65歳以上の1号被保険者17%)で割って、算出したものです。いまの介護保険制度のもとでは、サービスの提供量が増えると、国、地方(府と大阪市)、1号被保険者、2号被保険者の負担割合が決まっているために、自動的に保険料が引きあがってしまうのです。

     市民へのサービスは改善されるのですか。

     保険料は大幅に値上げされる計画ですが、一方で、市民への介護サービスが増える保証は全くありません。少し下の表を見てください。たとえば、特養ホーム(介護老人福祉施設)は、平成13年度の6779床を平成19年度には9900床まで整備しようという計画になっています。一見積極的に見えますが、今後高齢者も増加するし、なかでも介護の必要性の高い75歳以上の後期高齢者が増えるために、要介護認定者(「要介護認定」を受け、実際に介護保険のサービスの受けられる人)100人あたりのベッド数は平成13年度の10.6から平成19年度は逆に8.4と逆に減ってしまい、待機者がますます増えることは確実です。また、居宅サービスでも、平成13年度には一週間に82338回の派遣を19年度には152398回に増やす計画ですが、要介護認定者一人あたりでみると平成13年度の週1.28回が19年度には129回になるだけで、ほとんど変化がありません。デイサービス(通所介護)などは、0.21回が逆に0.19回に減らされる計画です。いまでも、居宅サービスは高い自己負担がネックとなって、限度額の4割ぐらいから利用されていないのに、これでは必要なサービスが提供できません。

     市民にとっては、サービスは増えず、逆に減らされるのに、保険料だけは、大幅に値上げされるのは、まったく納得いきませんね。

     そうです。こうなるのは、最初に述べたように、介護保険の仕組みそのものに原因があります。介護保険がはじまる前は、老人福祉の費用は、国と大阪市の2分の1ずつ負担していました。また、住民税非課税の世帯は多くのサービスが自己負担はゼロでした。ところが介護保険になったとたんに、こうした低所得者も含めて1割負担をとられるようになった上に、費用負担は国が4分の1、大阪府と大阪市が8分の1、被保険者が2分の1と、市民の負担が増えて、その分国と大阪市の負担が大幅に減ってしまったのです。こうした高齢者介護の費用負担の仕組みを改善することがどうしても必要です。

     日本共産党市会議員団として、今後どのように取り組んでいきますか。

     大阪市にもっと国の財政負担を増やすように強く働きかけることを求めるとともに、大阪市独自に一般会計から介護保険への財政支援をおこない、市民への介護サービスを向上させながら、保険料、利用料の負担が軽減できるように、市民のみなさんとともにがんばっていきたいと決意しています。

     介護保険料の減額制度の実現は、市民に大変喜ばれていますね。

     そうです。今後は所得制限の緩和など、制度をさらに改善させるとともに、今度はご要望の大きい利用料の減免制度(助成制度)の実現にがんばりたいと思っています。ところが、大阪市はこの「素案」のなかで、国の考え方を守って、収入のみに着目した一律の減免や減免分に対する一般会計からの繰り入れはしないと言っていることも大きな問題です。これでは減免した分を他の被保険者の保険料でまかなえということで、こうした考え方をあらためさせないと制度の改善はできません。利用料についても、「介護保険制度は社会保険方式で実施されており、低所得者の負担軽減については、全国で統一した対応が必要です」と、市独自の実施に背を向けています。

     大阪市も財政難では?という意見もありますが。

     市民へのサービスは削りながら、長野など、全国ですすむ大型公共事業見直しの流れにも背を向けて、ムダな開発に巨額のお金をつぎこんでいるのが大阪市です。先日の決算特別委員会では、200億円以上つぎ込んだ15メートルバース(埠頭)が、草が生えるにまかせられていたり、5000億円もかけて夢洲開発を引き続きすすめようとするなど、大阪市のムダな開発によって、市民の暮らしと市財政がどれだけ被害を受けているかがあらためて浮き彫りになりました。こうしたムダを削れば、介護を充実することは十分可能です。また、長引く不況で市の税収が減っていることが財政難の原因の一つですが、不況の最大の原因は消費が冷え切っていることです。これは、市民所得の減少とともに、相次ぐ医療改悪などで、老後に市民が大きな不安をもっているからであることが、多くの専門家からも指摘されています。介護を充実することは、不況打開の上でも大きな効果が期待されます。

     市民の運動や世論も大切ですね。

     もちろんです。介護保険料減免を実現したのも、日本共産党の議会内の取り組みとともに、市民の皆さんの世論、運動が市政を動かしたからです。今回大阪市は「計画の素案にご意見を」と市民の意見を受け付けています。「もっと保険料を安く」「特養ホームを増設してほしい」「利用料の負担がおおきすぎる」など、ぜひ切実な声を上げてください。応募期間は1115日までで、郵便、ファックス、インターネットでも応募できます。ファックス番号は06-6202-6964番、ホームページアドレスはhttp://www.city.osaka.jp/kenkoufukushi/enq.htmlです。

     来年はいよいよ大阪市議会も選挙です。

     そうです。介護保険料減免が実現できたのも、前回13議席から15議席に前進したことがなによりの力となりました。日本共産党以外の自民、公明、民主などの与党議員が、市民から出された介護保険充実の陳情や請願にすべて背を向けているなかで、一貫してムダな開発を削って、暮らし、福祉、介護の充実を訴えてきた日本共産党が、いまの15議席からさらに前進することは、介護保険を改善するためにも絶対必要です。大きなご支援をよろしくお願いいたします。

 

年度 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成 平成
12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度
高齢化率 17.10% 17.70% 18.20% 18.80% 19.40% 19.90% 20.50% 21.00%
高齢者人口 444,740 458,333 471,391 484,451 497,510 510,569 521,150 531,730
               
要介護認定者数                
年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
出現率 10.90% 14.00% 17.00% 18.80% 19.80% 20.60% 21.30% 22.20%
合計 48,577 64,203 80,262 90,876 98,567 104,966 111,257 117,867
 
施設サービス等の量の見込み
年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
施設 13,559 14,045 15,600 17,000 17,800 18,600 19,250
  介護老人福祉施設 6,779 7,185 7,600 8,600 9,050 9,500 9,900
要介護認定者100あたり 10.6 9.0 8.4 8.7 8.6 8.5 8.4
介護老人保健施設 4,137 4,271 5,100 5,300 5,500 5,700 5,800
介護療養型医療施設 2,443 2,589 2,900 3,100 3,250 3,400 3,550
痴呆対応型共同生活介護 113 147 410 560 710 860 1,010
特定施設入所者生活介護 193 253 280 330 380 430 480
 合計@ 13,665 14,445 16,290 17,890 18,890 19,890 20,740
要介護認定者数A 64,203 80,262 90,876 98,567 104,966 111,257 117,867
@÷A 0.21 0.18 0.18 0.18 0.18 0.18 0.18
  平成13年度、平成14年度は実績値です。平成14年度の数値は4月〜6月の月平均です。
               
居宅サービスの量の見込み(平成15年度〜平成19年度)
単位   平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度
(4〜6月)          
訪問介護 回/週 82,338 105,559 121,359 131,028 139,051 145,875 152,398
要介護認定者一人 回/週 1.28 1.32 1.34 1.33 1.32 1.31 1.29
訪問入浴介護 回/週 1,351 1,431 1,613 1,581 1,587 1,593 1,607
訪問看護 回/週 5,223 5,533 6,127 6,410 6,692 6,975 7,258
訪問リハビリテーション 回/週 512 546 599 618 637 656 675
居宅療養管理指導 人/年 4,063 4,568 5,882 6,489 7,232 8,132 9,290
通所介護 回/週 13,201 15,221 18,033 19,114 20,165 21,312 22,727
要介護認定者一人 回/週 0.21 0.19 0.20 0.19 0.19 0.19 0.19
通所リハビリテーション 回/週 9,394 10,227 11,740 12,421 13,101 13,782 14,462
短期入所生活介護 日/月 10,637 16,494 17,845 19,415 20,488 21,133 21,668
要介護認定者一人 回/週 0.17 0.21 0.20 0.20 0.20 0.19 0.18
短期入所療養介護 日/月 3,261 4,213 5,492 5,987 6,320 6,521 6,688
福祉用具貸与 人/年 8,621 12,000 16,072 18,199 19,781 20,863 22,053
住宅改修費 人/年 9,148 11,196 13,040 14,008 14,845 15,657 16,550
福祉用具購入費 人/年 9,177 11,816 13,081 14,052 14,892 15,707 16,602
居宅介護支援 人/年 29,608 34,943 43,438 46,664 49,453 52,157 55,132
平成13年度、平成14年度は実績値です。
  平成14年度の数値は4月〜6月分による平均です。ただし、福祉用具購入費と住宅改修費については4月〜6月の実績をもとにした年度合計の数値となっています。
単位は厚生労働省が示しているものを使用しています。
               
介護保険給付にかかる費用(利用者負担分を含む)の見込み
               
年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 3年度の        
費用合計        
居宅サービス費 497億円 535億円 569億円 1,601億円        
施設サービス費 689億円 750億円 786億円 2,225億円        
その他の費用 12億円 13億円 14億円 39億円        
合計 1,198億円 1,298億円 1,369億円 3,865億円        
  その他の費用とは、高額介護サービス費などをいいます。        
財政安定化基金拠出金は含みません。