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2026年度大阪市一般会計等予算案への 井上議員の反対討論 |
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井上ひろし市会議員 2026年3月27日 |
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在版大企業が、この10年で内部留保を2倍に増やす一方、労働者の実質賃金は同時期に16万円も減少しており、企業の倒産件数は1268件で東京都に次ぐワースト2位となっています。物価は上がり続けているのに、働く人たちの収入は増えない、年金も上がらない。物価上昇のペースに収入は追いつかず、市民生活はいっそう厳しさを増しています。くらしと家計が押しつぶされそうな今こそ、地方自治体本来の役割を発揮し、市民生活と中小企業の支援に全力を挙げるべきですが、本予算案に見られるのは、上振れ続きの大型開発には惜しみなく税金をつぎ込む一方、市民のくらしを守る責務を果たしているとは到底言えない中身であります。 以下、具体に申し上げます。
第一は、厳しさを増す市民のくらしに寄り添うものとなっておらず、物価高対策も皆無に等しいという点です。 まず国民健康保険料についてです。
国民健康保険は、2017年度まで各市町村が独自に財政を運営し、国保料を決める仕組みでした。しかし大阪府は、2018年度から全国に先駆けて「府内統一化」を進め、全市町村に対し、2024年度までに大阪府が示す「統一国保料」を導入するとともに、市町村独自の国保料減免制度や一般会計からの任意繰り入れを解消するよう求めてきました。昨年度からの「府内統一化」の本格実施にともない、本市の一人当たり平均保険料は昨年度、18443円(11.4%)も値上げされたうえ、来年度も0.2%の値上げとなっており、保険料引き下げの努力は全く行われていません。
府の統一保険料率を基に、年収400万円の30代夫婦と就学児2人の4人世帯をモデルケースとして試算した場合の国保料の年額は、今年度51万3223円から、1万9108円増の53万2331円となります。この年額は、全国平均の約40万5千円より10万円以上重く、全国最高額水準の国保料となり、「府内統一化」の弊害が顕著に表れています。法的には、「府内統一化」後も自治体独自の保険料の軽減や減免は可能とされているのであり、各自治体が主体的に判断できることを福祉局も認めています。
国が思い描くように統一化が進まないのは、急激な国保料の値上げにつながる仕組みだからであり、本市としても社会保障としての国保法の主旨にそって、独自の任意繰り入れと減免を継続するべきであります。
物価高騰に苦しむ市民の窮状などおかまいなしに、率先して統一化を進めた大阪府・市の責任は重大であり、高すぎる国保料の軽減にこそ努めるべきであります。 なお、関連して申し上げますと、厚生労働省は今月18日、いわゆる「国保逃れ」の問題を受け、全国の保険者に是正を求める通知を出しました。各保険者は今後、「国保逃れ」が疑われる事業者を調査し、必要な指導を行うよう求めています。本来、国民健康保険と国民年金に加入すべき人が、実態に合わない形で保険料が低い制度を利用することは、国民皆保険制度の根幹を揺るがす問題であり、厚労省の通知に沿い、各保険者は厳格に対応すべきであります。 続いて介護保険料についてです。
本市の65歳以上の介護保険料、基準月額が全国一高額となった第9期が、来年度終了します。介護保険財政の国の負担割合は、2000年の制度導入時から26年経った今でも、25%のままであり、現在の制度はすでに限界にきています。本市として、国庫負担を大幅に増やすよう、強く国に要請すべきであります。同時に、本市の取組みとして、健康寿命を延ばしていくための介護予防事業は必要ですが、市民に努力を求めるだけではなく、第10期に向け、財源投入によって介護保険料を引き下げるという、本市独自の具体的な手立ても必要なのであり、介護保険料軽減のための財政支援は、行政として当然の責務であります。
また、食料品をはじめ生活必需品全般の価格が押し上げられ、家計のやりくりに不安を抱える市民は増え続けているのであり、こうした時こそ財政調整基金は活用されるべきであります。本市の財政調整基金は、2026年度末見込みで3098億円にものぼります。政令市で二番目の横浜市は514億円であり、実に横浜市の6倍もの基金は、市民の窮状に寄り添った切れ目ない物価高対策を講じる余力があることを示しています。この間実施された、上下水道料金減免の継続をはじめ、本市独自の実効性ある物価高対策を実施すべきであります。 第二に教育についてです。
本市の公立中学校に通う生徒の約1割が不登校となっていることは、少なくない生徒たちが、学校生活に息苦しさを感じている証左であります。
テスト漬けの過剰な競争教育の是正、ほとんどの政令市で行われている不十分な国基準を上回る少人数学級の実施などに今こそ踏み出し、教員の長時間労働と生徒・保護者とのコミュニケーションの低下を改善すべきでありますが、「大阪市教育振興基本計画」には、具体的な解決策が全く示されていません。 本市の教育行政が抱える根本的問題にこそ正面から向き合い、具体的な改善策を講じるべきであります。
また、大阪市立学校活性化条例の改正により、今年度から学校統廃合に関する規則が、小学校のみならず中学校にも拡大されています。学校施設は、教育活動のみならず、地域活動の拠点、災害時の避難場所でもあり、地域の大切な宝です。また、小規模校の将来像については、何より子どもたちと保護者、そして地域に寄り添った、丁寧かつ慎重な議論が重要であることは言うまでもありません。学校統廃合によって吹き出ている矛盾を検証し、条例をごり押しするのではなく撤回すべきと改めて申し上げます。
第三に、万博後の夢洲まちづくりについてです。
昨年10月に万博が閉幕し、運営費が黒字になったことをもってして、成功したと喧伝されています。しかしながら、これは警備費約255億円や途上国出展支援費約240億円などを、国費負担へと切り離しての結果であります。運営費のみならず、上振れを続けた会場建設費2350億円や、会場へのアクセス向上・周辺インフラ整備費約8520億円をはじめ、巨額の事業費がかかっているのであり、これからの市民負担を考えれば、とても成功したなどと言えず、夢洲で万博を開催したことの正当性を主張するための収支計算にすぎないと指摘しておきます。
来年度予算案には、IR用地に関する液状化対策を含む、夢洲地区の基盤整備事業として、124億500万円もの予算が計上されており、IR・カジノ誘致の大型開発を疑問視する声に対し、立ち止まろうともせず突き進めようとする姿勢には全く道理はありません。 また、関西電力子会社の関西電力送配電が、夢洲北東部に建設している変電所の市有地売却がいまだに難航しています。その大きな要因は、IR用地と地理的条件や周辺環境がほぼ同じであるにもかかわらず、IR用地の1平方メートル当たり約12万円に対し、変電所は約33万円と3倍近くも高い算定価格が出たことによるものです。まさに、IR用地を大値引きしたことによる“ひずみ”の表れであり、その影響は万博跡地の開発にも及ぶことは避けられません。
そもそも、廃棄物の最終処分場である夢洲を開発の拠点にし、万博開催やTRを中心としたまちづくりを進めようなどという発想自体が誤りなのであり、きっぱり中止すべきです。 最後に、副首都構想についてです。
副首都の目的を、「首都の危機管理機能のバックアップ」「首都機能分散および多極分散型経済圏の形成」とし、災害時などの首都機能の補完と、東京一極集中の是正による経済成長をあげていますが、「危機管理」も「多極分散型経済圏」も、1990年代に本格化した「首都機能移転論」の中で持ち出されたものです。
中央省庁の「危機管理」については、耐震化や建て替えなどの防災対策が行われていったことにより、防災の名で副首都をつくる必要性が厳しく問われ、「多極分散型経済圏の形成」については、新たな開発の拠点をつくるだけの壮大な無駄遣い、との批判を浴び断念に追い込まれたものです。
「防災対策」や「東京一極集中の是正」をいうなら、基礎自治体の権限や財政を強化し、行政機関だけでなく全ての地域において、住民を守るための災害に強いまちづくりを進め、賃上げや中小企業への支援を行い、地域経済を強くすることこそ必要なのであります。 破たんした議論を蒸し返しながら、2度も否決された大阪市廃止・分割構想を再び持ち出すなど、断じて許されないと申し上げ討論とします。 |