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市議団の実績

 「大阪市会議員定数削減」条例案に対する
山中議員の反対討論

山中智子市会議員

2023年6月9日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議員提出議案第15号「大阪市会議員定数及び各選挙区選出数に関する条例の一部を改正する条例案」に反対する討論を行います。

 議員定数の問題は、地方政治における民主主義の根本問題、基本問題だとあらためて申し上げたいと思います。国の議員内閣制とは大きく異なり、首長と議会の議員、双方を住民の直接選挙で選ぶ二元代表制をとっており、それぞれ独自の権限と役割をもっています。地方議会は住民の声を代弁し、住民の意思を市政に反映させるパイプ役としての役割と同時に、行政の長をはじめとする執行機関のチェック役として、その独断と暴走を防ぐという重要な役割を合わせもっています。こうした役割を担う議員数を一定程度確保することは住民自治の発揮のためにも必要であることは言うまでもありません。なかでも275万人もの多様な考えをもつ人々が生活し活動する大都市大阪市にあって、本市会の果たすべき役割は今後ともますます強くなりこそすれ、いささかも弱まるものではありません。今回の減らせばいい、といわんばかりの定数削減は、議会制民主主義の重大な後退を招くとともに、市民と市政をつなぐパイプを細めるものにほかなりません。

 全国都道府県議長会のもとにつくられた都道府県議会制度研究会は、報告の中で、議員定数について、「議会は地域における政治の機関であり、行政体制の一部ではない。したがって、議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない。議員定数は、議会の審理能力、住民意思の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な定数の一律削減は適当ではない。また競って定数削減を行うことは、地域における少数意見を排除することになりかねない点にも留意すべきである」と警鐘を鳴らしています。

 「身を切る」と称して、これほどの削減を強行しそれを誇ることは、突き詰めれば「議会はいらない、必要ない」とみずからの存在を否定するとともに、「少数意見はいらない」と市民の声を切り捨てることにつながると言わざるを得ません。

 大阪市会の議員数は、現状でも政令市のなかで、横浜・名古屋に次いで、人口あたりの議員数が3番目に少なく、今回の大幅削減で、名古屋を抜いて2番目に少なくなります。現状でも大阪市の議員1人あたりの人口は33,980人、今回の削減で39,320人です。議員1人あたりの人口が15,000人前後の政令市がざらにあるなかで、多すぎると言える根拠はどこにもありません。

 これまでの、議員定数の見直しは、少なくとも会派間で一定の議論・調整を重ねて行ってきました。とりわけ、全面的な見直しの際は、非交渉会派も含めて会議体をつくり、報酬や議会改革など様々な角度から検討・議論をして実施してまいりました。ところが、今回、定数の14%にあたる11人もの削減という、議会のあり方さえ変えかねない定数減にについて、私たち非交渉会派はもちろん、主要会派間でも、ほとんど検討されていないように見受けられます。現に、この削減案に驚いた市民の皆さんから、短期間で提出された33件の陳情について質疑する運営委員会も、議会の大切さを訴え、安易に決めないでほしいと願う陳情について真摯な議論はないまま不採択とされました。まともな議論もなく、4月の選挙直後のこの時期に、4年後2027年の議員定数を決める。2025年には国勢調査が行われるにもかかわらず、極めて拙速に、極めて乱暴に、まるで現在の定数はなんの妥当性もないかのように11もの削減をするというわけです。到底認めることはできません。

陳情された方を含め、多くの市民が、少数意見や多様な意見、自分たちの声が届かなくなる、と危惧しておられます。私たちが選んでいただいている議会のこの議席は、議員の身分だとか特権だとかいうものでは決してなく、市民の代弁者としての役割であり、市民の物です。その市民にほとんど知らせることもなく、市民が声を上げる時間も機会もないまま強行することに強く抗議し、反対の討論といたします。