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市議団の実績

小学校統廃合を強行する条例案に
反対する長岡議員の討論

長岡ゆりこ市会議員

2020年2月21日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第8号「大阪市立学校活性化条例の一部を改正する条例案」に反対の討論を行います。

 この条例改正は、小学校の学級数を12クラスから24クラスが適正だと決め付け、11クラス以下になったら、統廃合を行政が強行するためのルール作りです。

 小学校の再編整備については、文部科学省の「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置などに関する手引き」の「基本的な考え方」に、「学校規模の適正化や適正配置の具体的な検討については、行政が一方的に進める性格のものでないことは言うまでもありません」と明記されています。

 保護者や地域住民の意見がまとまりにくいから、学校配置の取り組みを早期に進めるために条例化するというやり方そのものが、文科省の方針に反することであり、大阪市が合意形成の責任を放棄することでもあり、許されることではありません。約1ヶ月という短期間に、条例化に反対する8500を超える署名が、つまり市民の思いが出されたことを、重く受け止めるべきです。

 統廃合がすでに行われた浪速区の塩草立葉小学校に、5年生と2年生の子どもさんが通うお父さんからは、統廃合により交通量の多い幹線道路を3本と、踏み切りをひとつ渡っての通学になって危険だ。しかも統廃合後わずか3年で、児童の増加により校舎増築となり、工事後にはただでさえ狭かった運動場が、さらに小さくなる。統廃合の説明会のときに、近隣の廃校になった支援学校の運動場を、第2グランドとして使うとの説明があったが、結局休み時間に着替えて別のグランドに移動して、それから体育の授業をするというのは小学生には難しく、そのグランドは使われていない。実効性のない口約束で、結果として子どもたちが不利益をこうむっているという、お叱りの声をいただいています。

 子どもたちのためといって統廃合をやって、狭い学校に子どもをギュウギュウ詰めにして、走り回れる運動場さえ、きちんと用意してあげられていない。これが、統廃合を進めてきた結果です。

 また、小規模校といわれる鶴橋小学校に通う2年生の子のお母さんからは、入学式の時2年生から6年生すべての子どもたちが迎えてくれて、その暖かい入学式にとても感動したことや、少ない人数だからこそ、クラスも、他の学年の子たちもみんな仲良しですと、目が行き届くから、苦手な勉強をゆっくり見てくれるし、家庭学習が進まないと担任の先生に相談したら、やったドリルを持ってきたら見てあげるよと言ってくれて、やる気につながった。という、小規模校だからこそ良かったという声をいただいています。保護者のみなさんからは、小規模校を歓迎する声がたくさん寄せられていて、デメリットと言われる、「いじめがおきたときにクラス替えができない」とか「人間関係が固定化する」ということではなく「目が届くからいじめに発展しない」「小規模校だから人間関係がうまくいく」というメリットが働いている状況になっています。

 これらの点を踏まえ、適正規模の考え方そのものを、見直すべきです。今回の条例案では、文科省は「18クラスまでが標準」としている学級数を、24クラスまでと基準を緩め、かつ、大規模校への手立てが明記されていません。

 小規模校の統廃合にばかり熱心で、大規模の学校の問題は後回しにする教育委員会の姿勢に、コスト削減のためではないかと批判が集まっているところです。中心部はどんどん人が増えて、学校には子どもたちがあふれ、周辺地域は不便なままで取り残されて、小学校の統廃合でますます地域が衰退してしまう。

 このような状態を野放しにするのではなく、地下鉄延伸などの交通網の整備も含めて、今回焦点となっている生野区にも、市内のどこにも、子育て世代をよびこむ施策をまず行政として取るべきです。

 条例化による小学校の統廃合強行ではなく、政令指定都市の強みを活かして、大阪市全体の街づくり計画、少子化対策、子育て世代を呼び込む人口増加のための具体策こそ、進めていくべきです。

 教育委員会は11クラス以下になったら即廃校ではないし、保護者や地域のみなさんの声を、ただ一方的に聞きっぱなしではなく、きちんと受け止め、再編計画に反映していくとしていますが、それでしたら、これまでどおり指針に則って進めれば充分であり、条例化する必要はまったくありません。

 学校には地域の歴史や様々な背景があり、地域住民の理解を得ることなく、統廃合を進めることは許されません。

 大阪市は子どもたちに正しいコミュニケーションの方法を示し、お手本となるためにも、反対の意見の人を切り捨てたり、合意形成を放棄したりするのではなく、学校統廃合を強行せずに話し合いで事を進めていくべきです。子どもたちのことを本当に考えるなら、再編ありきのルール作り、条例化はするべきではありません。

 今すべきは、少人数学級など、一人ひとりに目が届く教育を、大阪のすべての子どもたちに保障することだと申し上げて反対討論といたします。