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市議団の実績

 補正予算案および大学統合議案に対する
井上議員の反対討論

井上ひろし市会議員

2020年2月21日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第1号「2019年度大阪市一般会計補正予算(第3回)、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所の一元化施設整備に係る用地取得費の追加」、および議案第31号「公立大学法人大阪に係る第1期中期目標の一部変更について」に反対する討論を行います。

 まず、議案代1号についてです。

 2017年に本市の環境科学研究所と府の公衆衛生研究所を統合・独法化し、大阪健康安全基盤研究所が設置されましたが、そもそも役割も違いすみ分けも出来ていた両施設を無理やり統合しなければ、今回の16億8900万円の追加補正を含む、約30億円もの負担は生じなかったのであります。

 本来、両施設は他都市と同様に自治体直営を維持するべきだったのであり、これまで果たしてきた役割に基づき、連携・協力を強めることこそ求められていたのであります。両施設を「二重行政のムダ」と決めつけ、拙速に統合を進めた結果、市民負担を大きく増やす結果となってしまったのであり、本補正予算は到底認められません。

 続いて、議案第31号についてです。

 本議案は言うまでもなく、「一法人一大学」を目指すものであります。「一法人二大学」であれば、二つの大学は元のまま存続することになりますが、「一法人一大学」になるということは、長い歴史と伝統、実績を誇る大阪市立大学と大阪府立大学は廃止されることを意味します。統合の名で、両大学それぞれの歩みに終止符を打たんとすることには全く道理も大義もなく、到底賛成することはできません。以下、具体に理由を申し述べます。

 第一に、大阪市立大学と大阪府立大学の統合は、そもそも大学関係者の内発的な要求ではなく、決して二重行政ではないからであります。

 2013年1月に公表された「新大学構想」では両大学ともに、「教育・研究水準などは、国立の基幹大学に次ぐポジションを占めており、公立大学の使命である地域貢献についてもそれぞれに高い評価を得ている。」と提言しています。同時に、「運営交付金は、公立大学法人後、急激に減少している。」と苦言すら呈していたのであります。

 改革の名の下に統合議論を押し付けられた当初、大学側は設置理念や建学の精神、地域に根ざす高等教育機関としての意義と役割を検証する過程においても、大学統合などではなく、基礎的研究の充実や研究者の養成などに対する行政の支援をこそ内発的要求としていたのであります。

 議論を重ねれば重ねる程、当局は「二重行政のムダ」などと言えなくなり、「大学統合によって一定規模の大学になる」「少子高齢化・大学間競争の激化へ対応できる」などと、「二重行政論」からの論点のすり替えと統合理由の後付けに終始して、大学統合議論は今日に至っているのであります。

 第二に、「大学の自治」「学問の自由」をないがしろにするものであるからです。

 教育基本法は、「大学については、自主性・自律性その他の大学における教育および研究の特性が尊重されなければならない。」とうたっています。

 2022年度の開学先にありきで、学部集約やキャンパス整備は後追いで進めるという逆立ちしたスケジュールにも、大学統合議論に内発性のかけらもないことが表れています。

 「大学の自治」とは「行政に対する自治」であるべきなのであり、「学問の自由」とは「行政からの自由」なのであります。統合の強引な押し付けは、大学を行政に従わせる“統治”以外の何物でもありません。

 第三に、都市再開発のために大学を利用し、キャンパス整備等に莫大なコストを費やそうとしているからであります。

 元をたどれば、副首都推進本部会議での「森之宮地域を民間デベロッパーが開発し、住宅や商業施設と一緒に学舎を建設、そこに大学が入居すればよい。」という意見が発端となり、メインキャンパスを森之宮に整備するという方針が打ち出されたのであります。

 大学の将来を真剣に考えての案とはとても思えませんが、やはりこの点からも、主役であるはずの大学関係者からの発信や切実な要求が、いささかも伝わってきません。

 以上3点にわたって反対理由を申し上げましたが、「大学の自治」「学問の自由」をないがしろにし、統治の発想で大学の将来を行政が強引に決めてしまうようなやり方は、決して認められないと申し上げ討論とします。