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市議団の実績

万博口実の開発反対

大阪市議会 小川氏が反対討論

小川陽太市会議員

2018年12月12日

大阪市議会は12日の本会議で、市営住宅、港湾施設などの復旧、倒木の撤去、農業用ハウス等再建・撤去の助成金創設などの補正予算案を全会一致で可決しました。大阪万博関連補正予算は共産党以外の賛成多数で、府立大学と大阪市立大学の2022年度大学統合方針案は共産、自民党以外の賛成多数でそれぞれ可決。府市の病院機構統合方針案は反対多数で否決されました。

日本共産党の小川陽太市議は反対討論で、万博関連補正予算案について「私たちは万博の理念そのものに反対ではないが、補正予算案は万博を口実に万博会場の夢洲(ゆめしま)にIR(カジノを中核とする統合型リゾート)を誘致するためのものだ」と批判。「『大阪にカジノはいらない』は市民多数の声だ」と反対しました。

大学統合に関しては、そもそも「二重行政」のムダと決めつけたことから出発したが、両大学とも募集倍率は高水準で、伝統と歴史のある公立総合大学、比較的安い学費で安心して学べる高等教育機関として十分に役割を果たしていると指摘し、廃止統合しなければならない客観的な理由はないと「大学リストラ」である統合に反対しました。

「これ以上のコスト削減の名のもとに府市の病院が廃止・縮小されることは許されない」と病院機構の統合に反対しました。

また、大阪市立の美術や自然・科学、歴史などの博物館群の地方独立行政法人化に反対しました。

(2018年12月14日付しんぶん赤旗)


 

は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、議案第213号・214号・215号「2018年度大阪市一般会計補正予算第五回」ほか万博関連の補正予算、議案第151号「地方独立行政法人大阪市民病院機構に係る中期目標の制定について」、議案第131号「公立大学法人大阪に係る第11期中期目標の制定について」、議案第153号〜156号「博物館群の地方独立行政法人化」に関する4議案について、反対する討論を行います。

まず補正予算についてです。この補正予算案は、万博開催決定をうけて、会場の基盤を整備するために夢洲2区の30haを土地造成する費用、鉄道整備検討調査予算、道路や下水道等の基盤整備検討調査ならびに基本設計の予算、舞洲や此花区の下水道施設を増強するための基本設計費、これらの費用のための債務負担行為の承認を求めようとする議案であります。私たち日本共産党は万博の理念そのものに反対するものではありませんが、今回の補正予算案は、万博会場の隣にIR・カジノを誘致することを前提としており、万博のためという口実でIR・カジノを誘致・建設するためのものだと言わなければなりません。

大阪にカジノはいらないと言う声は市民多数の声であります。夢洲にカジノを誘致するための補正予算案には到底、賛成できません。

以下具体に申し上げます。 

夢洲2区の30haの埋立てについてですが、夢洲には万博会場のために新たに埋立てをしなくても、3区にほぼ土地造成が終わっている90haもの土地があるではありませんか。万博開催計画によると、3区の北側70haはカジノ予定地として、その上で3区南側の22haと2区の30haを新たに埋立てして万博会場にするということであります。したがって今回の136億円の埋立て経費はまさにカジノのための土地を優先し、それがために必要となる経費であると言わなければなりません。こんなものは到底認める訳にはいきません。

鉄道整備検討調査費についてです。カジノ事業者であるラスベガス・サンズが万博決定祝福メッセージで「大阪・関西万博は大阪が掲げる統合型リゾートの計画と密接な関係にあります。いずれも建設地は夢洲であり公共設備やインフラを必然的に共有することになるでしょう。したがって大阪・関西万博は統合型リゾートを世界に紹介するプラットホームになると考えております」と露骨に語っています。

そして夢洲への鉄道建設に関する、202億円について、「喜んで投資させていただきたい」と言っているカジノ事業者もいるとの報道は、この鉄道建設が、まさにカジノ事業者が待ち望んでいるものであり、カジノのための鉄道だということを物語っております。こんな鉄道に税金を投入することなど到底市民の理解は得られません。断じて反対です。

 IR予定地を囲むように計画されている外周道路やその下の下水管などの基盤整備検討調査や此花下水処理場、舞洲抽水所の増強のための基本設計などなども、まさにIR・カジノのためであり認められません。

 次に議案第151号「地方独立行政法人大阪市民病院機構に係る中期目標の制定について」であります。唐突に「府市の地方独立行政法人の統合を検討する」ことが中期目標に記述された事に、委員会では議論が集中しました。住吉市民病院と大阪急性期総合医療センターとの機能統合と同じように、これ以上、コスト削減の名の下に病院が廃止・縮小されることは許されません。 

 そもそも大阪府市医療戦略会議の提言にも盛り込まれておらず、広域医療と地域医療のあり方すら検討されていません。明らかに都構想が実現されたあとの市民病院機構のあり方を検討するものであり、まったく話にならないもので、断じて認められません。

次に議案第131号「公立大学法人大阪に係る第1期中期目標の制定について」は、2019年4月に先行して統合する大学法人の中期目標に「2022年度を目途とする両大学の統合による新大学の実現に向け準備をすすめる」と大学統合の期限を明記しようとするものです。

この間、法人統合の議論でも、今回の中期目標の議論でも、議会は、市長に対して再三「具体的な新しい大学の絵姿を示さなければ議論にならない」と言い続けてきました。実際に統合を進める際は「学部・学科、大学院の構成やそれぞれの定員」「学位の授与、教育課程の編成や実施、カリキュラムと教員の配置」「キャンパスはどこにするのか、どのキャンパスでなにを学ぶのか」など、こういった大学を作るという基本的な中身を決めなくてはなりません。ところが、その中身はなんら示されることはありませんでした。

思い返せば、突然の吉村市長の「森之宮に新キャンパスを作ることを検討している」との発言でもって法人統合が進められましたが、いまだに財源や十分な広さは確保されるかなど行政的な検討経過などは何も明らかになっていません。まともな情報がない中、関係者や市民はとても不安に感じています。

市大138年、府大135年、それぞれ歴史を刻み、伝統を重ねてきた大学の廃止統合を市民の目が届かない、政治の裏取引で強行しようなど、断じて許せません。

一昨日、ノーベル賞を受賞した本庶佑先生が「このままでは将来、日本からノーベル賞を受賞する研究者が出てこなくなってしまう」と現在の日本の研究環境について「短期的な成果を求め、時間がかかる基礎研究に投資が不十分であること」に警鐘を鳴らしておられることを肝に銘ずるべきだと思うのです。

そもそもこの大学統合は、府市統合本部で二重行政ときめつけ、橋下市長の「東京ですら140億円のキャッシュしか出していない。大阪では、府と市で合わせて200億円。大阪はそこまでの大学を抱える必要があるのか」という所から始まった議論に他ならないわけです。それが、いつの間にか良い大学にしていく、大学間競争に打ち勝つ為の大学統合だ。18歳人口が減少するなか選ばれる大学になるための統合だ。などといろいろ言い出したわけです。

 しかし、現在、市大・府大ともに募集倍率は高水準にあり。歴史と伝統ある公立の総合大学として、比較的安い学費で安心して学べる高等教育機関として十分に役割を果たしており、廃止統合しなければならない、客観的な条件はありません。本質は「大学リストラ」そのものであり、断じて認めるわけにはまいりません。

 最後に議案第153号〜156号「博物館群の地方独立行政法人化」に関連する4議案について申し上げます。

 大阪市は1936年の市立美術館の開設から始まり、市民はじめ様々な関係者の支援によって、美術や自然・科学、歴史など博物館群を設置運営してきました。大阪市は財政難を理由に全国に先駆けて博物館施設に指定管理者制度を導入したあげく、指定管理者制度では「期限の定めがあることで、中長期の視点に立った経営と人材の確保ができない」として、今回、これまた全国に例のない博物館施設の地方独立行政法人化をすすめるとしているわけです。

 独立行政法人化は、効率性、採算性といった経営的視点が持ち込まれ、いずれ目先の収益にとらわれていってしまうという心配はぬぐえません。博物館や美術館は本質的に市場原理や効率性、採算性とは相容れることのないものです。広く市民に文化的研究の成果を享受させる文化教育施設としての役割を果たしていくよう、大阪市直営で運営するべきです。

今回の地方独立行政法人化は、大阪市の歴史と文化を破壊し、大きな禍根を残すものであると申し上げ、反対討論と致します。