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市議団の実績

大阪市議会“市民守る施策こそ”

決算認定に小原議員反対

(2017年度大阪市一般会計決算認定に対する 小原議員の反対討論)

こはら孝志市会議員

2018年11月14日

写真 大阪市議会本会議が14日に開かれ、日本共産党の小原孝志議員は2017年度一般会計決算の認定に反対する討論を行いました。自民党も決算認定反対の討諭を行うなか、決算は維新・公明など賛成多数で認定されました。

 小原議員は、依然として中小企業の経営と市民生活が厳しいなか、くらしを守る施策が求められるのに、決算は決着済みの「大阪都」構想の蒸し返しや大型開発の継続、カジノ誘致などであり認められないと批判しました。

 小原議員は「都」構想について、「莫大(ばくだい)なコストで住民サービスはカットせざるを得なくなるなど市民にとってデメリットでしかない」と批判。「市民・議会でも反対多数は明らかであり、不毛な制度いじりにこれ以上、税金と時間を浪費すべきでない」と断念するよう主張。

 「公共の福祉を増進し住民の幸福を図るべき大阪市が住民に不幸をもたらし、巨額の財政負担を生じさせる」と、カジノ誘致に反対し、国際コンテナ戦略港湾づくりや淀川左岸線2期・延伸事業、なにわ筋線など「不要不急の大型開発に血道をあげることは許されない」と批判しました。

 また、累積赤字を解消し、黒字に転化している国保料の値上げは「高すぎて払えないという市民の願いに背く冷たい市政だ」とのべ、「二重行政」だと廃止した住吉市民病院跡地への入院も出産もできる新病院建設に一日も早くかじを切るべきだと主張しました。

(2018年11月16日付しんぶん赤旗)


 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2017年度大阪市歳入歳出決算報告に反対する討論を行います。

 大阪経済は明るさを取り戻しつつあると言われているものの、それはほんの極一部であり、大多数の中小企業の経営と市民生活は依然厳しい状況が続いています。

このような時こそ、地方自治体本来の役割を発揮し、中小企業振興と市民の暮らしを守ることに傾注すべきであります。

 しかしながら、本決算に現れているのは、決着済みの都構想の蒸し返しや不要不急の大型開発の継続、さらには大阪に害悪をもたらすIRカジノの誘致などであり到底認められるものではありません。 

以下、具体に指摘いたします。

第一は、大阪都構想についてであります。

言うまでもなく大阪市廃止・分割の都構想は市民の判断で否決されました。ところが吉村市長は、「首長選挙の公約に掲げて当選したから再チャレンジする」と言い、「任期中に住民投票をやるという公約を守る」の一点張りで、法定協議会を設置し、無理に無理を重ねた、スケジュールありきの議論を急ピッチで進めてきました。しかし、この間の議論で明らかになったことは、この制度いじりによる経費削減効果は皆無であるにもかかわらず、莫大な初期コストや毎年の運営費の増が、特別区民にのしかかり、住民サービスはカットせざるを得なくなるなど、市民にとって都構想はデメリットしかないという事でした。

さらに、住民投票はあくまで「大阪市廃止・特別区設置に賛成か反対か」だけを問うものであるのに、大阪市存続である総合区制度を持ち出し、特別区か総合区かを選ぶ住民投票であるかのような誤った広報を意図的に行っています。市民多数の願いである今の大阪市が良いという民意をないがしろにするとともに、特別区か8区の総合区かの選択しかないかのように市民をあざむくものであり断じて認められません。

市民の中でも、議会でも、特別区反対が多数であることは明らかです。不毛な制度いじりに、これ以上、税金と時間を浪費することは許されませんキッパリと断念すべきだと申し上げておきます。

第二の理由は、IRカジノの誘致についてであります。

市長は大阪のさらなる発展につなげていくためにと、夢洲へのIRカジノ誘致に取り組んでいますが、とんでもない暴挙だといわざるを得ません。

夢洲まちづくり構想では第1期IRで、年間1500万人を集客するとしていますが、その根拠はまったく示されないのであります。さらに、その内、外国人観光客は2割の300万人、としている点についても何ら確たるものはなく、挙句の果てには、外国人観光客2割を見込むのはIR全体であってカジノではない、と言い出す始末です。結局、大阪商業大学の谷岡一郎氏が指摘する通り、カジノの顧客のうち外国人観光客はせいぜい1割以下であり、カジノのターゲットは大阪周辺の人を中心とした日本人だということが、ますますはっきりしました。カジノ事業者はそれら市民の財産を狙い莫大な利益を当て込んでいるのです。そんな施設が出来ればギャンブル依存症が広がり多くの市民の幸せが奪われてしまうことになるのではないでしょうか。また、本来、大阪の飲食店や商店などで消費に回るはずのお金がカジノにつぎ込まれてしまっては大阪経済にも大きなマイナスであります。

そして、インフラ整備として鉄道建設540億円などの市民負担も未だ不透明なままであり、2026年以降の第2期では、北ルートの鉄道建設が前提とされており、JR桜島線の延伸で1,700億円、京阪中之島新線の延伸で3,500億円の巨額の事業が計画されており、莫大な市民負担を伴うことになります。

公共の福祉を増進し住民の幸福を図るべき大阪市が住民に不幸をもたらし、さらには巨額の財政負担を生じさせるカジノ誘致など絶対にやめるべきであります。

第三は不要不急の大型開発についてです。

2011年度からはじまった全体事業費で1173億円。内、本市負担、387億円という巨額の国際コンテナ戦略港湾づくりが2025年を目途に継続中であります。しかし、事業の目的である北米基幹航路の維持拡大どころか貨物量や寄港実績は減少しており、全く達成する見通しがない状況であります。

また、地下高速道路である淀川左岸線2期は残事業費987億円、延伸部に至っては全体事業費4000億円であり、市内交通の渋滞緩和を目的としていますが将来的に人口、交通量は共に減少する予測であり、また防災面でも多くの課題があるにもかかわらず、これほどの巨費を投ずる必要があるのでしょうか。

新たな地下高速鉄道なにわ筋線もそうです。関西国際空港までのアクセス強化が名目ですが、関空−梅田間の所要時間を5分短縮するために3300億円であります。見込んでいる利用客もその殆どが市内地下鉄からの転化にすぎません。

このようなことはキッパリと見直すべきであり、度重なる大型開発の失敗に懲りもせず、不要な大型開発に血道を上げるようなことは決して認められません。

最後に暮らしに関してです。

市民生活は依然厳しい状態が続いている中で、大阪市は高額な国民健康保険料を2017年度までの5年間で合計7%の値上げを行ってきました。

しかし、この5年間の大阪市国民健康保険事業会計の単年度収支の合計は1705000万円にも上り、2007年度385億円あった累積赤字を昨年度解消し16億円の黒字になっています。また、大阪市が行ってきた国保料引き下げのための一般会計から国保会計への任意繰入は2013年度183億円が昨年度143億円と40億円の減額になっており、大阪市はこの間の国からの財政支援の拡充を累積赤字の解消と任意繰入の減額に充て、市民には負担を求めてきたのであります。高くて払えない国保料を引き下げて欲しいという市民の切実な願いに背く冷たい市政と言わざるを得ず到底認められません。

次に、昨年度末をもって廃止された住吉市民病院に関してです。

長年、大阪市南部医療圏で地域医療や重症心身障害児の入院受け入れ等、福祉医療を担って来た地域に無くてはならない病院を二重行政だと言って廃止・統合を強行し、重大な医療機能の後退をもたらしたことは明らかな失政であります。

現在、暫定運営を行っている住之江診療所には入院病床は無く、午前のみの外来診療だけであり全くお粗末であります。跡地に再整備する新病院について、地元医師会が望んでいるのは小児周産期病床であり、いまこそ大阪市は入院も出産もできる新病院建設に一日も早く舵を切って責任を果たすべきであると申し上げます。

以上反対討論といたします。