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市議団の実績

強権的大学リストラ

市大・府大統合可決 小川氏反対討論

大阪市議会

小川議員の反対討論(要旨)

小川陽太市会議員

2018年2月23日

写真大阪市議会は23日、本会議を開き、大阪市立大学と大阪府立大学を運営する法人を統合する吉村洋文市長提案の関連議案を、維新、公明の賛成多数で可決しました。

 日本共産党大阪市議団の小川陽太議員は反対討論で、そもそも大学の内発的要求に基づかない「二重行政の解消」を□実にはじまった統合議論であり、この間の統合議論が教員や学生、卒業生ら関係者を含め、なんら市民・府民的な理解を得られるものとなっていないと強調しました。

 法人統合の狙いが、大学の自治をじゅうりんし、強権的な大学リストラを進めるものに他ならないと指摘。「大阪に貢献するいい大学をつくるというのなら、両大学のかけがえのない歴史と伝統を引き継ぎ、両大学それぞれに公立総合大学として存続発展していくための支援を強めることが重要であり、教員、学生、卒業生などの大学関係者と市民をないがしろにしての続合には反対だ」とのべました。

 この日の本会議に吉村市長は、市民のくらしと尊厳を守る自治体の役割を投げ捨て、大阪市廃止・分割の「大阪都」構想を蒸し返し、巨大開発を推し進める2018年度予算案などを提案しました。

(2018年2月24日付しんぶん赤旗)


 私は日本共産党大阪市会議員団を代表し、ただ今上程されました、議案第144号「公立大学法人大阪市立大学と公立大学法人大阪府立大学との新設合併に関する協議について」ならびに関連する他3件について反対の討論を行います。

 これらの議案は、市大府大それぞれの法人を統合しようとするものです。大阪市大の135年の歴史は、日本の近代化の先駆けとして五代友厚らが立ち上げた大阪商業講習所としてスタートし、関一市長が大阪商科大学の設立に当たって、「国立大学のコッピーであってはならない」「大阪市を背景とした学問の創造がなければならない。この学問の創造が、学生、出身者、市民を通じて、大阪の文化、経済、社会生活の真髄となっていくときに、設立の意義を全うする」と述べられました。戦後もその流れは、歴代の教職員、学生、同窓生、市民など多くの関係者の思いや実践、経験、伝統が積み重なり、今の大阪市立大学に引き継がれているのです。大学関係者はじめ、市民の合意のない中で拙速に統合を進めることなど断じて認められません。 

 以下、具体に申し上げます。 

 第一は、大学の内発的要求に基づかない「二重行政の解消」を口実にはじまった統合議論がおしつけられている点です。

 そもそも府市統合本部で二重行政と決めつけ、橋下市長の「東京ですら140億円のキャッシュしか出していない。大阪では府と市で合わせて200億円。大阪はそこまでの大学を抱える必要があるのか。」というところからはじまった議論にほかなりません。その後、統合案件は議会で否決され、都構想も否決され、大学統合問題は決着したはずでした。ところが、2015年のW選挙の後、またぞろ大学統合議論が再始動し、府市統合本部から衣替えした副首都推進本部会議で、上山特別顧問などが主導し、大学自身に統合を進めさせるように仕向けるための新大学4者タスクフォースが設置されました。しかし、昨年の秋に発表された「大阪府立大学と大阪市立大学の拙速な統合を見直し、両大学での議論を深め、府民市民とともに発展する大学を目指すことを求める」との、教職員組合の声明の中で、「行政主導で新大学に関するいくつかの提言と計画が示されてきたが、その議論は混迷し、両大学の将来像については大学内でも、両大学間でもいまだに議論は不十分である。」と述べられているように、この間の統合議論が教員や学生、卒業生といった関係者を含め、なんら市民府民的な理解を得られるものとなっていないのが現実です。

 二重行政でキャッシュを減らすという真の狙いを隠すために、経費削減が目的ではないと言ってみたり、1法人2大学だと言ってみたり、いろいろ言説を変えごまかしを重ねてきてきました。現在、まずは法人統合と言っているわけですが、吉村市長は、16日の都市経済委員会で、「森之宮に新キャンパスをつくることを検討している」など、突如として言い出しました。一体いつどこできちんとつめられた話なのか。いったい学部の再編はどうなるのか、キャンパスとして必要な広さは確保されるのか、財源はどうするのか、結局、思いつきのいい加減で抽象的な議論でしかなく、具体的な新大学の姿はいまだ何も示されておりません。ただただ、その場しのぎの発言を繰り返し、しゃにむに大学統合を押しすすめようとするこのようなやり方は絶対に許されません。 

 第二は、法人統合の狙いが、大学の自治を蹂躙し、強権的な大学リストラを進めるものに他ならないからであります。

法人統合の基本的な考え方の中で、法人統合の趣旨として、「一元化された理事長のもとで大学統合を目指す」と明記されております。知事市長が任命する理事長が、両大学に直接、知事市長の意向を押し付けていく事になります。そして、法人統合のもう1つの趣旨として、「ガバナンスの強化を図り、選択と集中の視点から構造的な改革及び、資源の効果的な活用を行えるよう、経営を一体化する」と書かれており、その狙いが、学部の再編や定数削減の大学リストラである事が明かです。これが推進されれば、比較的安い授業料で高等教育を受ける事ができる機会が減り、府民市民にとって、大きな損失となります。また、資金確保に汲々となれば、研究も外部資金獲得競争にかりたてられます。市大が防衛省の軍事研究に手を出していることなどはその典型であり、効率化のスローガンの下さらなる経費削減が迫られれば、自由な学問の発展を阻害する事につながります。

 大阪に貢献するいい大学を作るというのなら、両大学のかけがえのない歴史と伝統をしっかりと引き継ぎ、両大学がそれぞれに公立総合大学として存続発展していく為の支援を強める事が重要であります。教員、学生、卒業生などの大学関係者と市民をないがしろにしての統合には反対であると申し上げ討論と致します。