title


市議団の実績

大都市制度(特別区設置)協議会の設置

に対する瀬戸議員の反対討論(要旨)

せと一正市会議員

2017年5月26日

写真私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案67号「大都市制度(特別区設置)協議会の設置に関する協議について」に反対する討論を行います。この議案は、一昨年の住民投票で否決された都構想、すなわち、大阪市を廃止して特別区を設置する協定書を作成するための法定協議会、これを再び設置するものであり、都構想を再び蒸し返すことは断じて許されません。

以下、反対理由を述べます。

第一に申し上げなければならないのは、都構想はすでに決着済みだという点であります。市長は一昨年に行われた住民投票で下された市民の審判を重く受け止めてこれに従うべきです。あの住民投票に際して維新の会は、「住民投票は究極の民主主義だ」「住民投票の結果には従う」と言っていたではありませんか。そして、「これがラストチャンスだ」「二度目の住民投票はない」とまで言って、都構想賛成への投票行動を求めていたではありませんか。

今回の大都市制度(特別区設置)協議会設置の再提案は、あの住民投票のときに橋下前市長や維新の会のみなさんが市民に向かって大きな声で叫んでいた言辞に反するものです。為政者があれこれ勝手な理由をつけて平気で前言を翻すことは、民主政治を否定するものだと言わなければなりません。 

 第二は、吉村市長が持ち出している再提案の理由なるものについてであります。市長は、「住民投票後の市長選挙で都構想を見直すことを公約にして当選させてもらった。再提案することは政治家としては当然だ」と仰います。では市長はなぜ選挙公報や公営掲示場のポスターにそれを明記しなかったのでしょうか。テレビ・新聞で「対立候補と都構想再挑戦の是非について論じた。マスコミがそれを最大争点として扱った」。こう言いますが全有権者に届けられる公式の選挙公報などについて書いてもいないものを公約だと言うのは勝手な言い分であります。

 そもそも市長選は市長という人物を選ぶ選挙であって、都構想の是非が問われたものではありません。都構想の是非という一点で市民の判断を仰いだ住民投票とは比べようもありません。従って、市長選挙の結果で、都構想へ再挑戦をするお墨付きを得たなどというのはまったくの暴論だと言わなければなりません。 

第三は、吉村市長が支持をしていただいた市民との約束だ、だから再挑戦に踏み出すんだとしている点であります。市長は選挙で候補者・政治家としてそのように訴えたとしても、いったん市長になってからは、市民全体を代表する立場で物を言い行動しなければなりません。

 朝日新聞が2月25、26日に行った都構想や総合区についての世論調査が発表されています。都構想についての質問、「大阪市を廃止し、新たに特別区に再編する大阪都構想に賛成ですか、反対ですか」に対する回答は、賛成37%、反対31%です。総合区についての質問「総合区の導入に賛成ですか、反対ですか」に対する回答は、賛成32%、反対29%です。しかしその後に「大阪市はどの方針をとるのが良いと思いますか」という質問がありまして、都構想を導入する、総合区を導入する、いまのままがよいという三つの選択肢の中から一つを選んでもらう質問では、回答は都構想を導入するが33%、総合区を導入するが12%、いまのままでよいが46%という結果です。

 この世論調査では、都構想をいわば単品で取り上げたら反対よりも賛成が多い、しかし大阪市がどの方針を取るべきかと問うたら、都構想導入は3分の1にとどまり、今のままで良いが46%、これに、総合区に賛成を大阪市は残すべきだという意見だと見るならば合わせて58%にもなります。こうした世論調査の結果に立つなら、市民全体の代表者たる吉村市長の取るべき道は、都構想に賛成か反対かの住民投票を市民の皆さんに突きつけることではないと申し上げておきます。

第四に協議会規約修正案についてであります。今回設置されようとしている大都市制度(特別区設置)協議会は、その規約をいくら修正しても、大阪市を廃止し特別区を設置するための法に定められた協議会であることには何ら変わりがないと言うことであります。

修正案は規約3条に、必要な範囲内において、総合区の検討状況に関し、報告を求め、協議をおこなうことができる、このことを付け加えるとしています。財政総務委員会での質疑を通じて、この協議はあくまで特別区設置協定書を作成する範囲での協議ということ、そして総合区の設計図を作るものではないという答弁がありました。

しかしそもそも総合区というのは政令市である大阪市の住民自治を拡充するために設けられた制度です。法定協議会の構成員の半数は大阪府知事と府議会議員ですからその協議の場で総合区について議論すること自体が筋違いだと言わなければなりません。これは、あたかもこの修正によって法定協議会の場で総合区についての議論が進むかのように見せかけ、市民に混乱を持ち込むものであって、到底、許せません。

私たち日本共産党大阪市会議員団は、政令市として大きな権限と財源をもつ大阪市を廃止して、それを大阪府に取り上げることが目的の都構想、そして大阪市を大阪府の従属団体たる一般市町村以下の自治体に分割してしまう特別区の設置は、百害あって一利なしと申し上げてきました。

歴史と文化ある大阪市を廃止することには市民の大きな声が起き、特別区設置協定書は先の住民投票で否決されたのであります。市民がいま大阪市政に求めているのは「制度」を変えることではありません。都市内分権・住民自治の拡充に努めつつ、政令市としてもっている大きな権限と財源をフルに使って、暮らし、福祉、教育、中小企業を応援する大阪市政へと「政策」の中身を変えることです。都構想を実現するなどという不毛な制度いじりに、再び貴重な時間を費やすことはあってはならないと申し上げておきます。

以上、反対理由を述べて、この議案に対する反対討論といたします。