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市議団の実績

山中智子議員の代表質問・質疑と答弁(要旨)

山中智子市会議員

2016年3月4日

※3月4日の大阪市会本会議、代表質問での山中智子議員の質疑と、吉村洋文市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。


山中智子議員がおこなった、代表質問の項目 

T.市政運営について

1.大阪市廃止論議は、昨年5月17日の住民投票で決着をみた。今後は270万市民の負託に応えて、地方自治体本来の役割をしっかりと果たす、まっとうな市政運営に努めるべきではないか。

2.府・市職員60人体制で副首都づくりを推進しようとしている。基礎自治体としての大阪市が最重要課題として取り組むことなのか。

3.副首都のイメージすら明らかではない。推進本部会議で好きなことを言っているだけではないか。

4.震災時などのバックアップ機能をもたせるなどという事が聞こえてくるが、大阪の震災対策が先決ではないか。

5.いくつかの中央省庁をもってくるとの話もあるが、そんな事が可能なのか。また、大阪の経済にとってどれだけのプラスになるのか。

6.主眼は、都構想を再び俎上にのせること。膨大な税金を使って、またぞろ不毛な大阪市つぶしをするのか。

7.都構想は、市民にとって百害あって一利なし。すでに明確ではないか。

8.特別区と総合区、次元の違うものを同列で論ずるのはナンセンスではないか。

 

U.地下鉄・バスの民営化について

1.今や地下鉄は、300億円を越える利益をあげている超優良企業。なぜ民営化しなければならないのか。

2.今里筋線の延伸に道筋をつけること、可動式ホーム柵の設置、南海トラフ震災対策が先決ではないか。

3.高齢化でバスの果たす役割がますます大きくなる中で、公営バスをつぶすなどあっていいのか。

4.他都市では一般会計などの支援で立派に市営バスを運営している。一般会計や地下鉄からの支援こそ必要ではないか。

 

V.水道の民営化について

1.水道は市民にとって不可欠のライフライン。管路の耐震化など安全・安心の水供給は公営でこそ可能なのではないか。

 

W.市民のくらし応援の施策推進を

1.職員給与の水準は政令市の最低。職員の士気にもかかわるし、市民にとってもプラスにならない。給与の削減はやめるべきではないか。

2.保育士不足も深刻だ。保育所待機児を解消する気があるのか。

3.高すぎる国保料、1世帯年1万円の値下げを。

4.敬老パスの50円負担はやめるべきではないか。

5.住吉市民病院の代替機能を南港病院にもたせることを約束できるのか。

 

X. 市民本位の財政運営について

1.夢洲へのIRの誘致は、膨大な税金投入となるのではないか。

2.公債償還基金なども活用して、市民の切実な願いに応えるべきではないか。

 


●山中智子議員

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2016年度予算案ならびに当面する施策について質問いたします。

この4年間、橋下市政の元で、大阪市をなくす、なくさないに明け暮れ、基礎自治体本来の役割である、市民の暮らし、福祉の向上、南海トラフ巨大地震対策など、安全、安心のための議論をしようにも大阪市の存続さえ定かではないなかで、将来を見通した議論ができない、文字通り失われた4年間でした。

 しかし、それも昨年5月17日の住民投票で、大阪市の廃止、分割にノーの判断が明確に示され、不毛な統治機構の議論は決着をみることができた、というのが多くの市民の皆さんの思いではないでしょうか。

市長、今後は270万市民の負託に応えて、歴史と伝統ある大阪市として、市民の福祉の増進、住みよい街づくりなどを最優先にした、まっとうな市政運営に努めるべきだと思いますがいかがですか。

 

◆吉村市長

 まず失われた4年間とおっしゃいますけども、私はそういうふうに考えておりません。これまでの大阪市政でできなかった様々なこと、あるいは、例えば、子どもの世代であったり教育世代であったり、現役世代といったところに投資をしていく、予算をしっかりとそちらに重点を傾けていくということ、そして、無駄な部分をしっかりと削除していくというようなところについてはですね、本当に先の4年間で大きく市政は変わったというふうに思っております。そういった意味で非常に前市長のされた事というのは、私は高く評価しているというふうに思っております。

 そういった意味で、前市長からの後継指名も受けまして、先の11月の選挙に挑んだわけであります。先の選挙においては、私自身は、非常に無名の候補者でありましたけれども、共産党さんも含めてですね、非常に強力な政党連合がですね一致団結してやる選挙のなかで行われた選挙でありました。

 そういった中でですね、まさに先の選挙というのは、前市長の市政の評価という部分も大きくあったと思っております。そういった選挙を踏まえてですね、今私がここにいるということも考えながらですね、市政というのはやっていく必要があるだろうと、それはまさに先の11月の大阪市民の判断ということを踏まえたこの市政運営というのをしていかなければならないと思っております。

 市政運営において、大阪市民の福祉だったり、教育だったり、そういった市民サービスのことおっしゃいましたが、それは私自身も今回の予算において非常に重視し、まさにそこを充実させるためにどうしたらいいかというような観点からもこの予算編成を組んでおります。基礎自治体の長として、新年度に取り組むべきことそれをしっかりと定めているということです。

 まず、「市政運営の基本方針」を本年2月に定めました。この基本方針におきましてですね、具体的な取組みとして、「豊かな大阪をめざした政策推進」、「新たな価値を生み出す市政改革」、「新たな自治の仕組みの構築」という、この3つを大きな柱として、新年度予算にその具体的施策を反映させていっております。270万人市民の安心、安全、それから住民サービスの拡充ということをしっかり見据えてですね、この予算を組み立てておりますし、市政運営をして行きたいというように思っております。

 

●山中智子議員

 失われた4年とは思っておられないというご答弁でしたけれども、たしかに一部の肝いり施策は突出をしたかもしれませんけれども、たくさんの市民のみなさん、270万市民のみなさんの思いが置き去りにされて、いつも不毛な争いと隣り合わせ、そういう意味では本当に不毛な4年だったというふうに思います。あの4年をそのように捉えておられて今後の市政運営をされるとすれば、同じことの繰り返しではないか、失われた8年になるそう私は申し上げたいと思います。

 そういうお立場で、今度は副首都だとおっしゃりはじめました。やっと大都市局がなくなったと思ったら、今度は、市長は、府と一体となって、府・市職員60人体制で新たに副首都推進局なるものを設置し、副首都づくりにまさに人もお金もつぎ込んで突き進もうとしています。

 しかし、副首都といっても、首都自体、法律によるなんらの定めもありません。こういうなかで、副首都っていったいなんなのかということです。いったいそういうものをつくる必要があるのか、つくるとすればどこにつくるのがよいのか、まさにこれは、すぐれて国政レベル、国会マターの問題というべきことだと思います。

市民に一番身近で市民のために一生懸命がんばらなければならない基礎自治体である大阪市が、最重点課題として取り組むことではないのではないかと思いますが、市長いかがですか。

 

◆吉村市長

 まずこの大都市大阪の発展ということを考えたときに、この国の力を借りるということは一つなんですが、国任せにしていてはこの大阪というのはさらに地盤沈下していくだろうと思っております。

これからはまさに都市の時代でありましてですね、この都市自体がどうすればさらに活力を見いだしてけるのかということを自ら積極的に考える時代に突入しているというふうに思っております。

この副首都につきましてもですね、本年4月に設置します副首都推進局についてですが、これについては、住民の皆さんとの意見交換の事務を行う総務担当部であったり、副首都推進本部会議の運営を担う副首都企画推進担当部であったり、さらには、副首都にふさわしい行政機構のあり方を検討する制度企画担当部、そういったものを置いてですね、概ね60人の体制でこの大阪の副首都化の推進に向けた取組みを進めていきたいと思っております。

そういった副首都推進の取組みを進めていくことで、この府と市の、このいわゆる広域的な部分でのインフラの部分であったり、大きな災害に対する防災力の強化であったり、大阪のいわゆるその大きな経済政策、産業経済の活性化であったり、そういったところを考えていかなければいけないというように思っております。

 大阪がですね、東京一極集中ではない、もう一つの極となるようなそんな大阪を目指していく、そして、大阪を成長させていくこと、それが最終的には医療や、教育、福祉、そういった市民サービス、住民サービスのさらなる充実につながるというふうに確信しておりますので、まさに、これは大都市大阪が取り組むべき課題の一つだろうというふうに認識しております。

 

●山中智子議員

 やっぱりこれは国政マターの問題で、国がどうも大阪がよさそうだから副首都を検討してしいから、お金もつけますし、人もつけますから検討してくださいっていうのだったらまだしも、やっぱり貴重な基礎自治体の職員をこういうところに力振り向けるっていうのは、私はいかがなものかと思います。

 また、府と市の広域的な部分というふうにおっしゃいましたけれども、さんざんみなさんは、大阪市が広域的なことに手を出してきたから悪くなったんだっておっしゃっているじゃないですか。やれ、図書館作ったから悪い、大学つくったから、病院つくったから悪い、基礎自治体としてやってきたことを批判しておいて、こういうときには府と一緒になって広域的なことに取り組むとおっしゃる。本当にご都合主義だと思いますね。

 法律に定めはないとはいえ、一応、この国の首都は東京ということになるのであれば、それに対応するのは大阪府かもしれません。大阪市ではないですけれども。府が広域自治体なので、こういうことを手がけてみたいというのであれば、府にやってもらえば、あえていえば、勝手にやってもらえばいいのであって、大阪市が幹事団体になって、のめりこんでいく、こんなことは間違いだというふうに、副首都推進局という組織が議決されてしまった今でも私はそう思っています。

 市長はいろいろおっしゃいましたけれども、いまだ副首都なるもの、イメージすら明らかではなくって、先日開かれた第2回の副首都推進本部会議でも、それぞれ好きなことをおっしゃっているだけだったのではありませんか。

 

◆吉村市長

 会議の全部を見ていただけたらわかると思うんですが、それぞれの知見を持たれた方がこの副首都に関して、それぞれ示唆に富んだ意見をしていただいているというように思っております。この副首都というのは、まさにこの大阪の成長ということを考えたときに、今から、新たな、ないものからしっかり作っていこうということです。これ、生みの苦しみでもあるのかもしれませんが、そういった意味で、様々なこれこそ経済企画庁の元長官であったり、東京都知事を経験された方、あるいは専門的な、学術的な知見をもたれた方がですね、しっかりと今意見をしてくださっています。

 この副首都推進本部においてですね、さまざま意見の取りまとめをしていくというのは今回の代表質問でも答弁させてもらっているところですけれども、議論の方向性の整理ということはしていきますけれども、様々な有識者から意見を聞くということは非常に重要だと思っております。

 先日行われた2回目の会議では、経済界からもゲストスピーカーも来ていただきました。この東日本大震災を受けてですね、もう一つ、やはりこれはバックアップの観点から本社機能を置く必要があると、それを大阪に選んだと。じゃあ、なぜ大阪に選んだのかというような示唆に富んだ意見もいただきました。今後ですね、様々、最終的にあるのはやはり大阪を成長させて行きたいという思いでありますから、それに向かってですね、今後、副首都推進本部会議で議論を進めて行きたいと思っています。

 

●山中智子議員

 全部、副首都推進本部会議を取材された、ある新聞でこんなふうに書いていますね。思わず頭を抱えたくなったと、こういうところから始まって、大変失礼だと思うが、率直に言いたい。会場で紹介されたアイデアは大半が首を傾げたくなるものだった。大阪城で10万人による盆踊り大会を、大阪で若者が集うゲーム大会を、これは今いわれた前の東京都知事ですけれども、それから大阪の未利用地にお屋敷街を作り、金持ち外国人を誘致するなど、こういう発言を紹介されて、このまま的外れな放談に終始するならば、理想高き副首都の看板が泣くだろうと、こういうふうに断じて報道をしておられます。

 こんなことの事務をつかさどるためなどに、60人の職員、そして来年度でもおそらく8億ほどになるだろう、こんな税金をつぎ込まれたら市民は浮かばれないというふうに申し上げておきます。

また、聞こえてくるなかには、震災時に首都のバックアップ機能を果たすなどというものもありますけれども、これもいかがなものかと思います。東京が機能麻痺なんてことになれば目も当てられませんから、東京は東京でしっかり震災対策をしてもらわなければなりません。

 同時に大阪も南海トラフ巨大地震が30年以内に7割から8割の確率で、また、将来は上町活断層の直下型地震も言われており、大阪は大阪の住民の命と財産を守る、さまざまな震災対策が先決なのではありませんか。

第一、この市役所本庁舎や咲洲の府庁が、果たして防災拠点となりうるのか、特に、咲洲の府庁舎は心配ですよね。府が考えるべきことですけれども、これらが先ずもって問われているのではありませんか。

 

◆吉村市長

 まず、防災のいわゆるバックアップ体制、東京で万一大きな災害が起こったときの日本軸におけるバックアップの体制と、それから、大阪あるいはその東京というそれぞれのエリアでそれぞれの震災対策をするという議論は、別の議論だというふうに思っております。

 まずこの大阪において、市民、府民の安心・安全を守ると、まず、市民の安心・安全を守るのは当然、私の役割でありまして、府全体であれば、府知事の役割。で、府と市が重なっているようなところもありますので、これ府と市が一体になってやっていこうというのは当然のこと。つまり、大阪に集う人たちの、市民の命と財産、生命を守るというのは非常に大きな仕事であるというふうに思っております。

 そういった意味でですね、震災対策について、まさにこの南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえて、地域防災計画を修正して、これに基づくアクションプランを策定しております。ハード・ソフト両面の取組みをいま着実に進めています。

引き続きですね、府市連携しながら、防潮堤の整備だったり、津波避難ビルの確保、大都市特有の課題であります帰宅困難者対策だったり、地下街等の浸水対策、大規模災害に備えた防災力の強化というのは進めておりますし、さらにこれを進めていきます。

それと同時にですね、当然、東京は東京で、関東圏は関東圏で震災対策を、最善の震災対策を、これは私が言うことではないですけれど、当然されているんだろうと思います。そこにすべての政治、経済、あらゆるものが集中しているということを考えると、もし、極めて大きな災害が起きたときに、日本全体の国土軸を考えたときには、やはり大阪というこの大都市がバックアップ機能をもつような、そんな大阪を考えるというのは、この大阪に住む人間としては当然のことだというように私は思っております。

 

●山中智子議員

 まもなく東日本大震災から丸5年ですけれども、あのときに西日本で一番被害を受けたビル、それが咲洲の府庁舎ということになっている。こういう状態で、副首都だとかバックアップ機能だどころではない。関東のほうからは、大体、震災時にバックアップを大阪がするなんてのはおこがましいという、そういう声も聞こえてきていますけれども、やっぱり、なによりもまず、そういうことに時間やお金やエネルギーをかけているのではなくて、市民の命と財産を守ることに全力を尽くすべきだと申し上げておきます。

 また、この副首都をめぐっては、省庁横断的な公益庁とかいう新しい国の役所をつくらせて、大阪にもってくればいいんだとか、あるいは、いくつかの省庁を大阪にもってくるんだとか色々言われているようですけれども、これも、どちらも雲をつかむような話で全くもって非現実的です。しかも、省庁の地方移転が国全体にとって果たして良いことなのか、文化庁や消費者庁の移転についても、いろいろ問題が指摘されています。

それに第一、大阪の経済にとってそういうことがどれだけプラスになるのかもわからない話ではありませんか。

 

◆吉村市長

 まず、これまで以上にですね、東京一極集中を進めていこうという政治思想に立つのであればそれいいと思います。ただ、私自身はそう思っておりませんで、今回のこのあらゆるその中央省庁についてもですね、東京にすべて今集中していますが、そうである必要はないというふうに思っております。

今回の文化庁も京都に移転するというのは本当にすばらしいことだと思います。ただ、そこは官僚としては国会対応が難しいとか、僕ももともと国会議員でしたのでその空気はなんとなくわかりますけれども、ただ全体で考えたときには、やはりすべての官庁が東京にある必要は、私はないと思っております。

 今、大阪ではまさに、この政府機関、さまざまな機関の移転の要請をしております。大きくは、特許庁と中小企業庁の誘致を提案、これは府においてされているところですが、まさに大阪というのはこの大きな経済を支えているのは中小企業、ものづくり企業がまさに大阪の発展を支えてきたというふうに思っておりますので、そういった意味では、特許庁、あるいはその中小企業庁、そういったところがこの大阪に移転してくれば、さらにこの中小企業のものづくり産業の振興というのは間違いなく図られると思っています。

 確かにこれは簡単ではない、難しい話だと思っております。国の国会議員の大臣が、本気にならなければなかなかこれは簡単にはいかないというのは承知しておりますが、だからといってこれはやめる、あきらめるということはあってはならないと思っております。

 さらにですね、この中央集権というのをなくしていくということと、この大阪の経済を成長させていくという意味においてもですね、そういった誘致の努力をしていくべきだと思っております。そういった議論をする中でも、この大阪の成長をめざしていく、府と市がバラバラにやっていくというのは違うんじゃないのかなと思っております。

 

●山中智子議員

 特許庁や中小企業庁が大阪に移転してきたら、そこに中小企業庁がきたら、大阪の中小企業が元気になると、そういうことなんでしょうか。

やっぱり、大阪の市民の懐が暖まって、みんなが安心してお金を使えるようになっていく、お金がまわり始めなければ中小企業なんて元気にならないと思うんですね。中小企業庁が大阪に来たからといって中小企業が元気になる、大阪の経済がよくなるか、本当に甚だ疑問です。

 市長自身、このあたりのことは、第一回目の副首都推進本部会議の中で、こういう経済効果については質問もしておられたように記憶をしています。

 ようするに、なんら市民にまともに語るべきイメージも理想像もなくって、ただただ、副首都という目新しい概念、言葉を持ち出して、なにかそれで経済がバラ色になるかのような幻想を抱かせようとしているに過ぎないというふうに思います。

 結局それでもって、「副首都にふさわしい統治機構」こういうことを言い出して、この副首都を利用して、引き金にして、決着済みの大阪市廃止・解体、つまり都構想を再び俎上にのせようとしているにほかなりません。副首都推進局は、都構想推進局の仮の名だという声も聞こえてきています。

 市長、膨大な大阪市民の税金を使って、またぞろ、不毛な大阪市つぶしをやるおつもりですか。

 

◆吉村市長

 大阪の成長ということを考えたときに、大阪の行政機構の議論をすること、これは非常に大切だろうと思っています。大阪維新の会が生まれる前から、大阪府と大阪市の二重行政というのは、これは問題視されてきたわけで、「府市合わせ」という言葉も大阪維新の会が生まれる前からあった言葉であります。それに対して真摯に耳を傾ける必要があると思うんですね。

で、5月17日、確かに都構想の住民投票は否決されました。これは本当に重いことだというふうに思っております。その5月17日の住民投票で否決されたという前提の中で、昨年の11月の選挙においては、私自身は、この都構想について、この3年間でバージョンアップ、修正する案をつくらせて欲しいという訴えをしたわけであります。方や、都構想の議論は5月17日で終わっている、一切その議論は終了だと、完結させると、いう候補者とのまさに一騎打ちになったわけです。議員の所属する政党では、さよなら維新というプラカードを掲げて、僕もよくそれをずいぶん見かけましたけども、そういった中でですね、この修羅場をくぐってきたわけですよね。そして、まさに市民がそういった主張も踏まえたうえで、この選挙の投票一票を投じたというふうに認識しています。ですので、大都市の制度のあり方の議論というのは、やはりこれはするべきだと思いますし、思考停止に陥ってはならないというように思っております。

 

●山中智子議員

 5月17日の住民投票の結果は重く受け止めると言われながら、なんですか、W選挙のことを持ち出しておられましたけれども、もうこれは、一般質問でも我が党が申し上げましたように、市長選挙は都構想だけが争点ではありません。

もう、あれだけのことをやって、住民投票は終わったんだから、まさか二度とやらないだろうとたくさんの方が思っておられた、吉村市長に投票された方のなかにもそんなことは夢にも思わずに投票された方もおられたと思う。市長選挙は都構想だけが争点ではありません。都構想について言えば、それのみを問うた住民投票での結果が全てです。だって、みなさんラストチャンスだと、二度とやらないと、ノーサイドだと、どれだけ叫んだか、このこともお忘れになってはいけないというふうに思います。

 修正案作りをなさるとか、バージョンアップをなさるとかいうふうにおっしゃって、市長自身、いま、各区の住民との対話というものにお出かけになっておられるようですけれども、どのように取り繕おうとも、都構想のもつ根本的な欠陥をぬぐい隠すことはできないというふうに思います。

 長く続いた都構想の議論のなかで、はっきりとした都構想の持つ市民へのデメリット、根本的な欠陥、すなわち、大阪市が消えてなくなること、新たに法律を変えなければ都にはならないということ、特別区は財源、権限ともに、一般市に満たない半人前の自治体になるうえに、庁舎建設など今以上にコスト増になって、市民サービスは悪くならざるをえないこと、多数の一部事務組合を設けざるを得ないこと等々、市民にとって“百害あって一利なし”ということはすでに明白になっているではありませんか。

 

◆吉村市長

 まず、先の選挙において示された民意において、都構想に賛成の民意が示されたとは一切私も思っていないです。ただですね、振り返って、あるいは、私自身が、その活動をしておりましたんで言えることは、まず、全てのテレビ局の選挙の討論番組が行われましたが、そこで全てのテレビ局がこの都構想についてどうするんだという議題をあげられました。そこで、私は先ほどのような主張をし、そして、もう一方で、都構想を完全に終了させるという主張がされたわけです。それは全テレビ局で行われました。それから全新聞紙でもですね、この新聞紙上討論会というのがありまして、そこでもそういった全ての新聞紙において、まさにそこは項目になりました。

まさに、選挙の争点において、メディア、市民の皆さんはそこに注目されたと思います。当然、それ以外にも敬老パスの問題であったり、あるいは公募の問題であったり、様々な討論をさせていただきましたが、一つ言えることは、その部分については全てのテレビ局、新聞紙についても共通していたということだったと思います。

そういったなかでですね、やはり市民の皆さんは大阪の大都市制度のあり方について、もう少し議論をすべきではないかと、私は訴えたのは、その修正案をつくらせてほしい、3年でつくらせてほしいということについてもですね、私はそこについては、賛成の民意が示されたんだというふうに認識しております。都構想賛成という民意ではなかったと思いますが、そこのところの民意は示されたと思っていますので、しっかりとですね、そこは議論を重ねることが大阪市民の負託に応えることになるんではないのかなというふうに思っております。

 

●山中議員

 繰り返しますけれども、都構想について問うた住民投票は5月17日の住民投票、これが全てです。ラストチャンスだというふうに何度もおっしゃったこのことを忘れてはいけないと思います。

 そして、いまご答弁をお願いしましたのは、都構想は都構想である限り、どんなにバージョンアップしようが、修正をしようが、この市民にとって“百害あって一利なし”という、この本質は変わらないのではないかということをお伺いしましたが、いかかですか。

 

◆吉村市長

 まず、考え方が大きく違うと思うんですが、百害あって一利なし、という考えが、もし私がもっていたとすればですね、先の選挙戦で訴えていません。百害あって一利なしとは思っておりません。

 

●山中議員

 いずれにしましてもね、あの住民投票、もう本当に膨大なお金と税金と時間とエネルギーを使い、そして市民の皆さんの中にも、もう混乱、不和、分断、こういうものを持ち込んでまで実施して、ようやく決着がついたことです。これを蒸し返すようなことは絶対になさるべきではないというふうに申し上げておきたいと思います。

 ここへきて、この問題で、特別区か、総合区か、を問う住民投票を先に行うとか、こういうお話もありますけれども、これ意味がわかりません。

総合区は、大阪市のなかで、都市内分権、住民自治をいかに充実をさせるかという問題です。一方、特別区はまさに大阪市をなくしてバラバラにしてしまうという、統治機構の問題です。

まったく次元の違うものを比べるなどという話はナンセンスではないですか。

 

◆吉村市長

 まず、特別区、それから総合区にも、これからの議論ですが、共通して言えることは、今のこの大阪市の体制、そして大阪市にあるこの24区の体制が、果たしてこの大都市として適切なのかという問題認識については、私は共通しているというふうに思っております。

それから、この大都市大阪、これは大阪府との関係っていうのはなかなか切れないと思いますが、大都市大阪が成長していく上で、どういったものが都市のあるべき姿になるのかと。そして、それが最終的には、大阪市民の利益、やはり我々は市民から負託を受けてやっているわけですから、市民、この大阪の成長っていうことをどう考えるのかということの問題意識を持つということ、そして、その議論を進めていこうという意味では、次元の異なるものというものではないと思っています。

 一方で、私自身は、まさにこの選挙戦においては特別区、都構想というのを主張させていただきました。

私に一票を投じた人からするとですね、いや、さらに言えばですね、何で総合区のことをお前が言うんだ、ということがあるかもわかりませんけれども、ただ一方で、大阪の大都市のあり方というのを考えたときにはですね、そういったもう一つの意見というものをしっかりと議論して進めていく、まさにその問題意識をもって、思考停止にならないということが大事だというふうに思っています。

 私自身ですね、批判も受けているんですよ。何で、市長には都構想やってもらいたいと思って投票してんのに、なんで総合区の話をするんですかと。しかしながらですね、この大都市大阪がどうすればよい形になるかということの中で、私は考えていきたいと思っていますので、まさに、次元の違うものというものではない。むしろ、思考停止に陥るべきではないと考えています。

 

●山中智子議員

 まさにですね、市長に都構想って言っていたのに、何で総合区を言うんですか、とおっしゃる方は、次元が違うってものだってことをわかっておられるからだと思うんですよ。

 総合区というものは、大阪市を存続させるという前提のもとに、総合区を含めて、都市内分権どうしましょう。住民自治どうしましょう。そうやってじっくりと議論しながら、じゃあ、この住民自治はここまでにしようと思えば、やっぱり総合区のこういうふうになるのかなというふうに、中身の議論のなかで、中身から出発して、大阪市があるなかで、どうしていくのかというそういう問題です。

 一方で、大阪市廃止・解体をめざす、その片方の手でやれる、同時並行で検討できるなんていうそんな生易しいものでは総合区だってないわけです。

 いくらその場しのぎといっても、これが比べられるものだとか、住民投票で選んだらいいとかっていうのは、あんまりにもチグハグだっていうふうに申し上げておきたいと思います。

 こういう形で、また終わったはずの大阪市をなくす、なくさないという話が持ち上がってくる、不毛なことが繰り返される、こんなことは絶対に許されないと思います。

 あわせて、議会が否決をしたものを、何度でも繰り返し提案するなど、二元代表制をないがしろにするようなことも平気で行われています。これでは民主主議は成り立たないと申しあげたいです。

 たとえば、地下鉄・市バスの民営化は、2014年11月と2015年2月の2回も本会議で否決されているにもかかわらず、「民営化の方向性は理解されている」などと勝手な解釈で、矢継ぎ早に民営化基本方針案を出されましたが、とんでもない事だと思います。

 第一、今や地下鉄は、ここ数年ずっと乗客も伸び、毎年300億円を越える黒字を出して、2014年度末には、現金・預金865億円、基金226億円など、正味資産3,700億円もの超優良企業ではないですか。

どうして今民営化しなければならないのですか。

 

◆吉村市長

  まず、地下鉄・バスの民営化について、この市民の皆さんが大きな反対の意向を示しているとはちょっと到底思えないですね。

これは、新聞紙上のアンケートだけではなくてですね、これ選挙においても当然、マニフェストに入れて訴えていることの、私自身も訴えましたし、相手の、激しくたたかった相手の候補の方も地下鉄・バスの民営化についてはですね、所有と経営の分離と、それから大阪市が100%所有する形で、これはやっぱり経営形態を考えなきゃいけないんじゃないかいうご主張をされていたと思います。

 完全に地下鉄・バス、民営化を絶対やめよ、と主張された方もいらっしゃらないと思いますし、その中で、先の選挙結果を受けてもですね、そこに大きな反対というのは、やはり違うんじゃないのかな。

で、議会で様々否決されてきたというのは、まさにその通りでありますが、だからこそ、じゃあ、どうすれば議会のご理解をいただけるのかと知恵を絞るのが市長の役割であって、そして行政の役割であろうと。

大阪市民全体がですね、民営化はこれ絶対バツだということであれば、そもそもこれはもう提案すること事態、控えるということになるんでしょうけど、議会の皆さんも問題はあるけれども、大きな方向性として、これ民営化というのは反対じゃないよ、いうようなお考えだというふうに思っております。だから、課題を整理することが大切だろうと思っています。

 黒字のままで、なんで民営化しなきゃいけないんだということですけれども、むしろですね、黒字である今だからこそ、私は民営化すべきだと思っております。赤字になって、完全赤字の事業体をですね、公営から切り離して、放り出そうと言うのは、僕は逆に無責任な発想なんじゃないのかなというふうに思っております。

  例えば、国鉄を見てもですね、結果、あれ負債とか赤字要因を取り除いてから民営化の実施をしたわけであります。まさにそれは、鉄則ではないのかなというふうに思っております。

 今、交通局自身はですね、かなり民営化めざして、身を削って、利益を生み出しているところ、知恵を絞って利益を生み出しているところであります。

現交通局長もですね、すばらしい経営能力で、この交通局というのをしっかりと支えてこられたというふうに思っていますし、長い目で見たときには、この地下鉄・バスの民営化というのは、まさに今だからこそ取り組むべき事だというふうに思っています。

 

●山中議員

  なんですか、国鉄のことを持ち出されましたけれども、国鉄があたかも成功したかのように言われますけれども、国鉄の分割・民営化で大きな利益を上げているのは、本州の三社だけですよね。北海道や四国は28年経っていまだに赤字のまんまですし、国鉄の借金は大半国民がしょい込むことになって、いまだに19兆円あるわけです。

そういうふうになったら困るから、地下鉄がいま黒字だから民営化できるんだっていうふうにおっしゃるけれども、地下鉄っていうのは、市民みんなの力で、あるいは乗客のみなさんの力で、そして税金で、営々と築いてきて、累積赤字を解消して、黒字になったわけですよね。これで、なんかまた、いつ赤字になるかわかんないから民営化したほうがいいというおっしゃり方とか、私はぜんぜん意味がわかりません。

 とにかく、いま交通局はこれを民営化することによって、一般会計への貢献ができるとか、例えば固定資産税を大阪市に入れることができるとかいろいろ仰ってますけれども、私たちは、地下鉄は公営のままで、地方公営企業法18条2項に基づく一般会計出資金に対する納付金を入れればよいと考えています。

そうすれば、2014年度末までに、3,469億円の出資金を地下鉄は受け入れていますから、2%だとして69億円、2.5%だとして86億円、一般会計に貢献をしてもらうことができる。民営化など全く必要ないと思います。

 また、黒字の今こそ、民営化だとか言って、その黒字の部分で不動産賃貸などをやるんだとこんなことも言っていますけれど、WTCなどのような失敗もあるし、先行きどうなるかわからない、そういうものに手を出して、むしろ利益を損ねかねないのが民営化プランだというふうに思っています。

  で、アンケートをとると、みなさんだいたい民営化に賛成だという、そんなご答弁もありましたけれども、本当に市民の皆さんに必要なことが知らされたアンケートなのか。

この民営化されてしまったら市民の命や安全を守るという震災対策、可動式ホーム柵など、公営企業としてやらなければならないことがどうなるのか、こういうこと知らされないままのアンケートを材料にして、議会の判断も放ったらかしで、ドンドンドンドンすすめていく、こういうやり方は、私はやっぱり許されないと思いますよ。

もう一度ご答弁下さい。

 

◆吉村市長

  まず、民営化を誰のためにするのかということについて、根本ですけれども、役所が経営しなければならないことなのかということなんですよね。

  まず、この民営化することで、当然、効率的な経営をすることができます。公営の制約もなくなると、経営の自由度が格段に上がると思います。そういうところで市民やお客さまのサービスの向上であったり、あるいはその多様な事業展開に基づく沿線の地域の活性化であったり、あるいは、ひいてはですね、大阪の経済の成長に資するものであるというように思っております。

  一番最初、かつて大阪市営地下鉄、なかなかこの大動脈に線を引くというときにですね、他の民間ではできなかった。そういう意味で、市民の足・安全を守るという意味では本当に大きな意味があったと思いますが、これだけ都市のインフラが成熟してくる中で、さらにこの大阪の成長というのを考えた時には、地下鉄・バスを民営化して、地下鉄がなくなるわけではありませんので、しっかりとその市民の足を守るというのは維持しつつですね、さらなる成長をめざしていくというのがあるべき姿なんじゃないのかなと思います。

 そして、安全の点についてもご指摘ありましたけど、これは交通事業の安全というのはもうこれは公営であろうが民営であろうが、当然、一番最初にしなければならないことであります。可動柵ホーム柵の設置、南海トラフ地震対策での安心・安全ですね、バリアフリー、地下対策というのは、これいまも当然やっておりますし、この地下鉄として、民営化後も当然に継続して続けていくというのはこれ当然だと認識しています。

 

●山中議員

  地下鉄がなくなるわけではないとおっしゃったけれども、まだ地下鉄は完成したわけではないですね。今里筋線の未着工部分など条例路線を残している部分たくさんある。これをどうしていくのかということも大きな問題です。

 また、安全のことは、公営でも民間でもやっていくんだとおっしゃったけれども、その乗客増につながらない、利益増につながらない安全対策、例えば、可動式ホーム柵を本当に民間になってもやっていくのかどうか、これ全然わかりません。

 全駅に可動式ホーム柵をつけようというふうに決まっていた大阪市交通局の方針が、民営化が前提とされたとたんに消えてなくなってしまって、御堂筋線の二駅止まりで、あとの計画は全くない、というところを見ても、やっぱり安全対策どうなるのだろうというふうに思います。

最初は100%大阪市出資の株式会社だと言っても、いずれは民間に売り渡すというのが皆さんの描いておられる絵ですから、こんなことしていいのかということです。

昭和8年以来、梅田・心斎橋間開業以来、都市計画の一環として、住みよい街づくりと市民の福祉増進を目的に築いてきた市民の貴重な財産です。

軽々に民営化、民営化ということではなくって、やっぱりまだ公営交通としての使命がある。市民に約束している今里筋線の延伸等に道筋をつけることや、可動式ホーム柵の設置、巨大地震への対策、こういうものが先決だというふうに思いますけれども、どうですか。

 

◆吉村市長

先ほど、可動式ホーム柵であったり、その安全対策についてご答弁させていただきましたが、この交通インフラにおいて安全、確実にお客様を輸送するというのはまさに本筋であって、それが果たされていない企業は、いまや、今、民間においても様々なインフラ事業ありますけれども、民間においてもそこを最大の価値と置いているわけです。

まさにそういったことを重視するとこに、その利益も生まれてくることになるかと思います。そこをおろそかにするというのは、民間であれ、あるいは公であれ、交通インフラの事業者では当然のことだと思います。民間になるとそこがおろそかになるという発想自体が、少し認識が違うのかなというふうに思っております。

それから、民営化してもですね、みなさんに様々プランをお示ししておりますが、この議会との協議会であったり、様々この議会の意思が反映する仕組みを当然、提案しているわけであります。

それともう一つ、条例路線についてですが、これもこの大阪市の意向を受けて、しっかり連携するということもこれしっかり表明しているところであります。安心・安全というのを胆にするというのは当然のことだと思いますし、これまできた経緯からしても、このプラン案のなかでも、大阪市が一定関与するというのもプランにあります。

大きくはやはり、これまで地下鉄・バスが果たしてきた、公営として果たしてきた役割は非常に大きなものがあったと思いますが、これからこの都市インフラということを考えた時には、民営化でさらなる成長をめざしていくというのが、最終的には市民や利用客の利益になるし、というふうに考えています。

 

●山中議員

安全は民間だってやりますよって口ではおっしゃるけれども、現実見てください。

これだけ可動式ホーム柵一生懸命につけているのが、この関西、西日本の鉄道でありますか。いったんは、とにかく全駅につけようとまで、こういう方針を出したところはありません。それが民営化を前提にしたとたんに消えてしまった。これも事実だというふうに申しあげておきます。

また、条例路線については、私はそんな無責任な答弁では困ると思いますね。何よりも多くの市民が切望していますし、2010年10月には、維新の会の皆さんも含む全会一致で、議会は促進の決議を上げているわけです。やっぱり、責任を持たなければならない。

東京メトロも新線建設が終了したのちに民営化をしています。もうこれ放り出したまんまで、あとは運営会社が決めるでしょう、これでは無責任だというふうに申しあげておきます。

バスに至っては、もう公営ではできないという勝手な理屈をつけて、つぶしにかかっているとしか思えない、そういう事態です。

20数年前、当時の市長や交通局長の方針でおこなった土地信託事業、オスカードリームですね、これの失敗を、今回これが出てきたために、たまたまバス車庫跡地だったというだけで280億円もの和解金を、払えるはずのないバスに押しつけ、文字通りの倒産状態に無理やり追い込もうとしているだけではないですか。

無謀な開発の失敗のせいで、市バスをつぶすなんて市民に顔向けできないと思います。今でさえ、バスの路線や便数は大幅にカットされて悲鳴が上がっているのに、民営化の基本方針案では、この減らされた路線を、概ね5年程度、維持するとしている。よくする気はさらさらないということですし、実際に維持される保証はどこにもありません。

高齢化が進み、バスの果たす役割がますます大きくなる中で、こんなことで市民の負託にこたえられるのでしょうか。お答えください。

 

◆吉村市長

まず、大阪市も高齢化が進展しておりまして、このバスの果たす役割というのが大きいというふうに思っております。だからこそですね、このバスについても基本方針の中で様々あげているわけですね。本来であれば、先ほど議員も指摘ありましたように、バス事業というのはもう倒産状態です。これ単体で見ればですね、このバスは消滅というような状況でございますが、それではいけないというふうに思っております。

基本方針の中でですね、原則として現在の路線を維持するということを掲げております。民営化によって効率的な経営体制へ移行することで、さらにですね、公営以上のサービスを維持するということも考えたら、やはり、これは民営化を選択する必要があろうかというふうに思っております。そういった中でですね、このバスの果たす役割というのは私も大切だというふうには思っております。

 

●山中議員

 バスの果たす役割は大切だというふうに思われるのであれば、なぜ、バスというものを、儲からなければもう消滅するべきものだと、こんなことおっしゃれるのかと、本当に冷たい答弁だと思います。

この間、交通局は、もう公営では無理だ、無理だと盛んに言い続けてきました。そこに、引き金になるように、オスカードリームの失敗があり、先ほども申しあげましたようにオール大阪で進めた土地信託事業なのに、バスに全部責任を覆いかぶせてもうこれをつぶしてしまうと、恐ろしいことが行われようとしています。

どの都市だって、そんなにバスが楽なわけじゃありません。バスの事情は何処も同じです。でも大事たからこそ、神戸でも、京都でも、名古屋でも、横浜でも、みんな立派に市営バスでやっているではないですか。

市民にとって必要な身近な足だからこそ、お荷物扱いをしないで、いろいろな支援策をとって、ちゃんと市営で運転をしています。

神戸や横浜などは、大阪市の市バスの運転手さんよりも、お給料も高いですけれども、それでも立派にちゃんと運営をしています。

本市でも2010年には、一定のルールを設けて、一般会計や地下鉄会計からの繰り入れを行って、市バスを守っていこうというアクションプランをつくったはずです。

バスの果たすべき大事な役割に鑑み、コミュニティーバスへの一般会計からの繰り入れや、2010年にはいったん決めた地下鉄からの支援こそ必要なのではないでしょうか。お答えください。 

 

◆吉村市長

まず、バスの現状ですが、この全国のバス路線を見てもですね、やはりその公営というのは漸減している状況です。その再建のために、この民営化を図るという例も見られています。最近では、この3月でしたかね、尼崎市営バスが阪神バスに事業を譲渡するというふうにされております。様々ですね、いろいろこのバスについては経営が非常に厳しいというのはどこの自治体でも同じような状況だろうと思っております。

そういった中でですね、この大阪市の特性というのを考えたときには、やはりこの大阪、地下鉄があり、そしてこのバスがあるわけです。で、地下鉄、今回のプランでも、地下鉄を民営化して、そしてそこの100%子会社としてこのバスを運営していく。

まさに地下鉄・バスを一体経営になってですね、このバスの維持をはかっていくと、そういった考え方であります。そういった意味でも、原則5年、このバスの路線を維持するということにもなりますし、今のこのサービスをさらに維持していくということであれば、やはりそこは、その地下鉄とバスが一体になってですね、経営をしていくということが必要だろうと思っています。

そして、言えることは、この大阪市が一切関与できないかのようなご意見なんですけども、そうじゃないんですね。これについても、協議会という制度をしっかり設けていますので、そこは当然、バスを、バスについての議会の議論というのはあるんでしょうけれども、まさに、この足を残すと、高齢者のためのしっかりとしたバスを残すということと、一方で、どうしてもこれを赤字になってくる、つまり、これは財源がかかってくる分になりますので、そこをどれだけ、税を投入するというのは市民負担を求めるということですから、そこをどれだけ、減らしながらこのバスを維持するのかというのも考えていかなければならない。そういったことだというように思っています。

 

●山中議員

民営化したら地下鉄・バス一体で、バスを維持できる。公営のまんまでやればいいじゃないですか。

例えば、名古屋では、2014年度では37億円の補助金と、敬老パス分、64億円というふうにずっと一般会計からの補助を行っています。名古屋の場合は、地下鉄もしんどいですから、一般会計から出していますけれども、大阪市には地下鉄というもう本当に優秀な兄弟がバスにはいます。

さっき、尼崎が事業譲渡したとおっしゃいましたけど、尼崎は優秀な地下鉄という兄弟いませんよね。

でも、毎年これだけ黒字を出して、いわば、黒字があり過ぎて、有り余るくらいというんでしょうかね。地下鉄を、ちょこちょこ車内を塗って見ましたとか言って、キンキラキンの地下鉄ができたのを見ると、お金が有り余っているのかなと思うわけですけど、それだけの地下鉄があるわけですから、まさに、まさにこの公営のままで一体のネットワークとして、地下鉄からの支援を行うとした2010年のアクションプランに立ち返って、市バスをつぶしてしまうのではなくって、むしろ、市民の皆さんが、バスがあるから安心してこの街でくらせるなーと思っていただける程度には、やっぱり、復活、充実をさせていくべきだというふうに申しあげておきます。

 

次ですけれども、水道事業の民営化についても、昨年否決されているにも関わらず、ほとんど全く同じものがしゃあしゃあと提案されています。議会軽視も甚だしいと言わなくてはなりません。

民営化すれば、管路の耐震化がスピードアップされる、されると繰り返しますけれども、計画では、民営化後、30年間で2,200qの管路の耐震化を進めるとのことです。

しかし今でも、この間がんばって年70qにペースが上がっており、ほとんど差はないじゃありませんか。まるでまやかしだと言いたいと思いますね。何よりも、市民に直接責任を負わない運営会社が、30年もの長きにわたって計画通り実行する何らの保証もないではありませんか。水道は市民にとって1日たりとも欠かすことのできないライフラインです。

安全・安心の水供給が第一、だからこそ、全国ほぼ100%の自治体が公営で行っている。これが当然なのではありませんか。

 

◆吉村市長

まず、水道事業については、地下鉄と少々異なりまして、上下の分離方式、施設についてはこの大阪市に残したままで、その運営権を移管するということであります。PFIを使って移管しようという案であります。

水道自身はですね、市民生活に1日たりとも欠かせない、欠かすことができない重要なライフラインである、これは当然であります。だからこそ、この事業の持続性なり、安定性なりというのを確保していかなければならないというふうに思っております。

今のこの大阪市の水道事業もですね、水需要が減少してきております。収益が現在下がり続けている一方であります。一方で、老朽化した管路の更新・耐震化が、これ喫緊の課題になっているということです。

ですので、この事業環境については、非常に楽観できるような状況ではなくてですね、まさにこの最適なこの運営形態のあり方というのを模索していくべきだと思っております。

そういった意味で、今回のこのPFI、公共施設運営権制度の活用ですが、水道事業のまさに公共性については引き続き確保したうえで、運営については、民間のノウハウ、それを最大限取り入れる。そういった考え方。それによって、最終的に、市民の皆さんに新たな負担を求めることなくですね、管路の耐震化を推進するといった、まさにその水道の安心・安全の強化に努めていくことが目的であります。

これは別に大阪市だけが言っている話ではなくて、もはやこれは国の大きな方向性、施策としてもですね、こういった水道についてもPFIを使いながら新たな経営形態を模索すべきだという、まさに国がそういう意見、主導しているわけであります。

私自身も産業競争力会議にも出席して、様々な国の方に税制について負担が少なくなるよう要望していただきましたが、まさに国全体で考えた時にも、公営については国も問題意識を持ち、そして空港はなりましたけれども、この水道についても明確にこのPFIを使ったこの公共施設運営権制度、そういったものを促進してはどうかという意見であります。一歩踏み出すという意味では、この大阪、非常に高い技術、能力もあります。だからこそですね、この大阪が、まずは率先して、こういった新たな形態をめざすというのは大切なことだと思っています。

根本にあるのは、もちろん市民のライフラインとしての公共性、これを維持しつつ、一方でその民間のノウハウを生かしながら市民負担をできるだけ減らす。そういったことの中で出てきた案であり、私もこれは最適な案だというふうに思っております。

 

●山中議員

恐ろしい話だと思いますね。

欧米諸国では、水道民営化して失敗して、その後、再公営化つまり、また元の公営に戻している、そういうことは周知の事実です。その数、なんと2000年から2015年の5年間で37カ国、235事業です。同じ轍を踏んではならないと申しあげておきます。

とにかく、この間、市政改革の名による効率化のもと、民営化や外部委託、指定管理、こういうものを多用した人減らしなどが横行し、その結果、本市の施設や窓口で働く人達のなかに、派遣やアルバイト、任期付きといった不安定で低賃金の働き方が蔓延するような事態になっています。

 しかし、先日、実質賃金が4年連続でマイナスとなっていることが発表され、それが消費低迷の要因であって、景気回復の足かせになっているということが問題しされるようになり、政府部内でも、同一労働同一賃金とか最低賃金の引き上げ等が取りざたされています。

給与カット競争では、社会全体はよくならないということがはっきりしてきたわけです。こういうなかで、本市職員の給与は、今や全国20の政令市のなかで、最も低い給与水準となっているのに、来年度もまた給与を減らそうとしています。

大阪の経済にとってもマイナスですし、職員の士気にもかかわることです。

給与の削減はやめるべきではありませんか。

 

◆吉村市長

まず、本市の財政状況の認識ですけども、今後の財政収支概算においても、約200億円程度の単年度収支不足が見込まれるという非常に厳しい状況だと思っています。

そして、予算の編成の基本的な考え方ですが、将来世代に負担を先送りしないということがやはり大切だろうと思っております。そういった意味で、将来世代というのは、特に子ども達というのは1票を投じることができないわけですから、そういった子ども達のことも考えて、今の市政をやる必要もこれはあるんだろうというふうに思っております。

補填財源に依存することなく収入の範囲で予算を組む、これを原則とするというのは、まだその目標には達してはいないですけれども、それはやはり、原則として持ち続けるべきだと思っております。

それがまさに、財政徹底的に取り組むということだと思うんですね。本当に財政が潤沢であれば、職員の給与のカットをお願いするというのは、僕も普段、こうやって一緒にいろいろ接しているわけですから、そりゃやめるという方がいいですよ、気持ちがいいですけども。ただ、この財政の状況を考えた時には、やはりそれは一定負担をお願いしなければならないと思っていますし、職員もいま、その厳しい財政状況のなかで、このカットの状況でありますが、市民にどうやったらいいサービスができるのかということで、様々な施策も考えてくれています。

職員の士気を上げるというのももちろん大切なことですが、いまの給与カットがあるから職員の士気が完全に下がっているというのもまた違うのかなというように思っています。

そういったこともあってですね、まずは、厳しい認識もありますんで、私自身の市長報酬も40%を削減するというとこから始めているというわけであります。

ですので、この厳しい財政状況の認識というところが1つ大きな価値観の違いがあるのかもわかりません。将来世代に先送りしないというのがあるのかもしれませんが、私は、まだまだ楽観できる状況ではないというように思っています。その状況の中でも、どうすれば住民サービスを拡充できるのかということを一生懸命にいま、部局、職員に考えてもらっているところであります。

 

●山中議員

市長が給料を削られる、市長は報酬ですよね。市長が歳費を削られるというのと、しかし、職員は生活給ですからね。家族抱えて、子どもが学校に行く、介護をする、子育てをする、生活給ですから、私は同じように論ずるべきではないと思います。

そして、財政の厳しさについては、後ほど質疑をさせていただきますのでここではふれません。

しかし、確かに、大阪市の財政状況も潤沢だとは私たちも思っておりませんけれども、ここまですることなのかと。

どんな状況になっているかと言えば、政令市の職員給料の高い順に、1位が川崎市、次いで名古屋市、3位横浜市、北九州市、静岡市、ずっときて、15位相模原市、16位熊本市、17位堺市、18位新潟市、19位浜松市、そして20位が大阪市、こういう状態です。大阪府内の中核市を見ても、東大阪市、枚方市、豊中市、高槻市、みんな本市よりずっと上です。財政がいよいよ厳しいという大阪府も、本市よりもずっと上なわけです。

先ほど市長は、市民サービスが大事だとおっしゃたけれども、市民のためにがんばったと、市民にまわったって言うんだったらまだわかりますけれども、この間、ごく一部の市長肝いりの施策を除けば、市民生活にかかわる施策は悪くなる一方ではないですか。

このお金どこへ消えたんですかって言いたいわけですよ。介護保険料はめちゃめちゃ上がった。市営住宅も減免制度の改悪で結果として値上げになった。新婚家賃補助制度もなくなった。固定資産税減免制度の改悪で街から銭湯が消えていく。地域への補助金もカット。枚挙にいとまがありません。

職員の給料削った、市民のサービスも悪くなった、何のための給与削減かということになるではありませんか。もう一度ご答弁ください。

 

◆吉村市長

 まず、市民サービスの点につきましても、先ほどるるおっしゃいましたが、一方で、現役世代への重点投資であったり増やしている部分もたくさんあるわけですね。

そして、大きなところで言うと、市の借金も大きく減らしていっています。前市長の時から今回に至っては、約850億円くらいでしたかね、借金を減らしていっています。

大阪市の借金っていうのは非常に高い水準にあるわけですね。僕の基本的な考え方としても、この借金というのを増やさない、減らすというのがやっぱりこれは大事だというふうに思っております。まさにこの借金を増やすというのは、将来世代に負担を先送りするということですね。借金を減らしていかなければならない状況にまだまだあるということなんですね。

今、先ほどもおっしゃいましたが、そういった意味では、財政というのはまだまだ厳しいところがあると思っています。そういった認識がなければですね、職員の給与カットの継続のお願いとなんていうのはやらないわけです。私も、これ市長報酬というのは元々決まっているわけですから、下げるということはしません。

今のこの財政状況が厳しいという認識があるからこそ、皆がまんしてですね、そしてこの財政を立て直して、さらに市民サービスを拡充する方向で、しっかりと事業も無駄をなくすようなことも見極めながらやっていきましょうというのが大きな方針であります。

 

●山中智子議員

 何度も言いますけど、生活給ですからね。これで生活して行かなければいけない。

ですから、ここまでくると今、必要な人材が集まらないなど、市民に影響を及ぼすほどになっています。

例えば、保育士不足をどうするおつもりなのかと伺いたいです。

公立保育所をどんどん乱暴に民営化をし続ける方針のもとで、基本的に新規の正規採用を行わず、任期付きやアルバイトでつないできた結果、公立保育所の保育士さんは4割が非正規という状況です。こういうなかで、任期付き保育士を募集しても人が集まらない。あるいは、本市をやめて、他都市に行かれる方も出るなど、保育士不足は毎年深刻です。昨年度は38人の保育士さんが不足して、134人も公立保育所の定員を減らした。今年度は54人不足して、215人も減らしている。来年度も同様の状況だろうということです。

待機児解消がこれほど求められているときに、保育士がいないために、みすみす受け入れられる公立保育所の定員を減らすなど、あってはならない異常なことが起きています。

鳴りもの入りの5歳児の教育費無償もいいけれども、待機児童問題は、生活設計にかかわる切実な問題です。こんなことで良いのかと申しあげたい。

市長は、深刻さを増す待機児童問題、本当に解消する気がおありですか。

 

◆吉村市長

 この待機児問題というのは、非常に重要な問題であり、課題であるというふうに認識しております。保育所に入れたくても入れられないという生の声が私のところにもどんどん来ております。そういった意味で、この待機児童を解消するというのは、5歳児の教育費無償化、これは教育を重視するということでやりましたけれど、同じようにこの待機児童解消というのは非常に重要な問題だと、決して軽んじるということはしていませんし、するつもりもありません。

 まず、この待機児童の解消に向けてですけれども、本年度さらに、2,590人分の待機児童の入所枠の拡大をしています。これはこれまで、平成24年度から3年間で5,041人分の利用拡大できましたが、右肩上がりで増やしていっている状況です。

様々、小規模保育の、様々この待機児童対策に向けたですね、解消に向けたことは取り組んでいます。いま、よくニュースとかテレビで、待機児、1億総活躍社会に対して、どうなんだという、誰が出されたかわかりませんけれど、メールが出されて、国会でも取り上げられたんですけれど、ああいった突き上げは、僕はどんどん国にやるべきだと思うんですね。ヤジで、誰がこれ匿名だとか、出典どこだとかいう自民党の国会議員がいたようですけれども、私は、まさにああいった問題は、しっかりと国で取り上げられるべき課題だと思っています。

当然、大阪市、そういう認識ですので、大阪市における待機児も早期に解消していく、そういった認識ですすめていっております。この保育士についてですが、まず、この保育士確保のためにですね、一般職の任期付き保育士の処遇改善ということで、平成26年度には、まず給与の改定、上げる改定をやりました。そして、27年度には前歴加算であったり、勤務実績に応じた昇給、これも導入しております。平成28年には、正規の保育士の採用も行いました。いわゆる、委員ご指摘の運営定員についてはですね、地域ごとの入所申し込みの状況、これをしっかり精査して可能な限り待機児童に影響を与えないような見直しも行ってきました。

この待機児童の解消というのは、本当に、預けるお母さんからすると深刻な課題だというふうに思っておりますので、そこは私のこの施政方針の中でも全力で取り組んで行きたいというふうに思っております。民間保育所の整備もしっかりとすすめていきます。

 

●山中智子議員

 保育所に預けるのはお母さんだけではありません。お父さん、お母さん一緒にやっていくという、そういう認識に立っていただきたいとこれは申しあげておきます。

いろいろおっしゃいましたけれども、民間にはがんばってもらうけれども、大阪市は一体何をしているのか。この間、保育士の給料を本当に引き下げてしまって、他都市の保育士さんに比べたら、本当に安い。堺市と比べても、一般の保育士さんで4万円から5万円、毎月の給料が低いという状況のなかで、いろいろ手立てをとってもなかなか集まらない、そういう状況です。ここのところはやっぱり、大阪市としてきちんと責任を持つべきだということを申しあげておきます。

ともかく、この冷え込んだ大阪の経済を立て直すには、働く人の所得を増やすことを含めて、市民の懐をあたためることがもっとも求められています。

そのために、270万市民のくらしに責任を負う大阪市として、市民の負担軽減、くらし応援に努めるべきです。

ところが本予算では、高すぎて払えないとの悲鳴が上がっている国民健康保険料は、来年度1%とはいえ値上げとなっています。

国民健康保険会計はここ数年、単年度黒字となっていることでもあり、値上げはやめ、逆に思い切って、1世帯1万円の値下げをして、市民のくらしを応援すべきです。

47億円あればできるわけですが、いかがでしょうか。

 

◆吉村市長

 まず、国民健康保険についてはですね、その事業運営を保険料と国庫の支出金でまかなうこと、これがまず原則であります。事業を安定して運営していくためには、被保険者にも、これは応分の負担をお願いすべきところだろうというように思っています。

一方でですね、加入者に高齢者の方であったり、低所得者の方が多いというのも事実であります。ですので、その原則ではどうしても保険料の負担が大きくなるという、そういった事実上もあります。ですので、本市の財政は厳しい状況の中でも、平成28年度の予算案では約438億円もの市税を一般会計から繰り入れて負担の軽減に努めています。

 国民健康保険料については、平成25年度から受益と負担の適正化を図るという観点から、収入に対する負担割合を、まさにこの大阪府内の市町村並にするように、取り組んでいるところです。国民健康保険事業会計の単年度の収支の改善についてですが、国からの交付金の精算であったり、単年度的な増収があったことによるものでありまして、こういった要素を除くと、なんとか収支均衡が図られているという状況です。

実際ですね、この国民健康保険事業会計は26年度末で、現実に123億円の累積赤字がある状況です。この累積赤字を先送りしてはいけないと、厳しい状況であるというふうに認識しています。

 

●山中智子議員

 市長はいま、子どもの貧困対策推進本部を立ち上げて、実態調査や課題整理をしようとしておられますけれども、もちろんこれも実効性あるものにしていただきたいと思いますけれども、現実に、もう目の前に待ったなしの状態があるわけです。

国保加入者の中にも、非正規や自営業などで子育て中の方たくさんおられます。先日もしんどい中、滞納したけれどもなんとか追いつこうと、毎月25,000円払っていたのに、本庁が勝手に児童手当を差し押さえた。こういうことも起きています。

しっかりと国保の皆さんの実態にも目を向けていただきたいと思います。

 

次に、敬老パスについてうかがいます。

長年苦労された高齢者に、敬老の意を表するとともに、社会参加を支援し、福祉の増進をはかるためにつくられたものですが、2013年から3,000円負担となり、続いて、一昨年8月からは、乗るたびの50円負担が追加され、交付率も利用者も大きく減少して、制度の趣旨が生かされないような状況になっています。

特に50円負担となってからは、交付率は50%と落ち込み、利用率もそれまでと比べ、バスで26.5%減った、地下鉄で19.3%も減った。

,000円は仕方ないとしても、乗るごとに50円は本当に辛い。外出をやめたり、減らしている。こういう声をしょっちゅうお聞きをいたします。

市長、制度の趣旨からしても、この声に応えるべきではないでしょうか。

 

◆吉村市長

 まず、敬老パスですけれども、その地下鉄やバスを利用するという意味で、そのサービスを受けるという点であればですね、一定程度の、やはり負担をお願いしなければならないと思います。一定、負担しないという方は、片方で、誰かが負担するということになるわけ、その利用分を誰かが負担するということになるわけです。

この制度設計の中身を見るとですね、まさに高齢者、一律の高齢者の方の負担を現役世代が負っているというのが、これまでの敬老バスの制度でした。

そういった中で、やはり一部負担をお願いすべきだということで50円の負担が導入されたわけです。小学生でも半額の負担をお願いしている。ですので、50円の負担をお願いしますということで、これまでの議論、議会の議論も踏まえて、されてきていると思っています。

ここは、先の選挙戦でも大きな争点になりまして、私もこの負担をなくすというのは、選挙では言いやすいですけれど、負担をお願いしますということをお訴えしました。

この敬老パスの制度については、多くの高齢者の方が利用されているということもある中でですね、このパス自体の制度、これは今もあります。財政も投入しております。

お金のある高齢者の方は、お金を一定払ってですね、50円を払って、この敬老パス、運賃の利用をしていただきたいというふうに思っております。

一部のご負担をお願いしてですね、その上で、市税も投入しながら、この制度を維持していきたいというように思っております。

 

●山中智子議員

 3,000円負担をしているじゃありませんか。1回ごとの50円は辛いと申しあげてるんです。

これをなくすためには、私たち試算して見ましたけれど、この50円廃止だったら20億円くらいの負担になるだろうというふうに思います。5歳児の教育費無償に25億円。どちらが大事かということではありませんけれども、そちらは無償にします。でも、敬老パスのほうは負担をしてください。3,000円プラス毎回50円負担してくださいと、これは本当に冷たい答弁だと思います。

 

次に、住吉市民病院についてうかがいます。

7万人の署名など存続を願う声が上がり続けるなか、住吉市民病院は2013年3月に廃止が決まりました。その際、住吉市民病院が担っている産科・小児科等の機能存続と南部医療圏の小児・周産期医療充実のための民間病院誘致に本市が責任をもつことを求める付帯決議を議決したことは市長もご存じだと思います。

 ところが実際、誘致が決められた南港病院は、これまで小児科をもたず、医師の確保、小児医療の継続ができるのかという不安が広がりました。

だからこそ、南港病院誘致を含む病院再編計画が、府の医療審議会等で圧倒的多数の反対により異例の不同意となりました。

にもかかわらず、松井知事がその反対を押し切って、厚生労働省に同意を求め、厚労省は「医療審議会で不同意となったものを同意申請されたのは初めてだ」と困惑しながらも、先月29日、同意するとの決定をいたしました。地方の医療に一大汚点を残す前代未聞の結果となりました。

 市長はこれを受けて、母子医療センターの建設などを推進しようとしておられますが、これで本当に、市会の付帯決議が守られるとお思いなのでしょうか。

繰り返しますが、付帯決議は、住吉市民病院が担っている産科・小児科の機能存続です。

市長、南港病院に住吉市民病院の代替機能を本当にもたせると約束できますか。

 

◆吉村市長

 まず、今回のこの病院再編計画の国への申請にあたっては、反対の意見があるということも付したうえで、それぞれの意見を付して厚労大臣に判断をお願いしたというところであります。

まさにこの住吉市民病院廃止後の南部医療圏において、府市共同住吉母子医療センターが整備されるわけです。ここでハイリスク出産、分娩が行われる。それに対応できる程の医療、そして小児救急、これが、この充実が図られるわけであります。新生児の集中治療室も増加するというような状況。つまり、本当にハイリスクで対応できないというようなところについてもしっかりと、これはまさに、これから出産を迎えようとする お母さん、それからそれを支えるお父さん、それからまさに生まれてくる子どものためにもですね、この医療圏の充実がはかられるというふうに思っております。

この住吉母子医療センターと、それから住吉市民病院跡地にくる民間病院、これが一体となってですね、この小児・周産期のまさにその医療充実がはかられるという計画であります。

だからこそ、厚生労働大臣も国として、この再編計画に認可したんだというふうに思っております。今後その二つの病院で、それぞれ役割分担を行いながら、現在、住吉市民病院が果たしている医療の機能の維持確保ということ、その充実を一層はかっていきたいというふうに考えております。

 

●山中議員

 私は、住吉市民病院廃止がやっぱり間違いだったと必ず言う日がくると思います。

撤回して、現地建て替えをすべきだと申しあげておきます。

 

 最後に財産運営についてうかがいます。

 口を開けば、先ほどからも厳しい、厳しいというふうにおっしゃいます。選択と集中だというふうにおっしゃいます。

しかし、今日の財政の厳しさは、市民の責任では決してなく、WTCなど、過去の無駄な大型開発の失敗のツケにほかなりません。そのことをはっきりさせる必要があると思います。

ところが、市長は口では過去の大型開発を批判しながら、一方では、夢洲の埋め立て途上の200haを舞台に、カジノを核とするIRの誘致など、文字通りの巨大開発に市民の税金をつぎ込もうとしています。

来年度は、6,400万円の調査費が計上されていますし、IRを想定して、夢洲・舞洲間にもう1本橋を架けるとか、新しい鉄道をつくるとか、もうとにかく、好き勝手なことが言われています。

いずれにしても、膨大な税金投入となるのは避けられないと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

◆吉村市長

まず、この夢洲にある、まさに今、埋め立てしているところでありますが、その夢洲のエリアは、この大阪の経済の成長、発展という意味では大きなポテンシャルがある、まさにそういったエリアだと思っております。関空からも60分圏内で行けて、そして島として離れているということ。そして都心部に近い。近くにはUSJにもある。様々なこの湾岸エリアの成長、そして大阪全体の成長にもつながる。そういった可能性のあるエリアだというふうに思っております。

議員が、IRというご指摘ですが、このIRを進めていく上でですが、これはまさに、その資金としては、これ民間事業ですから、民間に投資をしていただくということになります。

必要になります鉄道とか道路、そういった基盤整備についても、これ基本的には民間事業者に負担を求めるべきもの、そういうふうに考えております。

何もせずに放っておくような夢洲、場所ではないと思っております。

大阪の成長のために、様々なこの街づくりの活用ということを考えてまいりたいと思っています。

 

●山中議員

 民間にしていただくとおっしゃいますけれども、膨大な交通インフラや夢洲の基盤整備など、公共の負担なしにできるはずがないだろうというふうに思います。

あわせて、その民間資金を導入する、民間にしてもらうと言って、IR、カジノ業者に負担をさせるというわけですけれども、結局、そのお金というのは、大阪周辺の一般市民など、カジノに行った人達が、カジノですっていただく、巻き上げるカジノの利益、テラ銭の類いではありませんか。

 ギャンブル依存症をまき散らし、大阪の経済にプラスにならない、まさに、無駄な巨大開発はやめるべきだと申しあげておきます。

梅田−関空間、たった5分短縮するだけなのに、2,000億円もの費用を要する、なにわ筋線も市長はやりたい、やりたいとおっしゃいますが、これも同様です。

大阪市民にとっては、全くの通過交通であり、基礎自治体の取り組むことではありません。こんな所に投ずるお金があれば、これまで申しあげてきた市民の切実な願いに応えるべきです。

 

同時に、本市の財政は、言われてきたほど深刻ではないということです。

この間、決算をすると、いつのまにか黒字になって、取り崩す予定の財政調整基金も、逆に積み増しするような状況が続きました。

その上、これまで財政を圧迫してきた、あべの再開発などの借金返しである、公債償還基金なども、ここ毎年200億円ほどだったものが、2023年度には77億円と大きく減ることになります。トータルの公債償還も来年度をピークに減り続け、2023年度はピーク時に比べ、680億円も少なくてすむようになるわけです。

一方、借金返済のために積み立てている公債償還基金残高は、今年度末見込みが4,700億円のところ、2023年度は6,400億円にも増える見通しです。

このごくごく一部を活用するなら、市政改革プランでカットした、敬老パス制度などを、来年度から元に戻すことは十分できるじゃありませんか。

市民のためにそうすべきではありませんか。お答えください。

 

◆吉村市長

 まず、公債償還基金はですね、目的なく貯金をしているようなものではなくて、市債の償還のために必要なしっかりとした計算をしたうえで積み立てている、まさに積立金であります。

大阪府においてもですね、太田知事のときでしたでしょうか。この借金を返済するための基金を取り崩すという禁じ手をやって、橋下知事、松井知事のもとでそれの復元に努めていますが、それは未だにその重しというか、それが続いている状態であります。  これまでの大阪府、大阪市においても、その関係でいくとですね、大阪市もその状況がしんどい時に、公債償還基金、これを取り崩すかどうかという議論もあったのかも知れませんが、それを大阪市はしてこなかったというのは、正しい判断だったろうと思っております。

そういった意味でですね、この時点においても、この公債償還基金、まさに市債償還のために必要な償還基金、これ積立金ですから、それを切り崩すということはするべきではないと思っております。まさに取り崩しをするということは、財源の先食いをするということですから、将来世代に負担を先送りするということにつながります。

将来世代にできる限り負担を先送りしないというのが私の市政運営の基本的な考え方ですので、公債償還基金に手を付けるということはするべきではないというふうに考えています。

 

●山中智子議員

 将来世代に先送りさせない、しないと言っても、この厳しさは巨大開発のせいですよ。

今生きている人達のせいじゃありませんよ。公債償還基金の一部を取り崩して、そのまま使ってしまえと申しあげているわけではありません。申しあげたように、アベノ再開発などの借金返済がガタッと減るころから、また徐々に、ちゃんと元に戻していけばいいと言っているんです。大阪府と同じにしていただきたくありません。

 つまり、今後、5年、10年と見通した時に、申しあげたように、借金返済は減っていく、にもかかわらず、返済のための貯金は増え続けていく。そういう仕組みになっているわけです。ですから、今後、90年代のような、でたらめで無駄な開発さえしなければ、財政運営でも明るい見通しをもつことができるということになったわけです。

大阪市の本来の仕事である市民のくらし応援のためにこそ、市民の税金を使うべきだと重ねて申しあげ質問を終わります。