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市議団の実績

府大・市大の統合計画、「民泊条例」(案)に反対する

小川議員の討論(要旨)

小川陽太市会議員

2016年1月15日

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、議案第253号「公立大学法人大阪市立大学に係る中期目標の一部変更について」及び、議案第232号「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例案」に反対の討論を行います。

まず、「大阪市立大学の中期目標変更について」であります。

本議案は、公立大学法人大阪市立大学の中期目標に、「次期中期目標期間中における大阪府立大学との統合による新大学の実現にむけ、準備を進める」という文言を書き加えようとするものです。2013年11月の議会でも否決されていると同時に、2015年5月の住民投票でも、府大・市大の統合方針を含む「大阪都構想」が否決されているところです。今回一部修正を加えるとしていますが、両大学の統合を進めるという事の本質にはいささかの変更もありません。よって本議案には到底賛同できません。

以下具体に指摘いたします。

そもそも、大学統合の議論は府市統合本部での経営形態の見直しA項目に分類され、「無駄な二重行政」の一つとして解消の対象とされたところからはじまりました。大阪で二つの公立総合大学を持つことは無駄だとした上、本来基礎自治体たる大阪市のやるべき事業ではないとの、どこにも通用しない理屈でもって、都構想の協定書では、府に移管するとされてきた訳です。

ところが法定協などでの議論が進むにつれ府と市に大学があるのは、大阪の歴史からしても至極当然なことであって、「二重行政」などでは全くないという事がはっきりしてきました。

 にもかかわらず、統合ありきで無理矢理事を進めようとする、つまるところありもしない二重行政論を振りかざして、ただただ、交付金を削りたいがためだという事がいよいよ明確になったと言うことではないでしょうか。

 第二は、歴史や建学の精神の異なる大学を無理やり統合しても、良い大学にはならないという点です。関一大阪市長が1928年に大阪商科大学を「国立大学のコッピーであってはならない」「大阪市を背景とした学問の創造がなければならない。この学問の創造が、学生、出身者、市民を通じて、大阪の文化、経済、社会生活の真髄となっていくときに、設立の意義を」全うする。と述べた事はまさしく今に生き、その歴史と自由の伝統が、現在の市大へ引き継がれています。大阪府立大学にも独自の歴史と個性が引き継がれています。この成り立ちも、果たしている役割も異なる両大学が、お互い切磋琢磨してこそ、それぞれ発展することができるのです。

第三に、何より大学関係者との合意形成が全くと言ってよい程はかられていないという点です。

両大学の名誉教授21氏が、大学の統合は上からの押し付けではなく両大学の自らの要求の一致と財政的保障が十分になされなければ難しいとして、財政削減ありきの「府大・市大の拙速な統合を憂慮する」との声明を出されました。

また、両大学の学生がつくる「大阪の公立大学のこれからを考える会」は、学生との合意のない拙速な統合はやめてほしいと議会に陳情書を出すと共に、「比較的安い授業料で学べる公立総合大学が減らされれば、選択肢が奪われ、これからの若者たちの学ぶ場が奪われる」と、大学統合計画の撤回を求め運動を続けています。大学関係者との合意が得られていないなかで、統合準備を進めるとの中期目標の変更は断じて許されるものではありません。

言うまでもなく大学改革は、市民の声に真摯に耳をかたむけ、大学関係者の議論と合意により進められることが肝要です。大阪市がなすべきは、未来ある若者により広く高等教育を保障するために、運営交付金を削減から増額へ転じるなど、教育研究条件の拡充に力を尽くすことであると申し上げ、討論とします。

 

 つづきまして、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例案」についてです。本条例案は、旅館業法の許可や規制の対象となっている宿泊事業を、市長が認定することにより旅館業法の適用を除外し、マンションやアパートなどの空き室を利用して事業を行えるようにするものです。

最近、テレビや新聞などでも「民泊」が取り上げられ、近隣住民とのトラブルも多く報道され問います。市民生活に大きな影響を及ぼすものであり、市民の不安を取り除けない中、拙速に本条例を可決すべきではありません。

 まず第一は、大都市大阪市で実施した時の見通しが立たないということです。

大阪市は約5000件の新規登録をみこんでいると答弁していますが、現在、旅館業施設監視指導計画によるとホテルは345件ですが、現行体制では3年に一度訪問検査を行うだけでも手一杯だと聞いています。5000件もの事業所を訪問し適切に監督できる体制など全く見通しはありません。

 次に、生活空間に入れ替わり立ち代り外国人観光客が出入りし、近隣住民の生活環境が脅かされる恐れがあるからです。

ホテルや旅館業では、立地の条件や衛生設備など厳しい規定があります。また、玄関帳場(フロント)の設置が義務付けられており、カギ渡しの際など利用者との面接機会を設け管理するための仕組みがあります。一方、本条例に基づく事業ではフロントの設置は不要となっており、カメラなどで代替することが出来、直接会って宿泊者の確認をしなくてもいい制度となっています。

また、実際にトラブルが起きた場合において、今回、宿泊場所への立ち入り検査の権限が盛り込まれましたが、旅館業法11条による立ち入り調査は、拒否すれば罰金を徴する罰則があるのに対し、特区法では「行政による立入検査はできないが、認定の取消事由への該当性判断を目的とするものであれば、条例により規定することが可能」とあり、事業者・利用者どちらかに拒否されれば立ち入り調査することは出来ません。治安悪化を心配する市民に責任を持つことが出来ない状態だと言わなければなりません。

以上三点申し上げましたが、近隣住民の生活環境への影響が大きく、条例案に修正がかけられましたが、基本的には問題は解決されておらず。見切り発車と言わなければならなりません。

以上申し上げ反対討論とします。