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市議団の実績

市会本会議での山中議員の代表質問と橋下市長の答弁(要旨)

山中智子市会議員

2015年2月27日


※2月27日の大阪市会本会議、代表質問での山中智子議員の質疑と、橋下徹市長の答弁を掲載します。この記録は、日本共産党大阪市会議員団事務局で作成したもので、正式な記録ではありませんのでご了承下さい。


山中議員がおこなった代表質問の主な質問項目

1.なにわ筋線の鉄道建設について

  梅田−関空間で5分短縮するのに2,500億円。大阪の経済がよくなることにつながるのか。 

2.IR(カジノ)の誘致について

 @ ギャンブル依存症問題が深刻さをましている中で、カジノの誘致などもってのほかではないか。 

 A IRの建設費7,000億円。インフラ整備などムダな大型開発になるのではないか。 

3.介護保険料の値上げについて

  14.6%もの大幅値上げはやめるべきではないか。 

4.住吉市民病院について

  小児・周産期医療を民間が担うことが困難である以上、現地建て替えで公的責任を果たすべきではないか。 

5.大阪市廃止・分割構想について

 @ 一度否決された協定書、ヤミ取引で復活した。

     何がなんでも住民投票という手段を選ばぬ手法について、強い批判が寄せられている。どう受け止めているか。

 A WTCなどムダな大型開発は、府と市が存在したからではなく政策選択の誤りだったのではないか。 

 B 大学、病院、図書館等、二重行政と決めつけている。これらをつくり運営していることはムダなのか。 

 C 府に移管する事業で元々府の権限に属するものは、具体的にどんなものがあるか。 

 D 269の事業、府に移す理由は何か。

 E 特別区は5年間で、1,071億円の赤字になる。市民サービスは削らざるをえないのではないか。 

 F 国保、介護保険など、100を超える事務事業が一部事務組合で共同処理されることになる。大阪市の廃止・分割は非現実的ではないか。 

 G 財政調整等の矛盾に加え、財産の分割等の膨大な事務作業を要する。市民にとって特別区に分割してどんなメリットがあるか。 

 H 東京23区では、都区制度の廃止を望む声が上がっている。このことに対する所見は。 

 I 大阪市を存続させ、区政会議等の発展で、市民の声がより反映される仕組みの構築こそ求められているのではないか。 

 J 庁舎、町名、財政調整の割合等、不明確なままでは、住民投票にかけられないのではないか。


〇山中智子議員

 私は日本共産党を代表して、2015年度予算案並びに当面する施策について橋下市長に質問いたします。

 

 なにわ筋線の鉄道建設について

  2015年度予算案では、相変わらず国際コンテナ戦略港湾づくりをはじめ、鉄道なにわ筋線、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致などのための調査費等、大型開発推進が目白押しとなっています。これらはいずれも市長が大阪の成長戦略と位置づけているものですが、その1つ鉄道なにわ筋線についてまずお伺いいたします。建設費1800億円から2500億円を要するという大型プロジェクトであり、市民の日常の足の便をはかるというより、梅田と関西国際空港の間の時間短縮が最大の狙いという鉄道です。

 進められているJR東海道支線が地下化され、梅田地下駅ができた時点で、梅田-関空間が68分が51分になり、この上さらになにわ筋線ができたら、それが46分になるというふうに言われています。梅田-関空間僅か5分短縮するために2500億円ということになりますが、市民的にはムダな開発だというふうにはならないでしょうか。

 それだけの費用をかけて梅田-関空間、たった5分短縮して、大阪の経済が一体よくなるのですか。お答えください。

 

◆橋下徹市長

 まず、国際戦略港湾や統合型リゾート、鉄道のこの方向性はですね、府と市と合わせた形での大阪の成長戦略に基づいたものでありまして、これはグローバルに大都市大阪というものを発展させていくそういう方向性であります。

 もう一つは、市政運営の基本方針のほうで示していますが、こちらは住民の皆さんのその住民サービスを充実させていく方向性をきちっと出しておりまして、それに基づいて教育予算、子育て世帯向けへの予算、また高齢者の皆さん、障害者のお子さん 認知症でサポートが必要な方々、また生活困窮者の皆さんに対するそのサポート、そちら側もきちっと市政運営の基本方針で示しておりまして、広域行政の戦略と基礎自治の戦略を2つわけながらですね、しっかりやっているところでありますのでご理解をいただきたいと思います。

 その一つに、なにわ筋線、これは大阪をグローバルに発展させていく、成長させていく一つの戦略として大阪府・市の、大阪の成長戦略にきちっと位置づけられているものであります。こちらは、府議会、市議会でも議論されているかと思います。

 なにわ筋線については、平成16年に出された国の答申第8号において、関西国際空港へのアクセス機能の強化に資する路線として位置づけられており、その後、平成21年から23年度に実施された国の調査においても、整備効果や収支採算性が高いことが確認されている路線であります。きちっと調査に基づいて、収支が合うと判断されている路線であります。 

 東海道本線支線の地下化は、なにわ筋線の一部として先行的に着手するものであり、全体が完成すれば、うめきたから関西国際空港までの平均所要時間は、現状の68分から約46分へ22分短縮することになります。

 それは議員のように、一部のところを切り出して判断をすれば、このように5分のために2500億円と評価することもできますが、全体を見ると現在の68分から約46分、22分短縮することになります。なにわ筋線は関西国際空港へのアクセスとして時間短縮に寄与するほか、過密なダイヤとなっているJR環状線を通らないため、特急はるかなどの速達性、定時性が十分確保できる点です。特に、定時性ということが今1番問題になっていまして、外国人観光客の皆さん、特に観光客の皆さんを関西国際空港から大阪都心部にお迎えする時、また逆にお送りする時にですね、この空港への鉄道の定時性、ダイヤの定時性というものが非常に重要であるところ、今のJR環状線を通る状況ではなかなかこの定時性が確保できないような状況であります。

 また、この東西に走る私鉄や地下鉄を、このなにわ筋線は南北に貫く路線でありまして、この東西に走る私鉄や地下鉄と相互に結節することで都市鉄道ネットワークの充実に寄与するところであります。この都心部と空港をいかに定時で、そして時間的に短くですね、こう結ぶ鉄道をつくるかということは、大都市の戦略として非常に重要なものでありまして、東京はドンドンその方向性で進んでおります。世界の大都市もそう進んでおります。

  ですから、市民サービス、住民サービスの充実というものはもちろんやっていきますけども、大都市大阪の成長戦略に向けては、このなにわ筋線も必要であると考えております。

 

〇山中智子議員

 今のご答弁で、私は、二点矛盾を感じているんですけれども、まず、一つは昨日もずいぶんご答弁の中で、この間大阪市はムダなことをやってきた、やってきたというふうに盛んにおっしゃいました。先日のこの予算説明の中でも、これまで大阪市は関空などに出資しているということを非常に批判されて、こんな馬鹿げた予算の使い方はないとまでおっしゃいました。そうして、もっと教育にというふうにおっしゃったわけです。で、そうおっしゃりながら、関空-梅田間の地下鉄、通過交通ですよね。決して市民の足を利便にするものでもない、通過交通機関であるこのなにわ筋線に2500億円を、あれだけ馬鹿なことをやってきた、絶対にこれは許されないと、もっと教育なんだとおっしゃりながら、一方で相変わらず成長戦略なんだから府と一緒にこういうことをやっていくと、こんなことで本当にいいのかということが一点です。

 それから、もう一つ。東海道支線の地下化と一体のものだというふうに、ですから、1分間のために500億円、私たちは5分縮めるために2500億円ですから、1分500億円というふうに申し上げていますけども、そういう切り取り方をおかしいとおっしゃいましたけれども、この東海道支線地下化はもうすでに進められていて、これだけで充分完結をするわけです。おっしゃった通り、これで51分になる。それをさらに46分にするために2500億円もということが本当にこれがいいのかということをお聞きをしたいんです。もう一度お答えください。

 

◆橋下徹市長

  議員ご指摘のとおり、まさに、このなにわ筋線のようなですね、本来はグローバルな大都市戦略に関わることは、これは大阪府民880万人で負担しなければならないものです。 ただ、今の政令市大阪市と大阪府のその税源配分の状況からすると、結局これは、今までは、今まではですよ、今まではこのような事業は大阪市がやると言ってもですね、大阪市だけでお金を用意するのか、府がまたこれのってくるのかわからない、ずっとそのせめぎ合いで、こういう鉄道戦略が進まなかったところがありますが、今回は、大阪府と市で一体として進めていく。うめきたもそうですね。これまでうめきたについて、大阪府はお金を出すなんてことは僕が知事の時にも全く考えていませんでしたけども、今の政令市を前提とした中でも、何とか僕と松井知事の人間関係の中でですね、もちろん宝くじの財源の税源移譲というものはありますけれども、府と市で一体となるというところまでは来ました。ですから、今までは大阪市の財源で全部やらなければいけなかったところを少なくとも半分までは、この880万人の皆さんの負担に負うようになりましたけども、このまさに、なにわ筋線のような話をですね、市民税でやることがおかしいということであれば大阪都構想に賛成してください。なにわ筋線はそうなれば、これは広域行政のほうできちっと府民税、880万人の負担できちっとやりますので、大阪都構想になればですね、市民の皆さんに過大な負担はいかなくなると考えています。

  東海道支線の地下化の部分となにわ筋線を分けて考えるかどうかというところは、評価のところでありまして、議員のような考えも成り立つかと思いますけれども、僕のようにですね、全体を一つのものとして考えて、68分を46分ですか、そのように短縮したというようにも捉えることができると思います。あとはその時間の問題だけではなくて、先ほども言いましたけれど定時性の問題、きちっとダイヤを、そのダイヤ運行していくというと、それと東西とのですね、東西の鉄道ネットワークとのその連結制、鉄道ネットワーク制ですね。そちらのほうも非常に重きを置いているということもご理解いただきたいと思っています。

 

〇山中智子議員

 今、あとでご答弁いただいた時間の問題は、5分縮まったところで、少々の定時性が強化されたからいって、それで関空へ行く乗客が爆発的に増えて、大阪の成長に寄与するというふうには私は思えない。これは説得力がないなというふうに思いました。

 で、もう一つ、こういうものを市政につぎ込むのが嫌であれば、都構想に賛成せよという、そういうことでしたけれども、結局、大阪市を廃止して、いわゆる都構想になったところで、じゃあ今まで、なにわ筋線には大阪市はこれだけ出していたという分は、広域に持っていくと、府に持って行くというふうになっているわけですから、市民の税金がこういうものに使われるということは、大阪市を廃止しようが一向に変わらないということは協定書を読んでも、何を読んでもはっきりとしていることだというふうに思います。

 いずれにしましても、この鉄道なにわ筋線というものは、市民が日常的に必要とするものではない通過交通です。まさに、基礎自治体がやるようなものではないというふうに思います。鉄道というのであれば、やっぱり優先順位は市民の皆さんが望んでおられて、街を便利にして、バランスのとれた街づくりに寄与する、例えば地下鉄8号線などが先だということを私は申し上げておきたいと思います。

 IR(カジノ)の誘致について

 @ ギャンブル依存症問題が深刻さをましている中で、カジノの誘致などもってのほかではないか。 

 次、今回、同じ成長戦略ということでその起爆剤で、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致、こういうための調査費が3局合わせて8000万円計上されています。このカジノについては多くの方達が、こんなにギャンブル依存症が多い日本にカジノなどもってのほかだという考えを上げておられます。

 内田樹神戸女学院大学名誉教授は、賭博は何も生み出しません。何も価値あるものを生み出せない。借金しても家族を犠牲にしてもそれをする人が多いほど胴元の収益は増える。一攫千金の夢に迷って市民生活ができなくなる人間が増えるほど儲かるというビジネスモデルですというふうにおっしゃっておられます。ギャンブル依存症で悩む人が536万人、家族を抱えて苦しむ人はそれ以上、ますます深刻になっている中で、カジノなど誘致して一体どうするのかというふうに本当に申し上げたいんです。もってのほかだと思いますけれどもいかがでしょうか。

 

◆橋下徹市長

 議長、一点、山中議員の先ほどの主張の中で、事実誤認があるので一言よろしいですか。

 なにわ筋線の財源が大阪都構想になると、市民の、ごめんなさい、今まで大阪市がやっていたのものが、大阪市から大阪都に移るだけで市民負担が何か軽くなるのではないというふうにご主張されましたけれど、ちょっとそこは大きな誤解で、協定書で府に移管する事業っていうのはですね、今やっている事業なんですね。なにわ筋線の建設って今やっておりませんから、それは積算入っておりません、あの約2200億円の中っていうのは。 ですから、今やっている港とか、いろんなそういう広域的なその事業、今やっている現実の事業分見合いがその移転しているだけであって、で、そのあと特別会計で管理をしましても、もちろん言いたいことはわかります、償還財源は入っていますから。

 償還していったときに余裕がでたら、そこで何をするのかという話になるんですけれど。そこは特別会計の中で、資料の中に書いてあるとおり、仕事見合いでそのお金を配分していきますよとなっていますので、今言われたように、なにわ筋線の事業費がですね、そのまま市民税でやり続けられるということは何も大阪都構想では何も決められておりません。むしろ、今の方が大阪市民税で、うめきたの開発とかそういうものも全部やらなければいけなかったところを、これから、いったん特別会計の中で整理をしていくプロセスであるということはご理解いただきたいと思います。

 もちろん、これから広域行政でやるべきものは広域行政でやってもらって、その分特別区のほうに、住民サービスのほうに税金を振り替えていきたいと考えております。

 統合リゾートに関しましては、いわゆるIRの大阪への誘致については、ビジネスや観光による新たな集客が見込まれ、地域経済の活性化や雇用の喪失など、大きな効果が期待できるとともに、国際観光の振興と大阪はもとより、関西、西日本全体への経済波及効果が生じるものと考えています。ここはもう、価値観の違いというか見解の違いとしか言いようがないんですけれども。今の日本政府もこの統合型リゾートというものは成長戦略に位置づけていますので、あとはそれに賛成するか、反対するかの所ですから、僕は、今の国家戦略、国の成長戦略に統合型リゾートを位置づけている以上はですね、これはぜひ、大阪で誘致を実現してですね、世界の主都市で効果の上がっている観光客の増加、特に外国人観光客の増加や雇用の増加をそういうものを目指していきたいと思っています。

 ただ、一方ですね、議員ご指摘のとおり、IRにおけるカジノが立地した場合に懸念される治安の悪化や青少年への影響、依存症等の潜在的、社会的課題に対して新たなセーフティーネットの構築が重要な課題であると認識をしています。これらセーフティーネットについては、現在も専門家を交えながら情報収集等に努めているところでありまして、国に対して万全の対策を講じるよう強く求めていくとともに、本市としても国や府と連携しながら有識者などにもご協力をいただき検討を進めていく考えであります。

 IRへの大阪への立地実現には、国における法制化や市民、経済界の理解が大前提となることから、法制化を踏まえながら市民の皆様方と議論を重ねていきます。

  統合型リゾートに対しては、様々な懸念、心配事、課題、指摘をされておりますのでこれはしっかり解決していきます。国もこれはやらなきゃいけないと言っています。大阪都構想と同じなんですけれども、そういう課題があるからと言って、すべて全否定してしまうのか、それともやらなければいけないことはしっかりやって、課題はしっかり対処していくのか、どちらかの選択だと思うんですが、課題があることは否定はしません。ただ、この課題をきちっと、この課題に関して対処法を講じてですね、やはり大きなこの統合型リゾート、成長戦略に資するこの戦略というものは全否定することなく、しっかり実現していきたいと考えております。

 

〇山中智子議員

  今、いみじくも市長が、IRですね、カジノを含むIR、それから大阪市廃止、いわゆる都構想についても、課題がいろいろあるのは分かっているけれどもやってみなきゃわからないと、そういう主旨のことを。とにかく課題を解消しながらやっていくんだという主旨のことをおっしゃりましたが。記者会見とかでは、やってみなければわからないとおっしゃっていたのが、それが頭に残っているんだと思うんですけれど。そりゃあね、やってみなければわからないけれども、やってみて、これはやはり間違っていたな、やめようということができる施策と、それでは間に合わないものとがあってね、充分議論をさせていただきたいという事なんです。

 おっしゃったように、非常にこれは価値観の違いがあるでしょうが、非常に大きな政策選択の分かれ道ですね、カジノを認めるか認めないかというのは。だからこそ、市長が言われるとおり、賛成の人もいる、反対の人もいる、本当に議論を尽くして、見切り発車などということや強行は絶対あるべきことではないというふうに思います。

 先ほどもビジネスだとか、観光だとかということが主眼なんだというが、一貫してそういうご説明がありますけれども、やっぱりIRの収益というのは8割型がカジノであって、カジノが核になるということははっきりとしていますし、これを日本への誘致を割と進めておられる大学の教授の試算では、海外からの観光客ということでは決してなくって、大阪の60q圏内1550万人中、91万がカジノに来て、1回4万円使うということを当て込んでいる。そういうものです。

 セーフティーネットも研究して行かれるということですけれども、やっぱり、この依存症対策なんかは全国、シンガポールでも韓国でもとっていても、なかなか実効性がなくって非常に深刻になっているという中ですので、ここは、やっぱり多くの方が危惧を抱いている声に従ってやめるべきではないのかなということを改めて申し上げておきたいと思います。

 A IRの建設費7,000億円。インフラ整備などムダな大型開発になるのではないか。 

 今、候補地である夢洲の220ヘクタールを活用したまちづくり構想というのが、いろいろこう打ち上げられています。それを見せていただくと、リゾート施設、健康増進のための施設、見本市会場、国際会議場、こういうものをこうきれいに配したうえに、運河をつくって船を浮かべる、次世代型の路面電車、夢洲へのアクセスも南回り、北回り2ルートをつくる。夢洲と舞洲間に2本目の橋を架ける。本当にすごい計画を打ち上げておられる、そういう団体があって、建設費は7000億円とも1兆円とも言われているわけです。もちろん、事業者等も当然、出すでしょうけれど、やっぱりインフラ整備など公の多額な負担が生じるのではないかという、これは必要ではないかというふうに思います。

 成長の起爆剤ということも今回の予算説明資料にありますけれども、この起爆剤という言葉もずいぶん聞いてきました。いろんな開発の時にこれは成長の起爆剤だ、ということを聞いてきました。

 また、結局ムダな大型開発になってしまうのでないかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

 

◆橋下徹市長

  いろいろカジノと言いますか、カジノを含む統合型リゾートについてはいろいろこれは議論を尽くさなければいけないところはご指摘の通りです。世界各国でも、もちろん課題が出てきているというところ、これは最近の報道でもある通りですから、しっかりそれを踏まえてね、課題、対応策を考えていかなければいけません。

 ただ、これはまだ正式なレポートが権威あるところから出ているわけではないですけれども、よく有識者から言われていることは。有識者から言われているというよりは、IRとか、統合型リゾートとか大阪都構想もそうなんですが、新しいものが出てくると、それに対して新しい批判が出てきますけれどもね。

 よく有識者が言われるのは、今の日本の状況というのは非常にですね、過小高というものがあって、依存症の方ももちろんいますよ。でもよくこれだけパチンコがね、こう社会の中で隅々までパチンコがある中で、スロットルがラスベガスより多いスロットルが、何倍っていいましたか、ちょっと忘れましたけれど、3倍とか4倍とか10倍位ですかね、それくらいのスロットルがある中で、よくここまでの依存症で止まっているなというのが、有識者もみんなビックリするような状況なんです。

 依存症をね、認めろというつもりはありませんが、それでも日本のいろんな政策の中でですね、いろんな国民性とかもあるなかで、あれだけのパチンコが、これだけのパチンコが社会の隅々にある状況の中でもね、依存症とか負債を抱えている、借金で非常に困難な状況になっている人がこの数字で止まっているんだというようなそういう今レポートを作成しているそういうグループもあるようです。ただ、だからといって正当化するつもりはありません。やはり、日本の国民性やその様々な手厚い行政の、また民間団体の対処策において、それが 功を奏している部分もあると思います。もちろん、依存症、それから借金に追われる人、そういう人は限りなくゼロに、限りなくゼロに持っていかなければいけませんが、ただ、そこだけを見てですね、統合リゾート一切やらないということであれば、もう世界の主都市、特にアジアでも統合型リゾートやり始めていてですね、外国人観光客を集める作戦に国家を上げてやっている中で、日本だけが取り残されてもいいのか。

 だから日本の国も、政府ですね、日本全体でやるんじゃなくてまずは数カ所でやる。最初 は3カ所だというふうに言われていたところが2カ所にまで絞られた。まずは、2カ所ぐらいからやってみてですね、よく実際のところを見て行こうというような国の慎重な姿勢ということも合わせて考えればですね、その時に大阪というものが名乗りを上げてまずやって見るということも必要なのではないでしょうか。もちろん依存所対策はきちっとやっていかなければいけません。

 そういう意味では、今ご指摘があった公費負担のその可能性というところなんですが、基本的には公費負担はないと、民間事業者が設置、及び運営するという事が原則になっています。これは昨年11月に廃案となったいわゆる推進法案においては、このIRを指す特定複合観光施設とは、カジノ施設及び、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設、その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営するものとしっかり定義されております。事業費、内容など未確定でありますが、このIR施設のために必要なると埋め立てや鉄道、道路などの基盤整備については、法的にはIR事業者に負担を求めるべきものであると考えております。今後、IRに関する国の制度設計の状況を見据えながら、民間事業者からひろくアイデアを求め、事業のあり方について検討していきます。納付金というものもいただきますので、そのかねあいでも考えていかなければいけませんが、民間事業者が設置及び運営するものがこの法律上がIRであります。

 

〇山中智子議員

 基本的には民間事業者がということがずっと言われてはいますけれども、一方で官民共同でやろうよと言っている団体もあるくらいですし、やっぱり不透明ですよね、基本的にはいという言葉はつくけれども、やはり、ばく大なインフラ、アクセスも含めて本当に民間事業者でやるのか。やりますと言っている海外の民間事業者もいれば、民間事業者の中には、いや、鉄道をつくるのは自分の仕事ではない。それは受け入れる公共機関がやるものだったといううに言っているところもあるくらいですから。私はかなりの公的負担というものが避けられないというか、生ずるのではないかというように思います。

 で、そのときに、先ほど市長もおっしゃったようにだんだんやっぱりカジノも少し陰りが見えてきている中で、カジノを含むIRのためだけのアクセスをたくさん準備をした。そして、産業もつぶれたというと、もちろん人生を棒に振る人達が出てくるとかいっぱい問題もありますし、自治体としては本当にムダな開発になってしまうと思います いずれにしても、カジノの誘致については国民の6割の方々が反対している。で、法律が成立するかも引き続き不透明です。こういうカジノ誘致に血道を上げて8000万円も調査費を付ける、こういうことはキッパリとやめて、夢洲は最終処分場として大事に延命をして使っていくべきだということを申し上げておきたいと思います。

  これら成長戦略と称して、いろいろと巨大開発が入っている一方で、市民負担増についてお伺いいたします。

 介護保険料の値上げについて

 今度の予算案でも平年度ベースで市民負担増は56億円ということになっています。保育料の値上げも非常に大変なものですし、とりわけ高齢者の皆さんは、この間の赤バスの廃止、バスの切り捨て、水道料減免制度の廃止、敬老優待乗車証の大改悪。

 今度の予算では、介護保険料の大幅値上げというそういう仕打ちになっています。額と言えば、基準額月5897円をなんと14.6%、6758円に値上げすると。もうただでさえ高すぎて、年金からもう否応なく天引きをされるので、もう手取りが減ってしまってくらしていけないという悲鳴が上がっているのをご存じだというふうに思います。しかも、この金額は20の政令指定都市中も1番高い、大阪府内のどの市町村とも比べても一番高い、そういう保険料になっています。値上げはやめるべきだと思いますけれどいかがでしょうか。

 

◆橋下徹市長

 今、議員からご指摘がありました敬老パスや水道料金の減免、基本料金の減免ですか、そういうものの廃止と、敬老パスについても改革をさせてもらいました。様々な形で赤バスについても廃止をしました。路線バスについても路線の見直しをしました。

 ただ、これ一方でですね、これまで、これは共産党の皆さんもずっと主張をされていたかと思うんですが、その中で長年実現できなかった医療費助成の拡充だったり、公立中学校の給食の実施だったり、小学校中学校へのエアコンの設置、また妊婦検診の完全無料化、また子どもの難病について国が難病指定をしなかったものについてまで医療費助成する、ないしは特別養護老人ホームを平成29年までに完全整備するなどなど、これまで大阪市役所がですね、また大阪市議会の皆さんがどれだけ主張しても全く動かなかったそういう政策について一気に進めたということもご理解をしてください。

 これは、国のように、国民の皆さんに借金を増やさせてですね、また増税をするなどして僕は今まで動かなかった大阪市政を動かしただけではありません。借金は減らしながら増税をお願いすることもなく、その中で改革までの補助金の使い方の見直し、政策で使っていた税金の見直しをする中でこういう形をやらさせてもらいました。

 もちろん今までそのサービスを受けていた方にとっては不便をおかけするかもわかりませんが、大阪の全体のその将来の事を思ってですね、子ども教育予算、子育て世帯に対する予算を僕の市長に就任する前はですね、その重点経費として67億円だったところを約5倍に増やしたというところを理解していただきたいと思います。改革なくして住民サービスの充実はありませんのでその点についてもご理解いただきたいと思います。

 介護保険料の値上げについてでありますが、この点もですね、大阪市民の皆さんの介護保険料がかなり上がることは議員ご指摘の通りです。ただこれは大阪市の特殊事情があります。一人暮らしの落としよりが多いこと。また介護給付ですね、いわゆる介護保険のサービスをよく使われる方が多いと。それから支える側が少ない。これは低所得者が多いということもありました。保険料は市民全体でこれは支えるものでありますので、もし低所得者の保険料を下げていきますと、どうしても違う方の保険料が上がってしまうと。ですから、支える側が少ないというそういう大阪市の実情もあります。また高齢化のその進展に伴う要介護認定者数の増加、先ほども言いましたけれどサービスを受ける方が多い、まあ、サービスが多いというよりサービスの頻度が多いというんでしょうか、給付費の増、それから、第1号被保険者の保険料の負担割合の引き上げなどによってですねで第5期に比べて861円、14.6アップとなってしまいました。

 介護保険制度は高齢者の介護を社会全体で全体が支え合うために創設された社会保険制度であり、公費はもう50%もうすでに入っております。すでに税金は50%入っております。大阪市のほうは、12.5%そのうち、で保険料は50%。じゃあ使う方の負担として50%、このような財源構成により制度設計されておりまして、受益と負担から多くの方がサービスを受けられれば保険料も上がることになってしまいます。使う分が増えれば当然負担も上がってしまう。つまりは税金が50%入っているんですね。

 で、これ以上の税金を入れるということになると、介護保険を使っていない人にもこれは負担を求めることになります。この保険料のアップということは大変そのアップされる方にとっては大変なことだとは思うんですが、やはり使った分を負担していただくという一定のルールは守らなければなりません。

 今は税金をルールどおり50%入れた上での介護保険制度でありますので、さらにここで税金を投入するということは被保険者間の公平性の確保、また健全な介護保険制度の運営と財政規律の補助の観点から起立などからこれは適当ではないと考えております。

 また国の通達においてもですね、このようないわゆる社会保険というものに関しては受益と負担というものをしっかり考えていかなければいけないということですので、保険料減免分に対する一般財源の投入はこれは適当でないという国の見解も示されておりますので、大変これは14.6%、これは大変なアップ率になりますけれど、これは大阪市民の皆さんがそれだけ使っているんだと、介護保険のサービスを使っているんだということでご理解をいただきたいと思っています。

 

〇山中智子議員

 介護保険制度は市長のおっしゃった通りの仕組み、制度にされてしまった。もともともっと税を投入してちゃんとやっていたものを、みんなで支え合う制度ですと言ってこういう制度にした上に、3年ごとにドンドンドンドン制度を改悪してしいる。この介護保険について言えばもう責任は第一義的に国に責任があるというふうに思っています。

 今や介護難民どころか、もう介護崩壊ですね。利用者が撤退をしていく、人材不足でもう職場はもたない。ですから結局、行き先がどこにもないというそういう状況になっているわけです。支えにならない介護保険の制度に、保険料だけがドンドン取られていく。そしていざ利用をしたいと思っても、利用料が高いから結局使うことができないという、まさに保険あって介護なしという状況になっているわけです。

 そこで、国がこんな制度にしてしまったんだから仕方がないではなくって、やっぱり住民の福祉の増進に努めるのが自治体の仕事だと私は思います。子育て中の中間所得世帯を応援するのは当然ですが本当に高齢者の皆さんの実態というのは大変な状態になっています。国の通達ありますけれど、一般会計の繰り入れをしてはいけないというふうに言っているわけではありませんから、やっぱり任意繰り入れを行っても値上げを押さえて、大阪市はこんなにがんばっているんだから国ももうちょっとしなさいと迫力をもって国に対して制度の改善を求めていくべきではないかと思いますけれどももう一度ご答弁ください。

 

◆橋下徹市

 高齢者の皆さんの負担が上がっていることは間違いありません。それはなんとかしなければいけないと思うんですよ。こんな状況の中で、国会議員は月額25万円、これ元に戻したと言いますけれど給料増額ですよ。市議会の皆さんも月10万円、これ戻してしまったじゃないですか。だからやっぱりこういうことを政治家がしっかりと身を切る改革をやって、役所改革やいろんな改革もやってですね、こういう方々に高齢者の皆さんの負担軽減というものをやっぱりやっていかなきゃいけないと思うんですが、一つの視点、これ僕の一つの考え方なんですけどね、やっぱり税を投入すると世代間の不公平というのが出てくるんですよ。

 税の投入は、やっぱり若い世代の方が、高齢者の介護保険のところにドンドン投入されてしまう。今の現役世代のほうに税がなかなか振り向けられていない。これはなぜかと言えば、投票率の関係で政治の、あまりそちらのほうに目を向けてこなかった。これ税の配分を考えると、世代間配分を考えると、非常に現役世代というものの税の投入割合低いです。

 であれば、大阪市だけでちょっと突出している、これは敬老パス制度なんですけれどね、あそこに60億円の財源を投入しているわけですから、これ世代間できちっと、これ世代間の中でそのなんですか、支え合うというのであれば、60何億円を介護保険のほうの保険料率値下げのほうに、もし使うという案が議会のほうから出てくるんであれば、それは一つ検討に値する案なのかなと思います。

 ですから高齢者の方々、70才以上の方々が地下鉄、バスを乗るためにですね、今、他の都市と比べてもものすごい税の投入を受けている、サービスを受けている。僕は今回3千円の自己負担と1回50円の負担ということですごい批判受けましたが、しかし他の市長村、大阪府下の市長村、どこの市町村もやっていないわけです。ここに60億というお金を使っているんであれば、例え10円でも20円でも保険料下げるためにこの財源を使って、世代間できちっと支え合うという方法を考えられるんであれば、これは検討させていただきたいと思っています

 

〇山中智子議員 

 ですからね、塾代バウチャーの平年度ベースで言ったら50億と、これは一体はどうなんだというこの辺を充分議論していくべきことだと思います。これほどやっぱり介護保険でつらい思いをしている中で取り合いを行えということでやっぱり冷たい答弁だなと感じました。

 その上に、とにかく市長が何でもかんでも民営化、民営化というのはいい加減にしてほしいと。医療や福祉、保育、教育に対する大阪市の公的責任は一体どこに行ってしまったのかという強い批判の声が寄せられています。

 住吉市民病院について

 住吉市民病院の廃止をめぐる怒りの声はまさにその最たるものだと思います。存続を求めて7万を超える署名が寄せられていますね。現状では民間病院がもうなかなか決まらないという状況なわけですから、それはとりもなおさず小児・周産期医療を民間が担うことが困難だということだと思います。

 そうである以上、現地建て替えで大阪市としての公的責任を果たすしかないのでないではしょうか。

 

◆橋下徹市

 国民の皆さんに増税をお願いをして住民サービスを充実するなんてのは、これ誰でもできる話なんですよね。借金を増やして住民サービス充実させるということも誰でもできる話です。

 借金も増やさずに、増税もお願いせずに、負担もお願いせず、増税もお願いせずに、住民サービスを充実させようと思ったら改革をするしかありません。

 現実、地下鉄の民営化が達成できれば、年間にこれはまた精査しなければいけませんけども、165億程度の税金が節約できるんではないか、効果があるんではないか。節約というよりも収支の収入の効果があるんじゃないかとかですね。ゴミの収集事業も他都市と同じように、これ別に公務員でやっている都市のほうが少ないわけですから、民営化をすればですね年間で79億円のお金が浮いてくるのではないかとか、公立幼稚園を民営化すればこれも年間で25億のお金が浮いてくるんじゃないかとか、こういうことが目の前にあるにも関わらず、これをやらないのが今の大阪市議会じゃないですか。

 このようなありとあらゆる改革をやって市民の皆さんにお願いをしながらですね財源を生み出して、そのことによって高齢者の皆さんに対する負担軽減、現役世代への税の投入をやらなければなりません。

 塾代バウチャーを見直せと言われましたけどもね、世代間でどのような配分か一度見て下さい。この現役世代に関しては本当に微々たる税の配分、配当しかありませんよ。ですから塾代、こちらで敬老パスを維持しておいて、かなり税で介護保険料下げろと。塾代バウチャー下げてもいいというのは、これからの活力ある大阪を支えてくれる現役世代に対して大変失礼な話だと思っております。

 住吉市民病院については、現地建て替えでなく府立急性期総合医療センターに機能統合し、現地建替以上の高度な周産期医療と小児医療の提供を予定している府市共同住吉母子医療センターを整備することとしています。機能統合により、コスト抑制だけではなく、これコストと言っても年間8億円くらいのまた税金が節約できるということですから、これもまた住民サービスに振り向ければいいと思うんですね。

 さらにそのコスト抑制だけではなくですね、24時間365日の小児救急対応等に加え、最重症、合併症分娩への対応も強化できることになります。また診療体制の充実によって、医師などの勤務環境の拡充もはかることができます。

 小児周産期のですね、いろんな医療戦略と言いますか、医療の目指すべき方向性、どのレポートを見ても、その病院の統合、勤務する医師の集約化というか職場環境改善するためには、分散化ではなくて集約化とどのレポートを見ても書いています。だからそれをなぜやらないのですかということです。

 また住吉市民病院用地への民間病院誘致につきまして、府市共同住吉母子医療センターと役割分担をして、同センター整備後もなお市南部医療圏で不足する小児・周産期医療について充実させてくれる病院が来てくれるよう個別アプローチをしているところです。府立病院機構と市立病院機構から、その医師をきちんと確保して協力をするというそういう確約も得ていますので、そのような話も民間病院のほうに提案しながら民間病院を誘致していきたいと思っています。

 何よりも、その住吉市立病院の、今の現在のですね、現地建て替え案よりも府立急性期センターのほうと機能統合した方が医療レベル上がることは間違いないので、早くこの市南部の皆さんにですね、高度な医療レベルを提供するためにも、今回の府市共同住吉母子医療センターの予算を早くまず議決をしてください。もう市南部の方がこれで今まで以上の医療レベルを受けることは間違いないですから。現地の部分についてはしっかり民間を誘致していきたいと考えております。

 

〇山中智子議員 

  最初におっしゃっていた問題なんですけど、税を上げたりできるわけではないからということなんですけれど、私たちは一貫して申し上げてきたのは、確かに大阪市の財政は楽ちんではないけれども、市民を脅して必要なサービスを切り刻まなければならないほど深刻な状況ではないということを一貫して申し上げてきました。

  事実、財政調整基金は1500億円ありますし、公債償還基金もきちんとルールどおり、4000億円あまり積み立てているわけです。地下鉄から納付金を受けるということも可能なわけです。

 それに第一、この間大阪市厳しくなっているのは、決して敬老パスをやってきたり、子ども達の施策をやってきたりしたから厳しくなったわけではなくって、市長がよくおっしゃる例の90年代のムダな大型開発の失敗によるもので、でその借金返しのためにあと数年は厳しいでしょうけども、市民には全く関係ないことなんですね。にも関わらず、さあ子どものことをやるんだったら敬老パスを削るんだとかゆう形で市民同士を対立させるような、そういう政策の打ち出し方というのは如何なものかと申し上げたいと思います。

 で、住吉市民病院について今おっしゃりましたけれども、それは住吉市民病院を廃止にしなければならない理由ではないというふうに思います。先日の民生保健委員会では、市長は2q以内に公立病院が二つもあるのは認められないというご答弁もしておられましたけれども、2qといいましたらね、地下鉄二駅ですよね、歩いて病院にいけるという距離ではありません。少なくとも当面、民間病院も決まらないままに閉院するなどということは絶対にするべきではないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 大阪市廃止・分割構想について

 @ 一度否決された協定書、ヤミ取引で復活した。

  何がなんでも住民投票という手段を選ばぬ手法について、強い批判が寄せられている。どう受け止めているか。

 それでは、大阪市廃止・分割プラン、いわゆる都構想についていくつかお聞きをいたします。

 24日に特別区設置協定書が再び上程されました。昨年の10月府議会でも、また本市会でも、手続き的にも無効であるうえに、中身は市民にとって百害あって一利なしだということで、キッパリと否決をされました。それがどさくさに紛れてヤミ取引で復活したわけです。どんな手を使ったのかいろいろ取りざたされてはいますけれども、市民には一体何がおきたのかわからないという状況です。そういう状況で何が何でも住民投票に持ち込むという手段を選ばないやり方について、民主主義も何もあったものじゃないとそういう批判の声も寄せられていますけれども、その当たりはどう受け止めておられるでしょうか。

 

◆橋下徹市

  百害あって一利なしと言われるとかちょっとそういう事を言われると僕も言わなければいけないと思っているんですが、今の大阪府、大阪市のほうが、千害あって一利なしだと思っております。もっと言えば、一万害あって一利なしとそのことを胆に命じていただきたいと思っております。ですから、今の大阪府と大阪市のいろいろな課題を解決するためのものが大阪都構想でありますから、大阪都構想についていろんな問題点を指摘していただけるのは、指摘していただくのはいいんですけども、そういう指摘もなく百害あって一利なしとポンと言うのは、ちょっとこれは市議会議員として説明責任を全く果たしていないと思っています。問題点はいくつでも指摘をしてください。

  それからこの協定書について、ヤミ取引とかいろんなこと言われていますけれど、僕はやっぱり民主政治である以上は、その選挙の結果を重んじるというのが本来の民主主義の姿だと思いますよ。もともとこの大阪都構想については、大阪維新の会というものを立ち上げて4年前の統一地方選挙はじめですね、僕の大阪市長選挙、松井知事の知事選挙、その間のいろいろな国政選挙、そういうものをずっと踏まえて、ここまで来ているわけです。

昨年の衆議院総選挙の結果を受けて、様々な政治判断というものを行った結果ですね、今に至っているということですから、それをまた、ヤミ取引だとか何かおかしな話だとかそれは手段を選ばぬ手法についてとか、それは全然違います。きちんと選挙の結果をきちんと踏まえた今の現状だということをご理解いただきたいと思っております。

  だから強い批判が寄せられているというのは、反対派の人は批判をしているんでしょうけども、賛成の人は全然批判はありません。きちっとこれまで、民主的なルールを踏んできております。もし問題があれば、総務大臣からも技術的な意見、ないしは本体の意見でこれは違法だとかいろんな意見が出ると思いますけれども、この大阪都構想の設計図については全く問題がないということでこのような意見がかえってきておりますので、今後議会でご議論いただければと思っております。

 

〇山中智子議員

 市長ね、「百害あって一利なし」って私言い続けてきましたけれども、一度もそれだけをポーンと言った事ってありませんよ、法定協議会であれ、これからする場所でしょう。どんな場所でも飽きるほどこの問題議論してきましたよ。議論もしないで言うなと言うおっしゃり方には本当に驚きました。それは非常に失礼なおっしゃり方だというふうに抗議をしておきたいと思います。

 これで議論してもらったらいいんだとおっしゃるけれども、誰が見てもやっぱりヤミ、取り引きで、議論とか議決というものを事実上無きものにしてしまったという事だと思います。

 住民投票がたぶん行われるんでしょうけれども、特別区設置法で住民投票が織り込まれているのは、大阪市を廃止して、特別区を設置するという事の重大さから、言わば最後のチェックをかけられるようにしたというものです。その前提としての議会の承認も非常に重大なものですのに、その議会が否決をした、そういうものをどうしてもやっぱり、それでも大阪市廃止をしたいという事であれば、一からまた協定書を練り直すのが本当なのに、それをなさらずに全くかわらないモノを出してこられるという事で、これは法の主旨に照らしても非常に問題だというふうに思います。

 私は、上程は取り下げるべきだと思いますけれども再度ご答弁ください。

 

◆橋下徹市

 山中議員が法上問題ありと言われるのは、個人の見解としては結構ですけれども、総務大臣が問題なしと言ってる訳ですから、やっぱり日本の総務大臣が言っている以上は、僕は総務大臣の意見に従っていきたいと思います。

 

〇山中智子議員 

 結局、住民投票にさえ持ち込めなかったということだけはやりたくないという事なのかも知れませんけれども、私はやっぱりこういうやり方は恥じるべきだというふうに申し上げておきたいと思います。

 A WTCなどムダな大型開発は、府と市が存在したからではなく政策選択の誤りだったのではないか。 

 中身についてお伺いをしますけけれども、先ず二重行政で浮くお金なんて無いよという事がずっと指摘されて、窮地の策ということで、市長は今盛んにWTCなど、これまでのムダな大型開発は府と市があったからだと、そういうふうに盛んに言っておられます。しかし、これについては一人の指揮官である東京都でも、臨海副都心だとか、新銀行東京だとか、まあ数多くの失敗例がありますし、三セク破綻っていうのは国が地方自治体に指示をしてやらせた結果、全国の地方自治体に及んだ事は周知の通りです。

 確かに大阪市はヒドすぎたとは思いますけれども、私たち日本共産党は、これら全てに対して一貫して批判し、反対してきましたが、こういうゼネコンが儲かる投資をすれば、経済が良くなるということで、全国が競い合うようにこういうものを積み上げて来たという事も一方で事実です。

 ですからやっぱりこれは二重行政ということではなくて、政策選択の間違い、政策上の誤りという事では無いかと思うんですけどいかがでしょうか。

 

◆橋下徹市長

 政策の失敗だと言われるんですけれども、なぜ政策で失敗したかっていう原因の所です。ですからそれは山中議員は当時の市長、市議会が悪いと考えるのか、それとも僕のように仕組みが悪かったかと考えるのかどちらかだと思うんです。

 山中議員のおっしゃるように政策の失敗というのはどこの自治体でもあると思うんですが、僕が問題視している政策の失敗は、同じものを二つ失敗するなんて自治体は無いでしょ、という事なんです。

 ですから東京都でも失敗はありますけども、新銀行東京を二つ作るなんてそんな失敗は無いですよ。でも大阪府・市の場合だったらそれがあり得るんです。たからその二つのものすごい失敗をやってしまうような、それが大阪の非常にこれまでの大阪府・市の関係での問題点と言われているところ。

 もう一つはですね、僕は大阪都構想は山中議員が目指そうとしている政治の、その姿を実現するものだと思うんですよ。というのは何故かというとですね、大型開発は特別区はできなくなるんですよ。だから共産党の皆さんは、確かに大型開発について、WTCをはじめこのなにわ筋線についても何にしても反対されています。そこはわかっていますよ。でも今の仕組みだったら反対できないじゃないですか。これまで何年かかっても。過半数とらないと無理なんで。だからそうだったら仕組みを抜本的に変えてですね、山中議員ぜひ特別区の区長になってくださいよ。大型開発一切できないそういう特別区役所になるんです。住民の福祉だけ、そこだけに税金を使う。共産党の議員の方は特別区議会で例え過半数取れなくても、WTCくらいなんか作れない仕組みになるんですよ。

 まさに本当に山中議員と同じ政党かと思うくらい本当に大型開発をやめろと、大型開発やってしまったこの問題が政策の問題だと言うんですけど、いやそれは仕組みです。共産党のような考え方があったとしても、今の仕組みだったら止められなかった。だからそれをいくら共産党の皆さんが過半数取れなくても、絶対に二度とこの特別区役所では大型開発ができないようにする仕組みが大阪都構想ですから、ぜひ山中議員実現して頂いて、特別区長にでもなって頂いたらと思います。

 

〇山中智子議員 

 似ているように見えて絶対に違うのが、私たちは府でもダメだったって言っているんですよ。一つでもダメなんです。二つは勿論ダメですけれども一つだったら臨空だけだったら良かったかと言ったらやっぱりあれだってムダな開発だったということで反対をしているんです。ですからこれは統治機構、府と市があったからという問題では無くて、やっぱりあくまで政治の中味、政策選択の問題。そこが間違いなんです。

 ですから市長は今特別区の議員だったら二度とこういう事ができないとおっしゃったけれども、大阪市のままでこの形のままで私たち今の議会が二度とああいうことはしないようにしようね、という反省と総括をして市民の皆さんにもきちんと宣言をする。二度とやりませんと、それは必ず大阪市会で引き継いでいきますという宣言をしていけば、政治の中味をかえれば良いわけですよ。

 それを府と市があったなんていう制度の問題にすり替えて、何か大阪市が無くなったらこういうバカげたムダ遣いが無くなるというようなことは、私は間違いだというふうに思います。

 現に大阪だって一人の指揮官にして、先ほどからありますカジノだとかそういうものをまたやっていこうとしているわけじゃないですか。一つでもダメだというのが私たちの意見です。

 この際申し上げておきますけども、今市長は共産党反対していた事は知っていると仰いましたけど、タウンミーティングなどでは、こういう事をやった中に必ず共産党を入れておられます。共産党まで一緒になってこういう事をやったという事をタウンミーティングでおっしゃるのは二度とやめて頂きたいと。私ちゃんと録音したものを起こしてもらってちゃんと聞いていますので、もう二度とそういう事をおっしゃるのはやめて頂きたいというふうに思います。よろしいですか。

 B 大学、病院、図書館等、二重行政と決めつけている。これらをつくり運営していることはムダなのか。 

 二重行政、WTCだ、何だとおっしゃりながら、一方で大学だとか病院、図書館等二重行政だと、これを解消するのが都構想の目的だという、もうこれは破綻済みだと言うべき議論をいまだにタウンミーティング等ではまだ吹聴しておられます。何回も指摘しているように、市民が利用している限り、二重行政ではないし、工業研究所のように棲み分けられているものもあります。

 しかも府と市に二つあるのは大阪市が悪いかのように仰って、だから大阪市と市議会をつぶさなきゃいけないんだという事も随分仰っておられます。

 しかし、どれもほとんどのものが、市が先に市民的なニーズに基づいて作って、府はその後により府民的立場からいわば補完的に作って来たというのが実際だという事です。

 そして、それぞれ市民、府民に利用されている、そういうものを大学や病院や図書館、工業研究所等をつくり運営している事、これがムダだというふうにおっしゃるのでしょうか。

 

◆橋下徹市

 二つのリスクを、先ずは一つのリスクにすると。議員が言われるようにゼロにするっていうのは正しい方向ですけどね、いきなりゼロには出来ないんですから、まずは二つのリスクを一つに最低限押さえるという事をに一歩踏み出さないといけないと思います。

 タウンミーティングは、僕も表現も考えますけども、僕が言ったのは、共産党だけを取り上げているんじゃ無くて、今までの大阪の政治が、というそういう意味なんです。僕の事も事実誤認の事いっぱい言ってますよ。

 二重行政の事なんですけれども、これは誤解がありまして、大学とか病院とか図書館が全部二重になって無駄になってるから全部一つをつぶせって言ってるわけじゃ無いんです。役割分担が出来てないんじゃないかと言う事です。また、二つある事によって、本来は一つにまとまった方が力が発揮できるのに、力が分散されてるんじゃないかという事を問題視してるわけです。嘗ての大阪市の状況であれば、大阪市がすべての施設を持ってるという事は正当な理由があったと思いますけれども、今の大阪といえば都市構造の状況見てもらえれば、大正時代と大阪の都市構造は変わったわけです。5%通勤圏にしても事業所の集積率にしても、大阪といえば周辺部の市町村を巻き込んだ形で都市部を形成してますのでね、そういう中で昔のように大阪市大阪府、市立府立とそれぞれ施設を持つ事は、やっぱり違うんじゃないかと。

 例えば大学であれば、これは一つにまとめてですね、新公立大学モデルですか、大学が出したように健康とか、そういうものを軸とした新たな地域貢献型の大学を目指していくという事もしっかり打ち出してもらってますし、病院についても府域全体で最適となるように、市立の総合医療センターと、府立の成人病センターと、これは強力な病院ですよ。これでもトップが別々ですから、同じ方向性、同じ戦略に向かってないわけですね。だから市立の住吉市民病院の建て替えなっていう問題も、大阪市内の議論だけでドンドン進んでしまってる。全体の公立病院、グループの中で考えた時に、どういう病院をどこに配置するのが最適化なのか、そういう視点が無いからこれは一つにまとめた方がより大阪府域全体のプラスになるんではないかという事です。

 図書館についても、今の役割というものは、機能は全否定しているわけじゃ無くて、それぞれに役割分担があるでしょ。大阪全体を担う図書館とその地域の皆さんに対する図書館。ここの役割分担しっかりやっていきましょう。大阪市内ですね、東京23区と比べてみると、地域図書館というものが非常に弱いです。勿論、大阪市内に市立図書館、西区にありますけれども、地域図書館ってものが非常に弱い。やっぱり東京文京区にしても何にしても、夜の10時までの図書館、しっかり蔵書を抱えた図書館がですね、複数一つの特別区の中に点在している。こういう事です。しっかり役割分担やった上で図書館というものを大阪全体で戦略を立てていきましょうというものが、大阪都構想ですから、二重行政といってどちらかの施設を廃止するというものだけ、何か節約だけのものだけではありません。

 

〇山中智子議員 

 その当たりの図書館、体育館等についての表現の仕方が、街でおっしゃる事とここでおっしゃる事と随分違うなというふうに思ってお伺いいたしましたけれども、私たちは市民にとって必要なものは勿論節約には努めながら、やっぱりやるべきものはやっていかないといけないと思っています。

 市長がおっしゃるように、街ではムダだとおっしゃる、ここではまとめた方が良いんだとか仰る、色んななさり方するけれども、そう言って切り捨てたりしたらやっぱり市民が本当に困るというふうに思います。

 先ほど申し上げたように、私たちは、市の財政が体育館とか図書館とかというものに目くじら立てないといけないほど厳しいとは思ってはいませんし、そういうものをやってきたから今の大阪市は厳しい訳でもないという点で考えたら、やっぱり市民の皆さんが必要とされ利用されているものを二重行政だというふうにレッテルを貼って、府に持って行くだとか廃止にするという事はとんでもない事だという事を申し上げておきたいと思います。

 その上先ほど申し上げましたけれども、とりわけ街に出られるとですね、あたかも大阪市が大学だとか図書館だとか病院だとか体育館だとか大規模公園など、市がやるべきで無いような事、市の部を超えたような事を、いわば都道府県がやるべき事を行ってきたような事も随分仰っています。

 C 府に移管する事業で元々府の権限に属するものは、具体的にどんなものがあるか。 

 我々が大阪市の権限や財産が奪われるというふうに批判をする事に対して、府がするべき事を府に移すだけだと、何が悪いんだというふうに盛んに仰っています。

 そこで伺うんですけれども、府の権限に属するというもので府に移すとされている事業は具体的にどんなことがあるのでしょうか。

 

◆橋下徹市

 これまで大阪市が担ってきた事を全否定する訳ではありませんが、構造の変化によって大阪府全体でやっていかなければならない、これからは大阪府全体でやっていくべきだと考えている、そのような事業は、特別支援学校などの法令で府の権限とされている事務だけでは無くて、大学や病院また産業、観光や文化の振興、うめ北などの大規模な都市開発や街づくり、鉄道整備や高速道路、関西国際空港関連などのいわゆる広域的な大阪府域全体の交通基盤の整備など、大阪都市圏の集積や広がりをふまえて、大阪全体の成長、都市の発展に関わる事務だと考えています。

 また大阪府に移管する事務の内、法令で府に義務づけられている主なものとしては、先ほどの特別支援学校に関する事務や、医療法人の設立、認可等に関する事務。火薬類取締法などの保安三法に関する事務など35事務。ですから法令で義務づけられたものでは無くて、都市構造の状況の変化からですね、大阪府域全体でやるべき事務としてこのような今回大阪都構想の設計図の中では、府の方に移管する事務だと協定書にも起債させて頂きました。

 

〇山中智子議員 

 府に移すという事になっている269の事業のうち、府県に権限があるというふうにされているものは、今おっしゃった特別支援学校にかかる26の事業等、医療法人の認可設立等に関する事務、保安三法等とわずか35の事業にすぎませんし、その特別支援学校を府に移管するということはもうすでに議決がされて決まっているわけです。

 ですから、都道府県権限があるから府に持って行くなんていうのは、ホントにほとんど中身が無いに等しい。ですから結局府に移すというふうになっている動物園だとか大阪城公園、鶴見緑地、消防、下水、大学これらもう全て一般市権限ですね。一般市が行う事業、ですから大学についても、政令市は勿論ですけれども、下関市立大学、都留文化大学、高崎経済大学、福山市立大学、名寄市立大学、尾道市立大学、まだありますけれども一般市でも立派に大学を運営している訳です。また高校とか病院は任意事務であって、都道府県が行うべきなんてことはどこにも書かれていない訳です。

 D 269の事業、府に移す理由は何か。

 ニーズに応えてそれぞれの自治体が状況に応じて手がけて行けば良いものであって、それらを大都市大阪市が担っていくのは当然だというふうに思います。これを無理矢理府に移さなければならない理由というのは何かあるのでしょうか。

 

◆橋下徹市

 法律に決められた権限だけで自治をやっていくというのはもう古い発想ですね。

 法律の事務の配分というものは全国一律。要は10万人以下の市から360万人の市まで、全部を含めて霞ヶ関が決めた事務の配分が今の色んな法令で決められた事務配分なんですね。それをやめていこうというのがこの大阪都構想の話であって、いわゆる都市の構造に合わせて、仕事の役割分担を自分たちで決めていこうと。

 大阪の特質性は先ほど下関とかいろいろな事例出されましたけれども、なぜこの大阪都構想が必要なのかというと、大阪の特質性の一つはですね、まず面積が狭いという事です。全国でも2番目に狭い訳です。関西国際空港が出来るまでは、全国で一番狭い面積だと。その狭い面積の中に都道府県と同等の役所がですね、二つ存在すると。これは大阪の特殊性です。

 下関とか高崎とか色々言われた、そこで例えば大阪府大阪市合わせて不幸せなんてものすごく揶揄されていますけれども、山口県と下関市で二重行政の問題だとか、県市で不幸になるとかそんなこと聞いた事無いですよ。二重行政とか。これは大阪の面積とか都市構造、これは人口、人口集積、それから通勤圏、その大阪の都市の実態とですね、それと大阪市役所と大阪府庁という役所の構造から二重行政を生み出してしまったっていう、構造的ないわゆる要因からでてきたわけです。

 ですから何も法律にですね、府の権限と決められている。あとは法律で政令市の権限で決められている、だからそのままやる。これじゃあね、自治は出来ませんね。ですから今回は一から法律で決められた全国一律のルールを自ら自治体で考えていこうと。これは大阪全体の仕事、法律でどう規定されているか大阪全体の仕事、いやいやこれは基礎自治体という住民に身近なサービスの仕事として特別区でやっていこう。まさに今回協定書の中で、法律というものは関係なく自分たちで役割分担をやったわけです。これはね、明治維新以来どこもやった事無い画期的な事でしてね、だから最後は住民の皆さんの投票で自らが仕事の配分、やったことを進めていくのかどうなのかって事をね、住民投票で問う。だから法律がどうだこうだというそういう次元を超えた議論であるというところに是非ついてきて頂きたいと思っています。

 

〇山中智子議員 

 法律を超えていくというのであれば、むしろやっぱり時代はなるべくニアイズベター、分権の時代なんですから、法律で一般市のもだって言ってるものを府に持って行ってしまう、むしろ集権にはたらくなんていうのは、法を乗り越えて一体何をしようとなさろうとしているのかさっぱりわからない。あとからくっつけた理屈だというふうに思います。

 これは府がやるんだ、これは特別区がやるんだなんていう、その線引きって言うのは、ですから法律にも何にも無い、あなたの頭の中だけにある線引きでもって、これは大阪市がやるべきじゃ無いことをやってきたんだ。そういう勝手に広域とか何とかっておっしゃってるにすぎないというふうに思うんです。

 ですから、あえてどうしても広域は何なんですかっていう定義付けをしようと思えば、やっぱりこの都道府県権限とされるもの、こういうものは持って行かれたらよろしいでしょうと。そういうふうに思うわけです。公園や動物園や大学、病院、高校などは、別に広域でも何でも無くって、基礎自治体として当たり前のことをやってきたにすぎません。

 結局こういう事を言われると、めぼしいものを移管して好き勝手になさって、どうしても困ったら売り飛ばして、カジノなどの巨大開発につぎ込まれてしまうのではないかと。そういう疑念を抱く人たちがいるのも当然だというふうに思うわけです。夢洲も府に移管されるわけですからね。

 なぜ、一般市権限でもあって、機嫌良くちゃんと運営している諸々のものを、無理に府に移す必要があるのか、もう一度お答え頂けますか。

 

◆橋下徹市

 一般市権限って言っても、これだけ巨大な大学とか、今下関大学とか色々出されましたけども、大阪市立大学の規模じゃ無いですよ。動物園だって公園だって。だから先ほどから議論させて頂きましたけども、もうちょっと市議会議員の仕事を通常の市民の皆さんの医療教育福祉、義務教育とか、もっと言えばごみ収集の問題とか、身近な問題のところに集中してもらう。そこが大阪市政で一番欠けているところだと思っています。

 ですから仕事の役割分担をする。法律がどうのこうのじゃない訳です。だから今ここでね、大阪の都市に合わせてしっかりと仕事の役割分担をやっていこうという事ですから、あとは議員といろいろ議論してもなかなかかみ合わない所ですけど、ちょっとこれは正さしてもらいたいのは、僕は知事経験者ですから、なんですか、、動物園を売り飛ばしてカジノに充てるですか。ホントね、市議会でね議論すると大阪府議会議員とか大阪府知事ってホント悪魔のような存在なんですね。そんなことしませんよ。

僕、知事の時に万博公園売り飛ばして、何かカジノやるとかそんな事言った事ないですよ。それから市民の皆さんは、市議会議員だけじゃなくて、府議会議員にもいろいろ託して色んな仕事やってもらってるわけです。市議会議員だけが市民の為に仕事やっているんじゃないんです。府議会議員だって市民のために仕事やってるんです。

 大阪市長だけが市民のために仕事やってるんじゃなくて、大阪府知事だって市民から選ばれた代表として市民のために仕事やってるわけで、何か都の方に、府の方に仕事が行ったからね、ムチャクチャになるっていうのは、ぜひね維新の会はこういう事は無いんですけど、自民党や民主党や公明党や共産党の皆さんは府議会議員とこれぜひ同じ議論やって欲しいんですよ。

 府議会議員に言ってみてくださいよ。そしたら府議会議員は、そうです、我々はムチャクチャやりますと、動物園もらったら我々は市民の為にならない事をやるんですって事を、自民党や民主党や公明党や共産党の府議会議員が言うんだったらね、あーそうなのかなっと思いますんで、一度、府議会、市議会で議論してもらって、あなたたちムチャクチャやるでしょうと。市民の税金奪って、そのなんかもう市民のためにならないことやるんでしょってことを、ぜひ党の中でまずしっかり議論して頂きたいなと思っています。

 

〇山中智子議員

  共産党の府会議員に聞けばその心配はあるだろうというふうに言うと思います。はい。自分は反対するけれどもその心配は大いにあるというふうに言うと思います。

 それで、いろいろ市長おっしゃいましたけど、やっぱりその府はその成長戦略をいろいろしようとなさっている。しかし、新しい財源、新しいお金が出てくるというわけではありませんから、やっぱりそういうものにつぎ込んでいこうと思えば、移管した財産ですね。いや、そりゃ動物園は売却はしないと思いますよ。大阪城天守閣も売却はしないと思いますが、例えば市立高校なんかは、かなり危ないなーと私は思っています。廃止をして、売却という憂き目に遭うのではないかとそういう心配は非常に強くしています。

 E 特別区は5年間で、1,071億円の赤字になる。市民サービスは削らざるをえないのではないか。

 ところで、特別区についてお伺いをいたします。

  わざわざ大阪市を廃止をして、わざわざ特別区をつくるための庁舎建設やシステム改修などの費用や毎年の事務費や人件費の増加で、特別区は最初の5年間で1071億円もの赤字になります。配当された土地は売り尽くして、この土地も見積もり通り売れるかどうかわからないし、売れるはずの土地もかなりあるという、そういう声もありますけれども、とにかく土地も売り尽くして、財政調整基金もおおむね取り崩したうえに、新たに、府などから借金をしてしのがざるを得ないと、それが大都市局がつくったシミュレーションになっています。

  市長は、市民サービスは悪くならないというふうに繰り返しおっしゃいますけれども、今でもずっと切り捨てられているわけですけれども、やっぱりこういうシミュレーション、財政状況を見れば削らざるを得ないということは火を見るよりも明らかではないでしょうか。

 

◆橋下徹市

  宮原議員が無茶苦茶やると言っていたんですね。・・・。

 それとですね、これもまた、議員は因果関係の中できちっと理解したうえで質問していただきたいんです。赤字だ、赤字だというのは、都構想によって赤字になるのかということです。

 実は、1071億円赤字、赤字って言いますけれど、これは今の大阪市だとしても、粗い試算というものをベースにしてつくったものなんですね。特別区の財政シミュレーション。特別区となったとしてもちゃんと今の大阪市と比べてね、劣ることのない財政運営ができますよ。むしろ今よりも、もっと活用財源がふえるような特別区になりますよーということを示した財政シミュレーションですが、そのベースは今の大阪市を前提とした粗い試算なんですよ。

 ということは、これ1071億円赤字と言っていますけれども、再編コストはこの5年間でマイナス4億円ですから、いわゆる1067億円、1067億円は今でも赤字になるという話なんです。これ都構想だから赤字になるんじゃないですよ。財政シミュレーションがそうなっているんですから。

 今の粗い試算でもこの5年間では1067億円がマイナスである。今の僕の予算編成見ていただいてもおわかりの通り、当初、僕が市長就任の時には525億円くらいこの収支不足がある。そのあとずっと軽減してて、去年は177くらいになりましたけれど、今年はだいたい借金の減額とか財政調整基金の積み立てとか将来の収支なんかを見て、2百何十億くらいの収支不足になっていますけど、今でも収支不足の中で、やり繰りやり繰りしながら予算組んでいるんです。ですから、この1071億円の赤字、赤字っていうのは、今でも赤字で、都構想になったから赤字になるものでないと。

 都構想での初期費用というものは、システムの費用と庁舎改修の費用とかそういうもので、これは600億という話は、これは別の話です。この1071億円とは別の話です。。もっと理論的に見てください。だから、この1071億円の赤字というものは、このうち再編コストは4億円ありますのでちょっとそれを抜いて、でもほとんどですね、1067億円は、今のまんまでも赤字だということです。あとはこの6百なにがしのコストというものをどう見るかここは議論させてください。

 僕の考え方はこの6百いくらのコストをかけたとしても、二重行政の解消と住民自治の拡充のため、二度と、昨日もいろいろ議論させていただきましたけど、景気が良くなったからと言ってね、政策の失敗が行われないような、議員は政策の失敗だと言いますから。政策の失敗が二度と行われないような新しい大阪をつくるためには、この6百億なにがしくらいのお金を使っても、僕はそれはもう十分だと、というのが、今回の土地信託事業でももうすでに650億円の賠償金を払うようなこんな事をやってしまっている、今の大阪市役所、大阪市議会のこの仕組みをやっぱり一からつくり直していく。そのためのね、初期費用としてこれだけお金かかりますから。

 ただ、財政シミュレーション見れば、この当初の5年間だけで区切って1071億円赤字になると言いますが、特別区の財政シミュレーション見てください。15年間で約2700億円の活用財源が生まれる。今大阪市議会で完全に反対されている改革も大阪都構想をきっかけにすすめることによってですね、この特別区の財政シミュレーションで17年間で2700億、もっと期間が延びればもっと効果額が増えてくる。こういう大阪都構想なんだと。この1071億の1067億円分は今でも赤字になるということをしっかりご理解いただきたいと思っています。

 

〇山中智子議員

  特別区になった場合のコスト増、全然、市長はこの1071億円の中にはそれが含まれているじゃありませんか。大阪市のままだったら入ってますよ。大阪市のままだったら生じないコスト増がちゃんとそこに入っていますでしょう。

 ですからね、コストについて市長は、その600億余りについてはいろんな言い方で、これはいずれはプラスになるんだとかいろんな言い方をおっしゃるけれど、コストが増えるということには一貫して口をつぐんでおられるということが不思議でなりません。

 この、大阪市を廃止して特別区をつくるための庁舎建設の費用680億円も、これはまさに市民にとって全くムダな出費です。

 さらに、とことん職員を少なく見積もっても、それでも増やさざるを得ない198人の職員増、こういうものも含んでの1071億ですからね。

 ですから、そういうふうに特別区にならなければ、必要のない出費というものがかかってきて、他の経費ですね、福祉とかくらし、教育、住民サービスを削らずにやっていけるなんていうことはあり得ないというふうに思います。

 デメリットなんて説明しないというそういう持論もおありかと思いますけれども、あんまりにもこれは無責任な姿勢ではないかというふうに思います。

 特別区にしたらその代わり、何年でこんだけ黒字になるんだというシミュレーションもおっしゃいましたけれど、それは別に特別区にしたからというわけではなくって、正職員をもう退職時にドンドン非正規職員に置き換えてしまったりとか、ドンドン民間企業に委託をするなどして人件費をうんと減らしているということであって、これ特別区にすると、大阪市をなくすということとは関係ない話だということも申し上げておきたいというふうに思います。

 F 国保、介護保険など、100を超える事務事業が一部事務組合で共同処理されることになる。大阪市の廃止・分割は非現実的ではないか。 

  それで、この協定書案では、府がそういう先ほど申し上げたようなめぼしい財産ですね、こういうものを持って行ったあとに残った特別区に分けられないもの、国民健康保険、介護保険、水道、システム管理、各福祉施設、中央体育館、大阪プールなどなど、市民利用施設や斎場、霊園そういう100を超える事務事業を、特別区が共同で一つの一部事務組合を作って処理するということになっています。市民の目も声も届きにくくなりましょうし、特別区間の矛盾も様々に生ずるというふうに思います。

 何よりも、一部事務組合で処理する事務事業の多さというものが本当に異常です。100を超える事務事業を共同で処理をする、何百人の職員が。で、その中心部分はここ、元大阪市役所で仕事をするということみたいですけど、結局、大阪市があるのとおんなじということだと思うんですね。こんな自治体どこにも存在しないと思います。

 やっぱりこういうこと考えてくると、結局、大阪市を特別区に分割するということは、かなり無理に無理を重ねる、全く非現実的なことだと思うんですが、いかがでしょうか。

 

◆橋下徹市

  あのう、一部事務組合は何かとんでもない存在だというふうに思われているかしれませんが、一部事務組合ほど円滑に行政すすむものはありません。

 なぜかと言えば、政治的な対立がないんですこれは。行政執行をそのまま一緒にやりましょうということなので、この一部事務組合の議員、いろんな所からきますけれどもね、政治的な対立でなんかごちゃごちゃすることはないです。

 関西広域連合もそうだし、もしこのね、都構想の議論で必ずおかしいなと思うのは、この都構想というものは急に出てくるとこれに対していろいろな批判しますけれどもね、今の現状どうなのかという視点がないわけですなんですね。

 例えば、一部事務組合、これ後期高齢者医療制度なんていうのは事業規模1兆円を超えるんですよ。これ、共産党の皆さんもね、都構想になったら一部事務組合、6000億円の事業規模になるって、こんな、とてつもない金額を一部事務組合でやるのはどうなのかという批判しますけれど、実は、後期高齢者医療制度なんていうのは、これは1兆円を超える予算でやっているわけですよ。

 これ一部事務組合もですね、6000億のうちですよ、国保、これはこれから広域連合に移るものですね。それから介護保険を除けばですね、僅か一般会計のうちのこれ約2%程度ぐらいの規模であって、むしろ行政は、本当に一部事務組合でできるものはそれでしっかりやったほうが、議員の皆さんもそれでそこに集中してチェックできると思います。

 ですから、きちっと分けてですね、いわゆる特別区として住民の皆さんの身近なサービス、ここに集中する仕事とそれから特別区間同士が協力してやる一部事務組合の仕事と、そして大阪全体の広域行政の仕事、ここにきちっと議員が役割分担をやってですね、しっかりとチェックをしていく。

 今回、ゴミ焼却場の一部事務組合を議会の皆さんのご協力で設置をさせていただきましたが、僕は初めてでしたよ、ゴミ焼却場の仕事についてあそこまでいろんなことを見たっていうのは。それまでは環境局のほうにもうだいたい任せてですね、ざーっと進んでいくわけです。多分、ゴミ焼却場の話なんて僕、議会で、一部事務組合になるかどうかって時には議論させていただきましたけれども、それまでの運営について何か議論したという記憶がありません。ゴミ焼却場について。しかし、これからはですね、ゴミ焼却場の問題そこだけ取り出されますから、そこに八尾市からも松原市からも議員の皆さんが来て、ゴミ焼却場の問題のところだけを扱うその場ができるわけですね。

 ですからこの一部事務組合というものも、特定課題について行政執行の要素が強い部分を抽出して、これは選挙で選ばれた者同士ですから、どうしても政治的な対立が出てきますけども、この行政執行のところが強い部分については対立なくきちっと進めていく。関西広域連合なんてまさにそうですね。

 ですから僕は、一部事務組合というのは、仕事の役割分担の中では非常に重要で効果的なものだと思っています。

 

〇山中智子議員

  後期高齢者は、事業一つですし、一組ではなくて広域連合ですね。

 で、そういうふうにおっしゃいますけれどね、介護保険とか国保なんかこうサービスそのものが特別区でやる、医療にしても介護にしても。特に介護はそうですね。サービス料は特別区が決めるのに、保険料などは一部事務組合で決めるということになったらスムーズに行くどころか、矛盾だらけになるというふうに思いますよ。ですから、そういうふうにおっしゃってお認めにならないけれども、自治体の合併というのはたくさんありますけれども、分割なんてことはね、もう経験がないわけです。とにかくいろんな矛盾、困難が生ずることになります。

 G 財政調整等の矛盾に加え、財産の分割等の膨大な事務作業を要する。市民にとって特別区に分割してどんなメリットがあるか。 

 府と特別区間、それから特別区間同士の財政調整の矛盾も出てきますし、特別区間の人口や公園や保育所や市営住宅等のアンバランス、これどうしていくのか。

 あるいは、阿倍野再開発は、財産としては南区のものになるけれど、借金の返済は全特別区でやっていかなければならないだとか、中央図書館も中央区の教育委員会が所管するけれども費用は全特別区で負担するなど、いろんなわけのわからないことが枚挙に暇がないというふうに思います。

 その上、申し上げ始めましたらきりがありませんけれども、財産の分割、移管、職員の配置転換、専門職などの人材要請などなど、本当に膨大な時間と作業を要するうえに、果たしてそれらが本当にできるのかどうかもわからない状況だと思います。

 土地等の登記変更は本来すべきではあるけれども、とてもではないけれど労多くてできないだろうという話です。ですから、もう実態を知っている職員が具体的に考えたらもう無理かも知れないと答えるしかないと。そういうことで箝口令をお引きになったのかなということも思います。市民の皆さんにとっても、登記変更だとか名刺などの印刷物、あるいはいろんなところに登録している住所を全部変更しないといけないということで、まさにデメリットしか考えられないんです。

  改めてお聞き致しますけれども、市民にとって特別区に分割してどんなメリットがあるんでしょうか

 

◆橋下徹市

  答弁時間が長いということでメモが回ってきたんですけれど、その質問になるとですね、もう1時間あってもしゃべれないですよ。ええ。

  ですから、今の大阪市の課題はなんなのかということです。大阪都構想について毒まんじゅうだというようなね、そういうレッテル貼りもありましたけども、今のほうがよっぽど毒まんじゅうというか毒まんじゅう以上ですよこれ。今のほうが毒だらけ。

 むしろ大阪都構想は、その毒を解毒する解毒剤なんです、大阪都構想は。

 今の大阪府、市、これもね、大変申し訳ないけれども、自分がやったからというわけで言うわけではありませんが、僕は知事の経験もやり、市長の経験もやりました。やっぱりこれは構造的な欠陥ですよ。大阪府の職員も大阪市の職員もみんなプライド持って一生懸命仕事やってくれていますけれどね、やっぱりこれ組織である以上ね、双方の言い分が食い違って最後まとめるということが必要なんです。ありとあらゆる事務事業について、全部僕と松井知事が全部話しをして決めるなんてことは無理です。

  だから、そうであれば、組織を一本化して、大阪全体の仕事については、その組織の内容を一本化するこれ絶対必要です。二重行政の問題、要因は府庁と市庁、もっと言えば大阪府議会、大阪市議会の存在です、二重行政を生んだのは。とにかく解消するためには大阪都庁をつくる。

 もう一つは、住民サービスについては、大阪市はこれまで大阪の中心として大都市大阪を引っ張ってきましたけれど、多様な住民サービスのニーズがドンドンドンドン出てくる時代において、市長の役割というのは、より住民とコミュニケーションをとれるようなそういう存在にならなければならないと思っていますが、270万人という人口は、もう議員ご存じのとおり京都府やね、それから広島県と同じ規模ですよ。京都府や広島県の中には、知事一人ではなく公選のいわゆる首長が10名も30名もいるわけです。そういう中で住民サービスをきちっときめ細かくやっていく、住民の声を聞いてそして役所が、どうしても役所っていうところは制度に縛られますけれど、最後その制度を変えていくのは首長しかないわけですから。住民の声をいかに細かく聞いていくかというのが基礎自治体の仕事であって、260万人のこの大規模な大都市にですね、基礎自治体の長が1人しかいないというのは、住民自治の、これをまっとうすることはおよそ不可能です。

 ですから大阪都構想については、総理がですよ、一国の総理が、二重行政の解消を住民自治の充実においては意義があると言っているわけです。本当に毒まんじゅうなんだったら自民党の皆さん、総理に言ってですね、国会答弁で大阪都構想は毒まんじゅうだと答弁してくださいよ。「ど」の字も言わないじゃないですか。いくら維新の会が質問しても毒まんじゅうの「ど」の字も言わないじゃないですか。意義があるというふうに言っているわけです。最後は住民の皆さんの判断に任せる。そういう意味では、そのメリットといえば、二重行政の解消、府市の一体化、そして住民自治の拡充、もうそれに尽きます。もうそれに関していろいろ初期費用がかかるとしてもそれを上回るだけの、余り余るほどの大阪にとってのメリットがあります。

 

〇山中智子議員

  私の質問聞いていただいていたんでしょうかね。二重行政なんてないって申し上げているのに、まだ二重行政の解消だとおっしゃる。

 それから、住民自治のことをおっしゃいましたけれども、そんなのね、20万でも30万でもね、市長一人で住民自治なんてできないと思いますよ。

 やっぱり住民自治なんていうものは、首長、それから議員、議会、職員、職員集団、そして住民参加、とにかくあらゆる回路を通じてのみ実現をし充実をさせていくものであって、なんか首長がコミュニケーションとったら住民自治だというのは、住民自治の、こうはき違えだというふうに私は思います。

 しかも、ニアイズベターで住民自治を実現するんだとおっしゃるけれど、結局、財政も乏しくって、国民健康保険とか介護保険など大事なことが自前で決められない。あるいは教員も採用できない。用途地域の変更など街づくりの権限もないということで、やっぱりデメリットしかないのではないかというふうに思います。

 H 東京23区では、都区制度の廃止を望む声が上がっている。このことに対する所見は。 

 ですから現に東京では、もう都と区の制度をやめて、それぞれが一般市になりたいんだと声を上げているのはもうご承知のとおりです。財源や権限を都に握られてしまって、充分、住民に合わせたサービスができないと。一般市並に権限もない、固定資産税も法人市民税も入ってこないということで、自治の拡充を求めて何回も何回も改革を行ってきたけれども、結局今、東京都の特別区協議会が言っているのは、やはり大都市地域に充実した住民自治を実現していくためには、都区制度は時代おくれだというふうに断じておられます。

 こういう23区の移行についてはどのように認識しておられるのでしょうか。

 

◆橋下徹市長

  ちょっと表面的な部分をこう引用してですね、あたかも特別区がですね、その都制度自体を否定しているかと言ったら違うんですね。

 まず、特別区の皆さんは、自分たちの住民自治を全部なくして、東京市になりたいとは誰一人言ってはおりません。言ってません。彼らが言っているのは、こちらの特別区制度調査会においては、それぞれの区が市になりたいというだけなんです。それぞれの区が市になって、ということは大阪市内のその規模からすると、まさにこれからの特別区制度が始まったあとにですね、この特別区が市になるかどうかという問題で。当然これは権限の問題です。

 で、それは、財政調整の問題もこれは今回の都構想のその制度を見てください。都構想の制度を見てください。きちんと財政調整の制度の中には、あるべき姿としては特別区間のその水平連携でも財政調整を目指すべきだと。これ僕は、消費税の地方税化においては言っているわけです。地方交付税みたいな形で、その国との水平調整ではなくて、自治体間の共同の水平調整をやるべきというのがあるべき姿。ただ、そこに至るまでの過程として、調整役として国にやってもらわなきゃいけないそういう時期があるかもわからないけれども、将来はその水平調整をやるべきだと。

 この大阪都構想においてもそうなっています。あるべき姿は特別区間の調整。けどそこまで一足飛びにいかないのであれば、これはまずは都のほうに調整に入ってもらう。しかし、その中にですね、きちっと東京都政とは違う、いわゆるこの東京の特別区が言っているようなことを大阪都構想では盛り込んでいるわけです。

 財政調整においても、これは第三者機関がきちんと審議をして、その判断に、ある意味その判断を尊重するような仕組みを入れていこうと。財政調整に関しては、東京都区制度を超える内容と。特別区設置後3年は毎年、その後は概ね3年ごとに特別区協議会で配分割合の検証をすると。特別区協議会において、例えば府に移管された事務に適切に財源が使われているか透明性をもって検証しやすいよう特別会計を設けて財政調整財源を管理することとしていると。そして、特別区協議会については、協議が整わない場合に備えて第三者機関を設けるなど東京にはない工夫があると。

 ですから、今の東京の場合には特別区とそれから東京都があり、仮に特別区がその市になりたいと言ってもその権限と財源と規模からすれば二重行政は生まれません。生まれません、東京の場合には。その財政調整も市間でやるんであればそれはゆくゆく将来の発想なんでしょう。まかり間違っても東京特別区が今のように、東京都と東京市、今の大阪市のように、東京都と東京市になるなんてことは特別区の区長は誰も言っておりません。

 ですから、これは東京都の場合には、東京府と東京市、やっぱりこの二つがあったということが問題だということで、72年前にこれを一つに合わせたわけですから、今こそ大阪においてもね、まずは、大阪府と大阪市を一つに合わせて、まずは一歩踏み出す、特別区をつくって。あとは特別区のほうで権限をどう増やしていくかということはまたいろいろ議論すればいい。

 大阪都構想ができればね、これは東京都制度が必ず変わります。今、都制度は東京にしかありませんが、東京はじっとこの大阪の都構想の議論を注目していましてね、東京の特別区長が今まで主張していても変わらなかったこと全部この大阪都構想に盛り込んでいますから、まさに大阪都構想の実現が日本の都制度を変えるそういうような話になると考えています。

 

〇山中智子議員

  東京23区が元の東京市に戻りたいなんて言っているということではありません。

 まさに、東京千代田市とか東京港市というふうに、特別区を卒業して一般市になりたいということを希望しておられる。つまり、もう時代遅れというのが東京ではっきりしているわけですよ。

 I 大阪市を存続させ、区政会議等の発展で、市民の声がより反映される仕組みの構築こそ求められているのではないか。 

 ですからね、大阪でもどうしても分けるとおっしゃるんだったら、分市のほうがまだましだという理屈が東京を見ていたら成り立つわけですよ。そうすれば、国からの地方交付税も特別区にするよりは500億円も増えるわけですし、固定資産税も法人市民税も府に持っていかれないで市税として入ってくるわけだから、そういう意味では、府に従属するんではなく自立ができます。ただ、分けられないものがいっぱいあって、結局、大きな一部事務組合ができるという点では変わりがないわけで、やっぱり大阪市のままが1番合理的だということになろうかと思います。実際いまや、政令市を望む市が増えて政令市は20市にもなっているわけです。

 ですから、やっぱりこの権限を活かして大阪市のもつ力を市民のために使いつつ、その上で区政会議など充実・発展させて、市民の声がより反映される仕組みを構築することこそ求められているのではありませんか。

 

◆橋下徹市

  時代おくれどころかですね、まずは大阪府市に横たわっている二重行政を解消する、二元行政を解消する、景気の良し悪しにかかわらず、もう悪しきね、大阪府、大阪市の政策の失敗を絶対に二度と起こさせないようにする。

 住民自治についても今よりもその市長と住民の間のコミュニケーションがより緊密になるような、もっと言えば、議員の皆さんも、やれ、そのカジノの話だ、空港の話だ、高速道路だ、鉄道だっていう話と、それから経済活性化、商店街の活性化、それから小中学校のクーラーの問題、全部ごちゃまぜにやるんじゃなくて、しっかり仕事の役割分担をやるということが大阪にとってまず必要です。

 で、この大阪都構想、もちろんこれ分市にすれば、その交付税がね、もっと大阪に入ってくるんじゃないかというんですけれども、地方はね、そのできもしない、できるんだったら政治で動かしてくださいよ。そんなことやってね、国がそれで認めるんですか。それは認めませんよ。だからまず、二重行政とこの住民自治の解消に向けてね、まず第一歩を踏み出す、それが重要なんです。この特別市制度ですか、特別自治市制度っていうことを市議会の皆さんは唱えてらっしゃいましたけど、誰もこんなのね、地方制度調査階でもこんなのね議論も、無理だと、回りに迷惑かけるんですから、回りの市町村にね。

 だからそんな無理なことをいうんじゃなくて、現実の話の中で今の大阪府、大阪市の課題を解決する第一歩を踏み出す制度は何かということを、例えば都構想ですよ。

 さらにそれで課題があるんだったら、改善していけばいいと。少なくとも1番、東京都、東京都政よりも、よりレベルアップしたものがこれ大阪都構想なんですから。大阪都政なんですから。やっぱり日本のね、都政を引っ張っていくためにも、大阪都構想を進めていく。これは時代のもう流れですよ。時代の最先端です。ぜひこのように考えていただきたいと思います。

 72年前に本来やるべきこと、やらなければいけなかったこと、やらずに、ずっーと大阪府、大阪市のままで来てしまったこの古い体制をやっぱり一から変えていくという、新しいね、第一歩を一緒に踏み出していただきたいなと。一緒に踏み出しましょうよ。お願いします。

 

〇山中智子議員

  結局、自立できていない基本、骨格が変わるわけではありません、いろんな工夫をしても。

 J 庁舎、町名、財政調整の割合等、不明確なままでは、住民投票にかけられないのではないか。

  最後に一点お聞きしておきたいと思います。

 東区など3つの特別区は、庁舎を建設するというふうになっているものの、一体どこに建設するのか用地があるのか、全く明らかにされていません。また、特別区設置の建設完了まで5年かかるとなっているにも関わらず、じゃあ、その間どうするのか全く手を打たないというお話です。また、町名にしても行政区の名前を残すのか残さないのか、所によって、人によって残すと言ってみたり、どっちでもいいと言ってみたり、消えるからイメージチェンジになると言ってみたり、もう決めないままで住民投票を行おうとしています。 財政調整なども不明確なままです。これでは結局、白紙委任に等しいと言っても仕方がないのではないでしょうか。今の協定書のままでは、住民投票にかけられないのではないでしょうか。 

 

◆橋下徹市

  本当に住民投票にかけられないのであれば、総務省のほうから意見が付きます、そりゃあ無理だと。かけられるんです。今この協定書と法定協議会にね、途中で皆さん、維新の会以外の皆さんがボイコットされて出てこなかったので、資料を読み込まれてないのかしれませんが、これをきちっと読んでもらえれば、公務員であれば、その担当の職員であれば、きちっと新しい大阪都庁と大阪の特別区役所5つ造ることができる設計図としては充分なんです。

  あと、細かに定めなければならない部分については、前回もこれ法定協議会の場で、僕が説明しようとしましたが、法定協議会の皆さん退席されてしまったのでね、説明がきちんとできませんでしたけれども、工程表にきちんと書いてあります。その地名の問題も庁舎の問題も全部書いていますので、ぜひそれをご覧になっていただきたいと思います。

 もし問題があれば、これはもう霞ヶ関のあの厳しい役所がですよ、もう今は見てくださいよ。大阪市役所だって、霞ヶ関のいろんな意見でもうこれ全部待ったをかけられたら、ストップかけられたら山ほどある、あれだけ厳しい霞ヶ関のね、いろんな指摘を全部クリアしたのが大阪都構想の設計図ですから、もう住民投票にかけるに充分価するものになっています。

 

〇山中智子議員

 しかし、不明確で不透明なことがとにかく多すぎるということは事実です。

  車を買う時にエンジンの仕組みなんかわからなくてもいいとおっしゃいましたけれど、こんな大事なことを何も決まっていない、わからないままで住民投票はおかしいというふうに申し上げておきます。

  いずれにしましても、大阪市を廃止して特別区に分割することは、市民のくらしを悪くするという点でも地方自治の破壊という点でも到底認められません。

 大阪市廃止ではなくって都市内分権の拡充に努めて、市民の声がより反映される大阪市にしていくためにがんばるということを申し上げまして質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。