title


市議団の実績

大阪市営地下鉄

民営化やめ黒字還元を

公営企業決算認定に反対

2013年度大阪市公営・準公営企業会計の
決算認定に対する小川議員の反対討論

小川陽太市会議員

2014年10月16日

小川市議

大阪議会本会議で16日、日本共産党の小川陽太議員が2013年度公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論を行いました。各決算は賛成多数で認定されましたが、市営地下鉄・バス事業会計の決算認定には日本共産党だけではなく自民党も反対しました。

小川氏は、同決算に表れているのは、橋下撤市長の公営ダメ諭に基づく民営化などの公共性の破壊、大阪市解体だと批判しました。

地下鉄については、13年度決算で約333億円という過去最高益を上げており、民営化による売却ではなく、いまこそ震災対策、可動式ホーム柵やエレベーターの設置など市民に還元すべきだと主張しました。

バスも31年ぶりの黒字になったが東京都や旧5大市など大都市圏でバス切り捨てに血道をあげているのは大阪市だけだと告発し、地下鉄からの支援を強めて路線の復活や増便をはかるよう求めました。

水道事業でも、なすべきは民営化ではなく、水需要と大きくかい離した浄水施設の小規模化だと指摘。港湾事業でも、必要のない水深16bの主航路浚渫とそれに伴う新人工島建設はやめるべきだと主張しました。

(2014年10月17日付しんぶん赤旗)


小川議員の反対討論

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して2013年度、大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論を行ないます。 

多発する豪雨や土砂崩れなどの自然災害から市民を守ることや、高齢化する地域において安心してくらし続けることが出来る交通ネットワークの構築など、「市民のいのちと財産をまもる」という大阪市の果たすべき役割が、今ほど重要かつ明確なときはありません。中でも公営企業は、それぞれの事業をとおして、公共の福祉の増進に努め、安全・安心、住み良い街づくりの推進のために貢献しなくてはなりません。

ところが、公営・準公営企業会計決算に現れているのは、橋下市長の特異な公営ダメ論、民間万能の考えの下、どの事業も民営化や指定管理の導入など、大阪市の果たすべき公的責任の放棄にとどまらず、市民とともに発展させてきた本市公営・準公営企業の公益性、公共性を根こそぎ破壊する、実質的な大阪市解体そのものであります。到底認めることは出来ません。

以下具体に指摘をいたします。

 

はじめに地下鉄、バス事業についてです。

 地下鉄事業は、公営地下鉄として全国で初めて累積赤字を解消して以来、毎年巨額の利益をあげ、2013年度決算では、333億円という過去最高益を記録しました。

 数年前には7000億円を超える企業債を有していたものが、5000億円台にまで減少すると共に、運転資金残も527億円にも達している訳です。実に80年もの長きにわたって、市民の税金と乗客の料金とで営々と築いてきた、まさに市民にとって貴重な財産なのであります。

今こそこのキャッシュフロー720億円という膨大な果実は、市民にあまねく還元されなくてはなりません。

未着手の条例路線の建設はじめ、南海トラフの地震対策、可動式ホーム柵の設置、エレベータ、エスカレータの必要箇所への設置。バス・地下鉄ネットワークの観点でのバスへの支援、公営企業法18条2項に基づく一般会計への貢献等であって、公営地下鉄でこそ為しうるものです。

ところが、交通局は、バスをお荷物のように無理矢理切り離した上、民営化し、更に利益を積み上げて株式上場、株式の売却、すなわち地下鉄の売却をもくろんでいるのです。

いったい誰の利益に供しようとしているのでしょうか。とんでもありません。

一方バス事業は、地下鉄からの支援を打ち切られた為に、アベノ北操車場、上六の操車場等を地下鉄に売却した上、ドライバー等の給与カットやバス路線の相次ぐカットでしのがざるをえなかった訳です。

結果、2013年度、31年ぶりの経常黒字を出すこととなりました。これにより、皮肉にも公営バス破綻論が通用しなくなったのであります。しかしながら、そうは言ってもバス路線を廃止され、便数を減らされた市民の不満は募るばかりです。これまでの132の路線が、2013年度は103路線に減らされ、便数も10時から15時までは軒並み1時間に1本と、田舎のバス並みにされてしまいました。

その上、この4月からは、更に14路線がカットされた訳であります。二つの路線を一つにして距離を長くしたり、便数が減らされたりで「やたら混むようになった」「ギュウギュウ詰めで積み残された」

「時間通りに来ない。5分、6分遅れるのは当たり前。時には10分以上も遅れる事がある」など市民からは不満の声が絶えません。

ところが当局は、決算委員会での私の指摘に対して「必要な路線は確保している」と実態とかけ離れた答弁に終始いたしました。ただただ民営化ありきで、市民の足の確保など、どこ吹く風という態度であります。

 地方は別として、東京都や旧五大市など大都市圏で、バス切り捨てに血道をあげているのは、大阪市だけです。京都のようにバスが好調なので、厳しい地下鉄に補助金を回したところもあれば、名古屋のように、一般会計から本市の4倍の、40億円もの補助金を出して、バスをしっかり守っているところもあります。

 高齢社会の進展の下、市民の身近な足としてのバスの果たすべき役割が、益々強く大きくなるからに他なりません。

 一般会計や地下鉄からの支援を強めて、カットされた路線の復活や増便こそ今なすべき事だと申し上げておきます。

 

つぎに、水道事業についてであります。

市長が強引に進めようとした広域水道企業団との統合が破たんすると、今度は民営化だと言いだして、その具体化につき進もうとしています。とんでもありません。

そもそも全国1429の水道事業の中で民営化されているのは、9事業体にすぎず、その中身は、藤和那須ハイランド水道や八ヶ岳高原ロッジ水道など、自治体のごく一部のリゾート開発地域の水道事業に限られており、地域全体の水道事業を民営化している自治体は皆無であります。それは、水道というものが、市民の命に直結し1日たりとも欠かすことのできない極めて重要なライフラインであるからです。

ですから、ひと頃さかんに民営化が行われたヨーロッパの都市でも、公営に戻す動きが強まっています。

パリの水道は民営化して、料金が265%も上昇したので、公営に戻しております。ベルリンでも再公営化しておりますが、日本円にして、1800億円もの損害を出した事が契機になったと言われています。

まさに水道の民営化は、時代遅れだと言わなくてはなりません。

しかも、水道局が民営化の必要性の理由に挙げていることは、ことごとく公共の福祉の増進につとめる公営でこそ出来る事ばかりであります。特に「経年化管路の更新、耐震化のスピードアップ」などは、利益を追求する民営化では、むしろ遅れこそすれ、前に進める何らの保証もないと申し上げなくてはなりません。

本市水道事業にとってなすべきことは、民営化云々ではなくて、水需要と大きく乖離した浄水施設等のダウンサイジングであると強調しておきます。

 

最後に港営事業についてです。

2013年度大阪港埋立事業は、28億円余りの経常損失を計上いたしました。これで5年連続の経常赤字という事になります。

昨年度、土地売却収入74億円と土地はそこそこ売れているにも関わらず、売却単価が低迷して、売却原価を下回っているからで、このまま推移すると、1400億円もの企業債が果たして償還できるのか大変危惧されるところであります。

決算委員会で私が「大丈夫か」と質したのに対して、港湾局は「当分、収支不足にはならない見通しだ」と楽観的な答弁をいたしましたが、それとて、ここ10年ばかり毎年平均58億円の土地売却を続ける事が前提となっており、大変厳しい状況にあることに変わりはありません。

この上は、土地売却に努める以外ありませんが、そもそも膨大な埋立護岸等の建設費用を、造成した土地売却でまかなうというスキームに大きな過誤があったという事を申し上げておきます。

さて、国際コンテナ戦略港湾づくりと称して、またぞろムダな大型開発にのめり込もうとしている事について指摘をしておきます。

北米航路など基幹航路の維持拡大を眼目とした、国際コンテナ戦略港湾の一環として「増大する外貿コンテナ貨物や船舶の大型化に備える」ことを目的に、水深16mの夢洲C12の岸壁延長、水深16mの主航路浚渫、新人工島の建設などに、総事業費551億円。内大阪市負担181億円もの巨費を投じようとしている訳です。

ところが、確かに外貿コンテナ貨物は徐々に増えてはおりますが、肝心の船舶の大型化はここ10年、一隻あたりのコンテナ船は1万4千tあまりとすすんでおりません。しかも、北米航路などに就航する5万tを越える大型船は、逆に2000年の362隻から2013年、123隻と1/3に激減しているのです。

その上、国際コンテナ戦略港湾の目論見では、阪神港として北米向けコンテナ貨物の2015年目標を70万teuにおいていますが、基点である2008年、46万7千teuだったのが、2013年33万3千teuとさらに減っている始末で、目標を達成する目途など全くありません。委員会でこれをどう打開するのかと質したところ、港湾局は「集荷、創荷で貨物を増やす」と強弁を致しましたが、どれも雲をつかむようなもので、とても話にはなりません。 

鳴り物入りで滋賀県野洲に設けた、集荷のための阪神インランドコンテナデポも、直近の取り扱いコンテナ数は8月わずか3個と散々な状況であり、北米向け貨物の増大など夢のまた夢だということです。5万tを超える超大型船も、これもまた増える見込みはありません。 

ですから、すでに整備されている水深15mより深い港の整備はまったく必要がないのです。その証拠に、現在、大阪港に入港しているコンテナ船の最大のものは、北米、地中海航路に就航しているエバーグリーンの7万5千トンの船で、7千個のコンテナを積むことが出来、満載喫水も14.2mということですが、この9月10日に初入港し、9月29日に二度目の入港をしたいずれも、入港喫水は12.5mであり、大阪港には地理的な意味でも、コンテナを満載で入港することは無いのです。水深16mの主航路浚渫とそれに伴う新人口島建設はやめるべきです。

 

以上反対討論といたします。