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市議団の実績

「ごみ焼却処理事業の一部事務組合化」に対する

北山議員の反対討論

北山良三市会議員

2014年10月1日

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、「平成25年 議案第307号 大阪市・八尾市・松原市環境施設組合の設置に関する協議について」に反対する討論を行います。 

本議案は、大阪市が実施している「ごみ焼却処理事業」を、本市の直営事業から、八尾市・松原市との3市共同で設置される一部事務組合による事業へと変更させようとするものであります。 

私は、つぎの3つの理由で、ごみ焼却処理事業の一部事務組合への変更に反対いたします。

まず第一に、本来の一部事務組合による事業のあり方からみての異常さであります。

地方自治法に位置付けられている一部事務組合は、複数の自治体が同一の事業を共同で実施するために設置されるもので、単独自治体では必要なレベルでの事業実施が困難な場合に、資金や人材をもちよって共同で事業に取り組むというのが本来の姿であります。

今回の提案は、267万人の大都市である大阪市と、26万9000人の八尾市、12万3000人の松原市という、極端に規模が違う自治体による一部事務組合の設置であり、大阪府内はもちろん全国の一部事務組合の中でも見当たらない、極めていびつなものであります。それは当然にして、拠出金や議会構成からも大阪市に絶対的な権限が集中し、まともな共同事業とは言えないものになりかねません。

結局、一部事務組合化は、橋下市長らが強引に推し進めようとしている「大阪市の解体・5つの特別区の設置」という構想の先取りであります。5つの特別区の中には、ごみ焼却工場が存在しない区が出てきます。このような状態になってはじめて、八尾市や松原市との一部事務組合設置の必要性が検討されることになります。「特別区設置」が決まってもいない今、こんないびつで異常な一部事務組合への移行は行うべきでないと考えます。 

第二は、一部事務組合への変更により事業運営の効率化が図られるという説明がなされていますが、そのことによるデメリットの方がはるかに大きいという点であります。

これまでの民生保健委員会での議論を通して、環境局は「一部事務組合への変更により、ごみ焼却処理事業の効率化が図られる」と繰り返し説明してきました。確かに、大阪市の事業運営において、その効率性を高めることを追求するのは当然であります。市民の財産であり、税金を使って運営する以上、無駄を省き効率化の取り組みに鋭意努力する必要があります。しかし、当局の説明では、一部事務組合への変更による効率化とは、民間委託の拡大・促進であります。これは、大阪市が目指すべき施設・設備のメンテナンス技術や焼却技術の強化・蓄積、さらにはごみ処理事業と密接に関係するダイオキシンや大気汚染などの環境対策の強化の方向にも逆行します。

しかも、今回の一部事務組合への変更の提案内容からすれば、組合長や議会の議員は市民による直接の選挙によって選出されることにはなっていませんし、市民による組合長や議会議員などに対する直接のリコール請求や、住民監査請求もできません。また、議会の開催頻度も大幅に少なくなります。これらによって、組織の仕組みとして市民の声が届きにくくなり、議会のチェック機能も弱まることは明らかであります。

加えて、一部事務組合への変更で、初期コストが2億6600万円も必要となり、新たに設置する議会や各種委員会・審議会等の運営コストも今より余分にかかってきます。

このようにみれば、市民にとっては、一部事務組合への変更によるデメリットの方がはるかに大きいものになることは明らかであります。 

第三には、今定例議会において原案に修正が加えられていますが、この修正内容では一部事務組合に変更することの問題点について、本質的には何の解決にもならないということであります。

当局が示した修正は2点です。ひとつは、議会議員の定数を総枠14人から20人にし、そのうちの大阪市選出議員を10人から15人にし、大阪市選出議員の比率を高めたこと。もうひとつは、ごみ焼却工場の土地を「無償譲渡」から「無償貸付」に変更したことであります。しかし、この2つの修正内容で、これまで述べてきた問題点を解決できる見通しが全くないことは明らかであります。 

以上の点を申し述べ、ごみ焼却処理事業の一部事務組合への変更に反対する討論といたします。 

(2014101日)