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市議団の実績

2012年度一般決算に対する

小川議員の反対討論

小川陽太市会議員

2013年11月19日

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2012年度大阪市一般会計決算認定に反対する討論を行います。

橋下市長就任後、初の本格予算の執行となった、今回の決算は、市政改革プランとともに、市民に大きな不安を与えました。市民サービスの切り捨て、市民利用施設の統廃合、各種補助金や減免制度の見直しなど、情け容赦ない市民への攻撃が開始されました。

同時に、職員基本条例・政治活動制限条例などで、職員には意見を言うなといわんばかりの独裁を持ち込む一方で、特別顧問、参与を大量に登用するなどのブレーン政治を行い、都構想ありきの暴走と市政の私物化を進めてきたのであります。

こうしたなかで、市政への信頼は損なわれ、多くの市民は不安をかかえてくらす結果となっているのです。到底認められません。

 

以下、具体的に指摘します。

第一は、長引く不況に苦しむ市民を助けるどころか、市政改革プラン等に基づいて、ますますの負担を押し付け、くらし・福祉を悪化させたことについてです。

 

国民健康保険料は「高すぎて払いたくても払えない」ことが常態化し、市民の厳しい生活実態に合わない保険料がくらしを圧迫しています。2011年度には約74億円、2012年度には約24億円と大幅な黒字を出しているにもかかわらず、本市は黒字分をすべて累積赤字の減額と一般会計からの任意繰り入れ金の減額に充てました。本市の黒字分は、限界を超えた保険料の引き下げに対しても充てるべきであり、累積赤字の解消については、国に適正な負担を求めるとともに、見通しを持って徐々に解消していく。こういう姿勢こそ、自治体本来の立場であり、こんな決算は認められません。

 

また、本市は65歳以上の方の介護保険料を、2012年度から23%を越える値上げをしました。年金も削減される中、天引きされる介護保険料の高さに高齢者のみなさんは悲鳴を上げています。それに加え、年金収入80万円以下の低所得層の保険料は、他都市の基準より高く設定しているのであります。わが党は、一般会計から繰り入れるなどして、保険料抑制の手立てをとることを求め続けましたが、市長は苦しむ市民の声に耳を傾けることなく、高い保険料負担を押し付けているのであり、認めるわけにはいきません。

 

住まいの問題では、まず新婚家賃補助制度についてです。

この制度は、若者に住み続けてもらおうと行われてきたものです。非正規雇用やワーキングプアなど、大阪の若者を取り巻く環境が厳しさを増す中、まさに現役世代への重点投資といえる事業でありました。

しかし、いともあっさり市政改革プランによって新規募集を停止し、若者の大阪市で暮らしたいという切実な願いを切り捨てたのであります。

 

それに加え、本市は市営住宅管理戸数の削減を続けています。市民の「市営住宅にはいって安心してくらしたい」との願いも、よほど運がよくなければかなわないのが現実となっているのです。その上、家賃福祉減免制度を改悪し、生活保護水準以下の収入の世帯にまで家賃の値上げを行いました。また、11回落選者優遇制度も改悪し、市民の「いつかは市営住宅に入れるだろう」という希望も奪ったのであります。

 

地域活動はどうか。

昨年度末で、一人暮らしの高齢者の困りごとや、子育てに悩むお母さんの相談などを地域でうけて、専門機関につないだり見守りを行ってきた、ネットワーク推進員が、廃止されました。また、見守りや制度の隙間の支援を行ってきた地域生活支援ワーカーも大幅に削減、老人憩いの家も補助金が大幅に減らされたむのであります。

また、市・区社会福祉協議会をめぐっては、昨年度からは、交付金から補助金に変わり、25%削減され、身近な地域福祉活動の拠点である、市・区社協の存続の危機ともいえる現状になっています。地域コミュニティや地域の安全・安心を守る地道な活動を不安定な状態へ追い込んでいるのであり、到底認められません。

 

第二に、子育て支援と教育についてであります。

市長は保育所待機児童解消について、「供給過剰を目指す」などと言いながら、その手法は保育ママや面積基準緩和など、認可保育所の増設という、あるべき姿からは遠いものでした。その結果、保育ママもすでに人材確保や経営に困難をきたすなど、弊害があらわれてるではありませんか。さらに、保育士配置基準の改悪、上下水道福祉措置の廃止、公立保育所は次々と廃止・民営化など、保育施策の連続改悪によって、子育て世代、現役世代の不安をいっそう駆り立ててきたのであり、断じて認める訳にはいきません。

 

その上、「民間でできることは民間に」の一点張りで、公立幼稚園の廃止・民営化にも着手しました。

何が何でも廃園・民営化を強引に進めようとするやり方に、立場を越えた怒りの声が燎原の火のごとく広がり続けています。 

公立幼稚園の廃園・民営化問題は、これまで繰り返し議論が行われてきましたが、公立幼稚園がこれまで果たしてきた役割、そしてこれから果たしていかなければならない公的責任について、わが党を含め各会派から示されてきましたが、当局は「民営化先にありき」の立場でただただ強引に押し切ろうとしてるのであります。

市民・関係者の声を全く聞こうとしない姿勢には、一片の道理もありません。市民の声を聞き入れず、廃園・民営化に突き進むことは認められないのであります。

 

さて、市長は就任以降、学校活性化条例の制定など、教育への競争の持ち込みに血道をあげてきました。区長に強力に指示を与え、学校選択制を押し付けるために、様々な取り組みをしたこともそのひとつです。

これまでもわが党は学校選択制が、公教育のあり方としてふさわしくない制度であることを、繰り返し申し上げてきました。学校選択制が、公教育の崩壊につながることは、全国の先例からも明らかであり、未だに沸き起こる反対の声に耳を傾けるべきであります。

また、学力テストの結果公表についてでありますが、昨年度分の結果の公表判断は、文科省の実施要綱にもとづき校長に委ねられていました。その結果、本年6月末で、全429校中小学校8校、中学校11校にとどまり、全小中学校の4%にとどまっているのであり、この数字が今回の教育委員会の方針を学校現場がどう受け止めているかを、言わずとも語っているのであります。

今回の対応について教育委員会は、「あくまでも公表の主体は各学校である」と詭弁を弄していますが、公表を強制しているのは教育委員会ではありませんか。教育に強制は決してなじみません。

文科省の実施要領にも明らかに抵触する学力テストの結果公表は、やめるべきと申し上げておきます。

 

続いて大阪市立大学についてです。

わが党委員が「運営交付金を増やして、教育・研究の環境を改善してほしい」という大学関係者の声を取り上げ、大学関係者の内発的要求は府立大との統合などではなく、大学への直接的な支援であると問いただしましたが、市長は、こうした切実な要望や学内の自治を一顧だにしない態度に終始したのであり、無責任の極みとしか言いようがありません。

大学の統合先にありきで、目の前の教育・研究に関わる肝心の運営交付金はぎりぎりまで削り込まれていることが本決算にも現れているのであり断じて認められません。

 

第三に、淀川左岸線二期事業などのムダづかいについてであります。

淀川左岸線二期事業について、当局は広域幹線道路ネットワーク形成・都心北部地域の交通混雑の緩和のためとし、本決算で32億円もの巨費を費やしております。しかし、本市自動車交通量は、今後も確実に減少していく見通しであり、これ以上高速道路の建設は必要ありません。しかも、南海トラフ大地震が近い将来発生するといわれている中、淀川堤防を開削し道路を建設するという全国でも行われたことのない事業に、多くの学者・専門家から安全性を問題視する声があがっています。

実態にそぐわない無駄な開発であるうえに、淀川の良好な環境を壊すばかりか、震災に強い街づくりにも反するもので到底認めるわけにはいきません。

 

最後に市長の政治姿勢、政治手法に関わって申し上げます。

市長は、局長よりも上の権限と給与で、公募区長を就任させました。区民の声を聞いて区政を進める、としてきましたが、実態は市長の決定した方針をいかに市民に浸透させるかという役割だけをはたしているのであって、区長は幼稚園民営化や学校選択制など、多くの区民の声に対し「市長の方針だから仕方ない。」と退けているのであります。

「区民ニーズを汲み上げるんだ」「24区24色に」などという看板は全くの偽りであったことが明らかになり、相次ぐ不祥事にも、「公募制度」を維持しようとする思惑から、市民に全く説明のつかないような甘い処分にとどめているのであります。公募区長に4億円もの巨費を投じるなどは、まさに税金のムダづかいであり、「公募制度」は潔くやめるべきであります。

 

また、特別秘書は、就任直後から勤務実態も定かではなく、この1年間、選挙のたびに1ヶ月の休暇を3度も取得するなど、市民感覚では到底理解できません。もともと私設秘書だった人物を、条例をつくって特別秘書にして税金で給与を支払わせる仕組みをつくっただけであり、市政の私物化は即刻やめるべきだと、きびしく指摘をしておきます。

 

以上、本一般会計決算の認定に反対する討論といたします。