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市議団の実績

「君が代」条例強行の暴挙

大阪市議会で維新・自・公

共産党は反対

井上ひろし市会議員

2012年2月28日

 大阪市議会が開会した28日、深夜の本会議で市立学校の行事で教職員に「君が代」の起立斉唱を義務付ける条例案が可決され、成立しました。橋下徹市長が提案していた条例案を「大阪維新の会」と公明党、自民党が一部修正で合意した上で賛成。日本共産党、民主系会派は反対しました。

 昨年6月、府議会の「維新」過半数で強行された「君が代」起立強制条例と同様の内容で政令市では初めて。憲法19条で保障された「思想・良心の自由」を侵害する暴挙です。

 反対討論で、日本共産党の井上浩市議は、「国旗・国歌」法制定時にも、国民と学校現場への義務付けや強制はしないと確認されていたことを指摘。条例案は憲法の原則に反していると批判しました。

 「君が代」斉唱を強制することは、教育関係法令が禁じる「不当な支配」そのものだと指摘しました。

 井上氏は、「教育には、政治的中立が求められている」と強調。「市長の立場は教育への政治介入を無理やり合法化しようとするものだ」と、断固反対の立場を強調しました。

 同条例は目的に、市民、子どもが「我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する」と掲げています。市施設での「日の丸」掲揚も義務付けています。

(2012年3月1日付しんぶん赤旗)


「大阪市の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例案」

に対する井上議員の反対討論

  私は、日本共産党大阪市会議員団を代表いたしまして、議案第165号「大阪市の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例案」に反対する討論を行います。

  本条例案の最大の問題点は、日本国憲法第19条、思想及び良心の自由をはじめ、憲法の原則に反しているということにあります。「国旗国歌法」制定時、国民への義務付けや強制はしないという確認がなされ、現行学習指導要領でも斉唱の際の方法は記しておらず、各学校での判断とされています。

 本条例案は、こうした今日的到達点を否定し、教育現場に国旗国歌を強制する内容であり、断じて認める訳にはいきません。

 以下、具体に理由を述べます。

 

 第一に、教育基本法第16条1項に、「教育は不当な支配に服することなくこの法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきである」とあるからです。

 23日の文教経済委員会で、『「不当な支配」とはどういったことを指すのか』。と、私が質問したのに対し、市長は、「地方教育行政法25条で与えられていないような首長の権限を行使すること」。と答弁されました。

 この地方教育行政法25条では、市長の職務権限とされる事務は7項目であり、大学に関すること、私立学校に関することなどに限定・制約されています。

 一方、教育委員会の職務権限とされる事務は、学校等の設置、管理、廃止、教育財産の管理に関すること、教職員の任免、人事に関することなど19項目にわたる広範な内容を定めております。

 市長の職務権限とされる7項目についても、市長が教育内容について、決定・介入できるという根拠規定は存在しないのはもちろんのこと、法律によって認められていない事項を市長の職務権限とすることはできず、教育委員会の権限を市長に移譲することも当然のことながらできません。

 これらの規定からも、服務規律の厳格化をはかり、国旗国歌を強制することは、地方教育行政法第25条で与えられていない首長の権限の行使をするものであることは明白であります。

 従って、市長自身が認識している「不当な支配」そのものであり、教育基本法も地方教育行政法も二重に踏みにじるものです。

 

第二に、教育は、政治的中立が求められているからであります。

 「教職員の職務命令違反であれば、政治が立ち入っても良いと考えているか」。との私の質問に対し、市長は、「法治国家なんですから、命令を出して言うことを聞かなかったら厳正なる対処をする」。「教育公務員に対してだけ特権を与えるのではなく、ルールを守ってもらう」。と答弁されました。

 しかし、法治国家のわが国において、地方教育行政法第43条には、教職員の服務監督権は、「市町村委員会その他職務上の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」と規定されており、この点でも明確に「不当な支配」を退けているのです。

  教育委員会制度は、教育の自主性と政治的中立を守るため、一般行政から独立した行政委員会として設置されています。そのため、一般行政と異なり、教育行政は命令監督ではなく、指導助言を旨としているのであります。

 教育委員会の民主的な改革こそ今必要なのであって、政治による直接支配の復活という歴史の逆行が求められているのではありません。

 また、「行き過ぎた処分をしないためにはどうしたら良いか」。との私の質問に対し、市長は、「行き過ぎた処分にならないように、教員が対処すれば良い」。と答弁されました。しかし、市長は、服務規律の厳格化を本条例で迫った上に、今後、提案するとしている職員基本条例案において、厳しい処分を課そうとしているのであり、ルールと罰は政治が定めようというのですから、こうした政治介入こそが行き過ぎた処分の大元にあるのは明白であります。政治介入をしないことが、職権乱用を防ぐ唯一の手立てです。

 以上、具体に反対理由を述べました。

 

 私は、文教経済委員会で、憲法や教育基本法の原則を質しましたが、市長の立場は憲法や教育基本法の解釈を歪め、教育への政治介入を無理やり合法化しようとするものであることから、本条例案には断固反対であることを表明すると共に、市長には、日本国憲法のもとで政治に携わる資格そのものが問われていることを厳しく指摘しまして反対討論といたします。