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市議団の実績

大阪維新の会が提出した

議員定数削減に関する条例案に対する

井上浩議員の反対討論

井上浩市会議員

2011年5月27日

私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して議員提出議案28号「大阪市会議員定数及び各選挙区選出数に関する条例の一部を改正する条例案」に反対の討論をおこないます。

言うまでもなく、大阪市会はじめ地方議会は、住民のもっとも身近な議会として住民の声を自治体に反映する代表機関であると同時に、大きな執行権を持つ市長に対し、市民の立場からこれをチェックし独断や暴走を防ぐという重要な役割を果たす機関であります。議会の無原則的な定数削減は、地方自治体における議会制民主主義を切りちぢめ、結果として自治体を住民から遠ざけるものだといわなければなりません。

全国都道府県議長会の下につくられた都道府県議会制度研究会も報告の中で議員定数問題について次のように結論づけています。「議員定数は、議会の審議能力、住民の意思の適正な反映を確保する事を基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては単純な定数の一律削減論は適当ではない」「競って定数削減をおこなう事は、少数意見を排除することになりかねない点にも留意すべきである」と注目すべき指摘をおこなっています。

こうした立場から3点について反対理由を述べたいと思います。

第1にこの間の人口動態からみても定数を減らすことは議会制民主主義の根幹を掘り崩すことになるからであります。

大阪市会では戦後でいいますと、上限数が96名であるにもかかわらず、1983年には94名から92名へ、87年には92名から90名に、2003年には90名から89名へと、それぞれ定数削減がおこなわれましたが、この3回の定数削減の時は少なくとも大阪市の人口が減少する中でおこなわれたものであります。この10年あまりの本市の人口の動きは2000年に実施された国勢調査と比較すると、2005年は約3万人増え、2005年と2010年を比較しても約34,000人、10年間で約64,000人増えているわけですから、定数を増やす事はあっても、減らす根拠は全くないのであります。したがって、2010年におこなわれた89から86への定数削減にも、まったく道理がないのであります。

さらに、議員一人あたりの人口は、本市においては横浜市の42,876人に次ぐ30,993人で、人口あたりの議員の数は、政令市のなかで2番目に少ない結果となっているのであり、こうした面からみてもこれ以上の定数削減は議会の力を弱め、民意を反映するという議会の重要な役割を否定するものです。

第2にチェックアンドバランスの問題であります。

大阪市会でも過去には91年に「一増一減」が行われましたが、こうした形で較差を是正する努力は必要です。しかし、本条例案は、大幅に減らすのみで市長と議会のチェックアンドバランスを根底から崩すものです。

市民の声を真摯に受け止め活発な議論を十分に交わすことが、議会に求められている最大の役割なのです。

第3に一般会計に占める本市の議会費割合は、2009年度決算ベースで0.16%と、すでに政令市の中で一番低い水準となっている事であります。

 この間、わが党の一貫した提案で議員パス・費用弁償の廃止や政務調査費の使用においてすべての領収書を添付する事などがすすみました。この他にも公用車の廃止や、議員報酬と政務調査費の一定の削減が取り組まれてきたところであります。

議会費においては、以上のような経費削減の努力こそ必要なのであり、議員定数の削減など、本末転倒であります。目的も不明確な一人100万円を超える豪華な海外視察は、廃止するべきだという事も改めて厳しく指摘をしておきます。

なお、市民受けしそうなパフォーマンスではなく、真に「市民が主役」と言える市政の中身にしていくことが、議員の役割であることを申し添え、反対の討論とします。