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市議団の実績

大阪市議会 下田議員が質問

■敬老パス■家賃補助■赤バス補助

役立つ施策削るな

下田敏人市会議員

2010年11月19日

大阪市議会本会議で19日、日本共産党の下田敏人議員が質問に立ち、市民サービスを大幅にカットしようとする「新しい大阪市をつくる市政改革基本方針(素案)」の問題点や、阪神高速淀川左岸線延伸、東海道線支線の地下化など広域インフラ整備などについて平松邦夫市長の姿勢をただしました。下田議員の一般質問全文平松市長の答弁

下田議員は、市が10月に出した「新しい市政改革基本方針(素案)」の「事務事業総点検」等で削減対象事業に敬老パス、新婚世帯向け家賃補助、就学援助、赤バス等のコミュニティーバス運営補助などが含まれていると指摘。「いずれも市民に喜ばれ、実際に役に立っている有益な事業ばかりだ」とのべ、「削減すべきでない」と迫りました。

 不要不急のインフラ整備については、「経済の浮揚にも、市民生活にも、街の活性化にもつながらない」とのべ、「やめるべきだ」と主張しました。

また、橋下府知事がすすめる「大阪都」構想について下田議員は、「市民にとってプラスになるどころか大変なマイナスになる」と指摘し、「市解体・分割、行政区の合体、資産と事業の振り分け等、膨大な作業を要することをかんがみても、 容易に成立しない」と強調しました。

平松市長は、敬老パスの削減について、「持続可能な制度として維持・継続するために、引き続き検討したい」と答弁。「大阪都」構想については「具体的方策を示さず、選挙で今後の大阪を決めていくというばかりでは市民に対してあまりにも無責任だ」と答えました。

他に下田議員は、国民健康保険証未交付問題の解消や、地下鉄8号線(今里筋線)の延伸などを求めました。

(2010年11月20日付しんぶん赤旗)


下田議員の一般質問全文

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、当面する施策等について、平松市長に質問したいと思います。

 今、日本の経済は、自動車・電機などの大企業を中心に、のきなみ利益を急増させ、内部留保は一年間で233兆円から244兆円にまで膨張させた上、手元資金はというと、なんと52兆円という空前のカネあまり状態となっているにもかかわらず、その一方で、リーマンショック後の急激な落ち込みから、いまだ雇用も家計も、又、中小企業の収益も回復せず、肝心の国内需要も、エコカー減税や家電エコポイントによるかけこみ需要があったものの、引き続き低迷したままとなっているなど、異常なほどの歪みを一層拡大するものとなっているのであります。

 こういう中で、国に対して、何よりも国民生活の安定・向上の為の施策の実施を求めると同時に、自らは260万市民の福祉の増進に努めるという地方自治体本来の役割を今こそしっかりと果たして行くことだと思います。

 しかるに平松市長は、関西財界の意向に沿って、破綻済みの咲洲・夢洲などのベイエリア開発や梅田北ヤードなどの大型開発を、今度は国の進める「国際戦略総合特区」なるものをテコにして、そして、その為の淀川左岸線延伸部などの広域インフラの整備をも推進しようとしているのでありまして、その上、新たな市政改革の名のもとに、他都市の水準を上まわっているものを中心に、市民サービスを大幅にカットしようとしているのであります。これではいったい誰のための市政かと言わなくてはなりません。こういうやり方は、キッパリと改めて、何より市民が夢と希望を持つことのできるような施策こそ進めるべきであります。

 

 以下、こういう立場から具体にお聞きしたいと思います。

 先ず、「大阪、関西の発展に向けて」と題する「大阪市経済成長戦略」の中間とりまとめについてであります。

 この市経済成長戦略では、世界経済を牽引するアジアの需要を取り込む、梅田北ヤードに加え、夢洲・咲洲を経済成長の二つのエンジンにする等、まあ大変仰々しい言葉が踊っておりますが、何のことはありません。いわゆる大企業の国際競争力の強化による経済成長であり、規制緩和、法人税減税といった徹底して供給サイド、企業サイドにたった国の「新成長戦略」の言わば大阪版にすぎないのでありまして、トリクルダウン、すなわち大企業を応援すれば経済がよくなり、いずれ暮らしがよくなるという破綻ずみの古い道に他ならないのであって、これでは今までの繰り返しで、一向大阪の経済はよくなりません。

 しかも、この経済成長のエンジンと頼む、二つの地域には「国際戦略総合特区」の指定を受けて、法人税から固定資産税の減税等を呼び水にして、何とか企業誘致を図ろうとキュウキュウとしているのであります。

 これまでも、咲洲等では、土地代の値引きとか建設費の補助金とか様々にインセンティブを施して、企業誘致に努めてきたにもかかわらず、コスモスクェアだけで、定期借地分を除いても10数haも売れ残って、完全なお荷物になっているではありませんか。

 梅田北ヤードにしても、オリックスなどが中心になって、建設のはじまった33階、38階の二つのビルの低層階8万8千uのナレッジキャピタルゾーンの一部を大阪市が借り切って、研究機関等に安い賃料で提供しようとしているのでありまして、こんな事で、どうして大阪の、いや関西の経済成長のエンジンになるのでありましょうか。答弁を求めます。

 そして、同時に、これら二つの地域等の開発のために、東海道線支線の地下化、高速道路淀川左岸線延伸部、浪速筋線の鉄道等、総額1兆円にも及ぶ、いわゆる広域インフラの整備が盛り込まれているではありませんか。経済の浮揚にもならない、市民生活にとって何らプラスにならない、街の活性化にもつながらない、こんな不要不急のインフラ整備はやめるべきです。答弁を求めます。

 それでは今、なすべきは何でありましょうか。

 何より経済の6割を占める個人消費の拡大をはかることではないでしょうか。そのためにもここ10年で雇用者報酬が、イギリスで173%。アメリカ168%。フランス149%といずれもプラスになっている中で、唯一日本がマイナス5.2%、94.8%になっているという、異常な状況をただすことが必要で、そして、その原因ともなっている、今1千万人を越える非正規雇用の労働者、年収200万円以下のワーキングプア等の抜本的な待遇改善が求められていると思います。

 市長、国に対して「労働者派遣法」のおざなりではない抜本的な改正や最低賃金・時間千円への引き上げを求めるべきではありませんか。答弁を求めます。

 又今年7月の応募倍率をみても、一般世帯向け北区扇町住宅では779倍。単身者向け都島中通住宅が854倍とすさまじい状況で、市民の入居要求の強い市営住宅の建設や待機児童200名の保育所の建設、デコボコだらけの生活道路の改修、用地買収して未整備の72箇所20haの公園整備など身近な公共投資を拡充し、中小企業に仕事を回すと同時に、もって、若者の雇用にもつなげるべきです。答弁を求めます。

 さて、この9月17日、厚生労働省が発表した、来春の高校新卒者に対する求人数は、前年に比べ、7.6%の減少で、85年3月新卒者に調査を開始して以来6番目に低い水準となりまして、「就職氷河期の再来」とまで言われるほど、新卒者の就職環境は非常に厳しい状況にあると思います。

 本市立高等学校の新卒者の就職状況は、今年3月末の就職内定率が95.1%と、65人が就職できず、過去5年間の最低でありましたが、来春のそれは更に落ち込むのではないかと危惧されるのであります。

 昨年10月末の内定者数は、就職希望者1,317人に対して、846人と64.2%でありましたが、今年10月末のそれは、1,333人に対して798人と、59.8%で、昨年とくらべ4.4ポイント下落しているからであります。

 今、学校関係者を中心に企業への働きかけ等、懸命の努力がされておりますが、18歳の就職の春は泣かさない、との市長の決意を伺いたいと思います。

 

 第2に、お聞きしたいのは、市民のくらし、福祉、教育の充実をはかることについてであります。

 先ず高すぎる国民健康保険料の問題です。

 市長、今、市民の間で市政の中で一番不満に思っていることは何だと思いますか。言わずと知れた国保料が高いという事です。我々が行ったアンケート調査でも1500通を超える回答の中で、不満の第一位は国保料が高いという事で、実に53%を占めました。実際、40才代の四人家族で年所得300万円で、介護保険分を含めて、50万5千円の保険料ですから、とてもじゃない払う事が出来ないのであります。

 これをいかに払える保険料にするか、保険者たる市長の任務でありますが、そもそも、なぜ、これ程の高い保険料になったのか、言うまでもなく国が国庫支出金を率にして半減させた上、あまつさえ、滞納があるからといって、出すべき調整交付金を本市国保に対して、累計374億円、不当にもカットして来たからでありまして、したがって、国に対して、これを元に戻すよう求める事が先決で。そして、同時に一般会計からの任意繰り入れ金も、08年度、215億円が、10年度193億円と、22億円も減額されております。これも、増額が必要です。合わせて答弁願います。

 又、今、国保を府県単位のものにするなど、いわゆる広域化の動きが強まっておりますが、これは各市町村の一般会計からの繰り入れを事実上できなくして、更なる保険料アップを招来せしめるもので、到底容認できないという事を申し上げておきます。

 さて、今一つ国保問題で質しておきたい事は、保険料滞納者に対する資格証や短期保険証の目にあまる程の乱発振りであります。特に、有効期限6ヶ月の短期保険証は、この10月末の切り替えから、前年度、例え一円でも滞納のある人に全て適用するという暴挙とも言うべき措置によって、大幅にふえた上に、滞納保険料の一部ないし全額を支払う事と引き換えに、郵送ではなく区役所に出向いて受け取るのであります。区役所窓口を大混乱におとし入れた上、11月9日現在、31,092件もの多数の未交付者を残すという異常な事態となりました。

 市長、およそ社会保障の一環としての国保制度にあるまじきことではありませんか。ただちに取りやめて、保険証を送付すべきです。答弁を求めます。

 次に、子どもの医療費助成の拡充をはかる問題についてお聞きします。

 今日、少子化の一層の進展の中で、安心して子どもたちを産み育てられる環境をつくる。真に重要かつ緊急の課題であると思います。そういう点で、今ほど子育て世帯の経済的負担の軽減はじめ、総合的な子育て支援策の拡充、強化が求められている時はありませんが、子どもの医療費助成はまさにこの一環だと思います。

 現在、本市では通院は就学前まで、入院は小学校卒業までにとどまっておりますが、他都市の水準からすると、随分立ち遅れていると申し上げねばなりません。東京23区では、既に通院・入院とも中学校卒業まで助成しており、政令市でも、さいたま市と浜松に、堺が通院入院とも中学校卒業まで、他5市で、入院のみ中学校卒業までというように、順次拡充していっているのであります。本市でも、他都市なみに通院・入院とも中学校卒業までに拡充すると同時に、一歩進めて、所得制限も撤廃すべきです。答弁を求めます。

 又、子ども達の教育条件整備の一環として、小中学校の普通教室にもクーラーを設置すべきではないしょうか。

ここ数年の大阪の夏は、とてもじゃないクーラーなしで勉強するなんて事が、できょうはずがありません。特に、今年の夏は、35度を越える猛暑日が長く続き、教室でも午前中から30度を超え、午後や西日の当たる頃には35度を超えるのもザラという、そういう中で、子供達は授業を受けざるをえなかったのでありまして、集中できるはずがありません。「学校環境衛生の基準」でも、夏期は25度から28度が望ましいとされているのであります。

 こういう中で、さいたま市や川崎市、京都市ではもう既に全ての小中学校の教室へのクーラー設置が済んでおりますし、東京23区でも1区を除いて全て完了いたしております。又、広島市では昨年度より10カ年計画で設置が進められることになっております。大阪府下でも、高槻、枚方、四条畷で全ての教室に。大東、門真で小学校。東大阪、豊中で中学校の教室にというように、厳しい財政状況の中で、精一杯努力しているのであります。

 市長、ただちにとりくむべきではありませんか。答弁を求めます。

 又、平松市長の公約である中学校給食も残す市長の任期も一年となった今、いよいよ実施に向け足を踏み出さなくてはならないと思います。

 言うまでもなく学校給食は子供の健全な発達のために重要な役割を果たすべきものの一つであって、何よりも、食について学ぶと共に学校を人間的な共同生活の場とする教育の一環なのであります。そうして、学校給食法において、実施の努力義務を小学校と共に中学校の設置者にも課しているのでありまして、今や全国80%近い中学校で完全実施されているのであります。

 しかるに、大大阪市が今だに業者弁当に頼る。まことに情けない限りであります。この6月に教育委員会の実施したアンケート調査でも、中学生の保護者等の80%程度が給食を肯定的にとらえているではありませんか。ただちに実施計画をたてられるよう求めます。答弁願います。

 

 第3に、この10月に出された、新しい大阪市をつくる市政改革基本方針(素案)に関して、いくつかお聞きしたいと思います。

 先ず、この(素案)の実施編でうたわれている「事務事業総点検」等に基づく点検・精査についてであります。

 今回、940事業の点検・精査を行って、その内他都市水準を上回っているか、または比較困難な事業が639事業650億円分あることを明らかにすると同時に、その内の1億円以上の100事業594億円分を列記いたしました。

 この(素案)で、のべられているように、これらの事業が短絡的に見直すべきとはならないとは言え、見直しつまり廃止やカットの第一の対象事業であることは疑いありません。なぜなら今回の点検・精査が、中期財政収支概算による年120億円の更なる経費削減要請に基づくものだからであります。

 この列記された第一の削減対象事業と思われるものの中には、敬老優待パス、新婚世帯向け家賃補助、就学援助、重度障害者医療費助成、上下水道料金高齢者減免制度、赤バス等コミュニティ系バス運営補助等がオオドコロとして含まれております。

 市長、これらはいずれも市民に喜ばれ、実際に役にたってる、まさに有益な事業ばかりです。削減すべきではありません。答弁を求めます。

 なかでも敬老優待パスは、幾度も改悪案が俎上に乗り、そのつど市民の現行どうり継続してほしいとの強い運動と本市会での決議等によって、他都市にない立派な制度として守られてまいりました。

 市長は先だっての公営・準公営の決算特別委員会で我が党委員の質問に答えて、持続可能な制度にするために見直しが必要と述べました。しかしながら、一部有料化したり利用回数を制限したりという事は、制度の変質・変更を意味するのであって、その時点で別の制度ができるという事で、これは持続とは言わないのであります。例え小額といえども有料化した京都や神戸では、対象年齢者の利用率がめっきり落ち込んで制度の意義そのものがうすれ、この面での持続とはほど遠いものであります。

 市長、大阪市の敬老優待パス制度、文字通り他都市の水準を大きく上回っている立派なものであります。

 今後とも、市民の思い、期待に応えて現行通り存続すべきです。明確な答弁を求めます。

又、同時に、高齢者等に親しまれ利用されている赤バスについてであります。今、交通局等がいわゆるアクションプランの中で、赤バスの廃止を打ち出して以来、利用者等の中から、何とか残してほしいとの切なる声が日々寄せられております。

実際、地下鉄駅からは程遠い所。しかもバス路線の通っていないルート。病院やスーパー等の最寄りの停留所をつなぐ赤バスというものは、高齢者など、交通弱者にとって今や欠くべからざる交通手段となっているのであります。

生野区に、「中央」の名を冠した病院があります。路線バスの停留所からは距離があり、赤バスの停留所は、ほん斜め前に設けられております。この赤バスを利用して、週2日も3日も通院している高齢者達がおります。併設している老健施設の入所者を定期的に見舞っている縁者の方達がおります。こういう人達にとって、赤バスの存廃はまさに死活問題といっていいのではないでしょうか。元々赤バスは、市民の足の利便をはかる為に、採算のとれないことを覚悟の上導入したものではありませんか。それを今更、赤字だから廃止する。それはないだろうというのが、市民の思いではないでしょうか。

こういう市民の声に押されて、交通局等は廃止方針を先送りいたしましたが、今度は走行キロあたり、2.2人。だいたい乗車人員にして、5〜6人でありますが、これをクリアーしなければ廃止するというハードルを設定いたしました。利用者が増えるようにルート等の改善をはかることは必要な事だと思いますが、利用者が増えなければ廃止するというのはいかがなものかと思います。

そもそも、交通局等の廃止方針の根っこには、赤バス車両の更新時期が来ているという事情があると思います。83両の車両の内、70両は既に年限を過ぎておりますし、残りの13両とて、あと4年余りの寿命という事であります。

交通局は、口では廃止ありきではないんだと、改善して残したいんだと言いますが、そうであるなら、必要な車両数を、赤バスに代わる、いわば赤バス仕様の国産車を順次確保して行かなくてはなりません。どうですか、改善の上、猶必要とする車両を、赤バス代替車両に切り替えてでも走らせるつもりがあるのかどうか、明確に答弁願います。

 

 又、今回、ゴミ焼却工場の2013年度を目途にした公営企業化がうち出されました。我々はこれには、賛同する事は出来ません。この意図するところは、ゴミ焼却工場の運営を独立採算等にして一般会計からの持ち出しを極力減らそうとするものでありまして、そうなると、どうなりますか。08年度の数字を見ても、公債費はこの年がピークではありますが100億円。運営経費149億円の都合249億円に対し、焼却手数料等74億円に関電への売電収入22億円の、計96億円で、税等の持ち出し153億円。これをトコトン減らそうという訳ですから、勢い焼却手数料や売電収入の増収に力点がおかれ、ひいては発電施設のない森の宮工場の建替えの促進やゴミ焼却の増量にもつながっていくのではないでしょうか。

 このようなまさにゴミ減量に逆行する公営企業化はすべきではありません。答弁を求めます。

いずれにしても、中期財政収支概算にもあるように今後9年間で生ずる、2700億円の収支不足をどう償うか、財政上の大きな課題である事は否定できませんが、しかしながら、どうしてこのような収支不足が生ずる事になったのか、市民の前に先ず明らかにする事が必要だと思います。

 いったい何が主たる元凶でありましょうか。

 国の三位一体改革の影響もあるでしょう。リーマンショク後の税収減もあると思いますが、しかし、何と言っても最大のものは、誰も通る事のない390億円も投じた北港テクノポート線の建設であり、道楽に過ぎなかった78億円のワインミュージアムであり、1000億円を超える損害を出したWTCであり、2000億円もの赤字を出した不透明極まりない阿倍野再開発事業といったムダな大型開発であって、加えて、あの320億円もの損害を出した芦原病院にみられるような不公正・乱脈な同和行政であったのでありまして、市民には収支不足の責任、全くないのであります。したがって、この年300億円の収支不足を償うにあたって、いささかの負担増も市民に押しつけてはならないという事であります。

 今回、財政当局が年300億円の内、180億円を税収増と生活保護費の全額国庫負担で埋めようとしている事は、全く異議がありません。我々もこの生保の全額国庫負担の実現に向け共に頑張って行きたいと思いますが、ただ残りの120億円を市民向けの更なる経費削減で合わせる事には、断じて賛成できません。

 本市には322h、小学校322個分もの遊休土地があります。他にも処分可能な財産はあるでしょう。この際有効に活用すべきです。そして、同時に3000億円を超える公債償還基金を活用することだと思います。

 年120億円9年間で1080億円、公債償還基金から借り入れて10年目以降、公債費の負担が減少する間に、徐々に返還して行けばいい訳で、全く合法的だと思います。市長の答弁を求めます。

 

 第4は、問題の「大阪都」構想についてであります。

 申し上げるまでもなく橋下知事の進める「大阪都」構想なるものは、大阪市を解体して、市民の税収と財産を取り上げて、知事の目論む高速道路などの広域インフラの整備につぎ込もうとするところに本質があると思います。

 実際、維新の会の設立趣意書にも大阪市の莫大な資産を有効活用することなくして、大阪の繁栄はないとうたわれております。

 したがって、口では市内9つの特別区をつくって区長を公選にすれば、市民のための施策が今より更に拡充されると吹聴しておりますが、すべからく区長の裁量まかせで、元より市民のくらしなど眼中にないのであります。

 第一、今だに特別区への財政調整をどうするのか示されないではありませんか。この都区制度、財政力のある東京でのみかろうじて成立するという説があります。

 交付団体である大阪にあっては、地方交付税等が特別区に入らないことは致命的ともいえるものであります。地方自治法でうたわれている特別区への財政調整交付金にあてられる税目、固定資産税・法人市民税・特別土地保有税の3税、東京の場合、条例によってこの55%が配分されているのでありますが、大阪の場合、仮に100%配分されたとしても、特別区の財政は火の車、カツカツの状況でありましょう。その上に、小なりといえども一家を成さねばなりません。それに伴う様々なコストが嵩む事は必定です。市民サービスが拡充されるどころか、更に削りこまれるのが落ちというもので、大阪都構想、市民にとってプラスになるどころか大変なマイナスになると言わなくてはなりません。したがって、この大阪都構想、市解体・分割、行政区の合体と、それに伴う資産と事業の振り分け等、膨大な作業を要することに鑑みても、私は容易に成立しえないものであると考えます。市長の見解を伺いたいと思います。

 いずれにいたしましても、今求められていることは、システムのあれこれではなくて、市政の中身を市民本位に転換することでありまして、何よりも、今日の閉塞状況の中で、市民に夢と希望を与える改革が必要だと思います。

 なかでも地下鉄8号線(今里ー湯里)の整備を図ることは、喫緊の課題だと思います。この路線は、沿線住民の足の利便をはかり、住みよい街づくりを進める上で欠くことのできないものとして、待望久しいものでありまして、先だって10月13日の本会議において早期整備を求める決議が全会一致採択されたところであります。

 これまで本路線整備のブレーキとなっていた地下鉄事業の累積欠損金も今年度で解消される見込みとなると共に、一般会計の負担も100%起債が認められる上に、その元利償還の45%が交付税措置されることを考慮すれば、もはや何の逡巡もいりません。

 市長、ただちに整備に向かって足を踏み出すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。

 以上、質問といたしますが、答弁の如何によっては再質問することを申し添えておきます。

 


  下田敏人議員の一般質問に対する平松市長の答弁

 

 大阪駅北地区と臨海部の開発についてでございますが、私は、経済成長を実現していくため、重点的に取り組む戦略エリアを設定し、そこでの効果を中堅・中小企業へと及ぼすことにより、大きな経済波及効果を生み出していきたいと考えております。

 その戦略エリアとしましては、大阪駅北地区を中心とした大阪駅周辺地区と、夢洲・咲洲を中、心とした臨海部の2地区を設定しております。

 大阪駅北地区では、ナレッジ・キャピタルに「知の集積」を生み出していくため、産学の技術やアイデアを統合させ、消費者ニーズを反映させながら、技術や製品の開発を進める「(仮称)大阪オープン・イノベーション・ヴィレッジ」の設置に取り組んでいるところであ力ます。

 また、臨海部では、「知の実践」エリアとして、咲洲で先端企業の立地を進めるとともに、夢洲では先端工場の大規模立地が可能な土地造成事業も進行中であります。

 加えて、この強みの異なる大阪駅周辺地区と臨海部のポテンシャルを高め、相乗効果を発揮させるために、規制緩和や税制優遇等を実施することができる「国際戦略総合特区」の指定を国に要請しているところでございます。

こうした経済成長に向けた取り組みを戦略的に進めることにより、成長著しい南・東アジア地域の経済成長を取り込み、人・モノ・情報が交流し、活力あふれるまちづくりの実現を図ってまいります。

 

 広域インフラの整備についてでございますが、大阪・関西の発展に向けた、各般にわたる取り組みの効果を、より一層高めるためには、企業活動や観光などの経済活動が府県域を越えて広域化しつつある現状を踏まえると、人・モノの円滑な流れを保証し、確保することのできる広域インフラの充実・強化が必要であり、例えば、高速道路の淀川左岸線延仲部などは、広域交通ネットワークの一部を形成する非常に重要な路線であると認識しております。

 こうした広域インフラの整備に際しては、限られた財源の中で、事業の「選択と集中」を適切に行いつつ、真に必要な事業に絞り込むとともに、広域的・国家的な役割を担うべき路線については、国と地方の役割分担も踏まえて、国による重点投資など新たな事業制度の創設が必要であると考えており、その点、強く国に要望してまいっているところであります。

 今後も引き続き、このような取り組みを積み重ねながら、大阪・関西の発展を促す環境づくりを推進し、企業立地の促進や新たな投資の誘発、さらには、中堅・中小企業への波及効果の創出、雇用機会の拡大など、全力をあげて、大阪・関西の経済成長を確かなものとしてまいりたいと考えております。

 

 労働者派遣法の改正と最低賃金の引き上げについてでございますが、本年3月に事業規制の強化、派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善などを改正内容とした「労働者派遣法の一部を改正する法律案」が提出され、今国会で審議されるところであります。また、最低賃金の引き上げについては、現在国において、地域別最低賃金等のあり方や最低賃金引き上げにより最も影響を受ける中小企業に対する支援等の取り組みについて検討が行われているところであります。

 大阪市会におきましても、平成21年10月15日に派遣労働者の保護、待遇改善を進める施策を講じることを求めた「労働者派遣制度の抜本的な見直しに関する意見書」を採択し、また、本年3月26日には、最低賃金制度の周知徹底とさらなる最低賃金の着実な引き上げを求めた「最低賃金制度に関する意見書」が全会一致で採択され、国に対して送付されたところであります。

 派遣労働の適正化と最低賃金の適正な金額水準の確保に向けては、全国からも同様の意見書が国に提出されており、今後、こういった地方の意見を踏まえて適切な派遣法の改正や最低賃金のあり方について十分な検討がなされるものと考えております。

 

 公共事業についてでございますが、本市ではこれまで市民生活や都市活動を支える都市基盤施設を着実に築いてきたところであります。こうした豊かなストックの機能を将来にわたって発揮していくために、今後、施設の適切な維持管理や耐震などの防災対策といった安全・安心に寄与する公共事業を確実に実施していくことが重要であると考えています。

 一方、大都市大阪の役割といたしましては、大阪経済圏の成長のみならず、関西全体の持続的な成長・発展や国際競争力の向上にも貢献するため、民間企業の立地や雇用の促進など経済の活性化につながる未来への投資や、文化が薫る都市格の向上などの観点から、魅力ある都市環境を整備していくことも重要であると考えております。

 非常に厳しい財政状況ではありますが、公共事業については、限られた財源のなかで、中小企業の育成にも配慮しつつ、既存ストックの適切な維持・活用など、市民生活に密着した公共事業を確実に確保し、また、大都市としての役割も踏まえ、事業の選択と集中を図りながら、公共事業を実施していきたいと考えております。

 

 市立高校新卒者の就職についてでございますが、今年度の市立高等学校全体の就職内定率が、昨年の同時期に比べて低下し、非常に厳しいものとなっていることは、心の痛む問題であると思っております。

 各学校では、事業所への求人依頼、講演会・就職指導や、生徒一人ひとりに対する面接指導を行うなど、就職にむけ懸命に努力しておりますが、このような厳しい就職環境のなか、将来ある新卒者が1人でも多く内定を得るためには地域の総力を挙げて取り組む必要があることから、本年10月に、大阪労働局長を本部長に、大阪府、大阪市、経済団体、労働団体、学校関係団体等で構成する「大阪新卒者就職応援本部」を設置いたしました。

 応援本部では、「新卒者支援宣言」を策定し、関係者の緊密な連携のもと、新卒者に対するきめ細やかな就職支援を集中的に実施するとともに、今月11日には、経済諸団体に対し、「新規学校卒業者等の採用拡大」について要請行動を行ってまいりました。

 引き続き、生徒の夢を実現し、希望をもって社会に旅立つことができるよう、教育委員会ともどもさまざまな機会を通して、新規学校卒業者の採用枠の拡大を働きかけてまいりたいと考えております。

 

 国民健康保険料の引き下げについてでございますが、国民健康保険はその事業運営を保険料と国庫支出金等で賄うことが原則であり、事業を運営していくためには、披保険者にも応分の負担をお願いせざるを得ないものと考えております。

 しかしながら、その原則どおりでは保険料負担が大きくなるため、毎年一般会計から多額の任意繰り人れを行い、被保険者の負担軽減に努めております。

 なお、国庫負担率の引き上げや、医療費助成実施に伴う国庫支出金減額措置の廃止については、機会あるごとに、国に要望しております。

 一方で、国民健康保険は加入者に高齢者や低所得者が多く、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えております。

 加えて、少子化の進展や社会情勢の変化に伴い、一市町村で長期に安定した運営を行うことが困難であり、このままでは国民皆保険制度の維持すら難しい状況にあります。

 このような中で、国の「高齢者医療制度改革会議」において、「国保運営については、全年齢を対象に都道府県単位化を図る]とされたことから、その実現に向け、早急な法改正についても要望しているところであります。

 今回、方向性が示された国保の広域化を第一段階とし、最終的には医療保険制度の一本化に向け、引き続き要望を重ねてまいります。

 

 国民健康保険料滞納者への対応についてでございますが、国民健康保険は、国民皆保険制度の最後の受け皿として極めて重要な役割を果たしておりますが、本市の国民健康保険財政は、平成21年度決算見込みで、約366億円もの累積赤字を抱えるなど、極めて厳しい財政状況となっております。

 このような中で、国民健康保険料収入の確保は、単に財政面だけではなく、披保険者の負担の公平性を確保する観点からも重要であり、適切な収納対策は保険者としての責務であると認識しております。

 短期有効期限披保険者証の窓口更新につきましては、被保険者との接触め機会を確保し、世帯の実情を把握するためのもので、来庁された方にはできるだけ無理なく納付いただけるよう、減免制度もお示しするなど、世帯の実情に見合ったきめ細かい対応を行っております。

 今後ともできるだけ多くの機会を通じて、保険料滞納世帯との接触に努め、その実情に応じた納付相談や納付指導を行うとともに、国民皆保険制度について理解を求めることにより、保険料収入の確保を図るなど、事業の健全な運営に努めてまいります。

 

 乳幼児医療費助成についてでございますが、本市では、平成5年10月に乳幼児医療費助成制度を創設しました。入院医療費助成については大阪府の補助のもと、ゼロ歳から小学校就学前の乳幼児を対象とするとともに、通院医療費助成については本市単独でゼロ歳児を対象に実施いたしました。

 その後、通院医療費助成の対象年齢を順次拡充し、平成14年4月には、小学校就学前の6歳まで拡充してきたところであります。

 また、入院医療費助成の対象年齢については、平成19年11月に小学校3学年修了前の9歳児まで拡充し、平成20年11月には小学校修了前の12歳児まで拡充を行いました。

 所得制限については、経済的支援の必要性の高い方々に助成を行うことが重要であるとの観点から、制度発足当初より実施しており、その基準としては、国の児童手当制度におけます特例給付限度額を準用しております。また、平成18年4月には、児童手当の所得制限が緩和されたことに伴い、乳幼児医療費助成の所得制限も緩和いたしました。

 

 今後の事業のあり方については、少子化対策の総合的な施策の推進を図る中で検討してまいりたいと考えております。

 

 小中学校へのクーラー設置についてでございますが、これまでも学校施設の整備に際しましては、計画的かつ効果的な予算執行により良好な教育環境の確保を図ってまいりました。音楽室や図書室等の特別教室への空調設備の設置につきましては、今年度で整備を完了することとなっており、特別支援学校及び特別支援学級への空調設備につきましては、今年度から計画的に整備を進めているところでございます。

 また、すべての学校ではヒートアイランド対策に寄与する壁面緑化などを進めており、学校独自でもすだれやよしずを活用するなど暑さ対策を積極的に行っているところです。こうした取り組みは非常に有効であり、今後とも推進していくべきものと考えております。

 小・中学校の普通教室への空調設備の設置につきましては、その必要性についてさまざまなご意見がございますが、本市における厳しい財政状況のもと、校舎改築やトイレ改修をはじめとする施設整備に取り組む中で、教育的観点や費用対効果、ヒートアイランド現象への影響、整備内容の緊急性などのさまざまな課題について、総合的な視点に立ちまして、事業の選択と集中の観点から引き続き広く議論をしてまいりま

す。

 

 中学校給食についてでございますが、私は就任当初より、食育の観点から、選択方式での中学校給食を早急に全校で実施したいと考えております。

 教育委員会では、昨年1月に「早期に効果的な家庭弁当との選択方式による中学校給食の実施をめざす」という方針を定めたところです。

 現在、その第一歩として、昼食提供事業を市内全中学校で実施し、家庭弁当を持参しない日に、安全面、衛生面、栄養価に配慮された昼食弁当を、全ての中学生が選択できる環境が整ったことは、大きな前進であると考えております。

 一方、教育委員会が6月に実施したアンケート調査結果からは、栄養バランスのとれた昼食より、簡易なものを好む生徒の嗜好や、昼食の選択を子どもに任せる保護者の傾向などの課題が明らかになりました。

 教育委員会には、このような課題解消を図るために、小・中学校9年間を通した食育の推進に積極的に取り組んでもらいたいと思います。

中学校給食につきましては、厳しい財政状況の中、今後、食育の取組みや昼食提供事業の利用状況などを踏まえ、議会の皆様と十分議論のうえ、早期の実施をめざしたいと考えております。

 

 新しい大阪市をつくる市政改革基本方針(素案)に関しまして、市民向けサービスにかかわる事業についてでございますが、グローバル化の進展とともに今後、ますます少子高齢化が進み、生産年齢人口の減少などにより、働き手や地域の担い手が不足するなど、現在の厳しい財政状況のみならず、将来を見通しても、大阪市の地域社会や市民生活は、ますます厳しくなることが予想されます。

 右肩上がりの時代がもう一度来るという安易な期待はできないとも認識しており、かつて比較的豊かであった税収を前提に実施してきた施策・事業などにつきましても、将来にわたって大阪の地域社会の暮らしとまちを守り続けていくためには、抜本的な再構築を進め、「中期的な収支均衡に向けたフレーム」を実現していく必要があります。

 フレームの実現にあたりましては、収入の確保や総人件費の抑制、外郭団体等の見直し、公共事業のあり方の検討やムダの排除の徹底を図りますとともに、市民サービスを単純に見直すということではなく、これからの大阪市にとって必要な「地域力の復興」「市民生活の基盤づくり」「大都市大阪の活力・貢献」という3つの視点で施策・事業の選択と集中による再構築に取り組み、5年間で約600億円の収支改善を実現してまいります。

 

 敬老優待乗車証交付制度についてでございますが、70歳に達した高齢者の方々に敬老の意を表すとともに、地域でのボランティア活動や友人たちとのふれあいなど、社会参加を促進し、健康で街中に出てきていただく方を増やし、元気でいつまでも御活躍いただくなど、高齢者の生きがい施策として、重要な制度であると認識しております。

 しかしながら、制度が創設された昭和47年度当時から38年が経過しており、本制度を取り巻く状況は大きく変化してきております。

 今後、少子高齢化の一層の進展に伴い、本制度のみならず福祉施策全般にかかる経費が年々確実に増加してまいりますが、市税収入の大幅な回復が見込めない中、本市の財政状況は今後さらに厳しさを増し、高齢化率が高まる中で、このままでは本制度の存続は危ぶまれる状況にあると認識しております。

 市会におきましては、厳しい御意見も頂戴しており、本制度につきましては、少子高齢化の進展や社会経済情勢等が変化する中、廃止するのではなく、今後も持続可能な制度として維持・継続していくため、市会や市民の皆様方の幅広い御意見をいただきながら、引き続き具体的な方策について検討してまいりたいと考えております。

 

 赤バスについてでございますが、本年3月に策定いたしました「アクションプラン」におきまして、ご利用が低迷していることなどから、現状の赤バスサービスは廃止することとしておりますが、一方で、目標値を設定しながら地域とともに利用促進に努め、抜本的な路線再編の基礎となる需要の検証を行うこととしております。

 こうした取組の結果、目標値を超えるご利用がある場合はバスサービスを維持し、目標値を超えるご利用がない場合は、まずは一般バスの路線再編で需要に応じた配慮を行い、それでも対応できない地域の移動ニーズがある場合には、市営バス以外の移動手段について対応策を検討してまいりたいと考えております。

 なお、バスサービスを維持する場合におきましては、使用車両等について、利用促進や需要検証の結果を踏まえながら、改めて検討してまいりたいと考えております。

 利用促進の取組につきましては、区民説明会やアンケート調査を実施し、利用者や地域の方々からのご意見をお伺いしているところであり、今後、地域の実情に応じた具体の利用促進策について取りまとめ、運行ルートの見直しなども行いながら、地域の方々とともに利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 ごみ焼却工場の公営企業化についてでございますが、ごみ焼却工場は重要な都市インフラであり、総合的、一体的な管理運営を行なうとともに、高度な技術力を継承することが必要であります。

 地方公営企業化を図ることで、このような運営体制だけでなく、組織や財務面での柔軟性や透明度が増すというメリットを活かして徹底した事業運営の効率化を進めることや、ごみ処理にかかる手数料収入に加え、ごみをエネルギー資源として一層活用することなどで収益を増やし、独立採算を目指して参ります。

 市税の投入につきましては、これは、家庭から出されるごみの処理にかかる経費など、本来市が負担すべき経費であり、これらを含め収支を保つことができるものと考えております。

 また、ごみ減量や3Rの推進は、循環型社会を形成していく上で、本市の重要な課題であると認識しており、今後ともさらにその取組みを市民協働のもと、進めて参ります。

 その結果、処理するごみ量が減れば、当然、手数料などの収入が減りますが、一方で処理経費を削減することができるだけでなく、処理施設の見直しや精査も行っていくことで、収支を均衡させることが可能であり、独立採算を図った上で安定的な経営を目指すということと、ごみ減量の推進とはなんら矛盾するものではなく、ごみ焼却工場の地方公営企業化については、今後具体的な検討を進めて参ります。

 

 公債償還基金からの借り入れについてでございますが、公債償還基金は将来の起債償還のための貴重な財源であり、確実に積み立て直すことができる目途のない状態で安易に借り入れを行うことは、将来に負担を先送りすることにもなりかねません。

 また、本市がこれまで維持してきた「財政規律」を一気に後退させることにもなりかねないことから、その是非については、慎重に検討しなければなりません。

 今後、高齢化の進展などに伴い、扶助費が増えていくことが確実であり、また、税収動向についても不確定要素が多いことを踏まえ、公債償還基金からの借り入れに頼らず、まずは「持続可能な大阪市を支える行財政基盤」の構築に向け、「新たな市政改革」や「成長戦略」に強い決意をもって全力で取り組んでまいります。

 

 「大阪都」構想についてでございますが、何ケ月たっても具体的な中身が明らかにされず、検討のしようもありませんが、仮に税財政面で東京都の特別区制度を府・市に当てはめますと、地方交付税は特別区には交付されません。

 また、東京都並みの財政調整制度を適用した場合、首都である東京都のように税収が豊かではないため、特別区の歳入は東京23区には遠く及ばないことになります。

 そもそも、基礎自治体であり大都市である大阪市が、市域一体としての財政運営を図ることで、市民生活の安心・安全を守り、圈域の発展を牽引する役割を果たしているのであります。

 これをわざわざ人為的に分割し、権限や税財源を「都」に集権するなど、地域主権の時代に全く逆行する考え方と言うほかありません。

 また、税財政制度をどう設計するのか、資産と負債の移行をどうするのか、市民生活を支える膨大な行政事務をどう移行するのか、区間格差の顕在化にどう対応するのか、分割した特別区の行政組織をどうするのか、いくつも行政組織をつくることによって増大する行政コストをどうするのか等、いまだに何も具体的な方策が示されていません。

 ただ「選挙で今後の大阪を決めてゆく」と言うばかりでは、市民に対して全く説明責任を果たしておらず、余りにも無責任であり、市民生活と社会経済活動に無用の混乱と停滞を招くことになると,深く危惧するものです。

 人や物の動きが府県というエリアを大きく越える現代にあって、しょせん府域を出ないもの、それどころか大阪市域のことしか言っていないのが、「都論」であります。

また、その実現には膨大な時間と手間がかかることも容易に想像できます。

 このような空疎な制度論に時間を費やすことなく、市民のため、関西全体の発展のため、今なすべきこと、できることにいっそう取り組んでまいりたいと考えております。

 

 地下鉄第8号線の延伸についてでございますが、地下鉄は都市活動を支えるとともに、まちづくりに必要な都市基盤施設であり、大量輸送性、高速性、定時性、安全性に優れているだけでなく、ひとと環境にやさしい交通機関であるため、長期的な視点にたって整備を進めてきております。

 第8号線の今里・湯里六丁目間については、地域の交通問題を解消するとともに、市東南部地域のまちづくりや活性化の観点からは必要性が高いものと認識しております。

 昨今、地下鉄事業の経営収支は黒字基調が続き、平成22年度末には累積欠損金が解消する見込みではあるものの、今後の少子高齢化などの社会情勢の変化などを勘案すると、乗車人員の増加は大きくは期待できないことなど、今後の経営環境は依然として厳しい状況が続くと考えております。

 さらに、地下鉄の整備は莫大な費用を要するので、国の補助制度の適用が不可欠であり、そのためには国や本市一般会計からの補助金等が必要となりますが、国・本市とも非常に厳しい財政状況にあります。

 このような状況を十分踏まえつつ、また、10月13日の市会において早期整備を求める決議が全会一致でなされた事実を認識したうえで、検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

(再質問に対する答弁)

 国民健康保険料滞納者への対応についてでございますが、国民健康保険料収入の確保は、単に財政面だけでなく、披保険者の負担の公平性を確保する観点からも重要であり、適切な収納対策は保険者としての責務であると認識しております。

 今後とも、短期有効期限披保険者証の交付対象世帯につきましては、接触の機会の確保に努め、その実情を十分把握したうえで、丁寧に対応しつつ、積極的に保険料収入の確保に努めてまいります。

 

 公債償還基金からの借入れについてでございますが、確実に積み立て直すことができる目途のない状態で公債償還基金から安易に借り入れを行うことは、将来に負担を先送りするだけでなく、財政規律の後退を招くおそれがあるので、まずは、「新たな市政改革」や「成長戦略」に全力で取り組んでまいります。

 

 地下鉄第8号線の延伸についてでございますが、地下鉄事業の経営環境は依然として厳しい状況が続くと考えられることや、国・本市とも非常に厳しい財政状況にあることを十分踏まえつつ、また、10月13日の市会において早期整備を求める決議が全会一致でなされた事実を認識したうえで、検討してまいりたいと考えております。