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市議団の実績

2010年度大阪市一般会計等予算

対する組み替え動議

てらど月美市会議員

2010年3月26日

 私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、2010年度大阪市一般会計等予算の組み替え動議について説明いたします。

 動議の内容は、次の3点です。

 第一に、「住民の福祉の増進を図る」という地方自治の原点に立ち、福祉や教育、雇用、中小商工業支援など、市民の切実な願いにこたえる施策を思い切って拡充することです。

第二に、ムダで環境を破壊する大型開発を見直し、公共事業は市民のくらしに密着したものに切り替えることです。

第三に、差別の解消に逆行する同和行政を完全に終わらせることです。

以下、動議の理由を説明いたします。

 第一は、市民のくらしがかつてなくきびしい状況にあるなか、266万市民にとって一番身近な大阪市は、市民のくらし、雇用、営業を守るため、あらゆる努力をはらうことが求められているからです。

 その一方、市民が切実に願っている国民健康保険料の引き下げには、背を向け続けています。保険料滞納世帯は、すでに29%を超えており、「高すぎて、払いたくても払えない」実態にあることは明らかです。均等割保険料を一人当たり年間1万円引き下げるとともに、所得割保険料の算定方式については各種控除を加味したものに改め、減免制度も改善するべきです。

 子育ての分野では、認可保育所の増設を必要な行政区でおこなうことです。また、子どもの医療費助成制度は、所得制限・一部負担をなくして、通院・入院とも中学校卒業まで広げ、保護者の負担軽減をはかることが求められています。

 教育の分野では、全国70%以上の中学校で実施されている完全給食を、本市でも全校で、早急に実施するべきです。一人ひとりの子どもに目がいき届き、いじめの早期発見にもつながる少人数学級の拡充、日本一暑い大阪市で小中学校の普通教室へのクーラー設置なども急がれています。学校維持運営費は大幅削減を改め、むしろ拡充するべきです。

 第二は、90年代の大規模開発のツケが、本市財政を大きく圧迫し、WTCの破綻処理では、1000億円もの巨額の損害を市民に押し付けたことへの反省もなく、WTCへの府庁移転をテコに、淀川左岸線延伸部の建設など、広域インフラを推進する姿勢を示していることです。

 とりわけ、関西財界と橋下知事の意を受けて、咲州・夢洲に「大阪版経済特区」を設置するとしていることは重大です。夢洲の先行開発地区の基盤整備も無謀な開発と言わなければなりません。

 また、旧阪神高速道路公団が、不採算路線だとして整備をあきらめていた淀川左岸線2期事業を、本市が、街路事業として建設を推進する必要はまったくありません。

 その一方で、公園用地取得予算はこの間大きく減らしています。治水・浸水対策予算や生活道路の新設・改良予算も、それぞれ、25億円、8億円、前年度よりも減らしています。市営住宅や保育所、特別養護老人ホームの増設をはじめ、公共事業は市民のくらしに関連したものに振り向けるべきです。これは、市民生活の改善につながるとともに、中小企業の仕事と雇用を増やし、地域経済をあたためることにもつながります。

 第三は、予算案に計上する同和事業費はゼロになったとしているものの、形を変えた特別対策予算が22億2000万円も計上されている点です。

 とりわけ、人権文化センター・青少年会館・老人福祉センターを廃・統合して、「市民交流センター」に衣替えし、その管理運営に9億2000万円、改修整備に1億6000万円を計上していることは重大です。

 また、「人権啓発・相談センター」の開設に1億700万円、人権博物館(リバティおおさか)の運営補助金にも6000万円を予定しています。これらは、特別対策以外のなにものでもありません

 同和行政の終結のためには、解同、人権協会との関係をキッパリと断ち切ることが不可欠です。同時に、旧同和校への教員の加配など、一切の特別扱いをやめるべきです。

 以上、予算組み替え動議の説明といたします。

 


 「議案第73号平成22年度大阪市一般会計予算」等の組み替えを求める動議 

 

 「議案第73号平成22年度大阪市一般会計予算」「議案第80号平成22年度大阪市国民健康保険事業会計予算」「議案第86号平成22年度大阪市港営事業会計予算」「議案第88号平成22年度大阪市自動車運送事業会計予算」「議案第89号平成22年度大阪市高速鉄道事業会計予算」及び「議案第93号平成22年度大阪市公債費会計予算」について、市長は別紙要綱により、すみやかに組み替えを行い、再提出することを要求する。

                         2010325

 

 大阪市会議長  舟戸 良裕 様

提出者

 下田 敏人  矢達  幸  瀬戸 一正  渡司 考一

 北山 良三  石川 莞爾  長谷 正子  稲森  豊

 江川  繁  山中 智子  上野とき子   寺戸 月美

 安達 義孝  尾上 康雄  清水 忠史  井上  浩

 

(別紙)

高すぎて払えないと多数の市民から切実な声があがっている国民健康保険料の値下げをおこなわないなど、市民には冷たい予算となっている。

その一方、WTCへの府庁移転をテコに、淀川左岸線2期事業など、大型開発には手厚い予算を組んでいる。

また、同和行政については、完全終結に背を向け、その見直しは一部にとどまっている。

したがって、ムダな大型開発や不公正な同和行政にかかわる予算は見直し、市民にあたたかい予算に組み替えるべきである。

 

1、市民のくらし、福祉、教育を優先した予算にする。

 @ 国民健康保険の均等割保険料を一人あたり1万円引き下げる。

 A 障害者ケアホーム運営安定補助事業の補助額を元に戻す。

 B 未認定の公害呼吸器系疾患患者への医療費助成を実施する。

 C 保育所待機児の解消を公立・民間保育所の拡充で進める。

 D 学童保育への補助金を増額する。

 E 乳幼児医療費助成制度は、入院・通院とも、所得制限と一部負担なしで、中学校卒業まで拡充する。

 F 市独自にも少人数学級を実施する。

 G 小中学校の普通教室へのクーラー設置を進める。

 H 中学校給食を一日も早く実施する。

 I 学校維持運営費の削減をやめ、拡充をはかる。

 

2、ムダな大型開発は中止し、市民に身近な公共投資を優先する。 

 @ 咲州・夢洲「経済特区」の検討調査費は削除する。

 A 夢洲の先行開発地区の基盤整備は中止する。

 B 淀川左岸線2期事業は中止する。

 C 北ヤード開発にかかわる予算は削除する。

 D 市営住宅を増設する。

 E 大規模改修など、分譲マンションへの支援を強化する。

 F 地下鉄8号線の延伸をはかる。

 G 市バスの50両減車は中止する。

 H 公園予算を増やし、ヒートアイランド対策を進める。

 I 森之宮焼却工場建て替えの調査費は削除する。

 

3、同和行政は完全に終結する。 

 @ 「市民交流センター」にかかわる予算は削除する。

 A 「人権啓発・相談センター」の設置は中止する。

 B 旧同和校への不公正な教員加配は改める。

 C 大阪人権博物館への運営助成をやめる。

 D 人権協会への分担金は支出しない。