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市議団の実績

福祉後退の予算案批判

大阪市議会 代表質問で北山議員

北山市会議員

2010年3月3日

大阪市議会本会議が3日開かれ、日本共産党の北山良三議員が代表質問に立ち、予算案や当面の施策についてただしました。

北山議員は、地域商業や中小製造業の予算を半分にし、子育て・教育予算を大幅に減らし、住民の福祉を後退させる一方、WTC破たん処理でl000億円もの損害を押し付けた反省もなく、湾岸部の夢洲開発や阪神高速淀川左岸線延伸などの大型開発をすすめる平松邦夫市長の姿勢をただしました。

北山議員は、年間所得200万円の40歳代の4人世帯の国保料が37万円で、夫婦2人の国民年金保険料を合わせると72万円にのぼることを指摘し、国保料の1人1万円の引き下げ、加入世帯の生活実態に即した算定方式などに変えることを求めました。また、後期高齢者医療制度の即時廃止と負担の軽減を国に求めることなどを迫りました。

中学校給食の実施では、ただちに実施するよう強く求め、30人学級の実現、小中学校普通教室へのクーラー設置も要望しました。

北山議員は、赤バスについて、必要な改善をし、存続させるべきだと強調しました。

平松市長は、WTC問題では、「WTCを府へ売却することにより、臨海部での街づくりにつながり市民への責任は果たせた」と答弁。赤バスについては、「現在の赤バスは廃止し、2010年度以降、一定の目標値を設け利用促進に取り咀み、バス路線の再編や地域の移動ニーズの対応策について検討していきたい」と笞えました。

(2010年3月4日付しんぶん赤旗)


 

代表質問の柱

T.福祉と暮らしについて

U.保育など子育てについて

V.雇用と中小企業の対策について

W.大型開発の街づくりから「釣り合いのとれた街づくり」への転換について

X.収支不足を理由にした、市民の福祉・暮らしの切捨てについて

Y.同和行政について

 


私は、日本共産党大阪市会議員団を代表し、2010年度大阪市一般会計等予算案、ならびに当面する施策等について、平松市長に質問いたします。

 今、わが国の経済、国民生活と中小企業の経営は、底なしの悪化を続けています。なぜ日本の景気悪化はここまで深刻なのか。国民の所得が奪われた結果です。雇用者報酬、勤労者の収入は、1997年の280兆円をピークに、2009年には253兆円にまで、27兆円、1割も落ち込みました。一方、大企業の内部留保はこの10年間に143兆円から230兆円に急増しています。昨年12月末に発表された政府の「成長戦略」は、この10年来の政策の結果、「選ばれた企業にのみ富が集中し、中小企業の廃業は増加、国民全体の所得も向上せず・・需要の低迷が続いた」と明確に指摘しています。

 我が党は、鳩山首相との党首会談で、大企業の溜め込んだ巨額の内部留保を雇用と中小企業に還元させるべきだ、自民・公明政権の社会保障費削減路線がつくった「傷跡」をすみやかに是正するべきだと提案しました。これに対して鳩山首相が「大企業の内部留保を還元させる具体的な方法を検討してみたい」と述べたことは重要です。

今なすべきは、大企業や大資産家を優遇する「旧来の政策」を大胆に転換して、「暮らしを守る政治」へと進むことです。しかし民主党政権は、国民の声に押されて幾つかの政策は実現したものの、要となる後期高齢者医療制度廃止や労働者派遣法抜本改正等の問題で公約にそむき、国民の失望が広がっています。 

こうした中、大阪市は、国に対して、国民の暮らしと中小企業の経営を支援する政治に切替え、日本経済を建て直すよう求めるとともに、自らは「福祉の機関」としての役割を果たさなければなりません。

 ところが、平松市長が提案している2010年度予算案は、口では「地域力の復興」「未来への投資」に力を入れたとしながら、その実、地域商業や中小製造業への予算を半分に減らし、未来を担う子育てや教育の予算も大きく減らして、住民の福祉をさらに後退させようとしています。その一方、WTCの破たん処理で、市民に1000億円もの損害を押付けたうえ、その反省もなく、WTC周辺と北ヤードに進出する企業に対して大幅に法人市民税などを引下げる「経済特区」の創設をめざそうとしています。さらに、夢洲造成地の基盤整備や淀川左岸線2期事業などの、ムダで環境破壊の大型開発には予算を重点的につけ、同和行政の完全終結にも背を向けているのです。

 到底、認めることはできません。このような予算案は撤回し、根本から組み替えるべきであります。 以下、こういう立場から、具体に質問いたします。

 

第一の柱は、福祉と暮らしの問題であります

 まず、国民健康保険料をめぐる問題についてお尋ねします。

 大阪市における直近の保険料滞納世帯率は29.3%、加入世帯のおよそ3軒に1軒が何らかの滞納をせざるを得ないという異常な事態であります。年間所得200万円の40歳代の夫婦と子ども2人の4人世帯で、その国保料は約37万円。実に所得の18.5%を占めています。夫婦2人の国民年金保険料は約35万円ですから、この二つの保険料合計だけで約72万円、所得の36%にもなるのです。「高すぎて払えない」というのが大方の実情です。「生活の実態に見合う、払える水準の国保料にする」ということに、大阪市はいよいよ本気になって踏み込まなければなりません。

 そのためにはまず第一に、全加入者にかかる均等割保険料を一人当たり年間1万円引き下げ、保険料のベースダウンをはかることであります。

 第二に、所得割保険料の算定方式を、現行の「総所得から33万円を基礎控除する」だけでなく、「扶養控除・社会保険料控除などの各種控除を加味」した算定基礎額にし、それに一定の料率をかけるという方式に改めることであります。加入世帯の生活実態というものは、収入・所得だけで推し量ることはできないからであり、すでに神戸市が実施しています。

 第三に、保険料の軽減措置や減免措置も、一定の支出状況を反映させる制度に改めていくことであります。そのために、「高齢者減免」「障害者減免」など、支出に見合う一定基準での保険料減免制度を設け、実際の生活困窮度に応じた保険料軽減措置にすることです。

以上の3つの提案に対して、市長の明快なる答弁を求めます。

 

つぎに、そのための財政措置についてであります。国に対して、「国庫負担金を増やせ」「調整交付金のペナルティ減額をやめろ」と、強く求めていくべきことは当然であります。同時に、本市の一般会計から100億円規模で新たな繰り入れを実施すべきであります。今回の予算案では、一般会計からの任意繰り入れはたった2億円増やしたにすぎません。市民の命や健康を守るためには、何をさておいても、真っ先に必要な予算措置を講じるべきではありませんか。

あわせて、市民を脅したて無理やりはがし取る保険料収納対策は、直ちにやめるべきだということも申し上げなければなりません。大阪市は今、特別な体制をとり、財産調査を急増させ、財産差し押さえをどんどん強行しています。さらに、保険証を取り上げ、事実上「無保険状態」をつくる資格証の交付を激増させ、「市民の命を引き換え」にした取り立て対策を実施しています。憲法25条をはじめとした社会保障の理念に逆行するこのような仕打ちは、一刻も早くやめなければなりません。

これらの点も併せて、平松市長の答弁を求めます。

 

次に、後期高齢者医療制度に関連してお聞きします。

昨年8月の総選挙での国民の選択は、「後期高齢者医療制度の即時廃止」を明確に求めるものであり、重く受け止めるべきものだと考えます。ところが、鳩山新政権が進めた方向は、「本制度の廃止を明言しつつ、2013年度に新制度を創設し、それまでは本制度を継続させる」というものであります。これは、国民への「重大な裏切り行為」と言うべきものであります。しかも、厚生労働省は、廃止すべきひどい制度を継続させるにあたって、保険料負担の増加を抑制するための国による補助を実施する方向を打ち出していたにもかかわらず、政府の2010年度予算案には1円の補助金も組み込まずに、高齢者の保険料負担の増加を5%程度までは容認するという立場をとったのであります。そんなやり方は、「廃止の先送り」とともに「二重の裏切り行為」と言わなければなりません。

市長、こんなひどい制度は1日も早く廃止し、いったんは元の老健制度に戻すよう、そして、その間の保険料増加分については国が全面的に負担し、高齢者負担を増加させないよう、きっちり申し入れるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。

 

加えて、大阪府後期高齢者医療広域連合では、去る2月12日の定例議会で、我が党議員以外の賛成多数によって、新年度からの保険料を5.07%引き上げることを決定してしまいました。その結果、例外なくすべての75歳以上の高齢者の保険料を増加させてしまうことになります。

我が党は、こんな保険料の引き上げを断じて認めることができません。多くの高齢者の生活実態から見て、廃止すると言いながら被害を拡大する、そんな保険料負担増を絶対に許してはならないのであります。そのためには、大阪府も、そして各市町村も、力を合わせなければなりません。広域連合の副連合長をも務めておられる平松市長、大阪市自らも新たな財政措置を決断し、そして他の府内42の市町村に呼びかけ、「広域連合への法定外繰り入れを行って保険料引き上げを回避させる」、そのイニシャティブを、今こそ発揮すべきではありませんか。ご答弁願います。

 

 次に、障害者施策についてお聞きします。

 まず、本年1月7日、国(厚生労働省)は、障害者自立支援法 違憲訴訟原告団ならびに弁護団との間で、基本合意文書を取り交わし、その中で、「遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する」とし、「障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする」と謳っています。そして、自立支援給付の応益割自己負担については、住民税非課税世帯を対象に新年度から無料とする方針が示されています。

しかし、住民税課税世帯や、自立支援医療に対する応益割自己負担や「日割基準」での施設への報酬支払いの仕組みは、なお残されています。市長、これらの応益割自己負担や施設への「日払い」の仕組みも、1日も早く撤廃していくよう、国に強く求めるべきではありませんか。

同時に、こんな流れの中で、福祉の増進を旨とする大阪市として、様々な面での障害者福祉向上のための施策の拡充がいっそう求められていることは言うまでもありません。

ところが、大阪市の新年度予算案では、障害者ケアホーム運営安定補助事業など、これまでの独自補助をゼロにしているものもあります。こんなひどい仕打ちはやめて、元の補助額に戻し、施設運営の安定化を促進すべきであります。あわせて、市長の答弁を求めます。

 

次に、深刻化しつつある喘息等の公害未認定患者の救済問題についてお尋ねします。

 1988年に公害指定地域が解除されて以後、大阪市民は、喘息等の呼吸器系公害疾患を発症するようになっても、公害患者として認定されなくなっています。しかし、現実は喘息等の患者は増え続けており、この方々およびその家族の生活や勉学・仕事に重大な影響を与えています。

 大阪市の学校保健統計によると、この20年間の喘息被患率の推移は、幼稚園で横ばいですが、小学生で1.83倍、中学生で2.47倍、医療費助成を受けていない高校生では3.82倍と、増加率が高くなっています。

また、「あおぞらプロジェクト大阪」が、一昨年12月から昨年6月までの7ヶ月間行った「喘息被害実態調査」によれば、喘息等公害呼吸器系疾患患者は全年齢にわたって新たな発症が増加しており、大阪市内での未認定患者は3万人以上と推計しています。その内、小児ぜんそく医療費助成や乳幼児医療費助成などを考慮したとして、市内で1万5000人以上が、医療費の支援を受けていないことになります。自営業や非正規職員のサラリーマンからは、「病気の発症後、仕事を休む日が多くなり、収入が大幅に減った」などの声も出されています。すでに東京都では一昨年8月から、神奈川県の川崎市では3年前から、気管支ぜんそく患者の全年齢を対象にした医療費助成を実施しています。

平松市長、大阪市においても、こういう喘息等の未認定の公害呼吸器系疾患患者への新たな救済策に乗り出すべきではありませんか。ご答弁ください。 

 

 第二の柱として、保育などの子育てと教育についてお聞きします。

 最初に、保育についてです。新年度予算案では、保育所整備の予算が大幅に減らされています。市長は、21年度までの保育所入所枠の拡大により、待機児が解消される見込みだとしていますが、まったく実情にあっていません。私が住む西淀川区だけでも、2週間前に発送された新年度の入所通知の段階で、161人も入所できませんでした。引続き、待機児が解消できない行政区が現にあるじゃありませんか。認可保育園の増設が必要な行政区でのさらなる設置を進めるべきではありませんか。ご答弁ください。

 今、民主党政権は、自民・公明政権が進めてきた保育の質を度外視した「安上がり」の保育所づくりの方向を引継いで、面積基準の緩和など全国一律の最低基準をなくそうとしています。しかし市民からは、「子どもに被害を及ぼすな」、「保育の質を落とすな」、「子どもにとって最善の保育環境を」という声が大きく巻き起こっています。

大阪市は、公立保育所のこれ以上の民間委託や、「入所定員基準の緩和による詰込み保育」などは直ちにやめて、保育への公的責任をしっかり果たして、子どもたちにとって最善の保育環境をつくるべきではありませんか。合わせて答弁ください。

 

 次に、少人数学級の問題です。21世紀を担う子どもたちに、豊かな教育を保障するキーワード、教育行政の第一義的責務は、少人数・30人学級の実現にあります。少人数学級の効果は、文科省や大阪府教育委員会の調査や研究などですでに明らかです。日本PTA全国協議会、全国市町村教育委員会連合会、町村長会等、主な教育団体23団体も、少人数学級を求める決議を上げています。少人数学級はすでに、46道府県でおこなわれ、広島市や京都市などの政令市でも独自の予算措置で踏み出しています。

大阪市は、習熟度別授業を進めているとしていますが、差別と選別が危惧され、子どもの心を傷つけるもので、まったく少人数学級とは異なったものと言わなければなりません。大阪市が教育日本一を公言するのであれば、もっとも効果的な少人数・30人学級を国に対して強く求めるべきです。また、市独自の予算措置を取ってでも、少人数学級を実施すべきです。答弁を求めます。

 

 次は、小・中学校の普通教室にクーラーを設置する問題です。我が党は、この間一貫してこのことを取上げてきました。それは、大阪市の夏の暑さは日本一であり、クーラーのない普通教室での勉強と生活は、児童・生徒にとって耐え難いからであります。集中力の低下はもちろん、健康にも影響を与えるほどの暑さです。市立高校ではすでに4年前からクーラーが設置されています。小学校と中学校にエアコンを広げて当然ではありませんか。答弁を求めます。

 

 さらに中学校給食についてです。「貧困と格差」が子どもにも広がっているなか、学校給食を教育の一環、「食育」として実施することが急がれています。現在の昼食事業は、あくまで「愛情弁当論」の枠内での「お弁当を持って来れない子のための対策」です。だから、昼食弁当を利用することについて「クラスでほとんど利用していないから注文するのに抵抗がある」という子ども達が多く居ます。子どもにこんな精神的負担をかけること自体が、教育としては間違っているのではないでしょうか。

 平松市長は、「昼食提供事業の利用率が向上しなければ、学校給食実施は難しい」としていますが、そもそも事業の目的が違うのに、なぜむりやり結びつけようとするのでしょうか。市長は、任期中に中学校給食の実現を目指したいとしていますが、それなら直ちに実施しなければ間に合わないではありませんか。平松市長、中学校給食を直ちに実施するよう強く求めます。合わせてご答弁ください。

 

 第三の柱は、大阪経済を建て直すための、雇用の確保と中小企業支援対策についてであります

 まず、雇用についてお聞きします。大阪の失業率は、過去最悪・全国一になりました。大阪市としても市民の雇用を確保することに真剣に取り組まなければなりません。大阪市の真剣さが問われている問題として、市立高校の卒業生の就職が1月末時点で234人も決まっていないことは重大です。市長、在阪の大企業にたいしてこの生徒たちの就職を引き受けるよう、強く働きかけるべきではありませんか。

また、大阪市として、卒業すると同時に失業者になる高校生にたいして、温かい手をさし伸べなければなりません。京都府は昨年、今年春卒業の高校生約100人を4ヶ月にわたって府が短期雇用し、介護など人材育成プログラムを受けてもらう制度を作りました。対象者は月8万円の賃金を受けながら職業訓練を受け、4ヶ月の猶予期間中に就職先を探すことになります。大阪市もこのような制度を緊急につくるべきではないでしょうか。そして、大阪市内の企業が高卒者を採用すれば、市が助成する制度を作るべきです。合わせて答弁ください。

 

 次に、大阪市自身が、低賃金で不安定な非正規雇用を広げている問題です。

 生活保護者が増大するのに対応するとして、ケースワーカーとして原則3年、最大5年の任期付職員を242人採用するとしていますが、これは正規職員として採用すべきなのに、身分が不安定な非正規雇用で済ませようとするものです。生活保護の増加が一時的なものになるという根拠はどこにもありません。非正規雇用を増やすのではなく、正規職員こそ増やすべきではありませんか。

 さらに子ども青少年局は、任期付職員を採用する一方で、非常勤嘱託の保育士を100名余りも解雇しようとしています。非常勤保育士は、建前は「1年契約で2回更新」ですが、3年目を迎えたら意思確認と面接実施のみで再雇用を繰返して来ており、10年以上働いている保育士もいます。ところが今年1月になって突然、選考試験で継続するかどうか決める、試験に落ちれば「雇い止め」にすると言い出しました。しかし、3年・10年と継続雇用してきた保育士は正規職員にするのが本来のやり方であって、それを解雇するなんてとんでもありません。解雇の方針は撤回するべきではありませんか。併せてご答弁ください。

 

 公契約条例についてお聞きします。大阪市が発注する公共工事や業務委託、指定管理業務をめぐって、人件費を無視したダンピング受注が横行し、労働者に深刻なしわ寄せが起きています。市営地下鉄駅舎で働く清掃員が、生活保護費を下回る給与で働かされています。事態は深刻であります。大阪市の業務で働く人たちに、一定水準の給与を保証することは大阪市の責任です。千葉県の野田市は、市の公的事業を受注する企業に対して、一定水準以上の賃金支払いを義務付ける公契約条例を制定しました。尼崎市でも公契約条例制定に向けた議論がされています。大阪市も低価格競争にならないよう入札制度を抜本的に改善するとともに、公契約条例制定の方向に動き出すべきではありませんか。市長の答弁を求めます。

 

次に、中小企業への支援についてお聞きします。

まず第一は、市民生活の改善に役立つ、身近な公共事業をもっと増やし、地元建設業者をはじめとした中小事業者の仕事を増やすべきだということです。もちろん、そのことによって雇用も増えることは論を待ちません。

昨年7月の市営住宅募集の一般世帯向けの平均競争倍率は約32倍、人気の高いところでは800倍を超えています。この市民要求に答えて市営住宅建設の戸数を増やすべきではありませんか。24億円で200戸の市営住宅が建設できます。この他の市民要求の高い公共施設でも、たとえば保育所建設は1施設1億円、100名規模の特別養護老人ホームは10億円でできます。学校などの耐震工事と建替え、遅れている公園整備、こうした身近な公共事業をうんと増やし、地元の中小事業者の仕事を増やすべきではありませんか。

 

第二に、中小の町工場への支援についてであります。中小の町工場は今、過去最悪の景気のなか仕事が減って、工場家賃、機械リース代金、水光熱費などの固定費が払えなくなり、次々と廃業に追い込まれています。町工場は日本の宝であるのに、今、この灯が消えようとしています。手をこまねいている時ではありません。

我が党は固定費への支援を政府に求め、鳩山首相も検討することを表明しました。大阪市も固定費支援に踏み出すべきです。そして検査や高度機械の共同利用などの技術支援を強めるべきです。また下請単価の切下げなどの下請けいじめや、融資の条件変更などについて身近で相談できる窓口を、すべての区役所に設けるべきではありませんか。

 

第三に、中小小売商店に対する支援です。大阪市内では、経済局が出した小売商業実態調査報告書をみても、スーパー・大型店の出店により、集客力が低下している実態が明らかになっています。こんななかで、京セラドーム球場前に超大型スーパー「イオン」の出店届けが提出され、関係者に大きな衝撃が走っています。「イオン」の出店により西区や港区、大正区など近隣行政区の商店街が壊滅的な打撃を受けることは必至であります。大阪市として、立地法第4条の指針を積極的に活用して、規制措置をとるとともに、大阪府知事に対しても小売商業調整特別措置法にもとづく調整を求めるべきであります。また、大型店の出店規制を強化するよう、法改正を国に強く求めるべきではありませんか。

市長、併せてご答弁ください。

  

第四の柱は、大型開発の街づくりから「釣り合いのとれた街づくり」への転換についてであります

 まず、WTCの経営破たんの最終処理についてお聞きします。

 先の本会議において、我が党の反対を押し切って、WTC社の更生計画案への同意とともに、銀行への損失補償と本市の特別損失などの補正予算が議決されました。今後、大阪府議会がWTCの買取予算を議決し、裁判所が更生計画を認可すれば、1000億円もの巨額の損害が、市民に現実に押付けられることになります。

 ところがこれに対して誰も責任を取らないというのは一体どういうことでしょう。特定調停を結んだときには、まったく不十分ではありますが、関前市長は俸給の一部を返上し、助役や港湾局長などにも給与を自主返納させたのであります。「WTCの経営が二次破綻することはございません」と言明していたのに、現実に二次破綻しても誰も責任を取らないで済ませるわけには行かないじゃありませんか。

平松市長自身にも、銀行に新たな債権放棄を求めると言いながら、おざなりで、結局、最小化どころか、損失補償を増大させた責任、そして大阪府への売却に固執してWTC社の経営破たんを早めた責任などがあります。市長としてこれらの責任を取るべきだし、WTCの経営を二次破綻させた関係者の責任をきっちり問うべきです。

 

さらに、WTCの事業はなぜ失敗したのか。その責任は誰にあるのか、関前市長も平松市長もそれぞれ調査委員会をつくって調査をしたとしていますが、書類がなくなったなどとして、結局、何一つことの真相は明らかにならず、誰に責任があったのかもうやむやにされています。これでは到底、市民の納得は得られません。市長、損失補償など巨額の負担が現実のものとなった今の時点に立って、あらためて抜本的な調査をして、「WTCの経営破たんに至る節々の全容と責任の所在」を明らかにすべきではありませんか。

合わせて、市長の答弁を求めます。

 

 続いて咲洲夢洲の街づくりについてお聞きします。

 WTCへの府庁舎移転をテコに、関西財界と大阪府・大阪市は「夢洲・咲洲まちづくり推進協議会」を立ち上げ、「関西発展の起爆剤」になるとして新たな街づくりを計画しています。

その一つが、2月19日の第三回「推進協議会」で合意された「大阪版経済特区」を設置して企業誘致を図るというものです。この「経済特区」に新規立地する企業に対して、「地方税の軽減・免除などの思い切った優遇措置を総合的に講ずる」としていますが、まさに大企業や財界の意にそった街づくりと言うべきもので、「行政の公平性」の観点から見てこんな優遇策は許されません。「経済特区」づくりはやめるべきではありませんか。

 もう一つは、夢洲の先行開発地区で、道路・下水道などをつくる基盤整備に70億円も投じようとしていることです。先行開発地区に環境技術や新エネルギー産業の生産施設等の集積を図るとしていますが、すでに大阪湾ベイエリアには多くの同様の企業が進出しているのに、夢洲への企業立地が本当に見込めるのか、需要も定かでない開発だと言わなければなりません。売れない土地の在庫がさらに増えることになりかねない、こうした無謀な開発はやめるべきではありませんか。併せてご答弁ください。

             

 次に、「まちづくり推進協議会」が中長期的な検討課題としている、WTCへの府庁舎移転をテコとした新たな広域的な交通インフラの整備の問題です。これは、なにわ筋線の建設やJR桜島線の咲洲地区への延伸、地下鉄四ツ橋線の延伸、高速道路・淀川左岸線の延伸などですが、いずれも市民がまったく望まない上に、総事業費1兆円もかかる大型開発です。

推進協議会で関経連会長は「ペデストリアンデッキをやりますという程度では迫力に欠ける。インパクトを与えるのは交通インフラだ」と露骨に財界の要求を突きつけています。この財界の意を代弁しているのが橋下知事であり、府と市を再編統合して指揮官を一人にしたいと言うのは、大阪市民の金を思うがままに大型開発に投じたいからです。

橋下知事は22日の市長との意見交換会で「左岸線延伸は大阪府の責任で行う。そのために地下鉄を売却して費用を捻出する」という荒唐無稽なことまで言いました。これに対して市長は「重厚長大型の産業構造から環境と知的産業構造に転換しているのに、インフラさえ整備すればすべてが解決するという思想、そしてその選択の是非を選挙民のせいにするのは危険な思想だ」と発言したそうでありますが、そうであるなら、「街づくり推進協議会」の中長期的な課題から、広域交通インフラ整備を外すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。

 

 そしてむしろ、市民の足を守り、周辺行政区の活性化につながる、「釣り合いの取れた街づくり」に寄与する鉄道網建設を進めるべきです。その点では、大阪市が提案し議会も議決した高速鉄道の条例路線である、地下鉄8号線や7号線の延伸、敷津長吉線の建設などを優先すべきではありませんか。

 なかでも地下鉄8号線の延伸は、一度は国に対して整備予算をつける申請までしておきながら、地下鉄を民営化するなどという横槍が入って頓挫している路線です。地下鉄会計の累積赤字は2010年度末をもって解消します。今こそ建設に踏み出すべきではありませんか。合わせて答弁を求めます。

 

次に、バス事業について伺います。

この春も50台市バスが削減されるなど、「中期経営計画」とアクションプラン案に基づいて、バス事業がいっそう縮小されようとしています。しかし、赤バス廃止が発表されて以来、たくさんの署名が「赤バスの存続を求める市民連絡会」に寄せられ、利用者アンケートでも廃止反対が多数にのぼるなど、市民の声と運動が大きく広がり、廃止を先送りせざるを得なくなったことは、市バスが身近な交通手段として、愛され切実に求められていることを明らかにしました。

交通弱者の交通権を保障するために、バス事業は、名古屋市、仙台市なみに一般会計からの運営補助と地下鉄事業からの適切な支援を行い、縮小ではなく、拡充するべきではありませんか。

赤バスについては、地域の声を十分に取り入れられる体制をとり、必要な改善をして存続させるべきではありませんか。あわせてお答えください。

 

次に、環境に配慮したまちづくりについて伺います。

「資源・エネルギー循環型まちづくり」と称して、森之宮焼却工場を建て替えるとともに、中浜下水処理場とあわせてエネルギーセンターを整備するとしています。しかし、そもそも、発生抑制や分別回収につとめ、焼却を減らすことにまさる「循環型社会」があるでしょうか。ゴミ減量のなかで、不要であることがはっきりしている焼却工場に巨費を投じて建て替えて、「循環型まちづくり」などというのは本末転倒です。ゴミ減量の成果を見極めもせず、いま焼却工場建て替えに着手して、将来まったく無駄な投資となった場合、財政面、環境面、そして森之宮地区の住み良いまちづくりへのマイナスの影響は計り知れません。そのとき、市長はどう責任をとりますか?「環境先進都市」を叫んでおられる平松市長が、いまなすべきことは、本市では緒についたばかりのゴミ減量の取り組みを抜本的に強化することと同時に、今からでも遅くありません、森之宮工場の建替えはやめるべきではありませんか。明確にお答えください。

               

第五の柱は、収支不足を理由にした、市民の福祉・暮らしの切捨てについてであります

 新たな中期収支見込みと、その収支均衡に向けた対策のフレームが発表されました。「平成30年までの収支不足は2700億円になる、これをカバーするために年間で120億円・9年間で1080億円のさらなる経費削減が必要だ」と言って、市民の福祉・暮らしを切捨てようとしています。

 なぜ2700億円もの収支不足が生まれるのか。その大きな原因は、大失敗した阿倍野再開発とUSJの区画整理事業の赤字穴埋めのために、平成22年度から30年度までに1900億円も投じなければならないなど、これまで見通しを誤った野放図な開発を続けて来たからではありませんか。その挙句に生じた赤字穴埋めのつけを、市民に負わせるなんてとんでもありません。平松市長、市民への負担転嫁はやめるべきです。答弁を求めます。

 

 この点で、中期収支の対策フレームが、年120億円の経費削減を「事務事業の総点検」でおこなうとしていることは重大です。昨年発表された「事務事業総点検の中間とりまとめ」は、高齢者や子ども、障害者への大阪市単独事業を見直しの対象とし、高齢者の敬老パスと上下水道料金福祉措置まで「23年度までに見直す」とする一方で、JR東海道支線地下化や淀川左岸線延伸部建設などの大型開発は「検討中の将来計画」として見直し対象から外しています。とんでもありません。これら、市民にとっての本当のムダを削る「事務事業の総点検」をこそやるべきではありませんか。

 

 ではどうやって「収支不足」を解消するのか。無駄な公共事業などを中止することは勿論ですが、国に対して、この間削られた地方交付税等の税財源を元に戻すことを求めていかなければなりません。そして、無駄を省き、収入を増やす手をつくしても収支不足が埋まらないのであれば、今後4000億円台に膨れる「公債償還基金からの一時的借入れ」という選択肢もあります。「公債償還基金」は過去の大型開発の借金を返すために積まれているものであり、この間、阿倍野再開発などの借金返済が集中することからも、これを活用して収支不足を乗り切ることは理にかなっています。公債償還基金から一時的に借入をしても、しかるべく後、十分に返済できることは、2007年9月に大阪市が借入をする計画を立てていたことからも明らかであります。

平松市長、国に対する地方財源の確保、さらに「公債償還基金からの借入」などあらゆる手段を講じて、市民の福祉・暮らしを守るべきではありませんか。明確にお答えください。

 

最後に「同和行政」について質問いたします

財政局は「地対財特法期限後の事業等の見直し」の結果、「2009年度予算は28億7千9百万円であったが、2010年度は0円になる」と発表しました。しかし実、「見直しを契機として実施する事業等の経費」として22億2千万円が計上され、形を変えた特別対策が残されているのであります。

なかでも、人権文化センター、もと青少年会館、もと地域老人福祉センターは、廃止・統合されて、「市民交流センター10館」に衣替えし、部落解放同盟元幹部らが中心となって運営している大阪市人権協会等が指定管理者となり、そこに10億8千万円が計上されています。さらに、阿波座センタービルに全市的拠点施設として「(仮称)市人権啓発・相談センター」が開設され、ここに市民局の人権部関係職員が移り、1億7百万円で、市民の理解も納得も得られない啓発・相談などが新たに委託事業とされています。

これらは、一般対策という名で「同和対策」を継続するもので、運動団体などのあらたな活動拠点づくりを促進するものです。こうした、問題解決に逆行する事業はきっぱりとやめるべきではないでしょうか。そうして今こそ、「同和行政の完全終結」を宣言し、特別対策の継続は直ちにやめるべきです。合わせて、答弁を求めます。

 

以上、質問といたしますが、答弁の如何によっては再質問することを申し添えて、私の質問を終わります。ありがとうございました。