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市議団の実績

市民負担増大させる.清水大阪市議、決算認定に反対

清水ただし市会議員

2009年10月15日

 15日の大阪市議会閉会本会議で、日本共産党大阪市議団を代表して清水ただし議員が2008年度公営・準公営企業会計決算の認定に反対する討論を行いました。決算は、自民、公明、民主の賛成多数で認定されました。

 清水議員は、大阪市が依然として、「構造改革」路線に固執し、市民負担を増大させ、市民病院の切り捨ての強行、市民の足のバス路線をカットしようとしていると指摘。「その一方で、ムダと浪費の大型開発は、WTC(大阪ワールドトレードセンターピルディング=住之江区)への府庁移転をテコに新たな装いで推進しようとしている。地方自治体の役割を投げ捨て、時代の流れに逆行するもので容認できない」と批判しました。

 WTCへの府庁移転をテコにした巨大開発にのめりこむべきでないとのべ、いま市長がなすべきことは、破たん処理で市民の負担をいかに減らすかに腐心することだと強調しました。

 また、北市民病院の売却については、「市民病院などのような市民の命と健康にとって欠かせない事業は、国に対して医師不足の早期解消や診療報酬の改善などを求めつつ、大阪市が必要な財政措置を取ってでも堂々と守るべきだ」と強く求めました。

(2009年10月16日付しんぶん赤旗)


大阪市議会閉会本会議での清水ただし議員の討論

 私は、日本共産党大阪市会議員団を代表して、2008年度大阪市公営・準公営企業会計の決算認定に反対する討論をおこないます。

 長年にわたり、社会保障のあらゆる分野で抑制路線を強行し、国民の間に貧困と格差を広げた自民・公明政権は8月末の総選挙によって崩壊しました。いよいよ、国民が新しい政治を探求する時代が、本格的に到来したのであります。

 ところが、本市においては、依然として、この国民に否定された構造改革路線に固執し、市民への負担を増大させるばかりか、地方自治破壊の悪法、「財政健全化法」をたてに、市民病院の切り捨てを強行すると同時に、市民の足であるバスを、大幅にカットしようとしているのであります。

そして、その一方、ムダと浪費の大型開発は、WTCへの府庁の移転をテコに、さらに新たな装いで、推進しようとしているのであります。

 まさに、地方自治体の役割を投げ捨て、時代の流れに逆行するものであり、到底、容認することができません。以下、具体的に指摘いたします。

 

まず、すでに大破綻が明確になっている臨海部の無駄な大型開発を「咲洲・夢洲地区の街づくりの推進」などと銘打って関西財界の尻馬に乗り、大阪府と一体となって、再び推進しようとしているからであります。

 

本決算議会において市長は、府庁舎の咲洲移転が関西経済の起爆剤となると答弁しました。しかしながら、同じことを標榜して失敗したのが、他ならぬ「テクノポート大阪」計画ではなかったでしょうか。経済の状況、「需要」の動向等、見きわめないまま、呼び込み型の過剰な投資をおこなってきたことが、WTCをはじめとする破綻の原因だったのであって、北港テクノポート線など、ムダなインフラ整備などとともに、本市財政をひっ迫させてきた元凶ではありませんか。

当の港湾局自身、2007年12月13日に公表された「臨海部まちづくり事業報告書」において「反省すべき点が多い。今後、確実な需要と明確な投資効果がなければ新規事業を行わない」と表明しているように、これまでの湾岸開発の失敗を明確に認めているのであります。

言うまでもなく、関西財界の狙いは、明白であります。今度の活性策の中で、広域的なインフラ整備の検討が言われているように、淀川左岸線延伸部やなにわ筋線、さらには、橋下知事が突然持ち出したJR桜島線の咲州への延伸などに、大阪市を引きずりこんで、市民の税金をつぎ込ませようとしているのであります。

しかも、活性策の中身たるや、WTCに府庁が来ることを前提に、ATCの空きフロアに、大阪市の港湾、建設、水道の各部局が入る上、各国領事館、アジア諸国の公的機関の誘致、迎賓機能整備と、徹底して公共依存、民間投資の具体策は皆無に等しいのであります。ただあるのは、経済団体の事務所の移転のみ、これでは、引っ越し費用がいるぐらいのもので、相変わらず、口は出すが金は出さない、すべからく、このようなていたらくで、どうして、関西経済の起爆剤などになりえましょうか。

先の総選挙で示された民意というものは、箱物やコンクリートへの投資から、人への投資をはかれということだったのであります。何より、市民のふところをあたためて、人、モノが動くようにしてこそ、大阪の活性化、関西の活性化がもたらされるものではないでしょうか。

 

WTCへの府庁移転をテコにした巨大開発にのめりこむべきではありません。WTCへの府庁移転は、交通の利便性、災害時の職員の参集問題、府警本部や関係諸機関との連携等、どこから考えても合理性に欠けるではありませんか。

 今、平松市長のなすべきことは、府議会にのこのこ出かけることではなく、誰が買い取るかにかかわらず、WTCの破綻処理で、銀行の更なる債権放棄を求めるなど、市民の負担をいかに減らすのか、ここに腐心することであり、さらには、市長の公約でもある、破綻と特定調停での責任の所在を市民の前に明らかにすることであると強調しておきます。

 

さらに、わが党がかねてから必要性がないと指摘してきたスーパー中枢港湾建設についてであります。本決算でも60億円あまりが投入され、この10月から本格稼働となるはずでありました。ところが、C10、ここに週2便入っていた東京船舶の船は、この7月に撤退した上、肝心のC12には、いつ船が入るのか、いまだ、メドがたっていないのであります。

それもそのはずで、当局の大型コンテナ船が増え続けるという「神話」はどこへやら、2000年には360隻あまり入港していた5万トン以上のフルコンテナ船は、2008年286隻へと激減している上に、咲州のR岸壁、C6、C7から無理やり船を持ってこようとする当局のもくろみも、容易に進まないからであります。船が夢洲に接岸したとしても、また、積み荷は咲州の倉庫に運んでこなければならないなど、よろこんで移動する船会社・港運業者はないのであります。まさに、総額770億円を投じた巨大コンテナバースは、まったくのムダであったということが、開業にあたってはっきりとしたのであります。

 

第2に、地方公営企業法では企業が「経済性を発揮するとともに、本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と定めているところでありますが、各事業とも経済性を追求するあまり、肝心の公共の福祉がおきざりにされているからであります。

 高速鉄道事業会計について、交通局霞町土地信託事業・フェスティバルゲート売却に伴う特別損失が約150億円計上されていますが、実際には現金200億円と、土地約2万3000uが失われたのであり、市民の莫大な財産がまさに「霞み」となって消えてしまったのであります。

 わが党は、こうした事業が提案された当時から、土地信託はリスクの高い事業であり、市民の大事な財産を供するべきではないと反対し、また、調停案が示された時も、受託者の責任を問えと主張してきましたが、こうした声に全く耳を貸さず、今日の事態を迎えたことは、言語道断だと言わなければなりません。また、この事業を容認してきた「旧オール与党」の責任も、大きなものがあるということを指摘しておきます。

 わが党委員が、当事者の責任はあまりにも重大であり、責任を問うていくべきだと求めたのに対し、市長は「地域の発展に寄与することが最大の責任」などとはぐらかし、フェスティバルゲートを購入した会社が、いかにも地域に貢献するかの如く強弁したのであります。断じて認めるわけにはいきません。

 

また、わが党委員が、凍結されている地下鉄8号線の延伸を開始すべきだと求めたのに対して、市長は、財政難を理由に消極的な姿勢に終始しました。とんでもありません。地下鉄建設費用は、一般会計負担分の45%が交付税措置され、加えて、今まで9年間で552億円支出してきた中之島新線や阪神西大阪線も、本年度で終了するのであります。そういう点でも好機でありますし、新政権がかかげる、2020年までに90年比で温暖化ガス25%削減に寄与する事業でもありますから、沿線住民の期待に応えて早期に着工されるようあらためて要望しておきます。

 

 続いて、バス事業の問題であります。市営バスは、地下鉄網が整備された今日でも、市民の利便性を図る上で重要な交通手段であり、今後、高齢者が増え続けることを考慮すると、必要性はますます高まるのであります。しかし、この間交通局は、かつて1,000両もあったバス車両を769両にまで減らし、「アクションプラン」でさらに一般バス路線をへらし、元々、行政主導で開始した赤バスも全廃しようとしています。

 わが党委員が、仙台市や名古屋市など、市営バスを経営している他の自治体が、バス維持のために多額の補助金を支出していることを示し、本市でも、一般会計や地下鉄会計から適切な補助をおこない、バス路線を維持することを要求しました。また、「莫大な赤字」などと利用者の声を、バス路線廃止に誘導するような悪質なアンケートではなく、もっと利用者・市民の声に真摯に耳を傾け、廃止先にありきではなく、代替案を先に示して議論をおこなうべきと求めたのに対し、市長はこれを拒否する冷たい答弁をおこないました。到底認めるわけにはいきません。

 巨大開発の失敗で、交通財政に大穴をあけても、その責任は不問に付し、バス維持のために若干の補助金を求められてもお断り、これが、平松市長の政治姿勢であることがはっきりしたのであります。

 

次に、水道事業について申し上げておきます。

 今、市長と水道局は府・用水事業の指定管理者になるために血道をあげています。この水道府市統合の動きの背景には、橋下知事が道州制への一里塚として、大阪府の広域事業者としての責任を市に丸投げしようとしていること、市としては、あり余る水利権を「温存」し続ける等の過大投資によって、1日100万トンもの水余り状態になっている実態があることは明らかであります。府民・市民の双方の利益を考えて協議がスタートしたのではない所に問題があり、まさに動機が不純なのであります。

 大阪市は、大阪府の責任である用水供給事業にまで手を出すべきではなく、府市の協議で、適切な水量を、適切な料金で供給することにとどめるべきで、市水道としては市民サービスに徹するべきであるということを強調しておきます。     

 

次に、震災、集中豪雨対策について指摘しておきます。

 先日も、サモア沖とインドネシアでマグニチュード7を超える大地震が発生し、大きな被害が起きています。本市においても、震災時のライフラインである水の安定供給が重要な課題であります。ところが、高い耐震性のある離脱防止継ぎ手を有する水道管の整備が、現在16.7%にとどまっています。2015年までの目標が25%となっており、わが党委員が、あまりに遅すぎると指摘したのにたいし、水道局は、「ペースアップは重要だが、厳しい経営環境にあり、限られた中で耐震化を進める」などと無責任な答弁に終始したのであります。

 また、近年、集中豪雨による被害が各地で増加しており、本市においても、昨年は9行政区で112戸が浸水し、今年7月には、淀川区・西淀川区で9戸が浸水しています。わが党委員が、「淀の大放水路」の進捗状況について、2010年までに完成させるべき工事だとただしたのに対し、建設局は「現在約50%まですすんでおり、今後十数年の期間がかかる」などと答えました。到底、認める事はできません。

 

次に、北市民病院の民間への売却問題であります。

わが党委員が、病院の売却はするべきではないと、ただしたのに対し、市長は「安定的医療の提供のためには選択と集中が不可欠、北市民病院については、民間医療機関に売却し、地域医療の確保を図りたい」と、医療における公的責任を放棄する市民病院廃止を正当化したのであります。まったく度し難いと言わなければなりません。

市民病院のように、市民の命と健康にとって欠かせない事業は、国に対して医師不足の早期解消や、診療報酬の改善など求めつつ、最大限の経営努力を行ってもなお不採算部門となる場合、大阪市が必要な財政措置を取ってでも堂々と守るべきであります。

 

大阪中央卸売市場についてでありますが、2008年度の会計決算で、資金不足比率が198%に達し、財政健全化法に定める健全化計画の作成を義務付けられることになりました。

 資金不足に陥った主な原因は、減価償却費と企業債利息等への支払いが約52億円となっており、経費の実に約60%を占めていることにあります。

 1989年から開始した本場整備事業は、当初予算680億円だったものが、何と1220億円にもふくらみました。現地建替えという特殊な事情があったにせよ、後先考えず過大な費用を投じたことが、現在の莫大な資金不足の発生と、仲卸業者への、合計54%もの使用料値上げにつながっているのです。

私が、売り上げが低迷する中で、歯を食いしばって家族や従業員の生活をまもり、市民の食卓に安全な食品を提供するという使命感に燃えている、仲卸業者への家賃こそ引き下げるべきであると質したのに対して当局は、職員の大幅削減や、事務事業の民間委託など、コスト削減ばかりに目を向けた答弁をしたのであります。

仲卸業者への限定的な使用料の値下げや水道光熱費の引き下げ、また大阪中央卸売市場の新規来場者獲得のための局横断的な取り組みなど、市場関係業者を物心ともに激励し、市場の活性化を促進してこそ、売上高割使用料の増加や現在78%に低迷している業務管理等の入居率向上など、営業収益を高めることにつながります。

大阪市にはそうした前向きな視点がまったくありません。このままでは資金不足比率の解消前に、廃業する業者がさらに増加し、食の安全をまもるという卸売市場の役割は失われてしまうではありませんか。到底認めるわけにはいきません。

 

最後に、大阪港の平和利用の問題についてであります。これからもアジア貿易を軸にして、商業港として発展させるべき大阪港にあって、過去5年間に自衛艦が23隻、米軍艦船も5隻入港しているのであります。これは、大阪港の平和利用決議や、大阪市平和都市宣言に照らしても、容認できるものではありません。

今年4月23日から27日にかけて停泊したジョンSマケインという米艦船は、トマホークミサイル搭載艦、つまり核弾頭を装填する機能を有しているアメリカ第七艦隊に所属する駆逐艦であります。

わが党はかねてから、核密約の資料等を示し、米軍による核持ち込みの疑惑について追求をしてきましたが、今年、9月16日、ついに外務大臣が、核密約問題について調査せよという命令を外務省に対して出しました。

「核を積んだ軍用機及び軍艦の立ち寄り、または通過については事前協議の対象とせず」とした60年の安保改定の前年に交わされた密約が、いよいよその存在について否定することができない状況になっているのです。

私が、核搭載否定の根拠としてきた「事前協議の有無」を、政府が最近になって突然変更し、「核搭載機能の有無」としたことが、密約存在の疑惑を高めていること、また、非核神戸方式を採用して以降、米軍艦船が一度も神戸港に入港していないことなどを示し、大阪港においても、港湾管理者である平松市長が、非核証明書の提出を米軍艦船に求めるべきだと求めたのに対し、市長は、「外務省や米国総領事館に確認するのみ」という、まさに歴史の流れをよめない、旧来の答弁に固執したのであります。容認することはできません。

せめて、核密約の調査が終了するまでの期間は、絶対に米軍艦船の入港は認めるべきではないということを強く申し上げて、反対討論といたします。