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市議団の実績

瀬戸一正議員の百条委員会設置提案

瀬戸一正市会議員

2006年10月12日

 

私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、ただいま上程されました議員提出議案第21号、「芦原病院への補助金・貸付金ならびに財団法人飛鳥会と社会福祉法人ともしび福祉会への事業委託・補助金等にかかる調査特別委員会」の設置について、提案内容をご説明いたします。

 私たち日本共産党議員団は、これまで3月と6月の二度にわたってこれらの問題を調査するために100条委員会を設置するよう提案しましたが、与党会派の諸君は、市長の特別監査が行われている、司直が捜査しているなどの理由をあげてこれを否決してきました。では今日どうなっているのか。関市長は、 芦原病院問題については特別監査報告の過去5年間の補助金についての調査などでもって、そして飛鳥会事件については財政局の極めて簡単な調査報告書などでもってそれぞれ「全容は解明された」とし、特別職の減給と職員105人を処分はしたものの、それ以上の調査を事実上拒否しているのであります。

司直の捜査はどうかと言えば、芦原病院については立件を見送ったと報道され、これほどの巨額の公金不正支出でありながら、「長年の政策として行ってきたことで、個人の責任は問えない」として、とかげのしっぽ切りどころかただの一人の罪も問おうとはしなかったのであります。

市長は事件の幕引を図る、司直は一人も立件しない、これでは到底、莫大な公金が失われるという大きな損害をこうむった市民は納得しません。市長を初めとする行政の組織ぐるみの犯罪の全容を徹底解明し、その原因と責任をはっきりさせることこそ市民が求めていることであり、それができるのは、「行政から独立した」議会に強力な調査権限を与える100条委員会の調査をおいては外にはありません。よってここに、地方自治法第100条に定める調査委員会、すなわち、刑事罰等の時効期間にとらわれることなく過去にさかのぼって、関係者の出頭や証言、ならびに記録の提出を求め、正当な理由がなくこれを拒んだときには刑事罰を課すことができる調査委員会の設置を、三度、提案する次第であります。

 それではなぜ今、100条委員会の設置が必要なのか、理由を述べます。

第一に、芦原病院についてのこれまでの調査では、部落解放同盟や市同促ならびに市同促浪速地区協議会がどのように行政を歪めたのか、大阪市がなぜ間違った判断をしてきたのか、肝心なことが何一つ明らかににされていないからであります。   

芦原病院が返済不能になったと表明している130億円もの貸付金が雪だるま式に増えたのは1976年の無謀な病院拡張計画・第二期増築によってでありますが、これは部落解放同盟が無法な要求をし、これに大阪市当局が屈服して言いなりになった結果ではないのかという問題。芦原病院に理事として携わった人物が「大阪市は貸し付けという形だが、事実上の補助金と説明を続けてきた」と発言している問題。1970年上半期の芦原病院の決算書には解放同盟浪速支部や西成支部に会費として12万円が支出されたことが記されているが、市の公金は本当に病院経営だけに使われたのか、病院の備品や警備など民間業者との取引きで甘い汁を吸っていた構造があるのではないかと言う問題。医療法にも反する無料診療の実態とこれを容認して来た大阪市の責任。地対財特法の期限切れまで毎回の補助金・貸付金の申請書に「申請の内容を適当と認める」との副審書を添えていた大阪市同和事業促進協議会会長と同浪速地区協会長はどんな役割を果たしたのか。これらについては今までの調査では何ら明らかにされていません。何よりも、いずれの調査や監査報告でも、さらにこの間の関市長の発言や見解表明でも、芦原病院への乱脈不公正な公金投入の根底に部落解放同盟の無法で脅迫的な要求があることには一切触れず、これに屈服して、行政が主体性をもって判断する姿勢を放棄し部落解放同盟の言いなりになったことに過ちの根源があったことは一切明らかにされていないのであります。これ以上の調査は必要ないという市長の態度は、長年の同和行政の歪み、なかんずく芦原病院にかかわる行政の腐敗を暴かれたくない、覆い隠してしまいたいというものであって、断じて許せません。こうした問題こそ、議会が100条委員会の力を発揮して調査し原因と責任を明らかにするべきであります。

  第二に、飛鳥会とともしび福祉会への事業委託と補助金等の問題でも、真相が明らかになっていないからであります。なぜ部落解放同盟飛鳥支部長の小西邦彦が巨額の不当な利得を得るような契約が結ばれたのか、なぜそれが30数年間も見直されずに来たのか、財政局が8月に発表した事実資料を並べただけの調査報告書では明らかにされていないし、市長もなんら真実を語っていません。

 関市長は今日なお「西中島駐車場委託契約は当初は雇用対策として適正なものであった」という論に固執していますがその誤りは今や明白であります。先日開かれた小西邦彦の初公判における検察側冒頭陳述では、「小西邦彦は暴力団組員よりも金もうけがしやすく、絶大な権力が手に入るなどと考え、部落解放同盟飛鳥支部長に就任した」「淀川区内の高架下の市有地に駐車場を作ればもうかるはずだと考え、同土地がいわゆる同和地区外であり、同和施策の適用外であることが分かりながら、大阪市に『飛鳥地区の雇用促進のため、駐車場として利用したい』と要望した」と論及し、雇用促進というのは不当な利得を得んがための口実として小西が用いたこと、さらに、「大阪市は、断れば飛鳥支部関係者からの猛反発に遭うことが予想されたため、駐車場の管理業務を委託させることにした」と論及し、大阪市側の決定が部落解放同盟の圧力に屈したものであることも明らかにしているのであります。

さらに関市長は、異常な契約がなぜ長く放置されて来たのかについて、「社会の変化、時の経過の中で、一定の使命が終わったと考える時点で、見直しを適切にすべきだったがやり切れていなかった」としていますが、これもとんでもない詭弁であります。なぜなら、西中島駐車場開設の翌年にいち早く我党議員が決算特別委員会の場で、駐車台数の報告にはごまかしがある、委託契約は当初から小西側に利権を与えるものだと、それも当時の市長の面前で指摘し追及しているにかかわらず、その時点では大阪市は小西邦彦との委託契約を何一つ見直ししなかったのであります。ここにこそ異常な委託契約がその後も長く続いて来た原因の一つがあるのに、この点についても大阪市の調査は一言も触れていないのであります。

小西邦彦が理事長を務めていた「ともしび福祉会」の福祉施設に提供した土地や補助金にかかわる数々の疑惑も何ら解明されていません。一例をあげれば、福島区にある「福島ともしび園」に、なぜ当時の福島区内の類似した土地の公示価格の2倍を越える11億円もの値段で大阪市が購入して無償提供したのか、小西の側からの不当な働きかけがなかったのか何ら明らかにされていません。  

これらも100条委員会の重要な調査課題であります。                     

  100条委員会の設置の必要性の第三は、芦原病院と飛鳥会の二つの事件は、大阪市同和行政の乱脈ぶりを象徴する事件であり、これらの全容解明、とりわけ、部落解放同盟と「市同促」すなわち今日の人権協会が大阪市の同和行政に於いてどんな役割を果たして来たのか、大阪市行政がどのように過ちを犯して来たのか、その真相を解明することなしに、本市の歪んだ同和行政は正せないからであります。

 大阪市は1969年に、矢田事件を通じて部落解放同盟の暴力と脅迫に屈服して以来、行政としての主体性を放棄し、「同和事業は部落解放同盟の協力を得て実施する」「大阪市同和事業促進協議会のハンコがないと同和行政は一歩も進まない」という異常な同和行政執行体制を作り上げて来ました。こうした体制のもとで、西中島駐車場の飛鳥会への異常な管理業務委託契約や、芦原病院への乱脈な公金投入などがまかり通って来たのであります。こうした過ちを認めずに同和行政の手直しを図ろうとするから、関市長が発表した「法期限切れ後も続いている同和行政の見直し」方針では、部落解放同盟と一体の関係にある人権協会を今後もなお同和行政の協力機関と位置付け、人権協会等になお56事業30億円もの事業委託や補助金を出し続けることになるのであります。

  私は最後に、大阪市の歪んだ同和行政を正すために、議会が特別に重い責任を負っていることに言及しなければなりません。先程、議会は芦原病院に大阪市が投入した公金138億円の債権を放棄するという「浪速医療生協協同組合に係る再生計画案への同意を求める案件」を否決しました。これは138億円もの貸付金や補助金があまりにも乱脈に支出された、その債権放棄には議会として到底、同意出来ないからであります。そうであるなら、100条委員会を設置して、その乱脈ぶり、その原因、その責任を明らかにすることこそ議会が果たさなければならない役割と責任ではないのかという点であります。

今や、芦原病院への公金投入が320億円に膨れ上がるまで議会は何をしていたのか、小西邦彦の犯罪を議会はなぜ見過ごして来たのかという厳しい市民の声が巷に満ちあふれています。

私はあえて申上げたい。与党の諸君は、私たち日本共産党議員団がこれまで予算議会の度毎に、芦原病院への異常な補助金・貸付金は削減するよう予算組替え動議を提案したにもかかわらずこれを否決して、芦原病院を支援する市長提案の予算に賛成して来たのであります。わが日本共産党議員団が小西邦彦の悪事を追及して来たときも、長い間、与党の諸君はみて見ぬふりをして来たのであります。与党の諸君は、歴代市長と一緒になって、乱脈同和行政を推進して来たと言っても決して過言ではありません。

そうしておいて、乱脈同和行政への市民の怒りが大きく広がったら、与党の諸君は、過去の自らの責任には口を拭ったまま、政治的思惑で民事再生への同意案には反対する。こういうことではありませんか。そう言われたくないのであれば、そして議会人としての良心が少しでもあるのであれば、100条委員会の設置提案に賛成するべきであります。

ここで100条委員会の設置を否決することは、市民の声に背を向けることになる。真相解明を妨害することになる。このことを再度申上げて、提案理由の説明といたします。